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第七章 イコク ノ ハライシ
第三話 人手を巡る品
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【何度も帰ってくる品】は一度店で買い取ったものが返却、または持ち主を変えて売りに来ること。判断基準として、どんな経緯でも三度店に戻った場合は販売を一時差し控えることになっている。
対して【気持ち悪い品】は単純な直感……という訳でも無い。実のところ店には御門による弱い結界が張られており、呪物などが紛れた際に従業員が違和感を感じる様になっていた。
リサイクルショップという性質上【曰く付き】の品物と言っても様々だ。椅子などの家具からプラスチック製のおもちゃの指輪まで存在し統一性が無い。金庫に入れられた【曰く付き】の品は定期的に御門の手により祓われ正常な品として世の中へと送り出されている。
その際、安値で売られた品が正当な価格設定となりリサイクルショップに利益を齎すことも多い。これは『物祓い専門』の約得でもある。
「さぁて……。今回の品はどんなモンかね」
銀色の大きい金庫のロックを解除し重い扉を開いた御門は、内に収められていた古びたギター、細長い木製の箱、小さな段ボールの三つを手に取り事務机の上に並べる。しばし品を眺めた末最初に手を付けたのは両掌に乗るサイズの段ボールだった。
ガムテープによる封を無造作に剥がし箱を開けば緩衝材に包まれた黒い塊。御門はそれを丁寧に剥がすと中身は黒い和紙に包まれた品が二つ……。
「……。随分と念入りなこった」
和紙を先程より更に慎重に剥がし現れたのは漆塗りの椀。落ち着いた赤の漆にはそれぞれ金の鶴と亀が描かれている。
御門は鑑定用の手袋を装着し改めて丁寧に確認する。
「夫婦茶碗……? 傷が無いってことは使用目的じゃなく記念品か……」
状態は非常に良好。品としても良いものでこのまま売ることは簡単にできる。しかし、これは社員達に【気持ち悪い品】と判断されたもの……勿論、そこには理由がある筈なのだ。
そしてこういった場合、御門は店として損になることを理解している。理解していながらも作業を続けた。
「え~と……何々? 売り主は廣田光枝。住所は……」
帳簿で売り主の情報を確認した御門は机の端に置いていた携帯端末を取り出し何処かへ通話を繋ぐ。
「あ~……もしもし、勝っちゃん?」
『御門か。いつもの依頼か?』
「そうそう。名前は廣田光枝。住所は……」
『わかった。折り返す』
「んじゃ、報酬は後から振り込んどくからヨロシク~」
僅か十秒程のやり取り。“勝っちゃん”と呼ばれた相手が通話を切ってやはり一分程で御門の携帯端末にメールが届く。
そこには廣田光枝に関する情報が家族構成、所得、職業、資産など事細かに書かれていた。
「流石勝っちゃん、仕事早ぇな」
御門が連絡を取った相手は裏社会の情報屋……名を宇喜多勝明という。無論、偽名ではあるが本名は誰も知らない。
「え~と、何々……。廣田光枝、四十八歳。夫は……まぁこの辺はいいや」
必要な情報のみ求めメールを飛ばし読みする御門はある文章のところで操作の手を止めた。
『父・廣田健司は五年前に他界。母・美津子は娘夫婦と同居するも翌年に認知症を発症。以来、介護施設に入所している。新築建て替え目的で最近光枝が家財処分を行った模様』
この情報で全てを理解した御門は漆塗りの椀を丁寧に包み段ボールへと戻す。そして手に取ったボールペンにて介護施設の住所を殴り書きしガムテープで段ボールに貼り付けた。
「良し、一つ目は問題無し。まぁ儲けにはなら無いけど仕方無い。それより次だ、次」
御門は椀の入った段ボールを小さい金庫の上に乗せ次の品の確認を始めた。
対して【気持ち悪い品】は単純な直感……という訳でも無い。実のところ店には御門による弱い結界が張られており、呪物などが紛れた際に従業員が違和感を感じる様になっていた。
リサイクルショップという性質上【曰く付き】の品物と言っても様々だ。椅子などの家具からプラスチック製のおもちゃの指輪まで存在し統一性が無い。金庫に入れられた【曰く付き】の品は定期的に御門の手により祓われ正常な品として世の中へと送り出されている。
その際、安値で売られた品が正当な価格設定となりリサイクルショップに利益を齎すことも多い。これは『物祓い専門』の約得でもある。
「さぁて……。今回の品はどんなモンかね」
銀色の大きい金庫のロックを解除し重い扉を開いた御門は、内に収められていた古びたギター、細長い木製の箱、小さな段ボールの三つを手に取り事務机の上に並べる。しばし品を眺めた末最初に手を付けたのは両掌に乗るサイズの段ボールだった。
ガムテープによる封を無造作に剥がし箱を開けば緩衝材に包まれた黒い塊。御門はそれを丁寧に剥がすと中身は黒い和紙に包まれた品が二つ……。
「……。随分と念入りなこった」
和紙を先程より更に慎重に剥がし現れたのは漆塗りの椀。落ち着いた赤の漆にはそれぞれ金の鶴と亀が描かれている。
御門は鑑定用の手袋を装着し改めて丁寧に確認する。
「夫婦茶碗……? 傷が無いってことは使用目的じゃなく記念品か……」
状態は非常に良好。品としても良いものでこのまま売ることは簡単にできる。しかし、これは社員達に【気持ち悪い品】と判断されたもの……勿論、そこには理由がある筈なのだ。
そしてこういった場合、御門は店として損になることを理解している。理解していながらも作業を続けた。
「え~と……何々? 売り主は廣田光枝。住所は……」
帳簿で売り主の情報を確認した御門は机の端に置いていた携帯端末を取り出し何処かへ通話を繋ぐ。
「あ~……もしもし、勝っちゃん?」
『御門か。いつもの依頼か?』
「そうそう。名前は廣田光枝。住所は……」
『わかった。折り返す』
「んじゃ、報酬は後から振り込んどくからヨロシク~」
僅か十秒程のやり取り。“勝っちゃん”と呼ばれた相手が通話を切ってやはり一分程で御門の携帯端末にメールが届く。
そこには廣田光枝に関する情報が家族構成、所得、職業、資産など事細かに書かれていた。
「流石勝っちゃん、仕事早ぇな」
御門が連絡を取った相手は裏社会の情報屋……名を宇喜多勝明という。無論、偽名ではあるが本名は誰も知らない。
「え~と、何々……。廣田光枝、四十八歳。夫は……まぁこの辺はいいや」
必要な情報のみ求めメールを飛ばし読みする御門はある文章のところで操作の手を止めた。
『父・廣田健司は五年前に他界。母・美津子は娘夫婦と同居するも翌年に認知症を発症。以来、介護施設に入所している。新築建て替え目的で最近光枝が家財処分を行った模様』
この情報で全てを理解した御門は漆塗りの椀を丁寧に包み段ボールへと戻す。そして手に取ったボールペンにて介護施設の住所を殴り書きしガムテープで段ボールに貼り付けた。
「良し、一つ目は問題無し。まぁ儲けにはなら無いけど仕方無い。それより次だ、次」
御門は椀の入った段ボールを小さい金庫の上に乗せ次の品の確認を始めた。
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