転生悪役王女は平民希望です!

くしゃみ。

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19:可愛いは作れるんです

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 一応前世でも化粧くらいはできていた。中世な世界観だから化粧品とか揃っているかなと思っていたけど…日本の少女漫画だからだろう。知っているような道具ばかりだったので安心した。そういえば漫画の方でも普通の化粧品が描かれていたっけ。わたしは買わなかったけど、雑誌の方にはファンデーションとかアイシャドウの付録もついてきたらしい。

 アスフェリオスには身を任せてくれと言ってみたら案外素直に聞いてくれたので、まずは化粧を落として、しっかり化粧水で保湿をしたら……。
 まじまじとアスフェリオスを見る。ごてごての化粧でわからなかったけど、肌も白くてきれいで…まつ毛も長い。
 元が美少年なんだろう。ドーラも美人だし、化粧なんてしなくても十分可愛いと思うのに。これはがっつりメイク!っていうより、ナチュラルに、ちょっと薄めに……。

 …………うん。
 想像以上に美少女になった。ちょっと弄っただけなのに、この変わりようである。漫画のアシュリーそのままだ。きっと、元が良いからこそ、そしてわたしの腕前のおかげね!

「……うそ」

 アスフェリオスは鏡の中の顔を見てびっくりしているようだ。今のアスフェリオスはさっきと比べるとかなり顔が違って見える事だろう。
 こうして見るとドーラにも似ている。ドーラもすこしお化粧をすればこんなにかわいくなるんだろうな。そのうちちょっと顔弄らせて貰おうかな?

「かわいい…」
「うん、可愛い」

 呆然としているアスフェリオスを見て、自信満々に頷く。

「これなら、父様も姉様も認めてくれるかな」
「きっと認めるよ」

 やっぱり辺境伯とドーラに認めて貰いたかったんだね。嬉しそうな様子にわたしも嬉しくなる。きっと漫画ではここでばっさり気持ち悪いって吐き捨てたんだろう。以前のフィアーナならきっと言うだろうと容易に想像できる。

「姫様、大変お待たせして申し訳ございま…」
「ドーラ。丁度良かった」

 ようやくドーラとレオが戻ってきて、わたしの隣に居るアスフェリオスを見る。うーん、こうやってドーラと見比べてみると本当にそっくりだな。美人な顔をしている。

「アスフェリオス……」
「姉さま…」

 二人とも気まずそうな顔をして、俯いてしまった。折角の美人なのに顔が曇っていたら勿体ない。

「ドーラ、わたしが少し手を施したのよ。可愛いでしょう?」
「ええっ姫様が?は、はい…いえ、ですが」
「ねえドーラ。男の子だからってドレスを着てはダメなんてことないと思うの」

 前世だって、男でも可愛いものが好きで、可愛い恰好を好む人だっていた。女の人だって男の子みたいな恰好が好きな人もいるんだし、自由でいいと思うのよね。

「ね?認めてあげて」
「…姫様がそういうなら……」

 このアスフェリオスを見れば認めるだろうけど、きっと体裁ってものが邪魔しているんだと思う。一応まだ肩書きが王女のわたしが背中を後押しすれば、みんなも認める事だろう。
 ドーラも少しだけ安心したような顔で頷けば、突然扉が開いた。

「簡単に言われては困りますな」
「お父様!」
「ごきげんよう、辺境伯」

 むむ。ここでラスボスの登場か。
 わたしはここでアシュリーのフラグを折っておかないといけないのよ!
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