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第二十一話
恵茉、占い師デビュー?!・その一
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「あのー、私ぃ、A君とB君とC君、誰と付き合ったら幸せになれますかぁ?なんだか随分とお若い占い師さんですけどぉ?」
戸部直子、23歳。社会人1年め。アミーを背後に控え、恵茉が占っているのである。勿論、アミーの存在は依頼人には視えないし聞こえない。あからさまに小馬鹿にしたように恵茉を見る依頼人。
(ていうか、幸せの定義は人それぞれだし。人に決めて貰う事じゃないでしょ、何だコイツ。私より幼稚な癖に!)
『コラコラ、一々反応するな! これは仕事なんだ、相手は金を払ってくれてるんだから。笑顔でマルセイユ版大アルカナ22枚をシャッフル。BCを1枚引きで見ろ。A7枚目B8枚目C9枚目だ』
恵茉は内心、戸部直子にムッとしたのと同時に呆れつつ、アミーに言われた通りにタロットをシャッフルし始める。出た結果は……
A『死神』B『吊された男』C『悪魔』だった。
(なんだこりゃ? Aは付き合うも何も終わるし。Bは身動き取れず辛い状態。Cは…背徳。妻子ある人じゃん)
恵茉はタロットを見るなり瞬間的に感じた。戸部直子は今日ラストの客だ。実践練習の為、アミーが背後についてテレパシーで逐一指示を出している。アミーは(しっかり読めてるじゃないか)と思いつつ
『俺が言うままに伝えろ』
と指示する。
『Aさんは、付き合う前に、或いは付き合ったにしても強制的に終わりになりそうですね』
「……Aさんは、付き合う前に、或いは付き合ったにしても強制的に終わりになりそうですね」
『Bさんは、付き合うと束縛されたり、或いは仕事などで身動き取れない状態でしんどくなりそう』
「……Bさんは、付き合うと束縛されたり、或いは仕事などで身動き取れない状態でしんどくなりそう」
『Cさんはもしかしたら、ご結婚されてる方かもしれませんね。或いは、ギャンブラーか、暴力的だったり、何かに強く依存されてたり』
「…Cさんはもしかしたら、ご結婚されてる方かもしれませんね。或いは、ギャンブラーか、暴力的だったり、何かに強く依存されてたり」
戸部直子は、唖然とした顔で結果に聞き入っている。
「……スゴイ!そのまんまです。A君は最近彼女出来たみたいだから、断られそうだし。B君は仕事がとにかく忙しくて過労死するかも、て話でした。C君は、既婚者です。……じゃあ、D君はどうですか?」
ケロリと質問してくる直子に
(はぁ? 好きでもなければ付き合っても無い相手の事聞いてどうするんだよ?)
恵茉はイラッときた。
『コラ! だから一々感情に振り回されるな!客の要望通り、さっきと同じマルセイユ版タロット大アルカナをシャッフルして1枚引け』
アミーの指示に従い、笑顔でタロットをシャッフル。7枚目を引く。結果は「隠者」
(考え込んじゃう仲? 恋愛に発展しそうに無いわね)
と恵茉は感じた。
『よし、俺の言う通りにそのまま伝ろ。Dさんとはお付き合いしたとしても、考え込んでしまったりして恋愛に発展は厳しいかもしれませんね』
「……Dさんとはお付き合いしたとしても、考え込んでしまったりして恋愛に発展は厳しいかもしれませんね」
アミーの指示通りに鑑定結果を伝える。すると直子は途端に不機嫌になり、
「え~、D君も駄目なんですかぁ? じゃあ誰と付き合ったら幸せになれるんですか?」
と怒り気味だ。
(はぁ~? 何逆切れしてんだよ?そんな性格だから、誰の事も好きになれないし誰からも意識して貰え無いんじゃん!)
恵茉は怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
『コラ!! 落ちつけ! 客相手だぞ! 一々感情に振り回されるな、と言ったろ!』
アミーは一喝する。
(だって)
と尚も食い下がる恵茉を遮り
『なるほど。では、これより先は開運アドバイザーに代わりますね、と伝えろ。代わる!』
アミーは指示した。恵茉は何とか怒りを抑え
「なるほど。では、これより先は開運アドバイザーに代わりますね」
と笑顔で丁寧に伝えた。
(私って演技上手いかも? 女優向きかしら? ……感情が読めない両親の元に生まれたら、多かれ少なかれ誰でも本心を隠していつ悪の、誰にでもあるよね……)
…コンコン…
ドアをノックする音。恵茉は立ち上がり、ドアを開けに行く。
「失礼致します。開運アドバイザーです」
と言って直子に頭を下げ、極上の笑みを浮かべたアミーが入ってきた。頬を染めて、うっとりと彼を見つめる直子。
(コイツ、男の前と女の前で態度変える奴だな。更には、イケメンとブサメンで態度変える奴だ。自分を相当の美人だ、と思い込んでいる根拠無き自信の持ち主と見た)
と恵茉は分析すると、直子に頭を下げ、部屋から出ていった。そしてフードをかぶり、左手のブレスレットに右手で触れつつ目を閉じ、アミーの背後に瞬間移動出来たイメージをする。
(やった! 出来た! 瞬間移動と壁抜け成功!)
恵茉はアミーの背後で、ガッツポーズをした。
戸部直子、23歳。社会人1年め。アミーを背後に控え、恵茉が占っているのである。勿論、アミーの存在は依頼人には視えないし聞こえない。あからさまに小馬鹿にしたように恵茉を見る依頼人。
(ていうか、幸せの定義は人それぞれだし。人に決めて貰う事じゃないでしょ、何だコイツ。私より幼稚な癖に!)
『コラコラ、一々反応するな! これは仕事なんだ、相手は金を払ってくれてるんだから。笑顔でマルセイユ版大アルカナ22枚をシャッフル。BCを1枚引きで見ろ。A7枚目B8枚目C9枚目だ』
恵茉は内心、戸部直子にムッとしたのと同時に呆れつつ、アミーに言われた通りにタロットをシャッフルし始める。出た結果は……
A『死神』B『吊された男』C『悪魔』だった。
(なんだこりゃ? Aは付き合うも何も終わるし。Bは身動き取れず辛い状態。Cは…背徳。妻子ある人じゃん)
恵茉はタロットを見るなり瞬間的に感じた。戸部直子は今日ラストの客だ。実践練習の為、アミーが背後についてテレパシーで逐一指示を出している。アミーは(しっかり読めてるじゃないか)と思いつつ
『俺が言うままに伝えろ』
と指示する。
『Aさんは、付き合う前に、或いは付き合ったにしても強制的に終わりになりそうですね』
「……Aさんは、付き合う前に、或いは付き合ったにしても強制的に終わりになりそうですね」
『Bさんは、付き合うと束縛されたり、或いは仕事などで身動き取れない状態でしんどくなりそう』
「……Bさんは、付き合うと束縛されたり、或いは仕事などで身動き取れない状態でしんどくなりそう」
『Cさんはもしかしたら、ご結婚されてる方かもしれませんね。或いは、ギャンブラーか、暴力的だったり、何かに強く依存されてたり』
「…Cさんはもしかしたら、ご結婚されてる方かもしれませんね。或いは、ギャンブラーか、暴力的だったり、何かに強く依存されてたり」
戸部直子は、唖然とした顔で結果に聞き入っている。
「……スゴイ!そのまんまです。A君は最近彼女出来たみたいだから、断られそうだし。B君は仕事がとにかく忙しくて過労死するかも、て話でした。C君は、既婚者です。……じゃあ、D君はどうですか?」
ケロリと質問してくる直子に
(はぁ? 好きでもなければ付き合っても無い相手の事聞いてどうするんだよ?)
恵茉はイラッときた。
『コラ! だから一々感情に振り回されるな!客の要望通り、さっきと同じマルセイユ版タロット大アルカナをシャッフルして1枚引け』
アミーの指示に従い、笑顔でタロットをシャッフル。7枚目を引く。結果は「隠者」
(考え込んじゃう仲? 恋愛に発展しそうに無いわね)
と恵茉は感じた。
『よし、俺の言う通りにそのまま伝ろ。Dさんとはお付き合いしたとしても、考え込んでしまったりして恋愛に発展は厳しいかもしれませんね』
「……Dさんとはお付き合いしたとしても、考え込んでしまったりして恋愛に発展は厳しいかもしれませんね」
アミーの指示通りに鑑定結果を伝える。すると直子は途端に不機嫌になり、
「え~、D君も駄目なんですかぁ? じゃあ誰と付き合ったら幸せになれるんですか?」
と怒り気味だ。
(はぁ~? 何逆切れしてんだよ?そんな性格だから、誰の事も好きになれないし誰からも意識して貰え無いんじゃん!)
恵茉は怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
『コラ!! 落ちつけ! 客相手だぞ! 一々感情に振り回されるな、と言ったろ!』
アミーは一喝する。
(だって)
と尚も食い下がる恵茉を遮り
『なるほど。では、これより先は開運アドバイザーに代わりますね、と伝えろ。代わる!』
アミーは指示した。恵茉は何とか怒りを抑え
「なるほど。では、これより先は開運アドバイザーに代わりますね」
と笑顔で丁寧に伝えた。
(私って演技上手いかも? 女優向きかしら? ……感情が読めない両親の元に生まれたら、多かれ少なかれ誰でも本心を隠していつ悪の、誰にでもあるよね……)
…コンコン…
ドアをノックする音。恵茉は立ち上がり、ドアを開けに行く。
「失礼致します。開運アドバイザーです」
と言って直子に頭を下げ、極上の笑みを浮かべたアミーが入ってきた。頬を染めて、うっとりと彼を見つめる直子。
(コイツ、男の前と女の前で態度変える奴だな。更には、イケメンとブサメンで態度変える奴だ。自分を相当の美人だ、と思い込んでいる根拠無き自信の持ち主と見た)
と恵茉は分析すると、直子に頭を下げ、部屋から出ていった。そしてフードをかぶり、左手のブレスレットに右手で触れつつ目を閉じ、アミーの背後に瞬間移動出来たイメージをする。
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恵茉はアミーの背後で、ガッツポーズをした。
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