姫国あやかし絵封録

蒼村嬉享

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スミジとアカリの姫国あやかし紹介録④

第四回 新妖と古妖

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「皆さん、こんにちは! アカリで~す!」
「どうも、スミジで~す」
「早くも四回目ですよ、スミジさん。幕間的なものなのに頑張っちゃってますよ、作者さん。色々なコンテスト全く書けてないのに」

 うるさいよ、アカリちゃん……。

「蒼村は私生活が壊滅的に追い詰められてるから余裕がないんだよ、アカリちゃん。所詮は凡才だからね……まぁ自業自得とも言うけど」

 うるさいよ、スミジ。

「という訳で、今回は~?」
「【新妖しんよう】と【古妖こよう】についてです。アカリちゃんは知ってる?」
「え~……そもそも【新妖】【古妖】って何ですか? 作中にもありましたけど……」
「え? え~っとね……【新妖】っていうのは新しい【あやかし】のことで、【古妖】は昔から居る【あやかし】だよ」
「……………」
「…………?」
「えいっ!」
「うひゃほぅ~ぃ!!」

 ……一応説明すると、アカリちゃんがスミジの作務衣の中に冷えたペットボトルのお茶を放り込みました。

「もうっ! そのまんまじゃないですか!?」
「ゴ、ゴメンゴメン。え~……簡単に言うと【古妖】は伝承や文化資料のある、【新妖】はそれがない【あやかし】だね。でも、結構定義が曖昧なんだよ」
「曖昧ってどうしてですか?」
「先ず、時代の区切りが難しいからかな。例えば明治時代には沢山の【あやかし】が生まれてる。文明開化で海外の目新しい物が入ってくる様になったからなんだけどね?」

 見世物小屋みたいなものは昔からあるけど、そこには当然物珍しいものが存在した訳で……。

 例えば明治には『九面犬』というのが居たそうだよ。ネット検索じゃ出てこないかな……蒼村も古い資料で偶々見た類いのものです。

「……。それ、どんな【あやかし】ですか?」

 頭部が縦3×横3で人面九つの犬。

「怖っ! 怖いですよ、ソレ!?」
「他にも色々と奇妙なのがいたみたいだね……でも、それは【古妖】か【新妖】か微妙。理由は分かる?」
「古い伝承が無いからですか?」
「半分正解。残り半分は『認識・周知されていない』から。今、九面犬が出た場合は殆どの人が知らないからやっぱり【新妖】になるかな」

 逆に近年の【あやかし】でも古くから存在するものもいる。例えば『人面犬』。人面の獣は実は江戸の頃にはあちこちで話題が上がっている。『くだん』もその類いだね。

「へぇ~……人面犬って【古妖】だったんですね」
「でも、厳密には微妙なんだよ。現代の人面犬はバージョンアップされてるからね」
「バ、バージョンアップ?」
「昔の人面犬は猿顔の犬で喋らない。でも今の人面犬は、“オジさん顔で人の言葉を喋る”“ぶつくさ文句を言う”“凄い速さで追ってくる”とかね?」

 時代により存在の形を変化させることは【新妖】【古妖】という区切りを曖昧にさせちゃうんだ。最近では『一反木綿』の亜種の目撃が増えてたりね~。

「つまり、【新妖】か【古妖】か分からない場合もある……と」
「そう。ただ、明確に【新妖】だと分かる場合もあるよ。例えば『口裂け女』は類似のものが見当たらなかったかな……。マスクとかポマードとか現代的だよね。珍しいものとしては『偽列車』とかね。列車は比較的近代でしょ?」
「そうですね。じゃあ、『首無しライダー』もですね?」
「アレはまた海外の『デュラハン』が元だったりしてるかもしれないんだけどね……。確かに【新妖】でも間違ってはないけど、幽霊の可能性もある」
「そっか。【あやかし】とは限らない場合もあるんですね」

 補足すると、『偽列車、または偽汽車』は線路がない場所・または列車が走らない時間で起きる列車の音や光、または列車の姿が目撃される【怪異】で、現代でも都市伝説で語られたりする。

 『デュラハン』は海外の怪物で、首無し馬に乗った首無しの魔物。騎士だったり首無し乙女だったりと地方で変化するらしい。

「そう考えると【新妖】も【古妖】も結構関係があるんですね~」
「まぁ、時代に関係無く【あやかし】同士は意外と関係があったりするんだよ。それは機会があったら話そうね」
「そう言えば……『都市伝説』とか『ネットロア』とかはどうなるんですか?」

 都市伝説とかは割と【あやかし】そのものは大量には出てこないかな。幽霊はあるけど、明確に存在が書かれてるのって『くねくね』『八尺様』『カンカンダラ』……辺り? 『ジジババ』系の【あやかし】は割と『山姥』からの派生だったりする。現代はどっちかっていうと場所や出来事の【怪異】とかが多い印象。

 いつの時代も【怪異】は身近なものから派生するからね。特に今は物が溢れ人が溢れる時代──夜が明るい分、視覚に絡んだ場所の【怪異】が多くなってる気がする。『きさらぎ駅』みたいに日常に近い【駅】とか。

「ネットは面白さで話を競ったりしている面もあるからね。誰でも参加できる『百物語』みたいなものだから多様性が生まれたり、身近な環境に恐怖を取り入れようとしたり……そうやって【新妖】は生まれるんだろうね」
「スミジさんは【新妖】とバトったことありますか?」
「バト……あ、あるよ?」

 最近ではバラゴと戦ったよな、『次世代魔王スミジ』?

「変なあだ名やめろ、蒼村ぁぁ~!」
「え? スミジさん、魔王なんですか?」
「やめてぇ~! アカリちゃん、そんなキラキラした目で見ないで~!」

 ………。皆さんも興味があれば【あやかし】の由来なんか調べるのも面白いですよ?ではまた、次回にお会いしましょう!
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