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テンプレ悪役令嬢の末路
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フィーリアは公爵令嬢らしい。そして、三度の婚約破棄を経験している…らしい。らしいばっかなのは本人から聞いた話ではなくて、昼寝中に屋敷を掃除しているメイドたちが話していたのが聞こえたからだ。
どうやらフィーリアは恋多き令嬢らしく何度も一目惚れしているとか。そして公爵家の権力を使ってその相手に婚約を申し込み――結果として三度破棄される結末になっている。
同じ相手ではなく、別々の相手なのだから学習能力がないだとか我儘だとか好き放題言っていたっけな。
一人目は男爵家の、フィーリアと同い年の長男。十歳の時、お茶会で会った彼に一目惚れしたフィーリアは親に行って無理に婚約関係になった。
……その三か月後のこと。長男の彼はなんと庶民と恋をしていたらしい。二人の逢瀬を偶々見てしまったフィーリア、そしてメイドたち――婚約関係はたった三か月で終わった。
二人目は庶民出の騎士。当時十二歳だったフィーリアの五つ上だった。
これも両親に無理言って婚約関係を結んだが――半年も持たずに終わってしまった。フィーリアが度々騎士団を訪れ、一切訓練も出来ず騎士の仕事に支障が出てしまって…騎士団長からクレームが入りなんだかんだ破棄になった。
三人目は……同じ公爵家の二つ年下の男の子。彼とはなんと一週間で終わったらしい。
彼には…いや、当時学園には男女ともに好かれていたとても可愛い女の子が居て、彼女と接しているうちに好きになってしまったと。その上フィーリアが彼女のことを嫌がらせや悪口を言いまくって追い詰めたこともあって、あっさり婚約破棄されてしまったらしい。…といっても本当に悪口を言っていたのかはわからないし、話だけ聞くと婚約者が居る身にちょっかい掛ける女の子の方もどうかとも思ったが。
(……フィーリアは典型的な悪役令嬢だな)
それでもめげずに恋をしてはアタックする。
今は、レジェを追っかけているし。心意気は認めるけど、一方通行なのは見ていて可哀想になってくる。レジェに一度会ってあげたらどうかと言ってみたが苦笑いだけで終わらされてしまった。無理強いは良くないと思ったのでそれ以上フィーリアに会うように言うのはやめた。
「……ねえ、ホニィ」
「なに」
執務室のソファに寝転がるわたしの反対側にお行儀よく座っているフィーリアを横目で見る。少し寂しそうな、悲しそうな顔をしていて、わたしは少し困ってしまう。
「レジェ様は、わたくしに会いたくないのかしら」
「…さあ」
そうだよ、とも、違うよ、とも言わなかったのにすごく安心した顔をしている。
「ねえ、フィーリアはレジェのこと好きなの?」
「ええ、好きですわ」
少し頬を赤らめて、瞳を輝かせてはっきりと頷くフィーリア。
その顔があんまりにも恋する乙女で…ちょっとだけ綺麗だな、なんて思ってしまった。
フィーリアはフィーリアで、突っ走ってしまうこともあるかもしれないけど、それでもちゃんと自分の想いはしっかりしてたのかな。
「レジェに会えるといいね」
「……ええ」
強かな女の子は嫌いじゃない。
仕方ない、今度レジェが出ていくとき邪魔でもしてやろう。
どうやらフィーリアは恋多き令嬢らしく何度も一目惚れしているとか。そして公爵家の権力を使ってその相手に婚約を申し込み――結果として三度破棄される結末になっている。
同じ相手ではなく、別々の相手なのだから学習能力がないだとか我儘だとか好き放題言っていたっけな。
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「なに」
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