転生悪役王女は平民希望です!

くしゃみ。

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33:パン作りは難しいんです

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「よし、パン大会まであと二週間!優勝するぞーっ!」
「おーっ!ですわ!」

 知らなかったけど、パン大会まであとそんな日数しかないのか。
 それは大急ぎでパンを作る練習をしないといけないな。

「じゃーまずお前のパンの実力を見せてもらうぜ。おいジジイ、工房借りるぜ」
「好きにしろ」

 おじいさんの言葉を聞いて奥へと行くマルコの後を追う。さっきおじいさんが顔だしたところはどうやら厨房だったみたい。明かりが少なくて薄暗いけどパンを焼くための大きな釜戸と、広い台がある。
 マルコはいくつかの粉を取り出してボウルに流し込んでいる。

 …実力を見るって、まさか作れってこと?前回作ったときもうまく作れなかったけど……でも、前よりも大きくなっているし…。うん、大丈夫でしょう!

「わかりましたわ、ちょちょいと作りますわね!」

 そう意気込むわたしの後ろでは上兄様が笑いを堪えているのでした――。

***

「できました!」

 成長すれば料理も自然と出来るようになる。そう思っていた時期がわたしにもありました……。
 出来たのは、炭。さっきのマルコが作ったパンとそっくりです。いや、マルコのよりもひどいかも……マルコのは中はふんわりとしたパンだったけど、わたしのは中まで真っ黒焦げだもの…。

「……お前もか。作れると思ってたんだけど…」

 マルコの困った顔が見える。きっとわたしが作れるんだろうって期待していたんだろう。

「ご、ごめんなさい……」

 せっかくパン大会に出れるのに二人ともパンが作れないのは致命的すぎる。
 コゲコゲになったパンを見て、二人で項垂れてしまう。
 味見するまでもない。焦げて苦い味しかしないだろう。そう思ってたのに上兄様がパンを手に取った。

「お、お兄ちゃん?」
「火加減が強すぎるんじゃない?早く焼き上げたい気持ちはわかるけど、焦らず作ってみなよ二人とも」

 マルコと顔を見合わせる。火加減なんて何にも気にしてなかった。
 上兄様のアドバイスを聞いて頷き合うと腕捲りをして二つ目に取り掛かる。

「ありがとうございます、上兄様!わたしやってみますわ!」
「おお…確かにジジイにもよく火を大切に使えって…」

 納得したわたしたちは上兄様が許す時間の限りパンを作り、マルコはとてもパン作りが成長しました。
 わたしは……マルコから「試食係りで」と烙印を押されてしまったので大人しく上兄様とマルコがどうのこうのしている様子を眺めているのでした…。
 わたしに料理の才能は一切ないみたいだとはっきりわかった日になりました…。
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