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◆第四章 存在の善悪◆
第四話 祓い師 集う
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景星学園にて調査を行った翌々日の日曜日──学園はスミジの提案通り一部の人間以外の立ち入りを制限・封鎖に踏み切った。
その甲斐あってか学園内部はめっきり人の数が減っている。しかし、食堂付近のテラスにはかなりの人数が集っていた。
「で……? 何で俺らは集められたんだ、スミっち?」
金髪の長髪に白いスーツ姿の優男は、馴れ馴れしくスミジの肩に寄り掛かり質問した。
「ん……? 御門……シズカから聞いてないのか?」
「全~然! シズカちゃん、スミジに聞けってしか言わないんだもん」
「シズカの奴……。も、もしかして他の方達もですか?」
居合わせる者達に視線を向ければ皆一様に頷いている。
実は一昨日の夜、学園の怪異を祓う為の手段としてスミジはシズカに連絡を入れていた。その理由は『祓い師』を集めること……。
「実はこの学園内の怪異が特定できなくて困ってるんです。それで人海戦術を取ることにしました。皆さん、シズカと知り合いの祓い師ということで連絡が行った……筈だったんですが……」
シズカは詳細を伝えていないらしく、一同はやや不満な様子だ。そこでスミジは一から説明をせねばならなくなった。
「では、先ずは自己紹介から……。私は道祖土スミジという祓い師です。今回の件は私への依頼でしたが、先程も言ったように人手が必要と判断し増援を依頼することにしました。初見の方も居るので自己紹介をして頂けると助かります」
増援として集まっているのは七名。現時点で老若男女問わず様々な手合いが集まっている。
しかし……。
「お前さんが道祖土の後継ぎか……噂は聞いとるよ。だがのぅ……」
最初に発言したのは僧侶の姿をした坊主頭の熟年の男。男は小さく溜め息を吐きスミジを睨む。
「祓い師は共同での仕事は受けないのが慣例……知らぬ訳でもあるまい?」
「勿論、存じています。でも……それは慣例であって絶対の約定では無いでしょう? 過去の例では大妖を祓う為に共闘した例は幾つも伝わってますし……」
単独では封じることも討滅することもできない強力な【あやかし】を『大妖』と呼ぶ。
大妖は伝説級のあやかしであり、また災害級の力を宿した存在……祓い師が単独で対応するには荷が重く、放置すれば多大な被害を齎す。故に祓い師同士が協力する例も過去にはある。
しかし、それは特例……本来は他流派の祓い師との仕事を好まないのだ。
その理由は幾つかある。
一つは、互いの術が干渉すると本来の力が発揮できないこと。
他流術式との相性が悪ければ行使する術が干渉し合い変化・暴走……結果、発動しない。また使用可能であっても陰陽五行の理で相克してしまうとやはり打ち消し合ってしまう。最悪の場合、【あやかし】に隙を突かれ落命する恐れさえある。
そしてもう一つの理由……実は共闘が嫌われているのはこちらの理由が大きい。
祓い師の術は秘術であり門外不出。共闘を行えば他の流派がその術を観察し盗む可能性があるのだ。過去には盗んだ術で悪事を働いた者が存在し、冤罪で罪に問われた事例もあった。
そこに『術を盗まれることは恥』という考えと『写し取られた際、流派の術は効力が落ちる』ということも加わり、現代でも祓い師は基本同じ案件を受けることは無い。
「今回の怪異は大妖が絡んでおるのか?」
「いいえ……。ですが、下手をすると大妖が生まれる恐れはあります。私が調査したところ既に学園敷地内が一種の『領域』になっていて怪異が増えていると分かりました。そうなると……わかりますよね?」
「怪異の【蟲毒】になる訳か……。それは確かに厄介かも知れんのぅ」
【あやかし】は他の怪異を意識しないことは以前も述べたが、限定空間内に怪異が満ちると何らかの理由で互いを取り込み数を減らそうとする傾向がある。
それは恐らく存在維持の本能……しかし、一度共食いが始まると最後の一つになるまで続くのだ。残った【あやかし】は霊気を凝縮した存在へと変化し、より強い噂を元にした怪異へと進化を果たすこととなる。
祓い師達はそれを『怪異の蟲毒』と呼んでいる。祓い師の普段の仕事は、それを起こさぬ為の予防線の意味合いも兼ねていた。
「ふぅむ……良かろう。そういった事情ならば儂は力を貸そうか。我が名は賢雲……天元明智宗の僧をしておる者よ」
「助かります」
「と……なれば次は俺ちゃんかな? 俺の名は御門陽介……無機物に宿った怪異専門の祓い師だ。道祖土のスミっちとは知り合いだぜぃ? よろしく、よろしくぅ~」
金の長髪に白スーツ、年齢も身長もスミジと同じくらいに見える御門は、人差し指と中指を伸ばし敬礼の様なポーズを取った。
その甲斐あってか学園内部はめっきり人の数が減っている。しかし、食堂付近のテラスにはかなりの人数が集っていた。
「で……? 何で俺らは集められたんだ、スミっち?」
金髪の長髪に白いスーツ姿の優男は、馴れ馴れしくスミジの肩に寄り掛かり質問した。
「ん……? 御門……シズカから聞いてないのか?」
「全~然! シズカちゃん、スミジに聞けってしか言わないんだもん」
「シズカの奴……。も、もしかして他の方達もですか?」
居合わせる者達に視線を向ければ皆一様に頷いている。
実は一昨日の夜、学園の怪異を祓う為の手段としてスミジはシズカに連絡を入れていた。その理由は『祓い師』を集めること……。
「実はこの学園内の怪異が特定できなくて困ってるんです。それで人海戦術を取ることにしました。皆さん、シズカと知り合いの祓い師ということで連絡が行った……筈だったんですが……」
シズカは詳細を伝えていないらしく、一同はやや不満な様子だ。そこでスミジは一から説明をせねばならなくなった。
「では、先ずは自己紹介から……。私は道祖土スミジという祓い師です。今回の件は私への依頼でしたが、先程も言ったように人手が必要と判断し増援を依頼することにしました。初見の方も居るので自己紹介をして頂けると助かります」
増援として集まっているのは七名。現時点で老若男女問わず様々な手合いが集まっている。
しかし……。
「お前さんが道祖土の後継ぎか……噂は聞いとるよ。だがのぅ……」
最初に発言したのは僧侶の姿をした坊主頭の熟年の男。男は小さく溜め息を吐きスミジを睨む。
「祓い師は共同での仕事は受けないのが慣例……知らぬ訳でもあるまい?」
「勿論、存じています。でも……それは慣例であって絶対の約定では無いでしょう? 過去の例では大妖を祓う為に共闘した例は幾つも伝わってますし……」
単独では封じることも討滅することもできない強力な【あやかし】を『大妖』と呼ぶ。
大妖は伝説級のあやかしであり、また災害級の力を宿した存在……祓い師が単独で対応するには荷が重く、放置すれば多大な被害を齎す。故に祓い師同士が協力する例も過去にはある。
しかし、それは特例……本来は他流派の祓い師との仕事を好まないのだ。
その理由は幾つかある。
一つは、互いの術が干渉すると本来の力が発揮できないこと。
他流術式との相性が悪ければ行使する術が干渉し合い変化・暴走……結果、発動しない。また使用可能であっても陰陽五行の理で相克してしまうとやはり打ち消し合ってしまう。最悪の場合、【あやかし】に隙を突かれ落命する恐れさえある。
そしてもう一つの理由……実は共闘が嫌われているのはこちらの理由が大きい。
祓い師の術は秘術であり門外不出。共闘を行えば他の流派がその術を観察し盗む可能性があるのだ。過去には盗んだ術で悪事を働いた者が存在し、冤罪で罪に問われた事例もあった。
そこに『術を盗まれることは恥』という考えと『写し取られた際、流派の術は効力が落ちる』ということも加わり、現代でも祓い師は基本同じ案件を受けることは無い。
「今回の怪異は大妖が絡んでおるのか?」
「いいえ……。ですが、下手をすると大妖が生まれる恐れはあります。私が調査したところ既に学園敷地内が一種の『領域』になっていて怪異が増えていると分かりました。そうなると……わかりますよね?」
「怪異の【蟲毒】になる訳か……。それは確かに厄介かも知れんのぅ」
【あやかし】は他の怪異を意識しないことは以前も述べたが、限定空間内に怪異が満ちると何らかの理由で互いを取り込み数を減らそうとする傾向がある。
それは恐らく存在維持の本能……しかし、一度共食いが始まると最後の一つになるまで続くのだ。残った【あやかし】は霊気を凝縮した存在へと変化し、より強い噂を元にした怪異へと進化を果たすこととなる。
祓い師達はそれを『怪異の蟲毒』と呼んでいる。祓い師の普段の仕事は、それを起こさぬ為の予防線の意味合いも兼ねていた。
「ふぅむ……良かろう。そういった事情ならば儂は力を貸そうか。我が名は賢雲……天元明智宗の僧をしておる者よ」
「助かります」
「と……なれば次は俺ちゃんかな? 俺の名は御門陽介……無機物に宿った怪異専門の祓い師だ。道祖土のスミっちとは知り合いだぜぃ? よろしく、よろしくぅ~」
金の長髪に白スーツ、年齢も身長もスミジと同じくらいに見える御門は、人差し指と中指を伸ばし敬礼の様なポーズを取った。
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