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◆第五章 森羅の中◆
第二話 懐覧堂の茶会
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「……。もしかして私が呼ばれたのはアカリさんの護衛の意味も?」
「さぁ……元はスミジがそうしろと言ってたのよ。案外、アカリちゃんと三条さんの両方に良い影響があると思ったのかもね?」
「…………」
三条は同年代に親しい友人が少ない。勿論学友は居るのだが、三条家は影響力が大きすぎて皆距離を取るか目論見があって近付いてくるかのどちらかになっているらしい。
更に、三条の祓い師としての目的や行動は他者に知られるべきものでもない。そうなれば必然的に親しき間柄の者は減ることになる。
スミジは何処からかそれを聞きアカリとの縁を繋ごうとした可能性はある。
先日、三条が九頭竜姉妹と親しくなれたのは同類と言える立場に隠し事をする必要がなかったことが大きい。同じ理由で【あやかし】の世界に触れているアカリならば気兼ねなく親しくなれるだろうと考慮した……かは分からない。だが、十中八九はそうだとシズカは考えていた。
「それで……スミジさんは結局、何処に行ったんですか?」
「山よ。何でも登山者が連続で【あやかし】と遭遇したらしくて確認にね」
「ハイキングですか……。私も学校が無かったら行きたかったなぁ」
「け、結構高い山らしいからハイキングじゃないと思うわよ?」
「じゃあキャンプですね? 楽しそうですね~」
「………」
今更ではあるがアカリは少々天然な部分がある。しかし、その明るさは他者の心を癒す。事実、三条はかなり穏やかな表情でクスクスと笑っている。そんな主の様子を店の外から嘉藤が温かく見守っているのは余談だろう。
「実は道祖土さんが居ないのは、半分は私の依頼なの」
「マリナさんの依頼……ですか?」
「あまり詳しくは話せないけど、道祖土さんは私の母を救う手助けをしてくれることになって……山に向かったのはその一環でもあるみたい」
三条の母を救うには霊力を高める必要がある。それには幾つかの方法があった。中でも常道なのが霊地にて自然の気を浴びること。山は霊力を高める地脈や霊場には事欠かないのだ。
同時にそういった場所は【怪異】も出現しやすくなる。自然界は幽世と現世の境目を融かす。故に【山の怪異】は現代でも多く確認されている。
逆に言えば、【怪異】が度々発生する山は霊場でもある。なればこそスミジは依頼を受け、ついでに霊力を高めに向かったのである。
「じゃあ……スミジさんは戻ってきたら『スーパースミジン』になってるんですね?」
「……。アカリちゃん……スーパースミジンて何?」
「ほら……漫画にありますよね? 覚醒して金髪に……」
三人は作務衣姿のスミジが金髪になって『ウォォーッ!』と言っている姿を想像し……我慢できずに笑い出した。今頃、スミジはクシャミをしているに違いない……。
「あ~……可笑しい。あ! そうだ、冷蔵庫にチーズケーキがあるのよ。皆で食べましょ」
「良いんですか? スミジさん、怒りませんか?」
「良いのよ。アイツ……景星学園の祓い仕事、依頼料少なくて私の取り分も減ったんだから。店番代として頂きましょう」
「わ~い。私、紅茶煎れてきますね~。あ、マリナさんの執事さんも御一緒にどうですか?」
「……。そうね。御言葉に甘えさせて頂くわ」
恐らく、開店以来最も華やかとなった懐覧堂──そこに店主たるスミジが居ないというのが皮肉な話である。
そして……当のスミジは───。
「さぁ……元はスミジがそうしろと言ってたのよ。案外、アカリちゃんと三条さんの両方に良い影響があると思ったのかもね?」
「…………」
三条は同年代に親しい友人が少ない。勿論学友は居るのだが、三条家は影響力が大きすぎて皆距離を取るか目論見があって近付いてくるかのどちらかになっているらしい。
更に、三条の祓い師としての目的や行動は他者に知られるべきものでもない。そうなれば必然的に親しき間柄の者は減ることになる。
スミジは何処からかそれを聞きアカリとの縁を繋ごうとした可能性はある。
先日、三条が九頭竜姉妹と親しくなれたのは同類と言える立場に隠し事をする必要がなかったことが大きい。同じ理由で【あやかし】の世界に触れているアカリならば気兼ねなく親しくなれるだろうと考慮した……かは分からない。だが、十中八九はそうだとシズカは考えていた。
「それで……スミジさんは結局、何処に行ったんですか?」
「山よ。何でも登山者が連続で【あやかし】と遭遇したらしくて確認にね」
「ハイキングですか……。私も学校が無かったら行きたかったなぁ」
「け、結構高い山らしいからハイキングじゃないと思うわよ?」
「じゃあキャンプですね? 楽しそうですね~」
「………」
今更ではあるがアカリは少々天然な部分がある。しかし、その明るさは他者の心を癒す。事実、三条はかなり穏やかな表情でクスクスと笑っている。そんな主の様子を店の外から嘉藤が温かく見守っているのは余談だろう。
「実は道祖土さんが居ないのは、半分は私の依頼なの」
「マリナさんの依頼……ですか?」
「あまり詳しくは話せないけど、道祖土さんは私の母を救う手助けをしてくれることになって……山に向かったのはその一環でもあるみたい」
三条の母を救うには霊力を高める必要がある。それには幾つかの方法があった。中でも常道なのが霊地にて自然の気を浴びること。山は霊力を高める地脈や霊場には事欠かないのだ。
同時にそういった場所は【怪異】も出現しやすくなる。自然界は幽世と現世の境目を融かす。故に【山の怪異】は現代でも多く確認されている。
逆に言えば、【怪異】が度々発生する山は霊場でもある。なればこそスミジは依頼を受け、ついでに霊力を高めに向かったのである。
「じゃあ……スミジさんは戻ってきたら『スーパースミジン』になってるんですね?」
「……。アカリちゃん……スーパースミジンて何?」
「ほら……漫画にありますよね? 覚醒して金髪に……」
三人は作務衣姿のスミジが金髪になって『ウォォーッ!』と言っている姿を想像し……我慢できずに笑い出した。今頃、スミジはクシャミをしているに違いない……。
「あ~……可笑しい。あ! そうだ、冷蔵庫にチーズケーキがあるのよ。皆で食べましょ」
「良いんですか? スミジさん、怒りませんか?」
「良いのよ。アイツ……景星学園の祓い仕事、依頼料少なくて私の取り分も減ったんだから。店番代として頂きましょう」
「わ~い。私、紅茶煎れてきますね~。あ、マリナさんの執事さんも御一緒にどうですか?」
「……。そうね。御言葉に甘えさせて頂くわ」
恐らく、開店以来最も華やかとなった懐覧堂──そこに店主たるスミジが居ないというのが皮肉な話である。
そして……当のスミジは───。
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