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◆第四章 存在の善悪◆
第七話 早い者勝ち
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「祓い師にとって対価は契約の内だ」
榑木はスミジを強い眼差しで射抜く。それは祓い師としての心構えの問題──。
報酬の額の問題ではない。仕事には報酬……結果への対価は相応しい者が相応しい方法で受けることが道理。
依頼は契約であり祓い師の“縛り”の一つにもなっている。縛りは術に影響し、破れば祓い師の力が下がることさえある。それは衰退に繋がることも意味する。
「………。一応、私は他の継続中依頼の一端でこちらの件に関わってます。なのでその辺りは大丈夫かと……」
「いや……それでは弱いな。この話を祓い仕事とした時点でお前には報酬を受け取る義務がある。たとえ少額だろうと……」
「それは………そうかもしれませんが、同時に私は依頼主側にもなる。違いますか?」
「だからそれは……」
「いや……しかし……」
報酬で揉める……というより流儀で揉め始めた二人。割って入ったのは牧師・リカルドだった。
「揉めてたら本末転倒ですヨ~! ここは一つ、ワタシの提案聞いて貰えませんでしょうカ~?」
「提案……?」
「ハ~イ。公平にするには競争が一番デ~ス」
リカルドの話は単純明快。騒動の元になった『領域の核』を最初に見付け祓った者が全体報酬の半分を手にし、他の者達は残り半分を均等に分ける……というもの。
「ハッハッハ。面白いのぉ、牧師よ。儂はその話、乗ったぞ?」
「流石、御坊さんデ~ス! ボウズ、丸儲けですネ~?」
坊主と牧師はガッシリと握手している。中々に貴重な光景だ。
「つまり早い者勝ちということですね……。それなら報酬は公平なので問題は無いのではありませんか、榑木さん?」
「……まぁ……そうだな」
「道祖土さんも良いですね?」
「……わかりました」
三条の仕切りでリカルドの提案が成立。これにより学園内の【あやかし】祓いは競争という流れとなる。
「学園内の【あやかし】はどうしますか?」
「討滅以外で祓って貰いたいとは思いますが、危険性もあるので皆さんの判断で最良を選択して下さい」
集まり続ける怪異を祓うのは手間だが、ここで減らしておけば後々【馬の怪異】による騒動は減るだろう。
こうして学園内の祓い師達の仕事は始まった──。
祓い師達は自らの仕事を同業者には見せたがらない。しかし、今回の仕事は学園内の何処かにある『領域の核』──それが【あやかし】でも【呪物】でも、早い者勝ちの依頼だ。
よって祓い師達は流派の術を見られぬよう学園内の各箇所に散り仕事を始めることにした。
「九頭竜さん。約束どおり君達は私と行動して下さい」
九頭竜神社の巫女姉妹……というより姉の青葉は、呼び止めたスミジの言葉にやや難色を示している。
「む~、何でよ~……」
「君達に何かあると貴士さんに怒られてしまう。それに、幾つか話も聞きたいので……」
「……どうする、紅葉?」
「私は道祖土さんに従った方が良いと思うな……」
「……わかったわ」
九頭竜姉妹は不承不承ながら行動を共にすることとなりスミジは安堵の色を見せた。
「それで、道祖土さん……」
「スミジで良いですよ。一応、遠いながらも親戚な訳ですから」
「じゃあ、スミジさんと呼ぶわね。それと、私達も親類なら敬語は要らないわ。呼ぶ時も名前で呼んでね? 二人とも九頭竜だし……」
「じゃあ……ミディアムの髪が青葉《あおば》ちゃん、ロングへアが紅葉ちゃんで大丈夫?」
「ええ。じゃあ、宜しくスミジさん」
スミジは九頭竜姉妹と共に行動。学園内の怪異捜索を開始した。
同様に、三条の執事・嘉藤は主と共に行動。それ以外の御門、賢雲、榑木、リカルドは単身での捜索である。
『領域の核』を祓えば自然と領域化していた土地の霊気は薄まる。上手く行けば【あやかし】達は幽世に帰るか闇の中でひっそりと過ごし学園に平穏が戻ることだろう。
榑木はスミジを強い眼差しで射抜く。それは祓い師としての心構えの問題──。
報酬の額の問題ではない。仕事には報酬……結果への対価は相応しい者が相応しい方法で受けることが道理。
依頼は契約であり祓い師の“縛り”の一つにもなっている。縛りは術に影響し、破れば祓い師の力が下がることさえある。それは衰退に繋がることも意味する。
「………。一応、私は他の継続中依頼の一端でこちらの件に関わってます。なのでその辺りは大丈夫かと……」
「いや……それでは弱いな。この話を祓い仕事とした時点でお前には報酬を受け取る義務がある。たとえ少額だろうと……」
「それは………そうかもしれませんが、同時に私は依頼主側にもなる。違いますか?」
「だからそれは……」
「いや……しかし……」
報酬で揉める……というより流儀で揉め始めた二人。割って入ったのは牧師・リカルドだった。
「揉めてたら本末転倒ですヨ~! ここは一つ、ワタシの提案聞いて貰えませんでしょうカ~?」
「提案……?」
「ハ~イ。公平にするには競争が一番デ~ス」
リカルドの話は単純明快。騒動の元になった『領域の核』を最初に見付け祓った者が全体報酬の半分を手にし、他の者達は残り半分を均等に分ける……というもの。
「ハッハッハ。面白いのぉ、牧師よ。儂はその話、乗ったぞ?」
「流石、御坊さんデ~ス! ボウズ、丸儲けですネ~?」
坊主と牧師はガッシリと握手している。中々に貴重な光景だ。
「つまり早い者勝ちということですね……。それなら報酬は公平なので問題は無いのではありませんか、榑木さん?」
「……まぁ……そうだな」
「道祖土さんも良いですね?」
「……わかりました」
三条の仕切りでリカルドの提案が成立。これにより学園内の【あやかし】祓いは競争という流れとなる。
「学園内の【あやかし】はどうしますか?」
「討滅以外で祓って貰いたいとは思いますが、危険性もあるので皆さんの判断で最良を選択して下さい」
集まり続ける怪異を祓うのは手間だが、ここで減らしておけば後々【馬の怪異】による騒動は減るだろう。
こうして学園内の祓い師達の仕事は始まった──。
祓い師達は自らの仕事を同業者には見せたがらない。しかし、今回の仕事は学園内の何処かにある『領域の核』──それが【あやかし】でも【呪物】でも、早い者勝ちの依頼だ。
よって祓い師達は流派の術を見られぬよう学園内の各箇所に散り仕事を始めることにした。
「九頭竜さん。約束どおり君達は私と行動して下さい」
九頭竜神社の巫女姉妹……というより姉の青葉は、呼び止めたスミジの言葉にやや難色を示している。
「む~、何でよ~……」
「君達に何かあると貴士さんに怒られてしまう。それに、幾つか話も聞きたいので……」
「……どうする、紅葉?」
「私は道祖土さんに従った方が良いと思うな……」
「……わかったわ」
九頭竜姉妹は不承不承ながら行動を共にすることとなりスミジは安堵の色を見せた。
「それで、道祖土さん……」
「スミジで良いですよ。一応、遠いながらも親戚な訳ですから」
「じゃあ、スミジさんと呼ぶわね。それと、私達も親類なら敬語は要らないわ。呼ぶ時も名前で呼んでね? 二人とも九頭竜だし……」
「じゃあ……ミディアムの髪が青葉《あおば》ちゃん、ロングへアが紅葉ちゃんで大丈夫?」
「ええ。じゃあ、宜しくスミジさん」
スミジは九頭竜姉妹と共に行動。学園内の怪異捜索を開始した。
同様に、三条の執事・嘉藤は主と共に行動。それ以外の御門、賢雲、榑木、リカルドは単身での捜索である。
『領域の核』を祓えば自然と領域化していた土地の霊気は薄まる。上手く行けば【あやかし】達は幽世に帰るか闇の中でひっそりと過ごし学園に平穏が戻ることだろう。
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