ソリティア 転生者の望まぬ隠遁生活

蒼村嬉享

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第0章 闇の中の出会い

第一話 神様との出逢いってもっと神々しいものだと思ってた

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 何も見えない暗闇──目を開けているのか閉じているのかさえも判らない……。そんな場所で僕は意識を取り戻した。


 初め僕は何も考えられなかった。自分が誰で、何処に居るのかなんて全く考え付かず呆けていた。でも、突然頭の中に【最後の記憶】が鮮明な奔流となり溢れだした。

 それは大きな地震……けたたましいサイレン……悲鳴……呻き声……。そして自分の弱くなっていく心臓の音と苦しい呼吸──。

 この時点でようやく記憶を完全に取り戻し自分に何があったかを理解した。


 僕は……僕の名は安岐川あきかわあゆむだ。ごく平凡な高校生で、日本で起きた災害で命を落とした……んだと思う。


「はいはい。良くできました~、ってな」

 突然闇の中に響く声と拍手──。

 この暗闇だ……今の今まで僕以外にも誰かが居たことに全く気付かなかった。それに、さっきまでは完全な無音……。自分の声も心音も、呼吸音さえも……あれ?もしかして僕、呼吸してない?

「そりゃあ聞こえる訳ゃねぇよなぁ。オメェさんは死んでるんだしよ」

 死んで……る?

「ああ。此処に居るのはオメェさんの魂だけよ。思い出したんだろ? 死んだ時の記憶をよ?」

 …………。

 そう……死んでいて当然だった。あの感じは思い出すだけでゾワリと怖気がはしる。

 そうだ!それより家族は?お父さんは?お母さんは?お祖母ちゃんは?お姉ちゃんや弟達は?ああ……どうか、皆無事で……。

「心配すんな。全員無事だよ……オメェさん以外はな。しっかし、オメェさんもツイてねぇな? 不幸に不幸が重なっちまった結果死んだ訳だしな」

 あの……失礼ですが、アナタは?

「おお……コイツぁ悪かったな。じゃあ、お互い自己紹介といこうかね?」

 暗闇の中に浮かび上がる指輪だらけの手がパチリと軽快な音を鳴らした。途端、上空からスポットライトで照らしたように光が射し込む。

 僕の目の前に現れたのは……マフィアのボス風の……五十代くらいに見えるスマートな男の人……。

「誰がマフィアのボスだ、誰が。俺は神だぞ? それもかなり上位のな?」

 神……様……?でも……イタリア製の特注の様な赤地に黒の縦ストライプスーツ、ピッチリと撫で付けた白髪混じりの黒髪オールバック、両手の指には宝石の付いた指輪、そして白のロングマフラーとワニ革のローファー、口には葉巻を咥えているんですよ?あ……もしかしてカミーダさんという名前ですか?

「………ハッ。テェした度胸だな、こんな状況で」

 ご、ごめんなさい……お願いですからその手の銃を向けないでください。

「ハァ~……まぁ良いか。これまでの奴等に比べりゃかなりマシな方だしよ」

 ……?

「おっと……魂の状態じゃ会話がやりにくいな。ちっと待ってな」

 ドン……じゃなかった。神様?がまた指を鳴らすと……。

「……あ、あれ? 手や足が……この手触り……声……。これは僕の身体?」
「そ~だよ。なぁ、オメェさんよ。ちっとばかり話をしようや」
「て、鉄砲玉ならお断りします」
「……いい加減マフィアから離れろ、コラ」

 眉間に皺を寄せて口許だけ歪んだ笑いを浮かべる神様……。その迫力に僕は無言になるしかなかった……。
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