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◆第六章 古き大妖◆
第四十九話 摂理
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スミジがそう呟いたのを皮切りに戦いは再開された。
牛鬼は更に小さくなった分素早さが増しては居たが、同時にその力は大きく削がれていた。スミジの拳と筧の刀は牛鬼の足を砕き叩き斬って数を減らす。
時折吐き出す呪詛を含んだ毒も赤龍の炎や筧の霊印術で散らされ効果は薄い。それでも牛鬼は未だ並の怪異とは一線を画す強さを保っていた。
一方で周囲に散った呪詛はスミジが顕現させたままの『箒神』が浄化している。一度顕現させた【霊気写法】はスミジが解除しない限り顕現に使用した霊力が尽きるか打ち破られるまで消えない。
本来なら浄化にも霊力を消費するのだが、『箒神』は存在自体に『穢れを祓う』効果がある為場に居るだけでも効果がある。牛鬼の邪気が弱まった今、スミジは顕現させたままの状態で控えさせていた。
牛鬼を疲弊させたのは間違いなくこの場の祓い師達の力──心源と蒼禅、二人の力が無ければ成し得なかったこと……そう感じた筧はふと笑みを浮かべた。
『何が可笑しい、女……』
「フフッ。考えてみろ、牛鬼? 今のお前は何故それ程弱っている? あれ程の巨体が今や羆程にまで縮んで二人となった私達にさえ押されている理由は何だ?」
『………』
「教えてやろう。それが“摂理”だからだ」
『摂理……だと?』
牛鬼は足の一つを筧に向け振り下ろすがこれをスミジが横合いから殴り砕く。互いに視線を交わしたスミジと筧……この短時間で連携を見事に熟している。
「そう……摂理だ。牛鬼よ……【あやかし】の力は何だ? その力は何故【あやかし】に宿る?」
『何が言いたい?』
「【あやかし】の力の根源は存在だ。そしてその存在の力の多くは自然現象の置き換えでもある。お前は海の【怪異】としての力を多く宿していた。それだけではない……毒は火山性のガス、呪詛は夜の闇……力は抗えぬ自然そのものだと言って良いだろう。だがな……」
筧はその刃で更に牛鬼の脚を断つ。唸りを上げる牛鬼に構うことなく筧は言葉を繋げた。
「過剰な力は大抵一過性のもの。多少の差はあれど永遠に続くことはない。それが摂理……」
台風も火山も地震も、自然災害は動と静がある。地球が星として生物を内包出来ている奇蹟はそういった摂理があるからなのだ。
「そして人もまたその摂理の一つ。自然を複数内包し害を為すものが存在するならば、均衡を保つ為にそれを討ち果たす存在があるとは思わないか?」
『それが祓い師とでも言うのか? くだらぬわ』
「フッ……。だが、現にお前は祓い師である私達が抑えているだろう? 我々祓い師は抑止力……だからお前を討滅するに相応しい人材が来た。お前はそうなるべく運命の中に居るのだよ」
『……。ベラベラと良く喋る不快な女め。ならば先ずは貴様を屠りその言葉を否定してくれる!』
筧の言葉に憤慨した牛鬼は脚を再生させ一気に攻めに転じる。だが、これこそが筧の狙い……。
それは【言霊】を用いた誘導……術中に嵌まった牛鬼はスミジに対する警戒を怠った。
この間にスミジは力を凝縮し左手の赤龍へと流し込む。赤龍は灼けたように鈍い赤の光を放ち始めた。
それを感じ取った筧は怒涛の剣術で再び牛鬼の脚を次々に断ち斬った。再生の追い付かぬ速度で動き続け、更には胴を貫き頭部にある角を一つ斬り落とす。
『椿嵐』──その名はあまりに苛烈な剣技から付いた通り名……流石の牛鬼も一瞬怯み動きが止まった。
その瞬間をスミジは見逃さない。
牛鬼の眼差しは下方の筧へと向いている。その死角……上空からの落下を加え、赤龍の炎を腕に纏い放たれた拳が牛鬼の背を穿つ。牛鬼は紅蓮の炎に包まれ咆哮を上げた……。
牛鬼は更に小さくなった分素早さが増しては居たが、同時にその力は大きく削がれていた。スミジの拳と筧の刀は牛鬼の足を砕き叩き斬って数を減らす。
時折吐き出す呪詛を含んだ毒も赤龍の炎や筧の霊印術で散らされ効果は薄い。それでも牛鬼は未だ並の怪異とは一線を画す強さを保っていた。
一方で周囲に散った呪詛はスミジが顕現させたままの『箒神』が浄化している。一度顕現させた【霊気写法】はスミジが解除しない限り顕現に使用した霊力が尽きるか打ち破られるまで消えない。
本来なら浄化にも霊力を消費するのだが、『箒神』は存在自体に『穢れを祓う』効果がある為場に居るだけでも効果がある。牛鬼の邪気が弱まった今、スミジは顕現させたままの状態で控えさせていた。
牛鬼を疲弊させたのは間違いなくこの場の祓い師達の力──心源と蒼禅、二人の力が無ければ成し得なかったこと……そう感じた筧はふと笑みを浮かべた。
『何が可笑しい、女……』
「フフッ。考えてみろ、牛鬼? 今のお前は何故それ程弱っている? あれ程の巨体が今や羆程にまで縮んで二人となった私達にさえ押されている理由は何だ?」
『………』
「教えてやろう。それが“摂理”だからだ」
『摂理……だと?』
牛鬼は足の一つを筧に向け振り下ろすがこれをスミジが横合いから殴り砕く。互いに視線を交わしたスミジと筧……この短時間で連携を見事に熟している。
「そう……摂理だ。牛鬼よ……【あやかし】の力は何だ? その力は何故【あやかし】に宿る?」
『何が言いたい?』
「【あやかし】の力の根源は存在だ。そしてその存在の力の多くは自然現象の置き換えでもある。お前は海の【怪異】としての力を多く宿していた。それだけではない……毒は火山性のガス、呪詛は夜の闇……力は抗えぬ自然そのものだと言って良いだろう。だがな……」
筧はその刃で更に牛鬼の脚を断つ。唸りを上げる牛鬼に構うことなく筧は言葉を繋げた。
「過剰な力は大抵一過性のもの。多少の差はあれど永遠に続くことはない。それが摂理……」
台風も火山も地震も、自然災害は動と静がある。地球が星として生物を内包出来ている奇蹟はそういった摂理があるからなのだ。
「そして人もまたその摂理の一つ。自然を複数内包し害を為すものが存在するならば、均衡を保つ為にそれを討ち果たす存在があるとは思わないか?」
『それが祓い師とでも言うのか? くだらぬわ』
「フッ……。だが、現にお前は祓い師である私達が抑えているだろう? 我々祓い師は抑止力……だからお前を討滅するに相応しい人材が来た。お前はそうなるべく運命の中に居るのだよ」
『……。ベラベラと良く喋る不快な女め。ならば先ずは貴様を屠りその言葉を否定してくれる!』
筧の言葉に憤慨した牛鬼は脚を再生させ一気に攻めに転じる。だが、これこそが筧の狙い……。
それは【言霊】を用いた誘導……術中に嵌まった牛鬼はスミジに対する警戒を怠った。
この間にスミジは力を凝縮し左手の赤龍へと流し込む。赤龍は灼けたように鈍い赤の光を放ち始めた。
それを感じ取った筧は怒涛の剣術で再び牛鬼の脚を次々に断ち斬った。再生の追い付かぬ速度で動き続け、更には胴を貫き頭部にある角を一つ斬り落とす。
『椿嵐』──その名はあまりに苛烈な剣技から付いた通り名……流石の牛鬼も一瞬怯み動きが止まった。
その瞬間をスミジは見逃さない。
牛鬼の眼差しは下方の筧へと向いている。その死角……上空からの落下を加え、赤龍の炎を腕に纏い放たれた拳が牛鬼の背を穿つ。牛鬼は紅蓮の炎に包まれ咆哮を上げた……。
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