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◆第六章 古き大妖◆
第三十一話 椿嵐、来たる
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石鎚山から宇和島・大源寺へ戻ったスミジと藤倉。早朝にも拘らず、大源寺では多くの僧侶達が慌ただしく動き回っていた。
一方、心源と蒼禅は本堂にて本格的な決戦準備を行っていた。急襲された昨日と違い装備や道具を念入りに準備する心源達は、スミジ達が戻ったことに笑顔を浮かべる。
「おう、戻ったか!」
「はい。お待たせしました」
「なぁに……コッチはコッチで、やるこたぁ山積みだからな……。……。で、首尾は?」
「概ねは良好、といった感じですね。その件でお話があります」
「フム……場所を変えるか」
心源の部屋へと移動し、スミジ、藤倉、心源、蒼禅の四名のみの対話の場が用意される。
そこでスミジはこれまでの経緯を伝えた。
牛鬼討伐に向かえるのは最低限の人数である四名……。加えて、石鎚山法起坊は直接戦わない。飽くまで支援をして貰える、といったものだった。
「成る程な。まぁ待ち続けて気疲れするより遥かにマシだわな」
「四名……という縛りは何故でしょうか?」
「蒼禅……お前や俺ならともかく、有象無象の僧を連れて行っても犠牲が増えると踏んだのかもな。若しくは牛鬼に覚らせねぇ為か……」
どのみち海岸沿いの住民を守る為にも僧の配置は変えられない。寧ろ実力者たる自分と蒼禅が分断されないのはありがたい、というのが心源の心境だ。
「場所も特定されたなら万々歳よ。となると、肝心な人選だが……お前は当てにして良いんだよな、道祖土スミジ?」
「ええ。その為に戻りましたので」
「これで三人だな。もう一人は……どうするよ?」
天元明智宗の僧侶を一人加えるのが妥当な線ではある……が、ここで部屋の外から若い僧の声が掛かった。
「失礼します、心源様。お客様がいらしゃいました」
「こんな朝早くにか? 一体誰だ?」
「『対策室』の依頼により派遣されて来た祓い師だそうですが……」
「ふむ。良し……連れてきてくれ」
「承知しました」
しばしして部屋に現れたのは五十程の女性。
緑の迷彩柄軍服にミリタリーベスト、そしてその手には日本刀。腰には拳銃らしきものを下げている。
一見して軍人……だが、確かに強い霊気を感じるので祓い師には違いない。
「失礼する。私の名は筧椿姫……超法規事例対策室所属・顧問。支援要請を受け加勢に来た」
「良く来て下された。私は……」
「あなたの事は知っている、心源殿。同じ祓い師だ。遠慮は要らんよ」
この言葉に心源はニヤリと笑みを浮かべる。
「それじゃ遠慮無く……天元明智宗の僧で、俺ぁ心源……こっちは蒼禅だ。アンタのことも知ってるぜ『椿嵐』さんよ?」
「随分懐かしい通り名だな。老いた私には少々過分だが……」
「ハッハッハ。謙遜すんなって。アンタからは研ぎ澄ました日本刀みてぇな気配がするぜ?」
祓い師・筧椿姫──超法規事例対策室所属の祓い師にして対策室統括顧問の女性。が、本当の所属は上位組織『護国統霊会』……現在の所属は若手育成として志願した一時的なものらしい。
若い時分には多くの怪異を祓った人物としてその名は広く知られている。戦いの凄まじさから付いた通り名『椿嵐』は、スミジさえも耳にしたことがあった。
そして……。
「師匠……」
「久し振りだな、桜子」
「ほ? まさか、藤倉署長の師匠だったたぁな……コイツは驚きだ」
かつて祓い師を目指す藤倉の師を買って出た人物こそ筧だったのだ。
「……。師匠が直接いらっしゃるなら連絡をして欲しかったです」
「何……可愛い元弟子を驚かせたかった。……。元気でやっている様で安心したよ」
「はい……ありがとうございます」
筧は藤倉に近付くとその頭にソッと触れ微笑んだ。
一方、心源と蒼禅は本堂にて本格的な決戦準備を行っていた。急襲された昨日と違い装備や道具を念入りに準備する心源達は、スミジ達が戻ったことに笑顔を浮かべる。
「おう、戻ったか!」
「はい。お待たせしました」
「なぁに……コッチはコッチで、やるこたぁ山積みだからな……。……。で、首尾は?」
「概ねは良好、といった感じですね。その件でお話があります」
「フム……場所を変えるか」
心源の部屋へと移動し、スミジ、藤倉、心源、蒼禅の四名のみの対話の場が用意される。
そこでスミジはこれまでの経緯を伝えた。
牛鬼討伐に向かえるのは最低限の人数である四名……。加えて、石鎚山法起坊は直接戦わない。飽くまで支援をして貰える、といったものだった。
「成る程な。まぁ待ち続けて気疲れするより遥かにマシだわな」
「四名……という縛りは何故でしょうか?」
「蒼禅……お前や俺ならともかく、有象無象の僧を連れて行っても犠牲が増えると踏んだのかもな。若しくは牛鬼に覚らせねぇ為か……」
どのみち海岸沿いの住民を守る為にも僧の配置は変えられない。寧ろ実力者たる自分と蒼禅が分断されないのはありがたい、というのが心源の心境だ。
「場所も特定されたなら万々歳よ。となると、肝心な人選だが……お前は当てにして良いんだよな、道祖土スミジ?」
「ええ。その為に戻りましたので」
「これで三人だな。もう一人は……どうするよ?」
天元明智宗の僧侶を一人加えるのが妥当な線ではある……が、ここで部屋の外から若い僧の声が掛かった。
「失礼します、心源様。お客様がいらしゃいました」
「こんな朝早くにか? 一体誰だ?」
「『対策室』の依頼により派遣されて来た祓い師だそうですが……」
「ふむ。良し……連れてきてくれ」
「承知しました」
しばしして部屋に現れたのは五十程の女性。
緑の迷彩柄軍服にミリタリーベスト、そしてその手には日本刀。腰には拳銃らしきものを下げている。
一見して軍人……だが、確かに強い霊気を感じるので祓い師には違いない。
「失礼する。私の名は筧椿姫……超法規事例対策室所属・顧問。支援要請を受け加勢に来た」
「良く来て下された。私は……」
「あなたの事は知っている、心源殿。同じ祓い師だ。遠慮は要らんよ」
この言葉に心源はニヤリと笑みを浮かべる。
「それじゃ遠慮無く……天元明智宗の僧で、俺ぁ心源……こっちは蒼禅だ。アンタのことも知ってるぜ『椿嵐』さんよ?」
「随分懐かしい通り名だな。老いた私には少々過分だが……」
「ハッハッハ。謙遜すんなって。アンタからは研ぎ澄ました日本刀みてぇな気配がするぜ?」
祓い師・筧椿姫──超法規事例対策室所属の祓い師にして対策室統括顧問の女性。が、本当の所属は上位組織『護国統霊会』……現在の所属は若手育成として志願した一時的なものらしい。
若い時分には多くの怪異を祓った人物としてその名は広く知られている。戦いの凄まじさから付いた通り名『椿嵐』は、スミジさえも耳にしたことがあった。
そして……。
「師匠……」
「久し振りだな、桜子」
「ほ? まさか、藤倉署長の師匠だったたぁな……コイツは驚きだ」
かつて祓い師を目指す藤倉の師を買って出た人物こそ筧だったのだ。
「……。師匠が直接いらっしゃるなら連絡をして欲しかったです」
「何……可愛い元弟子を驚かせたかった。……。元気でやっている様で安心したよ」
「はい……ありがとうございます」
筧は藤倉に近付くとその頭にソッと触れ微笑んだ。
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