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第四十四話
恵茉は現実を生きる事にした!
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気付いたら、恵茉はマンションの13階にいた。
「さ、ここから君は、やり直すんだよ」
とアステマは言う。
「三種の魔道具、記念においてくね。使っても、ここでは何の効力もないから。君が学んだ大切な事、ここに詰まっているからね」
そう言ったアステマは、何故か湿った声だった。緑の目が、今にも泣きそうに潤んでいる。
「じゃ、元気でね! せっかくやり直せるんだ。辛い事があっても、楽しい事見つけて楽しんじゃえ!楽しんだもん勝ちだよ!」
と言ってアステマは続けた。
「有難う!」
徐々に消えて行くアステマに、笑顔で見送る恵茉。恵茉は柵につかまり、13階から下を除く。もう、死ぬ気はない。最後まで人生を全うしてやる! そう決意していた。
「退屈な人生なら、平和って事じゃない。それが気に食わないなら、面白く自分で工夫すれば良いんだわ!」
と恵茉は呟くと、道具を持って自室へ向かった。
けれども何か、大切なモノを思い出せないような、そんなもどかしい思いが心のどこかで燻っていた。
それから三カ月ほど経った。両親は相変わらず会話が少なかったが、兄の死が天命だったと知って、恵茉自身に変な罪悪感が無くなった。そのせいか、両親に対する捉え方が変わってきた。
「べたべたしない、大人な関係の家族。一人の人間として独立し合っている」
と。だから困って居る事、迷っている事は積極的に相談してみた。冷静で大人な意見をくれる。そんな家族関係を、結構気に入ってきていた。相談してみる切っ掛けは、美術部に真面目に参加するようになった事だ。やっていくと、本格的にイラストを勉強したい。それだけで食べていく事は難しいけれど、本職は他に持ちながら、何か出来たら良いな、と。それで、高校卒業後、美術大学に進学すべきか? 就職率の良い専門学校にすべきか迷ったのだ。どの道、かなりのお金がかかる。今の内にアルバイトをしてお金を貯めたい。その事を相談してみたのだ。
両親の答えは意外なものだった。
「お金の事は、お前が心配する事ではない。どちらに行くにしても、卒業して就職するまではお金の心配はしなくて良い」
と父親。
「やだ、この子ったら、何遠慮してるのよ。親子なんだから。その為に私も、働いているのよ」
と母親。見習い悪魔を経験する前の恵茉なら、
「世間体気にしやがって! 本心じゃないくせに!」
とひねくれた見方をしていただろう。つまり、自分から人生に楽しみを見出せない考え方をしてきたのだ。恵茉は思う。仮に、それがひねくれた見方では無く真意だったにしても、好意としてありがたく享受したら良いのだ、と。何も自分からわざわざ不愉快になる考え方をしなくても良い。お目出度い捉え方で結構じゃないか、と。
その辺りは、太平の生き方が大いに参考になった。
スモールリリスも健在だ。ファンタジー小説として楽しんで書いている。太平の小説も、読み続け、時々感想を言い合ったりして交流は続いている。美術部のパクリイラストレーターも、相変わらず元気に強かに生きている。もう、彼女の事は気にならない。恣意的な他人の目を気にして、称賛や人気だけを重視する。しっかりしているようでいて、実は自分と言うものが無い。そう思えて気の毒に感じた。されど、それは彼女が選択した人生。自分に批判する資格はない。よって、気にならない。それだけだった。そして恵茉は、食物に対して気を付けるようになっていた。見習い悪魔の時の仕事、レトルト食品の経験からだ。オフの日は、家族の分の夕食を作ったりするようになった。母親も父親も大喜びだ。恵茉はそこで初めて、両親は表情豊かだったんだ!と気づいた。
食事をする度、排泄欲求を感じる度、
「生きている!」
と実感した。学校の友達とは、無理に合わせる事は辞めた。そしたら孤独になった。別に苦にならなかった。昼休み、図書室で本を読んだりして好きに過ごせた。やがて、同じような友達が数人出来た。気を遣わない楽な間柄だ。時に学校のテストや、絵画やイラストのコンテスト等で、思い通りにいかずに自己嫌悪に陥ったり、イラつく事もある。けれども決して投げ出さず、じっと耐えた。そうする事が、今は分からないだけで、いつか必ず何らかの形で役に立つ。生きていれば、色々あって当たり前なのだ。
その傍ら、秘かに占いも勉強していた。眠る前の僅かな時間を利用して。結構、占いが好きだった事に気付いた。見習い悪魔の時に使用していた質問ノートが、非常に役に立った。
だけど、どこかあった筈のページが綺麗に消えている? そんな気がした。スーパーでレトルト食品を見る度に、何故か胸が詰まるような、悲しい気持ちになる。一緒に仕事をしていたのは、アステマとかアミ―の筈なのに。何故か作られた記憶? のように感じるのだ。
その想いは、日ごとに大きくなっていった。その度に、ぼんやりと浮かぶ悪魔のイメージ。最初は霞がかかったかのようにぼんやりとしていたが、日を追うごとにそれはハッキリとしていった。懐かしいような、切ないような、そんな想い。
それを、イラストに書いてみよう! あるオフの日の昼下がり、そう思い立った。画用紙とB5の鉛筆で、いきなりラフ画を描いて行く。イメージが浮かぶままに。
「黒髪短髪、シャギー。カッコよく毛先が跳ねていて。蝋燭みたいな綺麗な肌。耳は尖っていて。長身細身の筋肉質。背中には大きな蝙蝠みたいな黒い羽。銀色のローブでしょ。顔は面長で、眉もカッコ良く整っていて。引き締まった唇がまた男らしいんだ! 悔しいくらい、整った顔立ちで、大きめの切れ長の瞳は、……瞳は……神秘的な、ローズレッド……」
声に出して描いていく内に、胸がツーンと痛くなって。その痛みが喉に。そして涙が溢れ出て来た。
「さ、ここから君は、やり直すんだよ」
とアステマは言う。
「三種の魔道具、記念においてくね。使っても、ここでは何の効力もないから。君が学んだ大切な事、ここに詰まっているからね」
そう言ったアステマは、何故か湿った声だった。緑の目が、今にも泣きそうに潤んでいる。
「じゃ、元気でね! せっかくやり直せるんだ。辛い事があっても、楽しい事見つけて楽しんじゃえ!楽しんだもん勝ちだよ!」
と言ってアステマは続けた。
「有難う!」
徐々に消えて行くアステマに、笑顔で見送る恵茉。恵茉は柵につかまり、13階から下を除く。もう、死ぬ気はない。最後まで人生を全うしてやる! そう決意していた。
「退屈な人生なら、平和って事じゃない。それが気に食わないなら、面白く自分で工夫すれば良いんだわ!」
と恵茉は呟くと、道具を持って自室へ向かった。
けれども何か、大切なモノを思い出せないような、そんなもどかしい思いが心のどこかで燻っていた。
それから三カ月ほど経った。両親は相変わらず会話が少なかったが、兄の死が天命だったと知って、恵茉自身に変な罪悪感が無くなった。そのせいか、両親に対する捉え方が変わってきた。
「べたべたしない、大人な関係の家族。一人の人間として独立し合っている」
と。だから困って居る事、迷っている事は積極的に相談してみた。冷静で大人な意見をくれる。そんな家族関係を、結構気に入ってきていた。相談してみる切っ掛けは、美術部に真面目に参加するようになった事だ。やっていくと、本格的にイラストを勉強したい。それだけで食べていく事は難しいけれど、本職は他に持ちながら、何か出来たら良いな、と。それで、高校卒業後、美術大学に進学すべきか? 就職率の良い専門学校にすべきか迷ったのだ。どの道、かなりのお金がかかる。今の内にアルバイトをしてお金を貯めたい。その事を相談してみたのだ。
両親の答えは意外なものだった。
「お金の事は、お前が心配する事ではない。どちらに行くにしても、卒業して就職するまではお金の心配はしなくて良い」
と父親。
「やだ、この子ったら、何遠慮してるのよ。親子なんだから。その為に私も、働いているのよ」
と母親。見習い悪魔を経験する前の恵茉なら、
「世間体気にしやがって! 本心じゃないくせに!」
とひねくれた見方をしていただろう。つまり、自分から人生に楽しみを見出せない考え方をしてきたのだ。恵茉は思う。仮に、それがひねくれた見方では無く真意だったにしても、好意としてありがたく享受したら良いのだ、と。何も自分からわざわざ不愉快になる考え方をしなくても良い。お目出度い捉え方で結構じゃないか、と。
その辺りは、太平の生き方が大いに参考になった。
スモールリリスも健在だ。ファンタジー小説として楽しんで書いている。太平の小説も、読み続け、時々感想を言い合ったりして交流は続いている。美術部のパクリイラストレーターも、相変わらず元気に強かに生きている。もう、彼女の事は気にならない。恣意的な他人の目を気にして、称賛や人気だけを重視する。しっかりしているようでいて、実は自分と言うものが無い。そう思えて気の毒に感じた。されど、それは彼女が選択した人生。自分に批判する資格はない。よって、気にならない。それだけだった。そして恵茉は、食物に対して気を付けるようになっていた。見習い悪魔の時の仕事、レトルト食品の経験からだ。オフの日は、家族の分の夕食を作ったりするようになった。母親も父親も大喜びだ。恵茉はそこで初めて、両親は表情豊かだったんだ!と気づいた。
食事をする度、排泄欲求を感じる度、
「生きている!」
と実感した。学校の友達とは、無理に合わせる事は辞めた。そしたら孤独になった。別に苦にならなかった。昼休み、図書室で本を読んだりして好きに過ごせた。やがて、同じような友達が数人出来た。気を遣わない楽な間柄だ。時に学校のテストや、絵画やイラストのコンテスト等で、思い通りにいかずに自己嫌悪に陥ったり、イラつく事もある。けれども決して投げ出さず、じっと耐えた。そうする事が、今は分からないだけで、いつか必ず何らかの形で役に立つ。生きていれば、色々あって当たり前なのだ。
その傍ら、秘かに占いも勉強していた。眠る前の僅かな時間を利用して。結構、占いが好きだった事に気付いた。見習い悪魔の時に使用していた質問ノートが、非常に役に立った。
だけど、どこかあった筈のページが綺麗に消えている? そんな気がした。スーパーでレトルト食品を見る度に、何故か胸が詰まるような、悲しい気持ちになる。一緒に仕事をしていたのは、アステマとかアミ―の筈なのに。何故か作られた記憶? のように感じるのだ。
その想いは、日ごとに大きくなっていった。その度に、ぼんやりと浮かぶ悪魔のイメージ。最初は霞がかかったかのようにぼんやりとしていたが、日を追うごとにそれはハッキリとしていった。懐かしいような、切ないような、そんな想い。
それを、イラストに書いてみよう! あるオフの日の昼下がり、そう思い立った。画用紙とB5の鉛筆で、いきなりラフ画を描いて行く。イメージが浮かぶままに。
「黒髪短髪、シャギー。カッコよく毛先が跳ねていて。蝋燭みたいな綺麗な肌。耳は尖っていて。長身細身の筋肉質。背中には大きな蝙蝠みたいな黒い羽。銀色のローブでしょ。顔は面長で、眉もカッコ良く整っていて。引き締まった唇がまた男らしいんだ! 悔しいくらい、整った顔立ちで、大きめの切れ長の瞳は、……瞳は……神秘的な、ローズレッド……」
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