61 / 153
スミジとアカリの姫国あやかし紹介録③
第三回 妖怪画
しおりを挟む
「スミジと!」
「アカリの!」
「姫国あやかし紹介録~!!」
ドンドン!
「はい! という訳で三回目です。スミジさん、今回は?」
「妖怪画について少し語ろうと思ってます」
妖怪の存在の多くは言い伝え……しかしながら、人間はその姿を多く書き残している。世にいう妖怪画というものだ。
何故人間は妖怪画を描き妖怪画に惹かれるのか……それは、未知への好奇心から始まる。
「はいはい。それっぽく言っても蒼村は俄かだろ?」
………。はい!自分、俄かっス!よろしくお願いしやっス!
「そんなハキハキと……」
「蒼村は実際俄かだから開き直ったんだよ、アカリちゃん」
………えへ。
「……。と、という訳で妖怪画ですが、日本画には独特の魅力がありますよねぇ。アカリちゃんは何か見たことある?」
「小さい頃に図書館で大きな骸骨の絵を見たことがあります。あれは怖かったですね」
「がしゃ髑髏の浮世絵だね。作者は歌川国芳の作だと思う。国芳は妖怪絵師としては有名な方だよ。歌川一門は他にも広重(安藤広重)、そして豊国や豊広も妖怪画を描いています」
歌川一門に限らず浮世絵師は妖怪画を結構残していますね。割とポピュラーな題材だったと見るべきでしょう。
「そうなんですか? 浮世絵っていうと、葛飾北斎とか東州斎写楽が有名ですけど……」
「彼等も描いてるよ?」
「初めて知りました……」
「昔はエアコンなんて無かったから怪談話で涼んだそうだよ。不思議なことは怪異のせいにしたりと何かと空想力が高かった時代だからね……夜の闇が深い分、妖怪が身近だったのかな」
まさに怖いもの見たさもあり、書き手もそれを表現したりして楽しんでいたのかもしれませんね。
「妖怪画で有名な方って結構居るんですか?」
「そうだね。妖怪画と言ったらこの人……という方は【鳥山石燕】かな。『図画・百鬼夜行』が有名だよ。石燕の描く妖怪画はおどろおどろしたものというより、ちょっと奇妙だったり不思議だったりが多い」
「へぇ~……」
「それに偉大な漫画家・水木しげる先生が大きな影響を受けたことで有名な方でもある」
「ゲ、ゲゲゲの大先生が……!」
「ア、アカリちゃんは漫画好きだよね……。ともかく、日本の妖怪像は【鳥山石燕】と【水木しげる】という偉大なお二方の影響が大きいのは間違いないよ」
因みに作者は河鍋暁斎と月岡芳年が好き。
「そういえば本編に出てきましたよね、河鍋暁斎さん?」
「実は暁斎も芳年も最初に名前が出た歌川国芳の弟子なんだ。二人の絵は芸術性が高いから俺も好き」
河鍋暁斎は幕末から明治の日本画家。その人物像は『画鬼』と言われる程の探究家。逸話だけでも結構面白い。
「逸話ですか?」
「修行時代の話だね。暁斎の師・国芳の教えで、人の動きを観察して描くのに喧嘩している人を捜して写生していたそうだよ。他にも生首を拾って書き写したとか……」
「うわぁ……怖いです」
「それだけ絵を追い求めたんだよ。師匠が変わって狩野派に入門した時も火事になった中を写生したり……まぁ凄い人物なんだ。その分、絵の迫力は別格。沢山の師匠もいたから技術も凄い」
気になった方は調べてみてください。天才ってこんな人なんだろうと思えます。
そして月岡芳年は現代でも通じる構図が多いですね。洗練されたデザインというかダイナミックさというか……。
「芳年の作品で有名なのは『新形三十六怪撰』ですね~。実はコレ、完成前に芳年が亡くなって弟子が完成させたそうです」
「そんなことが……」
「晩年の芳年は病に侵されていて、そんな中で描いたのが『新形三十六怪撰』です。これが凝ったデザインなんだよ。絵を見せながら説明できないのが残念」
「ああ! スミジさんの画商の血が騒いでます!」
「他にも佐脇嵩之の『百怪図巻』も妖怪画を語る上では外せないね~」
妖怪画……というより他にも絵巻では『稲生物怪録』が有名ですよね~。最後、打ち出の小槌が出てきますし。
「ああ! 作者さんにまで火が付いた!」
「『百鬼夜行絵巻』や『付喪神絵巻』は室町時代に書かれた文化財……これも貴重な妖怪画だ」
貴重でいうなら本作タイトルの参考になった『姫国山海経』なんか『虫の妖怪』とか載ってる珍しい物でしょう?
「だ、段々と妖怪画というより歴史資料になっていってませんか?」
「山海経と言ったら中国を無視は出来ないだろ、蒼村?」
「お、お~い! スミジさん、作者さん?」
まだまだ沢山ある妖怪画が紹介しきれない。
嗚呼……素晴らしき哉、【あやかし】の世界!皆さん、おいで!寄っといで?
「だ、誰か二人を止めて~!?」
「アカリの!」
「姫国あやかし紹介録~!!」
ドンドン!
「はい! という訳で三回目です。スミジさん、今回は?」
「妖怪画について少し語ろうと思ってます」
妖怪の存在の多くは言い伝え……しかしながら、人間はその姿を多く書き残している。世にいう妖怪画というものだ。
何故人間は妖怪画を描き妖怪画に惹かれるのか……それは、未知への好奇心から始まる。
「はいはい。それっぽく言っても蒼村は俄かだろ?」
………。はい!自分、俄かっス!よろしくお願いしやっス!
「そんなハキハキと……」
「蒼村は実際俄かだから開き直ったんだよ、アカリちゃん」
………えへ。
「……。と、という訳で妖怪画ですが、日本画には独特の魅力がありますよねぇ。アカリちゃんは何か見たことある?」
「小さい頃に図書館で大きな骸骨の絵を見たことがあります。あれは怖かったですね」
「がしゃ髑髏の浮世絵だね。作者は歌川国芳の作だと思う。国芳は妖怪絵師としては有名な方だよ。歌川一門は他にも広重(安藤広重)、そして豊国や豊広も妖怪画を描いています」
歌川一門に限らず浮世絵師は妖怪画を結構残していますね。割とポピュラーな題材だったと見るべきでしょう。
「そうなんですか? 浮世絵っていうと、葛飾北斎とか東州斎写楽が有名ですけど……」
「彼等も描いてるよ?」
「初めて知りました……」
「昔はエアコンなんて無かったから怪談話で涼んだそうだよ。不思議なことは怪異のせいにしたりと何かと空想力が高かった時代だからね……夜の闇が深い分、妖怪が身近だったのかな」
まさに怖いもの見たさもあり、書き手もそれを表現したりして楽しんでいたのかもしれませんね。
「妖怪画で有名な方って結構居るんですか?」
「そうだね。妖怪画と言ったらこの人……という方は【鳥山石燕】かな。『図画・百鬼夜行』が有名だよ。石燕の描く妖怪画はおどろおどろしたものというより、ちょっと奇妙だったり不思議だったりが多い」
「へぇ~……」
「それに偉大な漫画家・水木しげる先生が大きな影響を受けたことで有名な方でもある」
「ゲ、ゲゲゲの大先生が……!」
「ア、アカリちゃんは漫画好きだよね……。ともかく、日本の妖怪像は【鳥山石燕】と【水木しげる】という偉大なお二方の影響が大きいのは間違いないよ」
因みに作者は河鍋暁斎と月岡芳年が好き。
「そういえば本編に出てきましたよね、河鍋暁斎さん?」
「実は暁斎も芳年も最初に名前が出た歌川国芳の弟子なんだ。二人の絵は芸術性が高いから俺も好き」
河鍋暁斎は幕末から明治の日本画家。その人物像は『画鬼』と言われる程の探究家。逸話だけでも結構面白い。
「逸話ですか?」
「修行時代の話だね。暁斎の師・国芳の教えで、人の動きを観察して描くのに喧嘩している人を捜して写生していたそうだよ。他にも生首を拾って書き写したとか……」
「うわぁ……怖いです」
「それだけ絵を追い求めたんだよ。師匠が変わって狩野派に入門した時も火事になった中を写生したり……まぁ凄い人物なんだ。その分、絵の迫力は別格。沢山の師匠もいたから技術も凄い」
気になった方は調べてみてください。天才ってこんな人なんだろうと思えます。
そして月岡芳年は現代でも通じる構図が多いですね。洗練されたデザインというかダイナミックさというか……。
「芳年の作品で有名なのは『新形三十六怪撰』ですね~。実はコレ、完成前に芳年が亡くなって弟子が完成させたそうです」
「そんなことが……」
「晩年の芳年は病に侵されていて、そんな中で描いたのが『新形三十六怪撰』です。これが凝ったデザインなんだよ。絵を見せながら説明できないのが残念」
「ああ! スミジさんの画商の血が騒いでます!」
「他にも佐脇嵩之の『百怪図巻』も妖怪画を語る上では外せないね~」
妖怪画……というより他にも絵巻では『稲生物怪録』が有名ですよね~。最後、打ち出の小槌が出てきますし。
「ああ! 作者さんにまで火が付いた!」
「『百鬼夜行絵巻』や『付喪神絵巻』は室町時代に書かれた文化財……これも貴重な妖怪画だ」
貴重でいうなら本作タイトルの参考になった『姫国山海経』なんか『虫の妖怪』とか載ってる珍しい物でしょう?
「だ、段々と妖怪画というより歴史資料になっていってませんか?」
「山海経と言ったら中国を無視は出来ないだろ、蒼村?」
「お、お~い! スミジさん、作者さん?」
まだまだ沢山ある妖怪画が紹介しきれない。
嗚呼……素晴らしき哉、【あやかし】の世界!皆さん、おいで!寄っといで?
「だ、誰か二人を止めて~!?」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた
今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。
レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。
不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。
レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。
それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し……
※短め
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる