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◆第四章 存在の善悪◆
第十四話 多田比呂人
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景星学園・大学院研究棟。
科学分野の研究の為に造られた施設は真っ白な鉄筋コンクリート製。階層ごとに分かれた全部で六つある研究棟の内、目指すのは五階・医療研究棟である。
研究内容は当然ながら機密情報にあたる。ビル入り口には警備員が常駐していたが、学園側には事前に話を通していたので入り口は問題なく通過。
が……祓い師達の姿は多彩すぎて一種異様。警備員がかなり怪訝な表情だったことはこの際省くとしよう。
そうして順調に中へ……と思っていた一同は、結局一階にて全員が事務員に制止される。
「各階の研究にはほぼ全てに精密機器が使われています。また、五階は医療研究棟なので隔離ブロックに入る際は着替えと消毒をして頂かないと……」
「研究室の中には入らなくても問題はありません。……。でも、そうね……動き回るのは確かに得策ではないわね。私達は個人が特定できれば良いのです。だから研究員の身元を調べて貰えますか?」
「はぁ……」
「馬を用いた実験や研究は?」
「それなら……」
事務員がパソコンで検索し表示されたのは遺伝子研究室。そこでは馬の遺伝子を利用したウィルス抗体の研究が行われているらしい。
研究員は五名程。御門は画面に表示された登録研究員のデータから一人の男を指し示した。
「確かコイツだ。え~っと……多田比呂人、大学院生ね。それでどうするんだ、三条のお嬢さん?」
「先ずは道祖土さんが言ったようにこの方の身内を調べます。嘉藤……」
「はい」
携帯端末を取り出した嘉藤は三条財閥の情報網を用い多田の身元調査をする旨を何処かに指示。僅か数分で返信がありデータが送られてきた。
「多田比呂人の御家族はまだ無事でした。しかし、多田本人は長らく実家に帰ってはいない様です」
「研究に没頭しているからかしら?」
「いえ……どうやら家庭の事情というものらしく……」
多田の実家は北海道にあり牧場経営をしているとのこと。牧場は家畜ではなく競走馬の育生で生計を立てていたらしい。
「父親が病で倒れ母親が再婚。ただ、その義父が多田比呂人に暴力を振るう人物だったと医療記録にあります。現在は義父と母親の間に子供ができた為に実家には戻らなくなった……といったところでしょうか」
あまり幸せな生い立ちとは言えない多田比呂人だが、それでも大学院まで通っているのは当人の努力と父の遺産のお陰であるという。そんな情報を聞いた一同は複雑な表情だ。
呪物を持っている……ということは其処に何らかの怨みがある。義父を恨んでいるのか、または誰かに恨まれ呪物を押し付けられたのか……。どちらにせよ多田比呂人自身が絡んでいるのは間違いないだろう。しかし、今の段階ではどう対処すべきかはまだ判断が難しい。
「なぁ、スミっちよ?」
「どうした、御門?」
「俺は呪いより三条家の情報網が怖いんだけど……個人情報ってなんだっけ?」
「………ハハ…ハ」
ものの数分でそれだけの情報を集めた三条家──御門は別の意味で複雑な表情だ。自分達の身元も同じように調べられていると考えればスミジも内心穏やかではない。
そんなスミジ達を一瞥した嘉藤と三条は小さく溜め息を吐いた。
「それで……どうなさいますか、道祖土さん?」
三条はスミジに指示を求めている。今回の件、スミジは依頼者側でもあるので考えに従うとのこと。
「では、多田比呂人さんの様子確認は……御門、頼めるか? 但し、接触は無しでな」
「あいよ~」
「残りの皆さんは外のお二人に合流してください」
「わかりました。確かに刺激して呪詛が発動するには場所が良くありませんし……。接触は多田比呂人が一人で居る時でよろしいのですね?」
「そうして貰えるとやり易いです。では、私と賢雲さんは予定通り屋上に向かいます」
祓い師達はここで三手に分れ行動となった。三条、嘉藤、九頭竜姉妹は外のメンバーに合流。御門は着替えた後消毒、事務員を伴い研究棟五階にある遺伝子研究室へ向かった。
そして、スミジと賢雲は、予定していた通り屋上に居る馬頭の元へと向かう。
科学分野の研究の為に造られた施設は真っ白な鉄筋コンクリート製。階層ごとに分かれた全部で六つある研究棟の内、目指すのは五階・医療研究棟である。
研究内容は当然ながら機密情報にあたる。ビル入り口には警備員が常駐していたが、学園側には事前に話を通していたので入り口は問題なく通過。
が……祓い師達の姿は多彩すぎて一種異様。警備員がかなり怪訝な表情だったことはこの際省くとしよう。
そうして順調に中へ……と思っていた一同は、結局一階にて全員が事務員に制止される。
「各階の研究にはほぼ全てに精密機器が使われています。また、五階は医療研究棟なので隔離ブロックに入る際は着替えと消毒をして頂かないと……」
「研究室の中には入らなくても問題はありません。……。でも、そうね……動き回るのは確かに得策ではないわね。私達は個人が特定できれば良いのです。だから研究員の身元を調べて貰えますか?」
「はぁ……」
「馬を用いた実験や研究は?」
「それなら……」
事務員がパソコンで検索し表示されたのは遺伝子研究室。そこでは馬の遺伝子を利用したウィルス抗体の研究が行われているらしい。
研究員は五名程。御門は画面に表示された登録研究員のデータから一人の男を指し示した。
「確かコイツだ。え~っと……多田比呂人、大学院生ね。それでどうするんだ、三条のお嬢さん?」
「先ずは道祖土さんが言ったようにこの方の身内を調べます。嘉藤……」
「はい」
携帯端末を取り出した嘉藤は三条財閥の情報網を用い多田の身元調査をする旨を何処かに指示。僅か数分で返信がありデータが送られてきた。
「多田比呂人の御家族はまだ無事でした。しかし、多田本人は長らく実家に帰ってはいない様です」
「研究に没頭しているからかしら?」
「いえ……どうやら家庭の事情というものらしく……」
多田の実家は北海道にあり牧場経営をしているとのこと。牧場は家畜ではなく競走馬の育生で生計を立てていたらしい。
「父親が病で倒れ母親が再婚。ただ、その義父が多田比呂人に暴力を振るう人物だったと医療記録にあります。現在は義父と母親の間に子供ができた為に実家には戻らなくなった……といったところでしょうか」
あまり幸せな生い立ちとは言えない多田比呂人だが、それでも大学院まで通っているのは当人の努力と父の遺産のお陰であるという。そんな情報を聞いた一同は複雑な表情だ。
呪物を持っている……ということは其処に何らかの怨みがある。義父を恨んでいるのか、または誰かに恨まれ呪物を押し付けられたのか……。どちらにせよ多田比呂人自身が絡んでいるのは間違いないだろう。しかし、今の段階ではどう対処すべきかはまだ判断が難しい。
「なぁ、スミっちよ?」
「どうした、御門?」
「俺は呪いより三条家の情報網が怖いんだけど……個人情報ってなんだっけ?」
「………ハハ…ハ」
ものの数分でそれだけの情報を集めた三条家──御門は別の意味で複雑な表情だ。自分達の身元も同じように調べられていると考えればスミジも内心穏やかではない。
そんなスミジ達を一瞥した嘉藤と三条は小さく溜め息を吐いた。
「それで……どうなさいますか、道祖土さん?」
三条はスミジに指示を求めている。今回の件、スミジは依頼者側でもあるので考えに従うとのこと。
「では、多田比呂人さんの様子確認は……御門、頼めるか? 但し、接触は無しでな」
「あいよ~」
「残りの皆さんは外のお二人に合流してください」
「わかりました。確かに刺激して呪詛が発動するには場所が良くありませんし……。接触は多田比呂人が一人で居る時でよろしいのですね?」
「そうして貰えるとやり易いです。では、私と賢雲さんは予定通り屋上に向かいます」
祓い師達はここで三手に分れ行動となった。三条、嘉藤、九頭竜姉妹は外のメンバーに合流。御門は着替えた後消毒、事務員を伴い研究棟五階にある遺伝子研究室へ向かった。
そして、スミジと賢雲は、予定していた通り屋上に居る馬頭の元へと向かう。
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