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第六話
暮色蒼然・その二
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「……ん、あっ……火焔!」
花香は歓喜の声を上げ、愛しき男の名を呼ぶ。そして男の首に両手を回す。ここ秘境の森でも一際大きな樫の木の根元で、火焔は幹に背中を預け、花香を腕に掻き抱いていた。そして花香は火焔の胸にその身を委ね、吸い付いてくれ、と言わんばかりに右に花の顔を傾け、左の首筋を剥き出しにする。長い銀の髪が、ハラハラと流れる。
蝋のように青白く透き通るような首筋は、微かに薄紅が差し熱き血潮が火焔を求めている事を示す
「……花香……」
吐息まじりに愛しき名を呼ぶ火焔の声音は、ゾクリとするほど艶を放つ。射貫かれた花香は、体中の力が抜けその身を全て、火焔に預けた。自らの腕の中で、全てを預けその身を委ねる花香をしっかりと受け止め、その首筋に唇を近づける。そしてゆっくりとその肌に触れると
「……んっ」
吐息を漏らす花香。火焔はその反応を満足げに見やりつつ、唇を這わせた。しっとりと吸い付くような肌。目をとじて堪能する。
「……んっ、あ……」
全身がゾクゾクするほどに火焔の熱き想いを感じ、耐えきれずに声を漏らす花香。火焔は更に吸い付いたその首筋に、ふーっと少しずつ、情熱を注ぎ込む。花香は、火焔の情熱の炎を首筋より注ぎ込まれ、少しずつ全身を熱き炎が駆け巡って行くのを感じた。
「あっ、火焔!」
感極まって声をあげ、愛しき男の名を呼ぶ。そして火焔の首に両手を回した。しばらくそのまま、互いのぬくもりを感じ続ける。
「この辺で十分だろう。これ以上は、逆にお前の体には毒だ」
と火焔はそっと花香の首筋から唇を放した。花香は残念そうにそっと離れる。さながらその姿は、激しい雨に打たれた白き牡丹を思わせた。
……あのまま、溶けてしまっても良かったのに……
と花香は思う。だが、それは胸の内に秘めたまま、言葉には出来ない。
土地開発を進める人間達により、大地に咲く花々を大量に刈られた為、宇宙の均衡を保とうと花香は『木』の力を大地に注いだ。いささか力を使い過ぎて力の調整が自分で出来なくなってしまった為、衰弱気味であった。その為、相殺の相性である火焔より『火』の力を注いで貰って居たのだ。
「さ、待ち合わせ場所に向かうぜ」
火焔は何事も無かったかのように、白き歯を見せ、屈託ない笑顔を向ける。
……このまま、俺だけの物にしてしまいたい……
見かけは平然としているように見せているが、その胸の内では激しい劣情との戦いだった。だが、溢れる想いのままに花香に己の痕跡を残すなど、許されるものではない。五聖の誇りと己自身の誇りにかけて、強靱なる意志の力で自らの激情を封印したのだ。そして花香を促し、歩き出す。
「?!」突然、目眩を覚えて傍らの木に左手をつく。
「火焔!?」
花香は彼の背中を両手で包み込むようにして支え、気遣わしげにその名を呼ぶ。
「だ、大丈夫だ。少しよろけただけだ」
と自らを不安げに見上げる、花香の目を見つめ、笑みを浮かべる。だが、その言葉は火焔を裏切っていた。明らかに、顔色が良くない。唇の色が心持ち紫がかっている。
「火焔、ひとまず休みましょう。私の『木』の力をあなたに。あとは水鏡と産土の力をもういい加減に、あなたの体も調整しないと」
花香はやや強い口調で彼を諭す。
「大丈夫だって。それに、さっきお前にせっかく注いだ俺の熱き想い、返す、て言うのか?」
火焔は戯けたように応じる。その間、彼の顔色は益々色を失い額には脂汗が浮かび上がる。あれほど健康的だった小麦色の肌は、今はその形跡すら見えない程に蒼白だ。そして、更には呼吸が苦しくなってきたのか、肩で息をし始めた。
「……火焔。あなたが心配なのです。どうか、言うことを聞いてください。これ以上、調整を拒み続けたら、あなたの体は……」
花香は、背後から支えるようにして火焔を抱き締めた。
「全くだぜ!」
と彼らの目の前に姿を現した瑞玉。
「今日こそは言う事を聞いて頂きますよ」
と水鏡。
「最早限界です」
続けて産土。産土は花香に頷き、合図を送る。花香は火焔からサッと離れた。入れ替わるように産土が火焔の背後に立ち、左手で支えつつ、右手を火焔の後頭部に翳す。
「悪く思わないで下さいよ。あなたを失う訳にはいかないのです」
と産土は冷静にに切り出した。そして翳した右手の平から深緑色の光が溢れ出す
「お、お前、何を……」
火焔が後ろを振り返る前に、その光は火焔の頭部を包み込んだ。すると火焔は一気に力が抜け倒れこむ。素早く彼を支える四聖。そして彼らは一斉に消えた。
滾々と湧き出る泉。蛙の合奏。鈴虫の合唱。柔らかな苔が大地を多い、杉やヒノキの木立が、緑の闇を醸し出す。蔦と苔に覆われた切り株に腰をおろす花香。火焔の頭を膝にのせ、自らの額を彼の額に押し当てている。花香の額からは、薄紫色の光がじんわりと輝く。火焔に「木」の力を与えているのだ。
上半身が露わになっている火焔。彼の左側に水鏡。火焔の左胸に、吸い取るようにして唇を押し当ている。過剰になっている「火」の力を、「水」の力で吸い取とり、中和させているのだ。
火焔の右胸には産土が、吸いつくようにして唇を押し当てている。彼もまた、過剰になった「火」の力を「土」の力で調和させていた。
瑞玉は少し離れて火焔の足元付近に立ち、右手の平を軽く火焔に翳していた。その手の平からは淡い金色の光が溢れ、花香、水鏡、産土ごと火焔を包み込んでいる。彼は宇宙の均衡と、自らを含めた五聖の均衡の調整しながら、彼らにエネルギーを与えていた。
陽は傾き、茜と朱に染まった空は影を潜める。暮れなずむ秘境の森。五聖達の輪郭もぼんやりとしていく。四聖の放つ光の色が薄明かりとなり、火焔を照らす。
暮色蒼然とは、夕暮れ時の薄暗い様を示す。神々はそう名付けた。
「……好きに犯て…。と言ってるようなものですね」
涼し気な顔で、水鏡は言ってのける。
『……ていうか、それお前が言うと本気でシャレにならないって!』
心を読まれぬように防御しつつ、瑞玉は内心で突っ込みを入れた。
「しかし、妙に色気がありますな」
と産土は同調する。そんな二聖の会話を、不安気に見つめる花香。
『あーあ。完全にあいつら、花香を揶揄ってるよ。日頃の鬱憤晴らしか? 水鏡は花香・火焔への、産土は水鏡への複雑な想いの。ていうか花香も、揶揄われているのに早く気づけよ』
瑞玉は心の中で叫んだ。彼らは今、天界に戻ってきている。そして向日葵と水連で作成された花のベッドで昏々と眠り続けている火焔を見守っていた。ベッドは花香が精霊に頼んで作らせたものだ。
たった今産土が彼を運び、寝かせたばかりだ。その為火焔が纏う朱の衣がはだけ、胸と、太ももから足が剥き出しになっている。
天界の夜。花の精霊達が自らの花に明かりを灯す。花明りに照らされた火焔の小麦色の肌が、ほの暗い薄紫色のベールに包まれたようにそこはかとなく色香が漂う。
「そうだなー。大体さー、普段屈強な男がさぁ。衰弱していて意識が無いっていうのが、なーんか妙にそそられる感じはするかもなー」
オロオロしている花香が面白くて、結局瑞玉も揶揄う事にしたらしい。
「そ、そんな! 瑞玉まで……」
花香は悲鳴に近い声を上げると、慌てて火焔に駆け寄り、彼のはだけた衣をしっかりと整えた。そして彼を守るようにして両手を横に広げて立った。青紫色の瞳が、不安げに揺れる。大好きな人を盗られないよう、精一杯背伸びをして守ろうとす幼き子供のようだ。
「ププ、プププッハハハハハッ……あーダメだ、耐えられん」
耐え切れずに、笑いを漏らす瑞玉。キョトンとて彼を見つめる花香。
「フフフ……全く、揶揄い甲斐がありますねぇ」
と仄かな笑みを浮かべ、花香を見つめる産土。首を傾げて、見つめ返す花香。
「クックック。そんなあなたも、可愛らしいですよ」
忍び笑いをしつつ、冗談めかして話す水鏡。心なしか、その天色の瞳が、濡れたように潤む。彼の言葉に、漸く自分が揶揄われていたのだと悟る花香。頬にサッと紅が差す。
「もうー! 皆して面白がって!」
花香は頬を膨らませ、プイっと横を向いて拗ねてみせる。
「プププ、フフフ……」
そしてすぐに両手で口を押えて笑い声を漏らした。いつもの花の笑みだ。天界に、四聖の楽しそうな笑い声が響く。精霊たちや動物達も、彼らにつられて笑みを浮かべた。
花香は歓喜の声を上げ、愛しき男の名を呼ぶ。そして男の首に両手を回す。ここ秘境の森でも一際大きな樫の木の根元で、火焔は幹に背中を預け、花香を腕に掻き抱いていた。そして花香は火焔の胸にその身を委ね、吸い付いてくれ、と言わんばかりに右に花の顔を傾け、左の首筋を剥き出しにする。長い銀の髪が、ハラハラと流れる。
蝋のように青白く透き通るような首筋は、微かに薄紅が差し熱き血潮が火焔を求めている事を示す
「……花香……」
吐息まじりに愛しき名を呼ぶ火焔の声音は、ゾクリとするほど艶を放つ。射貫かれた花香は、体中の力が抜けその身を全て、火焔に預けた。自らの腕の中で、全てを預けその身を委ねる花香をしっかりと受け止め、その首筋に唇を近づける。そしてゆっくりとその肌に触れると
「……んっ」
吐息を漏らす花香。火焔はその反応を満足げに見やりつつ、唇を這わせた。しっとりと吸い付くような肌。目をとじて堪能する。
「……んっ、あ……」
全身がゾクゾクするほどに火焔の熱き想いを感じ、耐えきれずに声を漏らす花香。火焔は更に吸い付いたその首筋に、ふーっと少しずつ、情熱を注ぎ込む。花香は、火焔の情熱の炎を首筋より注ぎ込まれ、少しずつ全身を熱き炎が駆け巡って行くのを感じた。
「あっ、火焔!」
感極まって声をあげ、愛しき男の名を呼ぶ。そして火焔の首に両手を回した。しばらくそのまま、互いのぬくもりを感じ続ける。
「この辺で十分だろう。これ以上は、逆にお前の体には毒だ」
と火焔はそっと花香の首筋から唇を放した。花香は残念そうにそっと離れる。さながらその姿は、激しい雨に打たれた白き牡丹を思わせた。
……あのまま、溶けてしまっても良かったのに……
と花香は思う。だが、それは胸の内に秘めたまま、言葉には出来ない。
土地開発を進める人間達により、大地に咲く花々を大量に刈られた為、宇宙の均衡を保とうと花香は『木』の力を大地に注いだ。いささか力を使い過ぎて力の調整が自分で出来なくなってしまった為、衰弱気味であった。その為、相殺の相性である火焔より『火』の力を注いで貰って居たのだ。
「さ、待ち合わせ場所に向かうぜ」
火焔は何事も無かったかのように、白き歯を見せ、屈託ない笑顔を向ける。
……このまま、俺だけの物にしてしまいたい……
見かけは平然としているように見せているが、その胸の内では激しい劣情との戦いだった。だが、溢れる想いのままに花香に己の痕跡を残すなど、許されるものではない。五聖の誇りと己自身の誇りにかけて、強靱なる意志の力で自らの激情を封印したのだ。そして花香を促し、歩き出す。
「?!」突然、目眩を覚えて傍らの木に左手をつく。
「火焔!?」
花香は彼の背中を両手で包み込むようにして支え、気遣わしげにその名を呼ぶ。
「だ、大丈夫だ。少しよろけただけだ」
と自らを不安げに見上げる、花香の目を見つめ、笑みを浮かべる。だが、その言葉は火焔を裏切っていた。明らかに、顔色が良くない。唇の色が心持ち紫がかっている。
「火焔、ひとまず休みましょう。私の『木』の力をあなたに。あとは水鏡と産土の力をもういい加減に、あなたの体も調整しないと」
花香はやや強い口調で彼を諭す。
「大丈夫だって。それに、さっきお前にせっかく注いだ俺の熱き想い、返す、て言うのか?」
火焔は戯けたように応じる。その間、彼の顔色は益々色を失い額には脂汗が浮かび上がる。あれほど健康的だった小麦色の肌は、今はその形跡すら見えない程に蒼白だ。そして、更には呼吸が苦しくなってきたのか、肩で息をし始めた。
「……火焔。あなたが心配なのです。どうか、言うことを聞いてください。これ以上、調整を拒み続けたら、あなたの体は……」
花香は、背後から支えるようにして火焔を抱き締めた。
「全くだぜ!」
と彼らの目の前に姿を現した瑞玉。
「今日こそは言う事を聞いて頂きますよ」
と水鏡。
「最早限界です」
続けて産土。産土は花香に頷き、合図を送る。花香は火焔からサッと離れた。入れ替わるように産土が火焔の背後に立ち、左手で支えつつ、右手を火焔の後頭部に翳す。
「悪く思わないで下さいよ。あなたを失う訳にはいかないのです」
と産土は冷静にに切り出した。そして翳した右手の平から深緑色の光が溢れ出す
「お、お前、何を……」
火焔が後ろを振り返る前に、その光は火焔の頭部を包み込んだ。すると火焔は一気に力が抜け倒れこむ。素早く彼を支える四聖。そして彼らは一斉に消えた。
滾々と湧き出る泉。蛙の合奏。鈴虫の合唱。柔らかな苔が大地を多い、杉やヒノキの木立が、緑の闇を醸し出す。蔦と苔に覆われた切り株に腰をおろす花香。火焔の頭を膝にのせ、自らの額を彼の額に押し当てている。花香の額からは、薄紫色の光がじんわりと輝く。火焔に「木」の力を与えているのだ。
上半身が露わになっている火焔。彼の左側に水鏡。火焔の左胸に、吸い取るようにして唇を押し当ている。過剰になっている「火」の力を、「水」の力で吸い取とり、中和させているのだ。
火焔の右胸には産土が、吸いつくようにして唇を押し当てている。彼もまた、過剰になった「火」の力を「土」の力で調和させていた。
瑞玉は少し離れて火焔の足元付近に立ち、右手の平を軽く火焔に翳していた。その手の平からは淡い金色の光が溢れ、花香、水鏡、産土ごと火焔を包み込んでいる。彼は宇宙の均衡と、自らを含めた五聖の均衡の調整しながら、彼らにエネルギーを与えていた。
陽は傾き、茜と朱に染まった空は影を潜める。暮れなずむ秘境の森。五聖達の輪郭もぼんやりとしていく。四聖の放つ光の色が薄明かりとなり、火焔を照らす。
暮色蒼然とは、夕暮れ時の薄暗い様を示す。神々はそう名付けた。
「……好きに犯て…。と言ってるようなものですね」
涼し気な顔で、水鏡は言ってのける。
『……ていうか、それお前が言うと本気でシャレにならないって!』
心を読まれぬように防御しつつ、瑞玉は内心で突っ込みを入れた。
「しかし、妙に色気がありますな」
と産土は同調する。そんな二聖の会話を、不安気に見つめる花香。
『あーあ。完全にあいつら、花香を揶揄ってるよ。日頃の鬱憤晴らしか? 水鏡は花香・火焔への、産土は水鏡への複雑な想いの。ていうか花香も、揶揄われているのに早く気づけよ』
瑞玉は心の中で叫んだ。彼らは今、天界に戻ってきている。そして向日葵と水連で作成された花のベッドで昏々と眠り続けている火焔を見守っていた。ベッドは花香が精霊に頼んで作らせたものだ。
たった今産土が彼を運び、寝かせたばかりだ。その為火焔が纏う朱の衣がはだけ、胸と、太ももから足が剥き出しになっている。
天界の夜。花の精霊達が自らの花に明かりを灯す。花明りに照らされた火焔の小麦色の肌が、ほの暗い薄紫色のベールに包まれたようにそこはかとなく色香が漂う。
「そうだなー。大体さー、普段屈強な男がさぁ。衰弱していて意識が無いっていうのが、なーんか妙にそそられる感じはするかもなー」
オロオロしている花香が面白くて、結局瑞玉も揶揄う事にしたらしい。
「そ、そんな! 瑞玉まで……」
花香は悲鳴に近い声を上げると、慌てて火焔に駆け寄り、彼のはだけた衣をしっかりと整えた。そして彼を守るようにして両手を横に広げて立った。青紫色の瞳が、不安げに揺れる。大好きな人を盗られないよう、精一杯背伸びをして守ろうとす幼き子供のようだ。
「ププ、プププッハハハハハッ……あーダメだ、耐えられん」
耐え切れずに、笑いを漏らす瑞玉。キョトンとて彼を見つめる花香。
「フフフ……全く、揶揄い甲斐がありますねぇ」
と仄かな笑みを浮かべ、花香を見つめる産土。首を傾げて、見つめ返す花香。
「クックック。そんなあなたも、可愛らしいですよ」
忍び笑いをしつつ、冗談めかして話す水鏡。心なしか、その天色の瞳が、濡れたように潤む。彼の言葉に、漸く自分が揶揄われていたのだと悟る花香。頬にサッと紅が差す。
「もうー! 皆して面白がって!」
花香は頬を膨らませ、プイっと横を向いて拗ねてみせる。
「プププ、フフフ……」
そしてすぐに両手で口を押えて笑い声を漏らした。いつもの花の笑みだ。天界に、四聖の楽しそうな笑い声が響く。精霊たちや動物達も、彼らにつられて笑みを浮かべた。
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