ソリティア 転生者の望まぬ隠遁生活

蒼村嬉享

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第二章 新しい日常へ

第四話 どんな相手にも敬意を払って接することは大切なこと

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 思わぬ社会勉強で少し疲れた僕は一度神社に帰宅することにした。調べることは山程あるけどまた次回ということで……。

 途中、少しスーパーマーケットに寄ってみた。図書館で借りたペンは返したので何か書けるものが欲しかった。ついでに何か食べ物や細々こまごまとしたものがあると助かるかと思ったんだ。
 あ……セルフレジ!良し、これで買い物は出来ることが判った。但し買い物袋はマイバッグが必要だ。これも買わないと……。

 何だか主夫になった気分だ……。お金は大事に使わないとね。

 ………。マウとマウのお父さん用に奮発して猫缶を買った。マウのお父さんはあの身体だから五つくらい必要かな……結構高い。でも、これは必要経費だと考えれば安いものかな。
 ついでに他の猫達の分の猫缶……は流石に破綻するから、猫用おやつジャーキーの特大袋を幾つか購入。………。これで足りるかなぁ。

 帰り道に寄った廃工場。正面は厳重に封鎖されていて入れなかったので裏から回る。成る程……これなら猫も侵入者が少なくて安心だね。

 そうして中に入ると……マウのお父さんが何故か既に待っていた。そういえば妖精なんだよね、マウのお父さんは……。僕たちの気配を読んだのかな?

「昨日は助かりました。これ、御礼です」
「グルル……」

 うん!相変わらず迫力満点!

 ……と、ともかく、僕は急いで猫缶を開けて用意した皿に盛り付けた。二、三度匂いを嗅いだ後、マウのお父さんは一口食べた。

「ウニャアァァオォォ~ン!」

 あ……これ、絶対『ウマイぞ~!』って言ってる。凄い勢いで食べ始めた。
 この猫缶てそんなに美味いのか……覚えておこう。

 他の猫が羨ましそうに集まってきた。

「ゴメンね~? 君達にはこっちをあげる。いつかお金の余裕ができたら君たちにも用意するからね~?」

 猫用ジャーキーを開封すると猫が我先にと迫る……これはカワイイ。

 その間にマウのお父さんは食べ終わっていた。ずっと口の周りを舐めている。……。お礼にはなったみたいで良かった。

「……。実は僕、神様になりまして……」
「………」
「マウのお父さんなんですよね? 今回は助かりました。それでですね……今後も力を借りられれば助かるんですが……」
「…………」

 猫……というより、最早黒豹を相手に敬語で語る僕……。周囲から見たら結構変に見えるかな?いやいや……でも、この辺りは礼儀だから。

 ………。マウのお父さんに反応はない。そういえば意思疎通できなかったっけ。僕が困ったようにマウを見ると、マウ達は前回同様に向き合い話し合いを始めた。

 やっぱりマウのお父さんの鳴き声に可愛い声が混じる……。う~ん、父の愛かな?そういえばマウのお母さんは?お父さんこんなに大きいならお母さんも大きいのかな?

 ………。謎は謎のままにしておこう。

 しばらく話し合っていたマウとマウのお父さん。マウのお父さんは僕の前に来て伏せた。

「え……? どういうこと?」
「ニャア」

 マウの思考が何となく解る……。

「えっ? お、お父さんも僕の眷族になるの? 本当に?」
「ンナァ~」
「それは有り難いけど……い、良いんですか?」
「ンナルァ~ルゥゥ!」
「わ、分かりました。じゃ、じゃあ……」

 猫達の主を神使にすれば一気に情報網が拡がる。それは有り難い。でも、マウもそうだけど使いっ走りにはしたくない。

「じゃあ、僕の家族になって……無理強いとかはしないから、手伝ってくれます?」
「ナァ━━━━ルゥ!」
「……分かりました」

 マウのお父さんの額に左手を翳すと、金時計から光の輪が生まれマウのお父さんの首に巻き付いた。光が消えればそこには金の鎖が巻き付いていた。

 うん!何か迫力が増したね!

「……そういえばマウのお父さんの名前は?」
「ンルフゥ~……」

 眷族になったからマウ同様に何となく意思が伝わってくる。名前は……あるけど新しいのが欲しいみたいだ。

「本当に良いんですか?」
「ナァ~」

 敬語も要らないみたいだ……立場が違うからだって。

「分かった。じゃあ、君の名は……ロデ……いや、トムで」
「………ニャ」

 猫のぬしトムが仲間になった!

 ……。これで眷族は二人?になった。そこで一つ、トムに提案を……。

「ねぇ、トム? ウチ来る?」
「ウナァ~?」
「安岐川神社っていうんだけど、マウと二人で住んでるんだ。一緒に暮らさない?」
「……ウナァ~」

 了承の意思……トムもウチで暮らすことになった。

 神社の地下空間?は広いから結構大丈夫だろうと思う。それに、マウもその方が喜ぶかなって思った末の選択だ。


 そうして皆で帰った神社……何と社の前に狛犬ならぬ猫の石像が……。


 この日──僕は初めて『神社が状況で進化する』ことを知った……。
 
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