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14:考え事してると静かなんです
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お茶会は無事終わった。
帰るころには自信なさそうな顔がなんか微笑ましいような顔になっていた気がする上に、なんか妙にフラグを折りきれていないような気もするんだけど……まあいいか。
物語が着々と進んでいるような気がして焦っているわたしはここのところずっと考え事をしている。
そう、主人公が…わたしが生まれた村のことだ。
お母様も教えてくれないし、当時の侍女たちはほとんど結婚や出産で辞めてしまっているので聞きたいけど聞けないんだよね…残ってる侍女もお母様が口止めしてるし。
前世の記憶を頼りに思い出すしかないのだが、七年間の記憶もあるので薄れて行ってしまっている。
(美味しそうな名前だったことは憶えてるんだけど…)
――コンコン
部屋の扉がノックされる。そういえば最近このことを考えているので城どころか部屋から出ることもなかったな。大人しくしているのにお父様とお母様が物凄く心配していたっけ。
「ふぃ、フィアーナ」
「レオ様?」
ドーラが扉を開けると、レオが立っていた…花束を持って。
うん?なんで突然花束?あ、クラレットに渡したいけど渡せてないのね。さっさと渡せばいいのにきっと勇気が出なくてお膳立てしてほしいのね!?
「フィア」
「わかってますわ、レオ様!クラレットが侍女を辞めてしまう日。想いを告げて引き止めるなら今ですわ!いきましょう、レオ様!」
「はあ!?いやちが、これはお前――」
「さあさあ!急がないと!」
レオの手を掴んで引っ張る。部屋を出て少ししたところでお母様に見られてしまった。レディが男の子の手を引っ張って走る姿なんてはしたない!って怒られるかと思ったけど、微笑ましそうな目で見送られた。
(あれ?怒らないのかな?まあいっか)
城から走って五分。
レオの屋敷はすぐそこだ。これまた大きな屋敷がどーんと城の隣に立っている。
ちょうどクラレットが馬車に乗るところだったのを慌てて引き止める。
「クラレットーー!待ってーー!!」
「フィアーナ様!?」
びっくりした顔も可愛いなあ。ヒロインに匹敵するほどの可愛さだ。レオが惚れるのも納得できる。
「さ、レオ様!」
「ええ……」
クラレットを引き止めて、愛の告白をするなら今だ。
こんなシチュエーションはレオに貸した流行りの恋愛小説の最終回でもあったなあ!ドラマ撮影を見ているような気分でわくわくしてしまう。
「あほ野郎」
はあ、と溜息をついたレオがわたしにでこぴんする。弱い力だったけど、傷物になったらどうしてくれるんだまったく。
また溜息をついて、レオがクラレットに向き直る。
――モヤ
ん?なんだろ、なんかもやってしたような……気のせいか。
「レオ様、その花束は…」
「みなまで言うな」
「ああ……」
何故かクラレットの残念そうな瞳を浮かべる。えっと?告白のシーンなのよね?なんかお葬式に近い空気感を感じて気まずいぞ!?
ハッ。
そうよね。一応肩書き婚約者が近くに居たら告白なんてできないよね!?気が利かないわ、わたしったら。近くで見届けたい気持ちもあるけど、早く離れなきゃ――
「クラレット、お疲れ。今までありがとう」
「こちらこそお世話になりました。花束は渡したいお方へどうぞ」
クラレットがくすくす笑いながら頭を下げると、馬車に乗り込んでしまう。こんなあっさり別れていいのだろうか。
すぐに馬車が行ってしまったのをぽかんと見詰めていたけど、すぐにはっとしてレオに駆け寄る。
「れ、レオ様!?花束は――」
「話を聞けばか。お前にだよ。…ま、突っ走る元気があるなら必要ねーだろうけど」
…???
何を言いたいのかわからなくて、首を傾げてしまう。
「最近、元気ないって聞いたから」
そっぽ向いて、ぶっきらぼうに花束を差し出すレオ。
「――あ、ありがとうございます」
もやもやした気持ちがいつの間にかいなくなっている。花束を受け取れば、レオはちょっとだけ嬉しそうに笑った。
帰るころには自信なさそうな顔がなんか微笑ましいような顔になっていた気がする上に、なんか妙にフラグを折りきれていないような気もするんだけど……まあいいか。
物語が着々と進んでいるような気がして焦っているわたしはここのところずっと考え事をしている。
そう、主人公が…わたしが生まれた村のことだ。
お母様も教えてくれないし、当時の侍女たちはほとんど結婚や出産で辞めてしまっているので聞きたいけど聞けないんだよね…残ってる侍女もお母様が口止めしてるし。
前世の記憶を頼りに思い出すしかないのだが、七年間の記憶もあるので薄れて行ってしまっている。
(美味しそうな名前だったことは憶えてるんだけど…)
――コンコン
部屋の扉がノックされる。そういえば最近このことを考えているので城どころか部屋から出ることもなかったな。大人しくしているのにお父様とお母様が物凄く心配していたっけ。
「ふぃ、フィアーナ」
「レオ様?」
ドーラが扉を開けると、レオが立っていた…花束を持って。
うん?なんで突然花束?あ、クラレットに渡したいけど渡せてないのね。さっさと渡せばいいのにきっと勇気が出なくてお膳立てしてほしいのね!?
「フィア」
「わかってますわ、レオ様!クラレットが侍女を辞めてしまう日。想いを告げて引き止めるなら今ですわ!いきましょう、レオ様!」
「はあ!?いやちが、これはお前――」
「さあさあ!急がないと!」
レオの手を掴んで引っ張る。部屋を出て少ししたところでお母様に見られてしまった。レディが男の子の手を引っ張って走る姿なんてはしたない!って怒られるかと思ったけど、微笑ましそうな目で見送られた。
(あれ?怒らないのかな?まあいっか)
城から走って五分。
レオの屋敷はすぐそこだ。これまた大きな屋敷がどーんと城の隣に立っている。
ちょうどクラレットが馬車に乗るところだったのを慌てて引き止める。
「クラレットーー!待ってーー!!」
「フィアーナ様!?」
びっくりした顔も可愛いなあ。ヒロインに匹敵するほどの可愛さだ。レオが惚れるのも納得できる。
「さ、レオ様!」
「ええ……」
クラレットを引き止めて、愛の告白をするなら今だ。
こんなシチュエーションはレオに貸した流行りの恋愛小説の最終回でもあったなあ!ドラマ撮影を見ているような気分でわくわくしてしまう。
「あほ野郎」
はあ、と溜息をついたレオがわたしにでこぴんする。弱い力だったけど、傷物になったらどうしてくれるんだまったく。
また溜息をついて、レオがクラレットに向き直る。
――モヤ
ん?なんだろ、なんかもやってしたような……気のせいか。
「レオ様、その花束は…」
「みなまで言うな」
「ああ……」
何故かクラレットの残念そうな瞳を浮かべる。えっと?告白のシーンなのよね?なんかお葬式に近い空気感を感じて気まずいぞ!?
ハッ。
そうよね。一応肩書き婚約者が近くに居たら告白なんてできないよね!?気が利かないわ、わたしったら。近くで見届けたい気持ちもあるけど、早く離れなきゃ――
「クラレット、お疲れ。今までありがとう」
「こちらこそお世話になりました。花束は渡したいお方へどうぞ」
クラレットがくすくす笑いながら頭を下げると、馬車に乗り込んでしまう。こんなあっさり別れていいのだろうか。
すぐに馬車が行ってしまったのをぽかんと見詰めていたけど、すぐにはっとしてレオに駆け寄る。
「れ、レオ様!?花束は――」
「話を聞けばか。お前にだよ。…ま、突っ走る元気があるなら必要ねーだろうけど」
…???
何を言いたいのかわからなくて、首を傾げてしまう。
「最近、元気ないって聞いたから」
そっぽ向いて、ぶっきらぼうに花束を差し出すレオ。
「――あ、ありがとうございます」
もやもやした気持ちがいつの間にかいなくなっている。花束を受け取れば、レオはちょっとだけ嬉しそうに笑った。
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