14 / 44
13:悪役令嬢仲間にご対面です
しおりを挟む
さあ、いよいよ悪役令嬢仲間とのご対面だ――――!
「お待たせしてすみません、皆様。ご機嫌麗しゅう」
出来るだけ取り繕った優雅さのある笑みを浮かべて中に入ると、令嬢たちがわたしを見る。全員なんだか元気ない…自信が無さそうな視線がわたしに向けられる。
……なんだか予想していたような悪役令嬢じゃない。
みんな縮こまっているように見えるし、互いに見合わせて気まずそうな空気である。…え?わたしなんかしちゃった?!遅刻はしたけど怖がられるような顔してるかな!…してるか。吊り目がちで悪役顔だよね!
「あ、あの、皆様?」
とりあえず気を取り直して出来るだけ笑顔を浮かべて声を掛けてみれば全員びくっと震えたのが見えた。
「お前…なんかやらかしたのかよ」
後ろからレオがひそひそと声を掛けてくる。
全くもって身に覚えがないのだが……悪評ならぬ奇妙な噂だけは流れてるだろうけど。
令嬢たちが互いに頷きあうと、その内の一人がわたしを真っ直ぐに見る。
ええと、あの子は確か一番の腰巾着できりっとした吊り目のカリーナだ。
「失礼いたしました、王女様。その…わたくしたちなんかをどうしてお茶会に呼んで頂けたのでしょうか…と気になってしまいまして…」
……どうしてって…お母様とドーラが選んだから理由は知らないんだけど。
「わたくしたち、他の令嬢からはあまり好まれておりませんので」
そう言ったのは茶色い髪にそばかす顔のジル。
前世の記憶をどうにか引っ張り出す。確か、悪役令嬢(フィア―ナ以外)たちは主人公に陥落するはずだ。その時に確か過去をぽろりと言っていた覚えがある。
カリーナは強気そうな顔立ちから嫌煙されていた。そこを拾い上げてくれたのがフィアーナだった。
ジルはそばかすを気にしていた。フィアーナがお化粧品をあげた。
もう一人ずっと黙っているのはテッサ。所謂コミュ障ってやつで、静かにしていてもフィアーナがお茶会に呼んでいた、と。
…三人ともフィアーナに救われていたからこそ慕って、アリスに嫌がらせをしていたんだっけ……そうそう。思い出した。
「まあ、他の令嬢たちがどう言っていようとわたしには関係ないし……とりあえず暗い顔やめてさ、ほら、うちの料理人が作ったお菓子美味しいのよ!」
ちなみに三人とも最終的にはアリスの方につくけど、まとめて追放されたような気がする。そんな可哀想なことはさせたくないので、腰巾着にならないように悩みは解決しないで、ちゃちゃっとお茶会を終わらせちゃいましょう!
わたしが両手いっぱいにお菓子を掴んで頬張るとびっくりした顔をしている。
「た、食べてもいいんですか…?」
「え?食べるために用意しているんでしょ?」
わたしの食べ様にドーラとレオは頭を抱えているけど、わたしが食べなかったらみんなも食べにくいだろうし。
三人とも顔を見合わせてから、恐る恐る手を伸ばす。
「いただきます…」
「はいどーぞ。自慢のシェフたちの自信作よ!」
お菓子を食べながらとりあえず適当な話題で一人盛り上げる。
お茶会いじめというのは会話にいれない、モノを食べさせない、わざとお茶をぶっかけるの三つだということを知らなかったわたしは三人に密かに懐かれたことを気付かずにいるのであった。
「お待たせしてすみません、皆様。ご機嫌麗しゅう」
出来るだけ取り繕った優雅さのある笑みを浮かべて中に入ると、令嬢たちがわたしを見る。全員なんだか元気ない…自信が無さそうな視線がわたしに向けられる。
……なんだか予想していたような悪役令嬢じゃない。
みんな縮こまっているように見えるし、互いに見合わせて気まずそうな空気である。…え?わたしなんかしちゃった?!遅刻はしたけど怖がられるような顔してるかな!…してるか。吊り目がちで悪役顔だよね!
「あ、あの、皆様?」
とりあえず気を取り直して出来るだけ笑顔を浮かべて声を掛けてみれば全員びくっと震えたのが見えた。
「お前…なんかやらかしたのかよ」
後ろからレオがひそひそと声を掛けてくる。
全くもって身に覚えがないのだが……悪評ならぬ奇妙な噂だけは流れてるだろうけど。
令嬢たちが互いに頷きあうと、その内の一人がわたしを真っ直ぐに見る。
ええと、あの子は確か一番の腰巾着できりっとした吊り目のカリーナだ。
「失礼いたしました、王女様。その…わたくしたちなんかをどうしてお茶会に呼んで頂けたのでしょうか…と気になってしまいまして…」
……どうしてって…お母様とドーラが選んだから理由は知らないんだけど。
「わたくしたち、他の令嬢からはあまり好まれておりませんので」
そう言ったのは茶色い髪にそばかす顔のジル。
前世の記憶をどうにか引っ張り出す。確か、悪役令嬢(フィア―ナ以外)たちは主人公に陥落するはずだ。その時に確か過去をぽろりと言っていた覚えがある。
カリーナは強気そうな顔立ちから嫌煙されていた。そこを拾い上げてくれたのがフィアーナだった。
ジルはそばかすを気にしていた。フィアーナがお化粧品をあげた。
もう一人ずっと黙っているのはテッサ。所謂コミュ障ってやつで、静かにしていてもフィアーナがお茶会に呼んでいた、と。
…三人ともフィアーナに救われていたからこそ慕って、アリスに嫌がらせをしていたんだっけ……そうそう。思い出した。
「まあ、他の令嬢たちがどう言っていようとわたしには関係ないし……とりあえず暗い顔やめてさ、ほら、うちの料理人が作ったお菓子美味しいのよ!」
ちなみに三人とも最終的にはアリスの方につくけど、まとめて追放されたような気がする。そんな可哀想なことはさせたくないので、腰巾着にならないように悩みは解決しないで、ちゃちゃっとお茶会を終わらせちゃいましょう!
わたしが両手いっぱいにお菓子を掴んで頬張るとびっくりした顔をしている。
「た、食べてもいいんですか…?」
「え?食べるために用意しているんでしょ?」
わたしの食べ様にドーラとレオは頭を抱えているけど、わたしが食べなかったらみんなも食べにくいだろうし。
三人とも顔を見合わせてから、恐る恐る手を伸ばす。
「いただきます…」
「はいどーぞ。自慢のシェフたちの自信作よ!」
お菓子を食べながらとりあえず適当な話題で一人盛り上げる。
お茶会いじめというのは会話にいれない、モノを食べさせない、わざとお茶をぶっかけるの三つだということを知らなかったわたしは三人に密かに懐かれたことを気付かずにいるのであった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
家を乗っ取られて辺境に嫁がされることになったら、三食研究付きの溺愛生活が待っていました
ミズメ
恋愛
ライラ・ハルフォードは伯爵令嬢でありながら、毎日魔法薬の研究に精を出していた。
一つ結びの三つ編み、大きな丸レンズの眼鏡、白衣。""変わり者令嬢""と揶揄されながら、信頼出来る仲間と共に毎日楽しく研究に励む。
「大変です……!」
ライラはある日、とんでもない事実に気が付いた。作成した魔法薬に、なんと"薄毛"の副作用があったのだ。その解消の為に尽力していると、出席させられた夜会で、伯爵家を乗っ取った叔父からふたまわりも歳上の辺境伯の後妻となる婚約が整ったことを告げられる。
手詰まりかと思えたそれは、ライラにとって幸せへと続く道だった。
◎さくっと終わる短編です(10話程度)
◎薄毛の話題が出てきます。苦手な方(?)はお気をつけて…!
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる