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第十五話

【第弐部 完】神と人と……

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 東の林の中、栃ノ木に寄りかかる氷輪。その向かい側に立つ琥珀。琥珀の被る網代笠の上に、チョコンとふわりが乗っている。

「……それぞれの話をまとめると、共通するのは七、八百年ほど前に御宝を巡って起きた戦い、それは僧侶が絡んでいて、それは物部氏と関わりがあったと推測される。が破戒僧と思われ一族から離反」

 と琥珀が考えながら話す。

「一族は三百年ほど前に神薙かんなぎと改めて大和の国に……」

 氷輪は気持ちが浮つかないよう己を律しながら話しを引き継いだ。ふわりはそんな氷輪を注意深く観察していた。

「で、あにさんの夢の事も含めてまとめると、や。今月中に大和の国へ行って神薙一族とやらに会う必要がある、て感じになるかのぅ。で、うたらその時に今までの疑問も解けるやろ、て感じか」


 と、ふわりはまとめた。氷輪はと琥珀は、同時に黙って頷く。

「……では、取りあえず伊勢の神宮に参拝と行こうか。昔は帝のゆかりしか参拝出来なかったという話だ」

 氷輪は気分を変えるように朗らかに言った。

「せやな。天照大神さんを祀ってるらしいから、何か御宝について助言や示唆が貰えるやもしれん」

 ふわりは答えた。

「じゃぁ、行きますか!」

 琥珀は己の迷いを振り払うようにして明るく言った。

 一同は伊勢の神宮に向かって歩き始めた。




「……なるほど。それなら色々な事に合点が行きますね」

 月黄泉命は感心したように眉を上げた。

「まぁ、推測に過ぎないけどね」

 天照大神は肩をすくめた。




 姿と気配を完全に消し去り、空気と同化して氷輪たちの様子を見ていた禍津日神は、

「ふふふふふ……やはりそう来ましたか。それではお望み通り、お二人を引き合わせてあげないと、ですねぇ。十種神宝と人柱の件を総括する神としては」

 とほくそ笑んだ。ニタリと笑った唇から、そして赤い双眸から血が流れ出ているように見える。そして完全二姿を消した。




【第弐部 完】
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