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予想GUY・ナイスGUY
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良くも悪くも俺の予想は外れた。
てっきり騎士団たちはもう皆死んでしまったのかと思っていた。
確かに息絶えたものも見えるが、道中と合わせても死体を数えるのに片手で間に合いそうだ。
だが、騎士たちは無事かと聞かれれば首を横に振ることになりそうだ。
全員がまさに満身創痍と言う状態で、最前線にいるクロキーシに至っては今すぐにでも倒れそうだ。
そして何より驚いたのがこの状況を作り出しているのが一人の女盗賊だということだ。
「フフフ…みんなだらしないわねえ。まだオードブルだっていうのに…」
女盗賊が肉を貪り食いながらクロキーシに話しかける。
「こんな運動量じゃまた太っちゃうわ」
挑発する女盗賊をよそにクロキーシが俺へと視線を移す。
「何故来やがった…まぁいい。俺が時間を稼ぐから逃げてくれ。そして出来ればこいつらも連れてってやってくれ」
どこかあきらめた様子で部下を見るクロキーシ。
らしくない上司の姿に部下たちが一斉に口を開く。
「そんな!団長らしくないっすよ!相手は一人、確かに強いけど全員でかかれば…」
「そうだよ!奴も人間だし、人海戦術で…」
「違う。奴は人間なんかじゃない…そうだろ?」
クロキーシと女盗賊の目が合う。女盗賊は感心したように尋ねる。
「なぜわかったの?」
「攻撃を受けるときでさえずっと肉を食ってやがる。戦闘中も食事をする奴は俺は一人しか知らない…そして何より、その額に刻まれし【食】の刺青。魔王ハージメーの右腕、食のキノシッタンだな?まさか魔王とZOTが組んでいたとは…」
「食のキノシッタン?」
思わずクロキーシに聞いた。
「ああ、奴は魔物だ。それも普通の魔物じゃない…何が普通じゃないのかは俺も知らんがとりあえず普通じゃない」
「二つ名がある魔物なんて初めてだな」
「当たり前だ、【右腕】も【食】も奴が勝手にそう名乗っているだけだ。普通の魔物は恥ずかしくて二つ名なんか付けれない」
「何てやつだ…」
「あいつのことはこれでわかっただろう?仲間のことは頼む、逃げてくれ」
「クロキーシ…」
ゴンッ!
思いっきりクロキーシの頭を殴った。
「いきなりなにをするっ!」
「お前、歳はいくつだ?」
「今年で19になる!それがどうした!」
ゴンッ!
もう一度殴った。
「だから何「酒や女の味も知らねえガキが調子に乗んな」を…」
「その歳でそれだけの覚悟をもてるのはすごいと思う。だがな、生き急ぎすぎちゃいないか?」
「だが俺がやらなければ皆が!」
「俺は今年で32になった。そしてお前に覚悟があるように俺にも覚悟がある!」
「ジュンペイ…」
「だから…ここでお前らを守るのは一番年上の俺の役目だ」
「勝てる…のか?」
「まぁそこは賭けだな」
俺はまだ迷っているクロキーシの頭を叩いて優しく言った。
「これから先、生きていればまたこういう場面はやってくるぜ?今回はたまたまお前の出番じゃなかったんだよ。だからその命、お前の出番までとっておけ」
まだ動かないクロキーシを部下が連れて出ていく。
全員が逃げたのを確認した後、俺は敵を改めて見る。
相手は魔物。女のように見えるが魔物。
目の前の敵を睨み付け戦いの前に俺は
「女の味知りたかったなあ」と思った。
てっきり騎士団たちはもう皆死んでしまったのかと思っていた。
確かに息絶えたものも見えるが、道中と合わせても死体を数えるのに片手で間に合いそうだ。
だが、騎士たちは無事かと聞かれれば首を横に振ることになりそうだ。
全員がまさに満身創痍と言う状態で、最前線にいるクロキーシに至っては今すぐにでも倒れそうだ。
そして何より驚いたのがこの状況を作り出しているのが一人の女盗賊だということだ。
「フフフ…みんなだらしないわねえ。まだオードブルだっていうのに…」
女盗賊が肉を貪り食いながらクロキーシに話しかける。
「こんな運動量じゃまた太っちゃうわ」
挑発する女盗賊をよそにクロキーシが俺へと視線を移す。
「何故来やがった…まぁいい。俺が時間を稼ぐから逃げてくれ。そして出来ればこいつらも連れてってやってくれ」
どこかあきらめた様子で部下を見るクロキーシ。
らしくない上司の姿に部下たちが一斉に口を開く。
「そんな!団長らしくないっすよ!相手は一人、確かに強いけど全員でかかれば…」
「そうだよ!奴も人間だし、人海戦術で…」
「違う。奴は人間なんかじゃない…そうだろ?」
クロキーシと女盗賊の目が合う。女盗賊は感心したように尋ねる。
「なぜわかったの?」
「攻撃を受けるときでさえずっと肉を食ってやがる。戦闘中も食事をする奴は俺は一人しか知らない…そして何より、その額に刻まれし【食】の刺青。魔王ハージメーの右腕、食のキノシッタンだな?まさか魔王とZOTが組んでいたとは…」
「食のキノシッタン?」
思わずクロキーシに聞いた。
「ああ、奴は魔物だ。それも普通の魔物じゃない…何が普通じゃないのかは俺も知らんがとりあえず普通じゃない」
「二つ名がある魔物なんて初めてだな」
「当たり前だ、【右腕】も【食】も奴が勝手にそう名乗っているだけだ。普通の魔物は恥ずかしくて二つ名なんか付けれない」
「何てやつだ…」
「あいつのことはこれでわかっただろう?仲間のことは頼む、逃げてくれ」
「クロキーシ…」
ゴンッ!
思いっきりクロキーシの頭を殴った。
「いきなりなにをするっ!」
「お前、歳はいくつだ?」
「今年で19になる!それがどうした!」
ゴンッ!
もう一度殴った。
「だから何「酒や女の味も知らねえガキが調子に乗んな」を…」
「その歳でそれだけの覚悟をもてるのはすごいと思う。だがな、生き急ぎすぎちゃいないか?」
「だが俺がやらなければ皆が!」
「俺は今年で32になった。そしてお前に覚悟があるように俺にも覚悟がある!」
「ジュンペイ…」
「だから…ここでお前らを守るのは一番年上の俺の役目だ」
「勝てる…のか?」
「まぁそこは賭けだな」
俺はまだ迷っているクロキーシの頭を叩いて優しく言った。
「これから先、生きていればまたこういう場面はやってくるぜ?今回はたまたまお前の出番じゃなかったんだよ。だからその命、お前の出番までとっておけ」
まだ動かないクロキーシを部下が連れて出ていく。
全員が逃げたのを確認した後、俺は敵を改めて見る。
相手は魔物。女のように見えるが魔物。
目の前の敵を睨み付け戦いの前に俺は
「女の味知りたかったなあ」と思った。
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