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第四十五話
恵茉、再び?! そして新たな日々が始まる!
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「……ベリ、アル、ベリアル……」
その名を呟き、泣きじゃくる恵茉。どうして記憶から抜けていたのか?考えてみれば、彼がどうなったか知らないままだった。
「……どうして……ベリアル……」
ただ悲しくて、もう一度彼に触れたくて。その声で名を呼んで欲しくて……。けれども、伸ばした手の先に、彼はいない……。
「相変わらず、泣き虫なんだな」
……ドキン……突然、背後から凛とした声が響いた。……この声は……。懐かしい、待ち望んだ声。おそるおそる振り返る。そこに居たのは……
「ベリ……アル!!!」
恵茉は両手で口元を覆い、壊れてしまいそうな程の、感情の激流に耐えた。涙が滝のように流れる。
「久しいな。恵茉」
と彼は笑った。そして両手を広げて、恵茉を迎える。
「ベリアル!」
と叫ぶと、恵茉は思い切り彼の胸に飛び込んだ。しっかりと受け止める彼。
「ベリアル……」
「あぁ」
「ベリアル」
「そうだよ」
「ベリアル!」
子供のように、声を上げて泣いた。ベリアルは右手で恵茉の頭をそっと撫で続ける。やがて少しづつ落ち着いて来た様子の恵茉。彼は腕を緩めた。そっとベリアルを見上げる恵茉。涙に濡れ、泣きはらして真っ赤になった目をしている。その時恵茉は漸く気付いた!
「ベリアル……目が、黒くなった? 耳も、尖ってなくて普通の……?」
と問いかける。ベリアルはニヤリと笑った。
………変わってない。自信満々の……
「そうなんだ。ついでに、爪も、背中も、ホラ!」
と恵茉を促す。そっと彼から離れると、彼の背中を見に少し移動した。
「あ! 羽が無い!! どうしちゃったの??」
恵茉は心配そうに声をかける。ベリアルは、心配するな! というように恵茉の肩を軽く叩くと、
「俺、人間になっちまったんだ!」
ハッハッハッと面白そうに笑った。
「ど、どうして……?」
分からない事だらけだ。
「まぁ、座ろうや。経緯を話そう」
とベリアルはベンチへと恵茉を促した。並んで腰をおろす二人。
「俺はあの時……。いいか、落ち着いて聞けよ。質問は、俺が話し終わってからだ」
とベリアルは前置きをした。
「うん! わかった!」
恵茉は大きく頷いた。
「……あの時お前を連れて行こうとした二足歩行の雄山羊、あれ、レオナール、てヤツなんだがな。アイツ以外にも、お前を狙ってるヤツは他にもいるらしくて。実はな、俺の失脚を狙う奴らが少なくないんだ。だからお前の事を、俺の弱点だと思って狙うヤツも出てくる事が予測された。つまり、俺と一緒にいる限り、危険は付きまとう訳だ。そんなのは最初から解っていたんだが、レオナールみたいに魔王に反旗を翻そうと企み、魔族以外のヤツと手を組んだり。そんな事をされるといずれ魔界だけに留まらず、人間界はおろか妖・幽界や天界まで巻き込みかねない。そうなると、日々争いが絶えなくなる。お前をそんなところにいさせる訳にはいかない。守り切るには、人間界に戻すのが一番良い。されど見習い悪魔契約をしてるから取り消せない。だから俺は、時の神クロノスと取引したんだ。時を遡ってお前を人間界に戻したい。罰は全て自分が引き受ける、と。俺の生命力は魔族の中でも並外れているから。塵になれば宇宙全体にパワーを与える事が出来る。それで、お前が魔界で学んだ事を生かす為に、お前の記憶から俺だけを消去して貰う事にしたんだ。てこずるかと思ったが、クロノスはアッサリ快諾。拍子抜けしたよ。で、クロノス自身の手か、大天使ミカエルか、魔王。その中の誰に塵にしてもらうか決めよ、と言われた。
迷わず魔王のところへ行ったんだ。
『覚悟は良いか?』
魔王は右手を俺の額に翳し、手の平からダークパープルの光が溢れ出した。
『あぁ、ひと思いにやってくれ。お前の手で逝けるなら本望だ』
と覚悟を決め、目を閉じた……。額が熱くなってきたから、そろそろ塵になるんだな、と感じた。
『さて、ベリアルよ。塵になるよりも面白い事を思い付いてな』
魔王がそう言い出すから目を開けたんだ。そしたら可笑しそうに偲び笑いをしている魔王がいた。何事かと思ったら、
『お前がただの人間になる、なんてどうだ?フフフフ、ハハハハーハッハッハ……』
驚いた事に、天界の時から常にポーカーフェイスだった奴が、腹を抱えて大笑いを始めたんだ。つまりな、何の力も持たない、普通の人間になって生き抜いて見せる事。これを罰にしてくれ、と。先回り魔王がクロノスに掛け合ったらしいんだ。つー事で、俺は人間になっちまった訳さ」
恵茉は大人しく聞いてはいたが、色々と突っ込みたくて仕方なかった。
「私に一言も相談なしで人間界に戻したり、ベリアルの記憶だけ消したり。文句言いたいけど、まぁ私の為、て気持ちも理解は出来るから、百歩譲るわよ。だけどハイハイ! 質問! じゃあどうしてすぐに来てくれなかったの?」
「それは、戸籍の手続きやら名前やら年齢やらありとあらゆることを計算してたからな。宇宙の均衡を崩す訳にいかないから。で、俺の名前は『寺脇 銀之丞(てらわきぎんのすけ)』18歳某理系大一年だ。普通の日本人の両親のとこにいる。一人息子の設定だ。お前の家から自転車で20分くらいのところに住んでるぜ。俺はこれから人生を全うして。その後魔族に再び転生しうるのか?それとも人間か妖怪か。それはわからん。俺の生き様による」
「天使に転生だったりして。銀之丞かぁ。思い切り和風でカッコイイじゃん」
「天使は嫌だな。聞こえはいいが、実際、天使は神のパシリだからなぁ。休み無しにこき使われるからな。な! 銀之丞、カッコイイだろ?」
ベリアルは得意気に笑うと、不意に真顔になる、
「俺と、ずっと一緒に居てくれるか?」
と切り出す。
…ドキ…恵茉は嬉しくて泣きそうになりつつも堪える。
「当たり前よ。言っておくけど、私結構独占欲強いわよ!」
と偉そうに腰を手に当てる。
「あぁ、知ってる」
「クーリングオフも、返品も、廃棄も不可よ」
「あぁ、肝に命じよう」
「ベリアル……契約を交わし……ましょう」
堪え切れ涙をこぼしながらベリアル、いや、銀之丞の胸に飛び込んだ。彼はしっかりと抱きしめると、
「そうだな。契約だな」
と答えた。しばらく抱き合ったままの二人。やがてベリアルの腕の中で、甘えるようにして見上げる恵茉。
「真面目に人間やってるベリアルって、なんか全然想像出来ない。大学生とかウケる。普通に銀のローブ着たままだし! もう何のパワーも無いでしょうに」
うふふっと恵茉は笑った。
「まぁ着やすくてつい、な。突っ込みどころ満載だろ?またブログで質問募ったりな。これから時間はたっぷりあるんだ。いっぱい突っ込んでくれよ」
「悪魔から人間になった銀です。悪魔について、何か質問ありますか? て感じ? ていうか、まずあなたの私服を買いに行きましょう!」
「同感だ!」
二人の楽しそうな笑い声が響いた。たまたま近くを歩いていた人達。二人の笑い声が響いてくると、自然に笑顔になった。
それから七日後の日曜日の午前中、スーパーのカレールウが立ち並ぶ売り場で、どのメーカーの物を買うか盛大に揉めた挙句、
「今、耳元で見習い悪魔が囁いてたりして!」
「うーん、有り得る!」
と大笑いしている二人が目撃されたとかしないとか。
【完】
その名を呟き、泣きじゃくる恵茉。どうして記憶から抜けていたのか?考えてみれば、彼がどうなったか知らないままだった。
「……どうして……ベリアル……」
ただ悲しくて、もう一度彼に触れたくて。その声で名を呼んで欲しくて……。けれども、伸ばした手の先に、彼はいない……。
「相変わらず、泣き虫なんだな」
……ドキン……突然、背後から凛とした声が響いた。……この声は……。懐かしい、待ち望んだ声。おそるおそる振り返る。そこに居たのは……
「ベリ……アル!!!」
恵茉は両手で口元を覆い、壊れてしまいそうな程の、感情の激流に耐えた。涙が滝のように流れる。
「久しいな。恵茉」
と彼は笑った。そして両手を広げて、恵茉を迎える。
「ベリアル!」
と叫ぶと、恵茉は思い切り彼の胸に飛び込んだ。しっかりと受け止める彼。
「ベリアル……」
「あぁ」
「ベリアル」
「そうだよ」
「ベリアル!」
子供のように、声を上げて泣いた。ベリアルは右手で恵茉の頭をそっと撫で続ける。やがて少しづつ落ち着いて来た様子の恵茉。彼は腕を緩めた。そっとベリアルを見上げる恵茉。涙に濡れ、泣きはらして真っ赤になった目をしている。その時恵茉は漸く気付いた!
「ベリアル……目が、黒くなった? 耳も、尖ってなくて普通の……?」
と問いかける。ベリアルはニヤリと笑った。
………変わってない。自信満々の……
「そうなんだ。ついでに、爪も、背中も、ホラ!」
と恵茉を促す。そっと彼から離れると、彼の背中を見に少し移動した。
「あ! 羽が無い!! どうしちゃったの??」
恵茉は心配そうに声をかける。ベリアルは、心配するな! というように恵茉の肩を軽く叩くと、
「俺、人間になっちまったんだ!」
ハッハッハッと面白そうに笑った。
「ど、どうして……?」
分からない事だらけだ。
「まぁ、座ろうや。経緯を話そう」
とベリアルはベンチへと恵茉を促した。並んで腰をおろす二人。
「俺はあの時……。いいか、落ち着いて聞けよ。質問は、俺が話し終わってからだ」
とベリアルは前置きをした。
「うん! わかった!」
恵茉は大きく頷いた。
「……あの時お前を連れて行こうとした二足歩行の雄山羊、あれ、レオナール、てヤツなんだがな。アイツ以外にも、お前を狙ってるヤツは他にもいるらしくて。実はな、俺の失脚を狙う奴らが少なくないんだ。だからお前の事を、俺の弱点だと思って狙うヤツも出てくる事が予測された。つまり、俺と一緒にいる限り、危険は付きまとう訳だ。そんなのは最初から解っていたんだが、レオナールみたいに魔王に反旗を翻そうと企み、魔族以外のヤツと手を組んだり。そんな事をされるといずれ魔界だけに留まらず、人間界はおろか妖・幽界や天界まで巻き込みかねない。そうなると、日々争いが絶えなくなる。お前をそんなところにいさせる訳にはいかない。守り切るには、人間界に戻すのが一番良い。されど見習い悪魔契約をしてるから取り消せない。だから俺は、時の神クロノスと取引したんだ。時を遡ってお前を人間界に戻したい。罰は全て自分が引き受ける、と。俺の生命力は魔族の中でも並外れているから。塵になれば宇宙全体にパワーを与える事が出来る。それで、お前が魔界で学んだ事を生かす為に、お前の記憶から俺だけを消去して貰う事にしたんだ。てこずるかと思ったが、クロノスはアッサリ快諾。拍子抜けしたよ。で、クロノス自身の手か、大天使ミカエルか、魔王。その中の誰に塵にしてもらうか決めよ、と言われた。
迷わず魔王のところへ行ったんだ。
『覚悟は良いか?』
魔王は右手を俺の額に翳し、手の平からダークパープルの光が溢れ出した。
『あぁ、ひと思いにやってくれ。お前の手で逝けるなら本望だ』
と覚悟を決め、目を閉じた……。額が熱くなってきたから、そろそろ塵になるんだな、と感じた。
『さて、ベリアルよ。塵になるよりも面白い事を思い付いてな』
魔王がそう言い出すから目を開けたんだ。そしたら可笑しそうに偲び笑いをしている魔王がいた。何事かと思ったら、
『お前がただの人間になる、なんてどうだ?フフフフ、ハハハハーハッハッハ……』
驚いた事に、天界の時から常にポーカーフェイスだった奴が、腹を抱えて大笑いを始めたんだ。つまりな、何の力も持たない、普通の人間になって生き抜いて見せる事。これを罰にしてくれ、と。先回り魔王がクロノスに掛け合ったらしいんだ。つー事で、俺は人間になっちまった訳さ」
恵茉は大人しく聞いてはいたが、色々と突っ込みたくて仕方なかった。
「私に一言も相談なしで人間界に戻したり、ベリアルの記憶だけ消したり。文句言いたいけど、まぁ私の為、て気持ちも理解は出来るから、百歩譲るわよ。だけどハイハイ! 質問! じゃあどうしてすぐに来てくれなかったの?」
「それは、戸籍の手続きやら名前やら年齢やらありとあらゆることを計算してたからな。宇宙の均衡を崩す訳にいかないから。で、俺の名前は『寺脇 銀之丞(てらわきぎんのすけ)』18歳某理系大一年だ。普通の日本人の両親のとこにいる。一人息子の設定だ。お前の家から自転車で20分くらいのところに住んでるぜ。俺はこれから人生を全うして。その後魔族に再び転生しうるのか?それとも人間か妖怪か。それはわからん。俺の生き様による」
「天使に転生だったりして。銀之丞かぁ。思い切り和風でカッコイイじゃん」
「天使は嫌だな。聞こえはいいが、実際、天使は神のパシリだからなぁ。休み無しにこき使われるからな。な! 銀之丞、カッコイイだろ?」
ベリアルは得意気に笑うと、不意に真顔になる、
「俺と、ずっと一緒に居てくれるか?」
と切り出す。
…ドキ…恵茉は嬉しくて泣きそうになりつつも堪える。
「当たり前よ。言っておくけど、私結構独占欲強いわよ!」
と偉そうに腰を手に当てる。
「あぁ、知ってる」
「クーリングオフも、返品も、廃棄も不可よ」
「あぁ、肝に命じよう」
「ベリアル……契約を交わし……ましょう」
堪え切れ涙をこぼしながらベリアル、いや、銀之丞の胸に飛び込んだ。彼はしっかりと抱きしめると、
「そうだな。契約だな」
と答えた。しばらく抱き合ったままの二人。やがてベリアルの腕の中で、甘えるようにして見上げる恵茉。
「真面目に人間やってるベリアルって、なんか全然想像出来ない。大学生とかウケる。普通に銀のローブ着たままだし! もう何のパワーも無いでしょうに」
うふふっと恵茉は笑った。
「まぁ着やすくてつい、な。突っ込みどころ満載だろ?またブログで質問募ったりな。これから時間はたっぷりあるんだ。いっぱい突っ込んでくれよ」
「悪魔から人間になった銀です。悪魔について、何か質問ありますか? て感じ? ていうか、まずあなたの私服を買いに行きましょう!」
「同感だ!」
二人の楽しそうな笑い声が響いた。たまたま近くを歩いていた人達。二人の笑い声が響いてくると、自然に笑顔になった。
それから七日後の日曜日の午前中、スーパーのカレールウが立ち並ぶ売り場で、どのメーカーの物を買うか盛大に揉めた挙句、
「今、耳元で見習い悪魔が囁いてたりして!」
「うーん、有り得る!」
と大笑いしている二人が目撃されたとかしないとか。
【完】
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