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第四十二話
恵茉、ベリアルと魔界でデート?! その五
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「結構並んでるのね」
恵茉は列の前後を見渡す。
「まぁ、人間でいうところのお化け屋敷、てやつだからな」
ベリアルは苦笑を浮かべる。
「そうなんだ。『天使ランド』なんて書いてあるから、魔界に天使ランド? て思ってさ。だから、ベリアルは乗り気じゃなかったのね」
「そりゃそうさ。悪魔としちゃ、その対極にある天使がウヨウヨいる館なんて御免さ。しかも作り物で殊更誇張してあるらしいからな」
「あら、もしかしてベリアルも初めて入るの?」
「まぁな」
「ふふふ、楽しみ」
「まぁ、お前が楽しめれば良いさ。今日はお祝いだからな」
「ありがと」
そして恵茉は思いついたようにベリアルを見つめる。
「じゃぁ、天界にも遊園地がある、て聞いたけど。お化け屋敷的館はもしかして『悪魔の館』みたいな感じなのかしら?」
「あぁ、そんな話を聞いた事があるぞ」
「あらぁ、なんだか面白いわね」
「そうか? ま、作り物のオンパレードだけどな」
「だから良いんじゃない。本物だったら困るでしょ?」
「そりゃそうだ」
二人は微笑みあった。二人乗りのゴンドラのようなものに乗って館内を回るようにななっているようで、結構客の回転率が速い。ほどなくして順番が回ってきた。スタッフの指示に従って乗りこむ。ベリアルが先に乗り込み、彼の手を借りて座った。中は明るく、パイプオルガンで宗教的な音楽が流れている。
「なんだかおかしな感じ。おどろおどろしい音楽と暗闇の中に突入、ていうのが『お化け屋敷』の定番だけど、ここは神聖な場所から始まるのね」
「あぁ、教会から始まるらしい。それもカトリック系のな」
ヒェー、キンモー……勘弁シテくクレ……
既に周りからは辟易したような声と溜息が出始めている。教会の中では信者たちが神父の説教を神妙な顔つきで聞いている。勿論マネキンであるが、良く出来いる。
「これって、もしかして思い切り風刺なんでは……」
恵茉は小声で呟いた。
「まぁな」
ベリアルはずっと苦笑いを浮かべている。ゴンドラは今度は蒼天の下、雲の上を動いていく。そして虹のトンネルを潜っていく。相変わらずパイプオルガンで壮言な曲が流れている。ミサ曲のようだ。すると、
「うっ、ふふ……」
「アッハッハ」
と子供の笑い声が響き、周りを縦横無尽に飛び回る無数の天使が飛び交い始めた。ワンピースのような真っ白い服、純白の翼が映え、金髪碧眼の子供の天使たちだ。
「うわっ、これは勘弁してくれー!」
ベリアルはそう言って頭を抱えた。
これはヤバい……気持ち悪い、等と前後から声が漏れる。
(これはさすがにちょっとわざとらしいかな……)
恵茉はそう感じながらも、ベリアルの怯える姿を初めて見てとても新鮮で微笑ましく感じた。
恵茉は列の前後を見渡す。
「まぁ、人間でいうところのお化け屋敷、てやつだからな」
ベリアルは苦笑を浮かべる。
「そうなんだ。『天使ランド』なんて書いてあるから、魔界に天使ランド? て思ってさ。だから、ベリアルは乗り気じゃなかったのね」
「そりゃそうさ。悪魔としちゃ、その対極にある天使がウヨウヨいる館なんて御免さ。しかも作り物で殊更誇張してあるらしいからな」
「あら、もしかしてベリアルも初めて入るの?」
「まぁな」
「ふふふ、楽しみ」
「まぁ、お前が楽しめれば良いさ。今日はお祝いだからな」
「ありがと」
そして恵茉は思いついたようにベリアルを見つめる。
「じゃぁ、天界にも遊園地がある、て聞いたけど。お化け屋敷的館はもしかして『悪魔の館』みたいな感じなのかしら?」
「あぁ、そんな話を聞いた事があるぞ」
「あらぁ、なんだか面白いわね」
「そうか? ま、作り物のオンパレードだけどな」
「だから良いんじゃない。本物だったら困るでしょ?」
「そりゃそうだ」
二人は微笑みあった。二人乗りのゴンドラのようなものに乗って館内を回るようにななっているようで、結構客の回転率が速い。ほどなくして順番が回ってきた。スタッフの指示に従って乗りこむ。ベリアルが先に乗り込み、彼の手を借りて座った。中は明るく、パイプオルガンで宗教的な音楽が流れている。
「なんだかおかしな感じ。おどろおどろしい音楽と暗闇の中に突入、ていうのが『お化け屋敷』の定番だけど、ここは神聖な場所から始まるのね」
「あぁ、教会から始まるらしい。それもカトリック系のな」
ヒェー、キンモー……勘弁シテくクレ……
既に周りからは辟易したような声と溜息が出始めている。教会の中では信者たちが神父の説教を神妙な顔つきで聞いている。勿論マネキンであるが、良く出来いる。
「これって、もしかして思い切り風刺なんでは……」
恵茉は小声で呟いた。
「まぁな」
ベリアルはずっと苦笑いを浮かべている。ゴンドラは今度は蒼天の下、雲の上を動いていく。そして虹のトンネルを潜っていく。相変わらずパイプオルガンで壮言な曲が流れている。ミサ曲のようだ。すると、
「うっ、ふふ……」
「アッハッハ」
と子供の笑い声が響き、周りを縦横無尽に飛び回る無数の天使が飛び交い始めた。ワンピースのような真っ白い服、純白の翼が映え、金髪碧眼の子供の天使たちだ。
「うわっ、これは勘弁してくれー!」
ベリアルはそう言って頭を抱えた。
これはヤバい……気持ち悪い、等と前後から声が漏れる。
(これはさすがにちょっとわざとらしいかな……)
恵茉はそう感じながらも、ベリアルの怯える姿を初めて見てとても新鮮で微笑ましく感じた。
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