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第九話
恋乱舞・その四
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二階のレストランフロアは、中央に噴水が設けられており、その周りに三つほど白いベンチが置かれている。水音が心地よく耳に響く。
『さぁ、行ってみよう!』
太宰は蒼介の背中を軽く押した。少し前のめりになる。押された感覚は、生きている人と変わらないようだ。尤も、今の彼にはそれに気付く余裕はない。
「い、行って……て言われましても。やっぱり何だか不自然じゃないです? よく考えたらストーカーみたいで、何だか信用無くしそうでは……」
心の中で会話をする事も忘れるほど、半ばパニック状態になっている。
『正直に話せばいいじゃないか。お見合いするって聞いて不安になって。実は……みたいに。ちょうど母親もいるみたいだし』
「だから、余計慎重になった方が、ですね……」
二人のやりとりを苦笑しながら見守る芥川、そしてやきもきした様子で見ている安吾。みのりと母親は、じっくりとレストランのメニューを眺めている。各お店のガラスケースに飾られている食品サンプルを見ながら、二人で何か言い合っていた。距離にすると、十数mほど先であろうか。その時、みのりの視線がこちらに向きそうな気配を察知し、
「う、うわっ!」
と蒼介は小さく叫ぶと慌てて噴水の影に隠れた。
『全く、情けない』
太宰は溜息をついた。芥川はやれやれ、というように首を横に振る。
『だーーーもうっ!』
安吾は叫びながら頭を掻きむしると、
『いい加減、覚悟決めろって』
「え? え?」
何が何だか分からない様子の蒼介の背後に立ち、両手を彼の腰に回す。
「え? 安吾先生? え?」
立ったままの彼を、そのまま後ろから抱き上げる。蒼介の足裏が床から2.30cmほど空間が出来た。
『殻、破りたいんだろう? なら、今がチャンスだ!』
と言いながら安吾は走り始めた。
「え? え? ちょ、ちょっと!」
蒼介は周りから見たら手を腰に当てて空を浮いているように見えるだそう。だが、幸い誰も彼を見ていない。それを見て止めようとする芥川を、太宰が制した。蒼介の懇願も虚しく、どんどんみのりの傍に近づいていく。
『惚れた女の目を見て。誠実に己の気持ちを伝えて来い! 男を見せろよ!』
と言いながら彼をおろし、両手でポンと彼の背中を押した。つんのめってみのりの傍に近づく。
『あ、安吾先生!』
安吾が消えるのと、みのりが蒼介に気付くのが同時だった。
(……万事休す……)
蒼介は感じた。
「あら? 蒼介先輩?」
みのりは驚いた様子で声をかける。
「みのりちゃん……」
蒼介はその名を呼んだ。
『さぁ、行ってみよう!』
太宰は蒼介の背中を軽く押した。少し前のめりになる。押された感覚は、生きている人と変わらないようだ。尤も、今の彼にはそれに気付く余裕はない。
「い、行って……て言われましても。やっぱり何だか不自然じゃないです? よく考えたらストーカーみたいで、何だか信用無くしそうでは……」
心の中で会話をする事も忘れるほど、半ばパニック状態になっている。
『正直に話せばいいじゃないか。お見合いするって聞いて不安になって。実は……みたいに。ちょうど母親もいるみたいだし』
「だから、余計慎重になった方が、ですね……」
二人のやりとりを苦笑しながら見守る芥川、そしてやきもきした様子で見ている安吾。みのりと母親は、じっくりとレストランのメニューを眺めている。各お店のガラスケースに飾られている食品サンプルを見ながら、二人で何か言い合っていた。距離にすると、十数mほど先であろうか。その時、みのりの視線がこちらに向きそうな気配を察知し、
「う、うわっ!」
と蒼介は小さく叫ぶと慌てて噴水の影に隠れた。
『全く、情けない』
太宰は溜息をついた。芥川はやれやれ、というように首を横に振る。
『だーーーもうっ!』
安吾は叫びながら頭を掻きむしると、
『いい加減、覚悟決めろって』
「え? え?」
何が何だか分からない様子の蒼介の背後に立ち、両手を彼の腰に回す。
「え? 安吾先生? え?」
立ったままの彼を、そのまま後ろから抱き上げる。蒼介の足裏が床から2.30cmほど空間が出来た。
『殻、破りたいんだろう? なら、今がチャンスだ!』
と言いながら安吾は走り始めた。
「え? え? ちょ、ちょっと!」
蒼介は周りから見たら手を腰に当てて空を浮いているように見えるだそう。だが、幸い誰も彼を見ていない。それを見て止めようとする芥川を、太宰が制した。蒼介の懇願も虚しく、どんどんみのりの傍に近づいていく。
『惚れた女の目を見て。誠実に己の気持ちを伝えて来い! 男を見せろよ!』
と言いながら彼をおろし、両手でポンと彼の背中を押した。つんのめってみのりの傍に近づく。
『あ、安吾先生!』
安吾が消えるのと、みのりが蒼介に気付くのが同時だった。
(……万事休す……)
蒼介は感じた。
「あら? 蒼介先輩?」
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「みのりちゃん……」
蒼介はその名を呼んだ。
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