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第五夜 反撃開始
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────────────────
〈植物操作〉
花人の固有能力。身体から生えた蔓草を自在に操る事が出来る。レベルアップにより、蔓、葉、枝、花、果実、種子を生み出し、様々な効果を発揮する。
────────────────
私は〈植物操作〉を使って、身体中に巻き付いている蔓草を取り外す。
その際、両手首に籠手のように蔓草を巻き付けたり、他にも、数本の蔓草を身体の周りに浮かすように配置したり、破れた服をオシャレに補強。初期装備のワンピースが素敵なコスチュームにフォームチェンジだ。
まるで、女児向けアニメの変身シーンのようだけど、決して恥ずかしくない。
「変身しやがった」
……恥ずかしくないもん。
「派手にポーズ決めてやしたね」
……止めて、許して、恥ずかしい。見た目は少女だけど、中身は成人女性なのよ。
暫し考え、解決策を練る。
「目撃者は消す……かな?」
「この女、晴れやかな笑顔で恐ろしいこと言いやがる」
「モンスター化したでヤンス!ドス黒いオーラが見えるようでヤンスよ!」
失敬な、私は人間よ……多分。
警戒しながら、互いに臨戦態勢を取る私達。
「へっ、実力差はわかってんだろ?無駄な抵抗するんじゃねえよ」
「お生憎様。さっきまでの私と思ってたら、痛い目見るわよ」
髭ノッポの警告に、挑発で返答する私。
でも、正直ちょっと厳しいかな……私の今のステータスは、半吸血鬼に花人族のアビリティが足されたものの様だ。「陽光下ステータスダウン」が「陽光下ステータス小ダウン」に変化したことで、多少はましになったけど、まだ、こいつら二人を倒せる程じゃないだろう。後は新しいアビリティの「植物操作」による「蔓の鞭」を上手く使っていくしかない。
「大地属性」は残念ながら今は役に立たない。魔法を覚えてから影響を及ぼすアビリティだからね。
でも、「火属性大ダウン」はかなりヤバイよね。さっきみたいに、松明使ったりして攻撃されたら、大ダメージ貰っちゃうよ。
「金属装備不可」は幸いにも木製の杖と、布のワンピースなので影響無いけど、この先かなり制限がかかってしまう。まあ、後で考えよう。
「魔性の魅力」から「魔性の魅了」に変化したしたことについては、パワーアップしたみたいだけどよく分からない。これも後回し。
よし、自己分析、状況分析、戦況分析終了。
結論、かなり不利……チクショウ!
そんなことを考えているうちに、髭ノッポと小太りが二人同時に襲いかかってくる!
「オラァ!」
髭ノッポが振り下ろした剣を、私は左手の棒で何とか受け止める。だが、小太りが一拍遅れて襲いかかって来る!
「蔓の鞭!」
咄嗟に右腕に巻き付いていた蔓草を、鞭のようにしならせ攻撃してみる……が、
ぺちん。
何とも情けない音を立てて、小太りの腕を打って巻き付いただけに終わってしまう。これじゃあ、こいつを止められない……って、あれ?
「ちっとも痛くない。もらったでヤンス!……あわっ⁉ッゲフン」
いきなり、小太りが大きく回転してひっくり返る。
……いや、ひっくり返したのだ。私が。蔓の鞭を使って。
こんなことは、普通は出来るわけない。だけど、蔓を通して実際に相手の腕を掴んでいるような感覚が伝わってきた。それで腕を捻るようにイメージすると、蔓がその通りに動き、相手を小手返しの要領で投げ飛ばしたのだ。
なかなか良い武器を手に入れたんじゃない?これで離れた相手も投げ放題だよ。などと得意気になっていると、
「そっちばかりに気を取られていいのか~?」
いやらしく笑いながら、髭面が剣に力を込めて押し込んで来る!
まずい、こんなの左手一本で支えられる訳がない……んだけど?
「何だ?びくともしねえ。おい!いつまでひっくり返ってやがる。さっさと起きて加勢……」
そこで、髭ノッポの言葉が途切れる。無理もない、彼の目に映ったのは、げっそりとして起き上がる気力もなく、急激に痩せ細った小太りの姿だったのだ。
────────────────
〈吸血〉
敵、味方を問わず対象の身体にキス、もしくは噛み付く事で対象のHPとMPを吸い取り、自身のHP回復とステータスを一時的に3倍にする効果がある。吸い取る量や効果時間は〈吸血〉のレベルに比例する。
────────────────
そう、これが半吸血鬼の最大の特徴ともいえるスキル〈吸血〉。
本来なら、敵にキスするか噛み付かないと発動しない能力なんだけど、今何故か発動して小太りのHPとMPを吸い取っている。
よく見ると、蔓草の鞭に生えている小さな棘が、小太りの腕に食い込んでいるではないか。それをゲームのシステムが噛みついているのと同様だと判断したらしい。
これで、蔓が巻き付いてる間、小太りの血を吸い取りながらステータスを上昇させて、髭ノッポと戦える。それこそ、小太りのHP、MPが尽きるまで。
……これ、どう考えても悪役モンスターの能力だよね?
確かに、私にこれ以上ないくらいにピッタリな能力だよ?離れた敵も投げ飛ばせるし、「吸血」しながら自由に戦えるから昼間もステータスの低下を気にせずに済む。でもさ、見目麗しい少女が使って良い能力じゃないよね?
小太りさんどんどん血の気を失って、ビックンビックン痙攣してるもん。かなりエグい絵面だよ!
「兄弟を離しやがれ!」
叫びながら、あわてて髭ノッポが剣で蔓草の鞭を断ち切る!
良し、ナイスだ髭!致命的な隙を作ってくれて、ありがとう。
仲間を救おうとする行為を利用する悪辣非道な女がそこにいた。はい、私です。
「いきなり暗がりで声をかけられ、ビックリした分っ!」
「ホグッ?」
気合一閃!復活した吸血鬼パワーで棒で髭面をぶっ叩く!
「押し倒された分!服を破かれた分!裸を見られた分!」
「フゴッ!オウッ!ヘギャッ!」
「頭を鈍器で殴られた分!種子に襲われた分!身体中痛かった分!」
「そればっ!おでじゃっ!ねっだら!」
連打連打連打!悪党の言い訳や泣き言など聴く必要無し!
胴体を下から叩き上げ宙高く舞い上がった髭ノッポを追って、私も大きくジャンプ!
「そして、これが変身シーンをいやらしい目で見られた乙女の怒りよ!」
「理不尽過ぎるだろぉぉぉっ!」
ゴキャッ!
上から叩きつける一撃に髭ノッポは真っ逆さまに落ちていく。その先には血を吸われて倒れている小太りがいて、二人は激しく衝突。豪快に土煙が立ち込める。
〔戦闘に勝利しました〕
軽いファンファーレと共にメッセージが流れる。
「ふう、何とか勝てた。危なかったわね」
思わず呟く私を余所にメッセージは流れる。
〔戦闘経験値を獲得しました〕
〔力、素早さ、体力、魔力、精神力が上がりました〕
〔レベルが1上がりました〕
〔アビリティポイントを1獲得しました〕
〔〈蔓の鞭〉のレベルが2上がりました〕
……確かアビリティポイントは、最後に数字が付いているアビリティを成長させる事が出来るのよね。
〈蔓の鞭〉と〈吸血〉のコンボは強力だから〈植物操作1〉をレベルアップしていこうかな。
それにしても、ステータスのレベルアップと〈蔓の鞭〉のレベルアップが釣り合っていないような気がする。〈棒術使い〉なんてレベルアップしてないし。
そんなことを考えている間にもメッセージは続く。
〔〈盗まれたお宝〉を手に入れました〕
〔500 エリンを手に入れました〕
エリンてのはこの世界の通貨のことね。
〔盗賊Aと盗賊Bが仲間にしてほしそうにこちらを見ている。仲間にしますか?〕
…………何ですと。
〈植物操作〉
花人の固有能力。身体から生えた蔓草を自在に操る事が出来る。レベルアップにより、蔓、葉、枝、花、果実、種子を生み出し、様々な効果を発揮する。
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私は〈植物操作〉を使って、身体中に巻き付いている蔓草を取り外す。
その際、両手首に籠手のように蔓草を巻き付けたり、他にも、数本の蔓草を身体の周りに浮かすように配置したり、破れた服をオシャレに補強。初期装備のワンピースが素敵なコスチュームにフォームチェンジだ。
まるで、女児向けアニメの変身シーンのようだけど、決して恥ずかしくない。
「変身しやがった」
……恥ずかしくないもん。
「派手にポーズ決めてやしたね」
……止めて、許して、恥ずかしい。見た目は少女だけど、中身は成人女性なのよ。
暫し考え、解決策を練る。
「目撃者は消す……かな?」
「この女、晴れやかな笑顔で恐ろしいこと言いやがる」
「モンスター化したでヤンス!ドス黒いオーラが見えるようでヤンスよ!」
失敬な、私は人間よ……多分。
警戒しながら、互いに臨戦態勢を取る私達。
「へっ、実力差はわかってんだろ?無駄な抵抗するんじゃねえよ」
「お生憎様。さっきまでの私と思ってたら、痛い目見るわよ」
髭ノッポの警告に、挑発で返答する私。
でも、正直ちょっと厳しいかな……私の今のステータスは、半吸血鬼に花人族のアビリティが足されたものの様だ。「陽光下ステータスダウン」が「陽光下ステータス小ダウン」に変化したことで、多少はましになったけど、まだ、こいつら二人を倒せる程じゃないだろう。後は新しいアビリティの「植物操作」による「蔓の鞭」を上手く使っていくしかない。
「大地属性」は残念ながら今は役に立たない。魔法を覚えてから影響を及ぼすアビリティだからね。
でも、「火属性大ダウン」はかなりヤバイよね。さっきみたいに、松明使ったりして攻撃されたら、大ダメージ貰っちゃうよ。
「金属装備不可」は幸いにも木製の杖と、布のワンピースなので影響無いけど、この先かなり制限がかかってしまう。まあ、後で考えよう。
「魔性の魅力」から「魔性の魅了」に変化したしたことについては、パワーアップしたみたいだけどよく分からない。これも後回し。
よし、自己分析、状況分析、戦況分析終了。
結論、かなり不利……チクショウ!
そんなことを考えているうちに、髭ノッポと小太りが二人同時に襲いかかってくる!
「オラァ!」
髭ノッポが振り下ろした剣を、私は左手の棒で何とか受け止める。だが、小太りが一拍遅れて襲いかかって来る!
「蔓の鞭!」
咄嗟に右腕に巻き付いていた蔓草を、鞭のようにしならせ攻撃してみる……が、
ぺちん。
何とも情けない音を立てて、小太りの腕を打って巻き付いただけに終わってしまう。これじゃあ、こいつを止められない……って、あれ?
「ちっとも痛くない。もらったでヤンス!……あわっ⁉ッゲフン」
いきなり、小太りが大きく回転してひっくり返る。
……いや、ひっくり返したのだ。私が。蔓の鞭を使って。
こんなことは、普通は出来るわけない。だけど、蔓を通して実際に相手の腕を掴んでいるような感覚が伝わってきた。それで腕を捻るようにイメージすると、蔓がその通りに動き、相手を小手返しの要領で投げ飛ばしたのだ。
なかなか良い武器を手に入れたんじゃない?これで離れた相手も投げ放題だよ。などと得意気になっていると、
「そっちばかりに気を取られていいのか~?」
いやらしく笑いながら、髭面が剣に力を込めて押し込んで来る!
まずい、こんなの左手一本で支えられる訳がない……んだけど?
「何だ?びくともしねえ。おい!いつまでひっくり返ってやがる。さっさと起きて加勢……」
そこで、髭ノッポの言葉が途切れる。無理もない、彼の目に映ったのは、げっそりとして起き上がる気力もなく、急激に痩せ細った小太りの姿だったのだ。
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〈吸血〉
敵、味方を問わず対象の身体にキス、もしくは噛み付く事で対象のHPとMPを吸い取り、自身のHP回復とステータスを一時的に3倍にする効果がある。吸い取る量や効果時間は〈吸血〉のレベルに比例する。
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そう、これが半吸血鬼の最大の特徴ともいえるスキル〈吸血〉。
本来なら、敵にキスするか噛み付かないと発動しない能力なんだけど、今何故か発動して小太りのHPとMPを吸い取っている。
よく見ると、蔓草の鞭に生えている小さな棘が、小太りの腕に食い込んでいるではないか。それをゲームのシステムが噛みついているのと同様だと判断したらしい。
これで、蔓が巻き付いてる間、小太りの血を吸い取りながらステータスを上昇させて、髭ノッポと戦える。それこそ、小太りのHP、MPが尽きるまで。
……これ、どう考えても悪役モンスターの能力だよね?
確かに、私にこれ以上ないくらいにピッタリな能力だよ?離れた敵も投げ飛ばせるし、「吸血」しながら自由に戦えるから昼間もステータスの低下を気にせずに済む。でもさ、見目麗しい少女が使って良い能力じゃないよね?
小太りさんどんどん血の気を失って、ビックンビックン痙攣してるもん。かなりエグい絵面だよ!
「兄弟を離しやがれ!」
叫びながら、あわてて髭ノッポが剣で蔓草の鞭を断ち切る!
良し、ナイスだ髭!致命的な隙を作ってくれて、ありがとう。
仲間を救おうとする行為を利用する悪辣非道な女がそこにいた。はい、私です。
「いきなり暗がりで声をかけられ、ビックリした分っ!」
「ホグッ?」
気合一閃!復活した吸血鬼パワーで棒で髭面をぶっ叩く!
「押し倒された分!服を破かれた分!裸を見られた分!」
「フゴッ!オウッ!ヘギャッ!」
「頭を鈍器で殴られた分!種子に襲われた分!身体中痛かった分!」
「そればっ!おでじゃっ!ねっだら!」
連打連打連打!悪党の言い訳や泣き言など聴く必要無し!
胴体を下から叩き上げ宙高く舞い上がった髭ノッポを追って、私も大きくジャンプ!
「そして、これが変身シーンをいやらしい目で見られた乙女の怒りよ!」
「理不尽過ぎるだろぉぉぉっ!」
ゴキャッ!
上から叩きつける一撃に髭ノッポは真っ逆さまに落ちていく。その先には血を吸われて倒れている小太りがいて、二人は激しく衝突。豪快に土煙が立ち込める。
〔戦闘に勝利しました〕
軽いファンファーレと共にメッセージが流れる。
「ふう、何とか勝てた。危なかったわね」
思わず呟く私を余所にメッセージは流れる。
〔戦闘経験値を獲得しました〕
〔力、素早さ、体力、魔力、精神力が上がりました〕
〔レベルが1上がりました〕
〔アビリティポイントを1獲得しました〕
〔〈蔓の鞭〉のレベルが2上がりました〕
……確かアビリティポイントは、最後に数字が付いているアビリティを成長させる事が出来るのよね。
〈蔓の鞭〉と〈吸血〉のコンボは強力だから〈植物操作1〉をレベルアップしていこうかな。
それにしても、ステータスのレベルアップと〈蔓の鞭〉のレベルアップが釣り合っていないような気がする。〈棒術使い〉なんてレベルアップしてないし。
そんなことを考えている間にもメッセージは続く。
〔〈盗まれたお宝〉を手に入れました〕
〔500 エリンを手に入れました〕
エリンてのはこの世界の通貨のことね。
〔盗賊Aと盗賊Bが仲間にしてほしそうにこちらを見ている。仲間にしますか?〕
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