カースブレイカーズ 〜美夜ちゃんは呪われた幻夢世界をひっくり返す!〜

ユキマサ

文字の大きさ
4 / 28

第四夜 寄生?共生?

しおりを挟む
 一粒の種子がドリルの様に高速回転して私の胸の中に入り込んでいく。その光景を茫然と観ながら二人の盗賊は囁いていた。

「おい兄弟、ありゃ一体何だ?」

「お宝の水晶玉から飛び出したんでさぁ」

「この馬鹿!そりゃ封印球だ。」

「何ですか?それは」

「『氷結の獅子』の能力を使った『星霊魔法』でよ、時間を凍らせて百年でも千年でもそのまま保存しちまう代物だよ。もちろん超が付くお宝だ。そんな物に封印されてたんだ、よっぽど価値のある貴重品か、それとも┈┈」

 顔を引きつらせながら髭ノッポはこう言った。

「どうやっても破壊出来ない、危険物ってことだ」

 そんな会話を耳にしながら、私は必死に種子の侵入を食い止めようとするが、回転が速すぎてつかみ取れない。 

〔ハハハ、無駄だ。我の侵入は防げぬ。諦めて我が支配を受け入れよ〕

 しかも、頭の中に直接響くような感じで響いてくる声は、種子のくせに妙に偉そうでイラッとする。

「ふざけんじゃないわよ!盗賊二人の次は植物の種子?どこまでこの身体を犯そうとしてるのよ。」

〔フム、確かに妙な気分だ。お前を我だけのものにして支配したいという思いが強すぎる。これは、お前の持つ魅了の力のせいだな。本来植物である我をここまで恋狂わせるのだ。動物などひとたまりも無かろう〕

 冷静に自己分析出来るのは、こいつが植物だからだろうか?しかし、厄介な「魔性の魅力」だ。これはもう呪いと言っても良いだろう。

〔そんな事はどうでも良い。ようやく身体の中に入れた。さあ、お前の血を吸い、脳に根を張り、お前を操ってくれるわ!〕

 想像するのも嫌な事を宣言するな!ヤダヤダヤダそんなの嫌だ!ゲーム始めたばかりでこの仕打ちはあんまりじゃない?クソゲーも良いとこよ。プレイ料金返せ!と、考えていると……

〔な、何だこれは?〕

 頭に潜り込んだ種子が、何やら驚きの声が上がる。

〔何故お前の中には何もない?!血も血管も脳も無い。そんなことが有りえるのか?!〕

 ……ええと、この種子何言ってるの?ゲームのアバターに脳や内臓なんかの中身が有るわけないでしょう?
 茫然としている私の胸の中で、種子は更に慌てふためく。

〔き、貴様、まさかスライムクイーン?!だが、いかに貴様の吸収能力でも我を溶かすことなど……バ、馬鹿な?溶ける、いや分解していく!何だこれは?!〕

 何だか盛大に勘違いしながら、勝手に消滅していく種子。あれだけ大物感を出しながら、最後は情けない終わり方だね。
 けれど、それで終わりじゃなかった。突然身体中に痛みが走る。

「アアアアアアッッッ?!?!」

 痛い!頭が、胸が、お腹が、手足が今まで経験したことが無い激痛を発している。とても耐えられず地面を転げ回る。この夢の中ではそんなに痛みは感じない筈なのに……だが、その動きも止まる。正確には止められる。身体中に植物の蔦が絡まっているからだ。地面からではなく私の身体から生えてきた蔦に。
 
「い、イヤーッ?!何よこれ」

 あまりの痛みと状況に、思考停止してしまう。それでも蔦は生長を続け、やがて繭のように私の身体を完全に包み込んでしまう。 

[error5324 バグの発生を確認しました]

[只今、バグを処理しています。しばらくお待ちください]

 突然のシステムメッセージ。いやいや、待っていられる状況じゃないんですけど。

「……危険物の方だったか」

 髭ノッポがぼそりと呟くのが聞こえる。

「どうするんですか?これ」

 小太りがオロオロしているのが何故か分かる。 

「燃やしちまおう」

「そっ、そうっすね。分かりやした」

 ちょっと決断早過ぎない?とツッコミたいが声も出ない。二人組は手早く松明に火を付ける。

「あばよ、嬢ちゃん。可愛かったぜ」 

 呟きながら、私に向かって松明を放り投げる。思わず手で払い除けようとするが、身体中が蔓草で締め付けられているので動く筈もなく……

[バグの処理が完了しました]

 パシィッ

 突然、明後日の方向に弾かれる松明。見ると、一本の蔓草……いや、鞭のように太くしなやかな蔓が伸びている。アレが松明を弾き返したのだ。
 瞬間、私の頭の中にメッセージが流れ込んでくる。どんどんアビリティが変わっていき、能力の使い方が流れ込んでくる。
 このゲームの特性のお陰で蔓の動かし方、私と融合だか共生だかしている種子の状態、そして、私のステータスの急激な変化が自然に理解できる。

 ┈┈これは、いけるかも⁉それじゃ、反撃を開始しますか。

───────────────────────────────────────
 美夜 レベル3 
 種族〈半吸血鬼〉
 称号〈棒術使い〉〈棒術使い〉
   [アビリティ] 
〈暗闇下ステータスアップ、HP回復〉〈地属性1 〉〈闇属性1 〉〈魔性の魅力〉
〈陽光下ステータスダウン、HP半減〉〈火属性ダウン〉〈光属性ダウン〉〈回復効果半減〉〈教会利用不可〉

 [スキル]
〈吸血〉〈素手攻撃力アップ〉〈杖攻撃力アップ〉

 
  〈HP〉42 /168 〈MP〉30/30
  〈力〉4/8〈素早さ〉4/7 〈体力〉4/8 〈技量〉4/4〈魔力〉3/3〈知力〉3/3〈精神力〉2/2〈魅力〉5/5〈幸運〉1/1
  
 
───────────────────────────────────────
  
[称号〈■■■の種子との共生者〉を手に入れました] 
 
[アビリティ〈植物操作1〉を手に入れました]
[スキル〈蔓の鞭〉を手に入れました]

[アビリティ〈陽光下ステータスアップ、MP少回復〉を手に入れました]
[アビリティ〈陽光下ステータスダウン、HP半減〉と合成されます]
[アビリティ〈陽光下ステータス少ダウン、HP半減、MP少回復〉に変換しました]

[アビリティ〈火属性ダウン〉を手に入れました]
[すでにあるアビリティ〈火属性ダウン〉と合成されます]
[アビリティ〈火属性大ダウン〉に変換しました]

[アビリティ〈光属性1 〉を手に入れました]
[アビリティ〈光属性ダウン〉と合成されます]
[アビリティ〈光属性小ダウン〉に変換しました]

[アビリティ〈地属性1 〉を手に入れました]
[すでにあるアビリティ〈地属性1 〉と合成されます]
[アビリティ〈大地属性〉に変換しました]

[アビリティ〈魅惑の香り〉を手に入れました]
[アビリティ〈魔性の魅力〉と合成されます]
[合成中──合成中──合成中──]
[新アビリティ〈魔性の魅了〉が完成しました]

[アビリティ〈金属装備不可〉を手に入れました]
      
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 美夜 レベル3 
 種族〈半吸血鬼〉
 称号〈■、ちう■■の種子との共生者〉〈体術使い〉〈棒術使い〉

 [アビリティ]
 〈暗闇下ステータスアップ、HP回復〉。n、5y 〈大地属性〉〈闇属性1 〉〈魔性の魅了〉〈植物操作1〉
 〈陽光下ステータス小ダウン、HP半減、MP小回復〉〈火属性大ダウン〉〈光属性小ダウン〉〈回復効果半減〉〈教会利用不可〉〈金属装備不可〉

 [スキル]
〈 吸血〉 〈素手攻撃力アップ〉〈杖、力アップ〉〈蔓の鞭〉
。。、


  〈HP〉42 /168 〈MP〉30/30
  〈力〉6/8〈素早さ〉4/7 
〈体力〉6/8 〈技量〉4/4
  〈魔力〉3/3〈知力〉3/3〈精神力〉2/2〈魅力〉5/5〈幸運〉1/1
  

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

処理中です...