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◆第三章 人が生み出す怪異◆
第四話 祟り②
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少し間を置いてから来訪した為、秋山家には既に家族全員が集まっていた。
家族構成は、家主であり【あやかし】を目撃した秋山茂、妻の由美子、父方の祖父・敏男と祖母・恵子、スミジ達の案内担当になった婦警の由奈、早退してきた高校生の長男・諒──皆、作務衣姿のスミジを見る目が疑いの色を浮かべている。
スミジは如何ともしがたい感情を飲み込みつつ、注意深く全員を確認した。やがて小さく溜め息を吐くと筆を取り出した。
「取り敢えずお父さん以外は大丈夫ですね。でも一応浄化だけはしておきましょう。皆さん、庭にお願いします」
秋山家の面々は言われるがままに庭に出た。反抗されなかったことに少し安堵したスミジは早速細筆を取り出し宙空に縦長の【8】の字を描く。少しづつ位置をずらし描いたのは華の紋様。真っ赤に染まった花弁に、スミジは更に文字を書き足した。
霊気写法【弐式・霊印宿陽】
それはスミジの霊力を文字に宿し力を引き出す術──。描いた文字の意味合いで効果を変えるが、範囲が狭いことが難点である。が、今回は秋山の父を含めても六名程の清めなので問題はないだろう。
花に書かれたのは【清浄】の二文字。輝きを放った花は八枚の花弁となり秋山家全員に貼り付いた。
「その花びらは数日は消えません。代わりにその間は厄から守ってくれます。……でも、秋山さんのお父さんだけは……」
秋山茂の腕には多めに貼り付いた花弁だったが、瞬時に黒く変色し剥がれた。
茂は直接的に祟りを貰った人間の為、強い穢れを受けている様だ。
「う~ん……やっぱり簡易式じゃ駄目か」
ここでスミジは本格的な浄化に切り替えた。今度は札を五枚取り出しそれぞれに【陽中金烏之羽根】としたため茂を取り囲むよう円環状に配置。更に太筆で茂の周囲を札ごと円で囲むように印した。
『神鳥の羽根五枚を以て彼の者の身に根差す災禍を祓い賜え──陽火清浄』
途端に円で囲んだ内側に猛烈な火柱が噴き上がった。
秋山家、大パニック──。
バケツを取りに向かう長男、ただ呆然とする祖父母、妻は消防署と間違え時報に電話をかけて救助しろと捲し立て、婦警・秋山由奈はポカポカとスミジを殴った。
「お父さんが~! お父さんがぁ~!」
「痛い! ちょっ……大丈夫ですから落ち着いて!」
「お父さん、燃えちゃった~!」
「だから大丈夫で……ほら、もう消えましたから!」
炎は直ぐに消滅し円の中には焦げ跡一つない茂が呆然と座っている。秋山家の家族は全員正気に戻り茂の元に駆け寄った。
「お、お父さん、大丈夫?」
「ん? あ、ああ……」
娘に引き起こされた茂は、ふと驚きの表情を浮かべた。
「足が……足が動くぞ!」
今度は一転し秋山家大喜び。スミジは頭をポリポリと掻いて苦笑いだった。
「……今のもやっぱお前の説明が足りてねぇわな」
「え~……。それなら今回は伊庭さんが説明してくれたって良かったんだけど?」
「そんな暇作らず進めただろ、お前」
「いや、まぁ……確かにそうだけどさ……」
自分の当たり前が他者には常識の埒外……そこに気付かないスミジに伊庭は幾分呆れている。
だが、仕事は果たしたので伊庭は敢えて説教はしない。結果があれは多少の混乱などどうでも良いというのが正直な気持ちだった。
家族構成は、家主であり【あやかし】を目撃した秋山茂、妻の由美子、父方の祖父・敏男と祖母・恵子、スミジ達の案内担当になった婦警の由奈、早退してきた高校生の長男・諒──皆、作務衣姿のスミジを見る目が疑いの色を浮かべている。
スミジは如何ともしがたい感情を飲み込みつつ、注意深く全員を確認した。やがて小さく溜め息を吐くと筆を取り出した。
「取り敢えずお父さん以外は大丈夫ですね。でも一応浄化だけはしておきましょう。皆さん、庭にお願いします」
秋山家の面々は言われるがままに庭に出た。反抗されなかったことに少し安堵したスミジは早速細筆を取り出し宙空に縦長の【8】の字を描く。少しづつ位置をずらし描いたのは華の紋様。真っ赤に染まった花弁に、スミジは更に文字を書き足した。
霊気写法【弐式・霊印宿陽】
それはスミジの霊力を文字に宿し力を引き出す術──。描いた文字の意味合いで効果を変えるが、範囲が狭いことが難点である。が、今回は秋山の父を含めても六名程の清めなので問題はないだろう。
花に書かれたのは【清浄】の二文字。輝きを放った花は八枚の花弁となり秋山家全員に貼り付いた。
「その花びらは数日は消えません。代わりにその間は厄から守ってくれます。……でも、秋山さんのお父さんだけは……」
秋山茂の腕には多めに貼り付いた花弁だったが、瞬時に黒く変色し剥がれた。
茂は直接的に祟りを貰った人間の為、強い穢れを受けている様だ。
「う~ん……やっぱり簡易式じゃ駄目か」
ここでスミジは本格的な浄化に切り替えた。今度は札を五枚取り出しそれぞれに【陽中金烏之羽根】としたため茂を取り囲むよう円環状に配置。更に太筆で茂の周囲を札ごと円で囲むように印した。
『神鳥の羽根五枚を以て彼の者の身に根差す災禍を祓い賜え──陽火清浄』
途端に円で囲んだ内側に猛烈な火柱が噴き上がった。
秋山家、大パニック──。
バケツを取りに向かう長男、ただ呆然とする祖父母、妻は消防署と間違え時報に電話をかけて救助しろと捲し立て、婦警・秋山由奈はポカポカとスミジを殴った。
「お父さんが~! お父さんがぁ~!」
「痛い! ちょっ……大丈夫ですから落ち着いて!」
「お父さん、燃えちゃった~!」
「だから大丈夫で……ほら、もう消えましたから!」
炎は直ぐに消滅し円の中には焦げ跡一つない茂が呆然と座っている。秋山家の家族は全員正気に戻り茂の元に駆け寄った。
「お、お父さん、大丈夫?」
「ん? あ、ああ……」
娘に引き起こされた茂は、ふと驚きの表情を浮かべた。
「足が……足が動くぞ!」
今度は一転し秋山家大喜び。スミジは頭をポリポリと掻いて苦笑いだった。
「……今のもやっぱお前の説明が足りてねぇわな」
「え~……。それなら今回は伊庭さんが説明してくれたって良かったんだけど?」
「そんな暇作らず進めただろ、お前」
「いや、まぁ……確かにそうだけどさ……」
自分の当たり前が他者には常識の埒外……そこに気付かないスミジに伊庭は幾分呆れている。
だが、仕事は果たしたので伊庭は敢えて説教はしない。結果があれは多少の混乱などどうでも良いというのが正直な気持ちだった。
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