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◆第六章 古き大妖◆
第二十話 石鎚山
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既に日は暮れていたが、一刻も早く危機を取り去る為スミジ達は石鎚山を目指す。
石鎚山は同じ愛媛県内とはいえ、その距離は大源寺から100㎞以上離れている。地理に明るい藤倉が運転を買って出てくれたことは渡りに船だったと言えよう。
「時間はどの位掛かりそうですか?」
「有料道路を使って最短でも二時間と少しでしょうか……。登山ならロープウェイ等もありますが、時間が遅いので……」
石鎚山を登るルートは幾つか存在する。そのどれを選ぶかによって交通ルートも変えねばならない。
そして今回は登山を楽しむのが目的ではない。より早く、かつ安全に向かえる道を藤倉は選択している。
「今向かっているのは『土小屋ルート』という石鎚山まで極力車で近付ける道です。登るのも比較的安全かとは思いますが、夜分なので危険であることは変わりません。本当に……行くのですか?」
藤倉もかつては祓い師……しかし、今は只人である。その体力・霊力の差を誰よりも理解している。
それは伊庭も分かっているらしく、心配する藤倉の言葉に苦笑いで答えるしかない。
「確かに私が同行するとスミジの足手まといになるかもしれません。とはいえ、本来なら明日まで待ちたいところですが悠長なことを言ってはいられませんし」
「そ、そうですね……」
「大丈夫です。先程は心源和尚の言葉に反発してしまいましたが、自分でも理解はしていますので……。邪魔になりそうなら途中で朝まで待機します。ともかく、急ぎましょう」
「わかりました」
冷静さを取り戻した伊庭の言葉に藤倉は頷いた。
国道→高速道路→国道→県道という少々複雑な経路を辿り、久万高原町にある石鎚神社付近の駐車場に停車。本来なら夜間通れぬ場所も有ったが、伊庭が上司に連絡し通行が可能となった。
霊峰・石鎚山──。
日本百名山、そして日本七霊峰に数えられる西日本最高峰の地。愛媛県西条市と久万高原町の境界に位置する山には、石鎚神社、前神寺、極楽寺、横峰寺が存在する。
修験道の開祖・役小角が開山したと言われており、祭神は日本創世の神、伊邪那岐命と伊邪那美命の第2番目の御子である石鎚毘古命。
そして石鎚毘古命に民の声を伝え、民に助力するのが役小角が転生した大天狗・石鎚山法起坊である。
「ここからは徒歩になります。季節的に凍結は無いと思いますが、寒さ対策だけはしておいて下さい」
「ありがとうございます。藤倉さんはここで待機を。もし昼までに戻らなかったなら一度宇和島へ帰還してください。『特殊対策室』の方から警察に連絡が行くと思いますので……」
「わかりました。……。お二人とも、お気を付けて」
藤倉の言葉に頷いたスミジと伊庭は、山頂である天狗岳を目指す。由来する各神社を巡ることも考えたが、スミジは霊力の微かな気配から石鎚山法起坊は自然の中に居るだろうと判断したのだ。
「………。しかし、お前の格好は見てるだけで寒くなるな」
伊庭は途中で誂えた防寒着。登山用のリュックを背負い登山靴を履いている。が……スミジは例の如く作務衣にサンダル姿。
「いつもの姿だろ? 問題あるの?」
「せめて靴を履けよ……」
「このサンダルは特注品だよ? 踵も固定できるし滑ることもないし、頑丈だし。何が問題なんだよ?」
「……。もう良いわ。ホラ、行くぞ」
小さく溜め息を吐いた伊庭は頭部に小型ライトを固定し歩き始める。スミジはそんな伊庭の前に出て道の先導を始めた。
石鎚山は同じ愛媛県内とはいえ、その距離は大源寺から100㎞以上離れている。地理に明るい藤倉が運転を買って出てくれたことは渡りに船だったと言えよう。
「時間はどの位掛かりそうですか?」
「有料道路を使って最短でも二時間と少しでしょうか……。登山ならロープウェイ等もありますが、時間が遅いので……」
石鎚山を登るルートは幾つか存在する。そのどれを選ぶかによって交通ルートも変えねばならない。
そして今回は登山を楽しむのが目的ではない。より早く、かつ安全に向かえる道を藤倉は選択している。
「今向かっているのは『土小屋ルート』という石鎚山まで極力車で近付ける道です。登るのも比較的安全かとは思いますが、夜分なので危険であることは変わりません。本当に……行くのですか?」
藤倉もかつては祓い師……しかし、今は只人である。その体力・霊力の差を誰よりも理解している。
それは伊庭も分かっているらしく、心配する藤倉の言葉に苦笑いで答えるしかない。
「確かに私が同行するとスミジの足手まといになるかもしれません。とはいえ、本来なら明日まで待ちたいところですが悠長なことを言ってはいられませんし」
「そ、そうですね……」
「大丈夫です。先程は心源和尚の言葉に反発してしまいましたが、自分でも理解はしていますので……。邪魔になりそうなら途中で朝まで待機します。ともかく、急ぎましょう」
「わかりました」
冷静さを取り戻した伊庭の言葉に藤倉は頷いた。
国道→高速道路→国道→県道という少々複雑な経路を辿り、久万高原町にある石鎚神社付近の駐車場に停車。本来なら夜間通れぬ場所も有ったが、伊庭が上司に連絡し通行が可能となった。
霊峰・石鎚山──。
日本百名山、そして日本七霊峰に数えられる西日本最高峰の地。愛媛県西条市と久万高原町の境界に位置する山には、石鎚神社、前神寺、極楽寺、横峰寺が存在する。
修験道の開祖・役小角が開山したと言われており、祭神は日本創世の神、伊邪那岐命と伊邪那美命の第2番目の御子である石鎚毘古命。
そして石鎚毘古命に民の声を伝え、民に助力するのが役小角が転生した大天狗・石鎚山法起坊である。
「ここからは徒歩になります。季節的に凍結は無いと思いますが、寒さ対策だけはしておいて下さい」
「ありがとうございます。藤倉さんはここで待機を。もし昼までに戻らなかったなら一度宇和島へ帰還してください。『特殊対策室』の方から警察に連絡が行くと思いますので……」
「わかりました。……。お二人とも、お気を付けて」
藤倉の言葉に頷いたスミジと伊庭は、山頂である天狗岳を目指す。由来する各神社を巡ることも考えたが、スミジは霊力の微かな気配から石鎚山法起坊は自然の中に居るだろうと判断したのだ。
「………。しかし、お前の格好は見てるだけで寒くなるな」
伊庭は途中で誂えた防寒着。登山用のリュックを背負い登山靴を履いている。が……スミジは例の如く作務衣にサンダル姿。
「いつもの姿だろ? 問題あるの?」
「せめて靴を履けよ……」
「このサンダルは特注品だよ? 踵も固定できるし滑ることもないし、頑丈だし。何が問題なんだよ?」
「……。もう良いわ。ホラ、行くぞ」
小さく溜め息を吐いた伊庭は頭部に小型ライトを固定し歩き始める。スミジはそんな伊庭の前に出て道の先導を始めた。
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