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第三話
糸遊・その二
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……花香。私なら、あなたを更に生き生きと輝かせてあげる事が出来るのに……
二聖の様子を、木陰からそっと覗う細身で背の高い男。辺りの緑に一層映える、雪のように白き肌。薄花色(※①)の豊かな髪がハラリと肩を流れる。天色(※②)の瞳が、憂いの影をさした。
まるでそれは、雲に遮られた太陽を映す青空のように。
陰陽五行。『水』を司る水鏡、『木』を司る花香。水は木を潤し、瑞々しく成長していくのだ。二聖の相性は、互いに活かし合う関係。水鏡がそう思うのは、ごく自然な事だった。
……自らのものとして奪い去り、そして手折りってしまいたい!……
幾度、その溢れる想いと戦ったであろう? けれどもそれは、してはならぬ事であった。宇宙の均衡を保つ為に。
『水』の力が強すぎれば、『木』は根腐れしてしまう。互いの程よい塩梅が必要とされた。 どちらかの過剰な力は、『滅び』を意味するのだ。そしてまた、水鏡の溢れる想いは別の方向へも流れていく。
……火焔……
あなたの燃えたぎるその熱き想い、私ならしかと受け止め、あなた本来の力を、その魅力を、存分に発揮させてやれるのに。
火焔は『火』のみでなく、そのものの『やる気・情熱』なども司る。言わば、『生きる力・自然治癒力』にも繋がるのだ。それ故、火焔は常に熱く燃えているのが自然の姿なのだ。
『火』は時に火柱となって激しく燃え盛る時がある。それは火焔自身にも止める事は難しいくらいに。そんな時、元々が『相殺』の相性である『水』の力が役立つのだ。激しく燃えさかる炎を水の力で冷まさせ、適度な炎にしてやれる。
……火焔。あなたの熱すぎるその想い、私ならしかと正面から受け止められる! あなたを、この胸に抱きしめたい!! 何度思った事か……
水鏡は激しいその想いを、胸の中で叫ぶ。激しく渦巻く炎を、意志の力で押さえつける火焔。それは、彼の体に多大な負担をかける行為だった。水鏡はそんな彼が心配でならなかった。本来なら、『水』の力で冷まさせるものだからだ。
惹かれ合う花香と火焔。そんな二人を同時に愛してしまった水鏡。相反する想いに揺れ動き、そして行き場の無い愛情の波を常に持て余していた。
涼やかな黒曜石の瞳が、憂いを秘めて揺れる。知性と冷静な判断力を象徴する細い銀縁眼鏡が、木漏れ日を反射してキラリと光る。顎の辺りで切り揃えられ、削いで毛先を軽くさせた漆黒の髪がサラサラ揺れた。男は形良い唇をわずかに開け、
「……水鏡……」
と哀しげに呟いた。
冷たいまでに整った顔立ちが、微かに悲し気に歪む。
『土』を司る『産土(うぶすな)』である。『土』は命を根付かせ、安定させ、継続させる役割を担う。
惹かれ合う花香と火焔。そんな二人をただ見つめ続ける水鏡。
……私なら、その行き場を失った溢れる想いの、器となってやれるのに……
左斜め後ろの木陰からそっと水鏡を見つつ、そう伝えたかった。けれども、そうしてしまう事は五聖の「和の均衡」を崩してしまい兼ねない。故に、ただ見つめ続ける事しか出来なかった。
『水』はあらゆる命を生み出す。そしてまた洗い流す事から『浄化』や、更には『感情』も司る。その為、感情が溢れ出し、それを持て余すのは仕方がなかった。水も感情も、形が無いものだからだ。
それを上手く『器』として受け止められるのが、産土である『土』の役割でもあった。されど『水』と『土』は『相殺』の相性。どちらかの勢いが強すぎると、『崩壊』してしまう間柄でもあった。
……別に、触れ合いたいとか、繋がりたいとか、そんな生々しい事を望んでいる訳ではない。ただ、アヤツの持て余し、行き場の無い想いの『器』となってやりたいだけなのだ。どうしたら、良いだろう?……
彼の頭脳を持ってしても、未だにの「こたえ」は見つからなかった。
「……ていうか、皆難しい事を考え過ぎだと思うぜ」
ポニーテールに結い上げたブロンズ色の髪が、フサフサと揺れる。くりっとした大きな金色の瞳が困惑の色を浮かべ、翳りを見せる。瑞玉は大きな銀杏の木に登り、花香と火焔、水鏡、産土。仲間全ての様子を見ていた。
「花香も火焔も、くっついちまえばいいんだ。で、水鏡が二聖を調整して、その水鏡を、産土が調整してやればさ。俺は、全体のバランスを見て指示してやれるし」
と呟くと溜息をついた。
「けど、はいそうですか、て訳にもいかねぇんだよな。何せ『神』の命令は『絶対』で。深く付き合う事も、対立する事も禁じられてるんだもんなぁ」
と再び溜息をつく。そして天を見上げた。空が薄っすらと茜色が差し、遥か東は鮮やかなオレンジ色に染まり始めている。
「俺は、ただ……この五聖でずっと生きたいんだ。未来永劫、こうして皆仲良くいられたら……」
茜色を映し出した金色の瞳が、しっとりと揺らめく。そっと右腕で目を拭うと、枝の上にすっくと立ち上がった。
「さぁ! 今日も宇宙の均衡目指して、行くか! 皆で」
自らを奮い立たせるようにして朗らかに言い切る。そして仲間の元へと消えた。
五聖達の居るの少し上空に、細く繊細な白き糸が微かに揺らめく。それは木から木へ、縦横無尽にはり巡らされた蜘蛛の糸。朝露に濡れて、昇りたての朝日にキラリと反射する。まるで透明な水晶の玉飾りのように煌めく。されど玉飾りは、光と加減で時折周囲の景色に溶け込んでしまう。
この現象を、神は後に『糸遊』と名付ける。更に後、あるかなきかの儚き例えにも使われるようになっていく。
不意に、瑞玉を始めとした五聖達の、楽しそうな笑い声が響いた。
(※①…明るく淡い青紫色)
(※②…澄んだ晴天の空のように鮮やかな青)
二聖の様子を、木陰からそっと覗う細身で背の高い男。辺りの緑に一層映える、雪のように白き肌。薄花色(※①)の豊かな髪がハラリと肩を流れる。天色(※②)の瞳が、憂いの影をさした。
まるでそれは、雲に遮られた太陽を映す青空のように。
陰陽五行。『水』を司る水鏡、『木』を司る花香。水は木を潤し、瑞々しく成長していくのだ。二聖の相性は、互いに活かし合う関係。水鏡がそう思うのは、ごく自然な事だった。
……自らのものとして奪い去り、そして手折りってしまいたい!……
幾度、その溢れる想いと戦ったであろう? けれどもそれは、してはならぬ事であった。宇宙の均衡を保つ為に。
『水』の力が強すぎれば、『木』は根腐れしてしまう。互いの程よい塩梅が必要とされた。 どちらかの過剰な力は、『滅び』を意味するのだ。そしてまた、水鏡の溢れる想いは別の方向へも流れていく。
……火焔……
あなたの燃えたぎるその熱き想い、私ならしかと受け止め、あなた本来の力を、その魅力を、存分に発揮させてやれるのに。
火焔は『火』のみでなく、そのものの『やる気・情熱』なども司る。言わば、『生きる力・自然治癒力』にも繋がるのだ。それ故、火焔は常に熱く燃えているのが自然の姿なのだ。
『火』は時に火柱となって激しく燃え盛る時がある。それは火焔自身にも止める事は難しいくらいに。そんな時、元々が『相殺』の相性である『水』の力が役立つのだ。激しく燃えさかる炎を水の力で冷まさせ、適度な炎にしてやれる。
……火焔。あなたの熱すぎるその想い、私ならしかと正面から受け止められる! あなたを、この胸に抱きしめたい!! 何度思った事か……
水鏡は激しいその想いを、胸の中で叫ぶ。激しく渦巻く炎を、意志の力で押さえつける火焔。それは、彼の体に多大な負担をかける行為だった。水鏡はそんな彼が心配でならなかった。本来なら、『水』の力で冷まさせるものだからだ。
惹かれ合う花香と火焔。そんな二人を同時に愛してしまった水鏡。相反する想いに揺れ動き、そして行き場の無い愛情の波を常に持て余していた。
涼やかな黒曜石の瞳が、憂いを秘めて揺れる。知性と冷静な判断力を象徴する細い銀縁眼鏡が、木漏れ日を反射してキラリと光る。顎の辺りで切り揃えられ、削いで毛先を軽くさせた漆黒の髪がサラサラ揺れた。男は形良い唇をわずかに開け、
「……水鏡……」
と哀しげに呟いた。
冷たいまでに整った顔立ちが、微かに悲し気に歪む。
『土』を司る『産土(うぶすな)』である。『土』は命を根付かせ、安定させ、継続させる役割を担う。
惹かれ合う花香と火焔。そんな二人をただ見つめ続ける水鏡。
……私なら、その行き場を失った溢れる想いの、器となってやれるのに……
左斜め後ろの木陰からそっと水鏡を見つつ、そう伝えたかった。けれども、そうしてしまう事は五聖の「和の均衡」を崩してしまい兼ねない。故に、ただ見つめ続ける事しか出来なかった。
『水』はあらゆる命を生み出す。そしてまた洗い流す事から『浄化』や、更には『感情』も司る。その為、感情が溢れ出し、それを持て余すのは仕方がなかった。水も感情も、形が無いものだからだ。
それを上手く『器』として受け止められるのが、産土である『土』の役割でもあった。されど『水』と『土』は『相殺』の相性。どちらかの勢いが強すぎると、『崩壊』してしまう間柄でもあった。
……別に、触れ合いたいとか、繋がりたいとか、そんな生々しい事を望んでいる訳ではない。ただ、アヤツの持て余し、行き場の無い想いの『器』となってやりたいだけなのだ。どうしたら、良いだろう?……
彼の頭脳を持ってしても、未だにの「こたえ」は見つからなかった。
「……ていうか、皆難しい事を考え過ぎだと思うぜ」
ポニーテールに結い上げたブロンズ色の髪が、フサフサと揺れる。くりっとした大きな金色の瞳が困惑の色を浮かべ、翳りを見せる。瑞玉は大きな銀杏の木に登り、花香と火焔、水鏡、産土。仲間全ての様子を見ていた。
「花香も火焔も、くっついちまえばいいんだ。で、水鏡が二聖を調整して、その水鏡を、産土が調整してやればさ。俺は、全体のバランスを見て指示してやれるし」
と呟くと溜息をついた。
「けど、はいそうですか、て訳にもいかねぇんだよな。何せ『神』の命令は『絶対』で。深く付き合う事も、対立する事も禁じられてるんだもんなぁ」
と再び溜息をつく。そして天を見上げた。空が薄っすらと茜色が差し、遥か東は鮮やかなオレンジ色に染まり始めている。
「俺は、ただ……この五聖でずっと生きたいんだ。未来永劫、こうして皆仲良くいられたら……」
茜色を映し出した金色の瞳が、しっとりと揺らめく。そっと右腕で目を拭うと、枝の上にすっくと立ち上がった。
「さぁ! 今日も宇宙の均衡目指して、行くか! 皆で」
自らを奮い立たせるようにして朗らかに言い切る。そして仲間の元へと消えた。
五聖達の居るの少し上空に、細く繊細な白き糸が微かに揺らめく。それは木から木へ、縦横無尽にはり巡らされた蜘蛛の糸。朝露に濡れて、昇りたての朝日にキラリと反射する。まるで透明な水晶の玉飾りのように煌めく。されど玉飾りは、光と加減で時折周囲の景色に溶け込んでしまう。
この現象を、神は後に『糸遊』と名付ける。更に後、あるかなきかの儚き例えにも使われるようになっていく。
不意に、瑞玉を始めとした五聖達の、楽しそうな笑い声が響いた。
(※①…明るく淡い青紫色)
(※②…澄んだ晴天の空のように鮮やかな青)
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