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◆第三章 人が生み出す怪異◆
第四話 祟り
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スミジ達を乗せ秋山が運転するミニバンは、法廷速度遵守で琵琶湖の畔を走る。
しかし、突然『自宅に向かえ』と言われた秋山は当然困惑。スミジはその理由を話し始めた。
「実は、秋山さんの身体に【あやかし】の気配が残っているんですよ」
「えっ……?」
「秋山さん自身ではないと思うんですが、肩の辺りにこう……」
「う、嘘っ!? 嫌ぁ~!!」
秋山は……錯乱した。
運転中にも拘わらず前方から目を離し、左右の肩から何かを払い落とそうと必死な秋山。操作を離れたハンドルはゆっくりと対向車線へと傾いた。
「あ、秋山さん! 前! 前みて!」
「キャアァァ~!」
「ちっ!」
あわや対向車と衝突か……となる前に助手席の伊庭が反応。幸い対向車はまだ距離があったので事なきを得たが、すれ違う際酷く怪訝な顔で睨まれてしまった……。
「フゥゥ~……。……おい! 運転中にハンドルから手を離すヤツがあるか!」
「で、でも~……」
「『でも~……』じゃない! 警察が事故ってどうすんだ!」
「ま、まぁまぁ。伊庭さん、ちょっと落ち着いて。……秋山さんは怖いのダメな人だったんですね?」
「はい……スミマセン」
路肩に車を停めた秋山は猛省し項垂れている。
「今のは俺も配慮が足りませんでした。せめて警察署で言うべきでしたね。でも、秋山さん……そんなに怖いのが苦手なのに何で担当を引き受けたんです?」
「それは……その……」
「さっき話した【あやかし】の気配というのは“残り香”みたいなものです。【あやかし】そのものじゃないから安心して下さい。しかし、秋山さんの家族に何かあるかと思ったんですが……担当になったのと関わりがあるんじゃないですか?」
「はい……。実は……」
幾分落ち着いた秋山は、車を発進させ自分が担当になった事情を語り始めた……。
今回、スミジへの依頼の原因になった怪異は殆どが交通事故に繋がっている。実は秋山の父親は最初の被害者になるという。
「私の父が仕事で遅くなったある日、運転している車の横を黒い靄のようなものが追い越して行ったらしいんですよ。その際、父はその……お化け見てしまったらしくて……」
秋山の父は靄の中に大きな顔が見えたという。その瞬間、右半身が動かなくなり車が暴走……冷静さを失わなかった秋山の父は左足でブレーキを踏みガードレールにぶつかる程度で済んだ。
だが……。
「それから父は右足が麻痺した状態になりました。お医者様は原因が分からないけど、そのうち治るのではと言われてますが……」
「お父さんが心配だったんですね……」
「はい。署長が『胡散臭いが、今度本庁から【祓い師】とやらが来るからお父さんを見て貰え』と私を担当にしてくれたんです……」
「胡散臭い……ハハ…ハ」
ヒクヒクと引き攣り笑いのスミジに対し伊庭は笑いを堪えている。が、秋山は余裕がないのか全然気付かない。
「……ま、まぁ、秋山さんが担当になったお陰で【あやかし】の痕跡が見つかった訳だから、結果としては良かったのかも……。取り敢えず日中の【あやかし】は力が下がるので怖がらなくても大丈夫です。このまま秋山さんのお父さんの所へ行きましょう。それと、平日ですが出来れば身内の方も全員集めて貰えるとありがたいんですが……」
「えっ……? もしかして、父以外の皆にも何かあるんですか?」
「いや、念の為ですよ。どうせなら全員祓った方が安心でしょ?」
「……。わ、わかりました。連絡してみます」
一度停車して家族と連絡を取り合った秋山は、また暫く車を走らせる。主要道路を逸れてやがて辿り着いたのは和風二階建ての住宅。敷地の入り口に突き立てられた丸太には『秋山』と書かれた表札が貼られていた。
しかし、突然『自宅に向かえ』と言われた秋山は当然困惑。スミジはその理由を話し始めた。
「実は、秋山さんの身体に【あやかし】の気配が残っているんですよ」
「えっ……?」
「秋山さん自身ではないと思うんですが、肩の辺りにこう……」
「う、嘘っ!? 嫌ぁ~!!」
秋山は……錯乱した。
運転中にも拘わらず前方から目を離し、左右の肩から何かを払い落とそうと必死な秋山。操作を離れたハンドルはゆっくりと対向車線へと傾いた。
「あ、秋山さん! 前! 前みて!」
「キャアァァ~!」
「ちっ!」
あわや対向車と衝突か……となる前に助手席の伊庭が反応。幸い対向車はまだ距離があったので事なきを得たが、すれ違う際酷く怪訝な顔で睨まれてしまった……。
「フゥゥ~……。……おい! 運転中にハンドルから手を離すヤツがあるか!」
「で、でも~……」
「『でも~……』じゃない! 警察が事故ってどうすんだ!」
「ま、まぁまぁ。伊庭さん、ちょっと落ち着いて。……秋山さんは怖いのダメな人だったんですね?」
「はい……スミマセン」
路肩に車を停めた秋山は猛省し項垂れている。
「今のは俺も配慮が足りませんでした。せめて警察署で言うべきでしたね。でも、秋山さん……そんなに怖いのが苦手なのに何で担当を引き受けたんです?」
「それは……その……」
「さっき話した【あやかし】の気配というのは“残り香”みたいなものです。【あやかし】そのものじゃないから安心して下さい。しかし、秋山さんの家族に何かあるかと思ったんですが……担当になったのと関わりがあるんじゃないですか?」
「はい……。実は……」
幾分落ち着いた秋山は、車を発進させ自分が担当になった事情を語り始めた……。
今回、スミジへの依頼の原因になった怪異は殆どが交通事故に繋がっている。実は秋山の父親は最初の被害者になるという。
「私の父が仕事で遅くなったある日、運転している車の横を黒い靄のようなものが追い越して行ったらしいんですよ。その際、父はその……お化け見てしまったらしくて……」
秋山の父は靄の中に大きな顔が見えたという。その瞬間、右半身が動かなくなり車が暴走……冷静さを失わなかった秋山の父は左足でブレーキを踏みガードレールにぶつかる程度で済んだ。
だが……。
「それから父は右足が麻痺した状態になりました。お医者様は原因が分からないけど、そのうち治るのではと言われてますが……」
「お父さんが心配だったんですね……」
「はい。署長が『胡散臭いが、今度本庁から【祓い師】とやらが来るからお父さんを見て貰え』と私を担当にしてくれたんです……」
「胡散臭い……ハハ…ハ」
ヒクヒクと引き攣り笑いのスミジに対し伊庭は笑いを堪えている。が、秋山は余裕がないのか全然気付かない。
「……ま、まぁ、秋山さんが担当になったお陰で【あやかし】の痕跡が見つかった訳だから、結果としては良かったのかも……。取り敢えず日中の【あやかし】は力が下がるので怖がらなくても大丈夫です。このまま秋山さんのお父さんの所へ行きましょう。それと、平日ですが出来れば身内の方も全員集めて貰えるとありがたいんですが……」
「えっ……? もしかして、父以外の皆にも何かあるんですか?」
「いや、念の為ですよ。どうせなら全員祓った方が安心でしょ?」
「……。わ、わかりました。連絡してみます」
一度停車して家族と連絡を取り合った秋山は、また暫く車を走らせる。主要道路を逸れてやがて辿り着いたのは和風二階建ての住宅。敷地の入り口に突き立てられた丸太には『秋山』と書かれた表札が貼られていた。
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