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第三夜 二人の盗賊
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「お嬢さん、こんな夜更けにこんな所にいると危ないよ~」
「危険な盗賊に襲われても知りませんぜ~」
人気の無い夜の森の中で、いかにも盗賊と言わんばかりの怪しげな二人連れが近づいて来たので、私は反射的に戦闘態勢を取る。いや、そりゃ問答無用で攻撃しても良いとは思うけど、やっぱり先に手を出すのは人として駄目だろう。もしかしたら普通の冒険者かもしれないし、先に攻撃を仕掛けた方にペナルティが発生するので、うかつな攻撃はしたくない。
しかし、男達の頭の上に浮いている黒いハートマークは何なんだろう?嫌な予感しかしないんだけど。
「ようし、どんな風に危険かおじさんが教えちゃおうかな」
「大人しくしてればケガしないで済むでヤンスよ~」
ハイ、完全に敵だと証明されました!しかし、どうも様子がおかしい。言動もバカ丸出しで異様に興奮して……ハッ!コイツらもしかして私の「魔性の魅力」にかかってる?
ええ~?「魔性の魅力」って人間にもかかるの?
私の魅了にかかるのはティム出来るモンスターだけのはず。この二人はモンスターと同じ扱いってこと?
こいつらを倒して、血を吸えば晴れて念願の使い魔を二人もゲット……いやいや、ナイナイ。この二人の血を吸う?軽くキスするか、甘噛みで血を吸ったと判定されるらしいが、無理だから。よくCGでここまで不潔感を表現出来るな、と感心させられる。
それに百歩譲って仲間にしたとして、女ボスに髭ノッポ、小太りって某時間爆発シリーズの悪役三人組じゃないの。毎回爆発魔法でやられて、そのたびサービスシーンで服が破けるんじゃないだろうか。
まあ、そんな冗談はさておき、私が欲しいのは可愛くて強い動物系モフモフモンスターであってこんなの要らない。
以上の理由により、速攻でぶち倒す。
完全に戦闘態勢に入った私を見下して笑いながら、髭ノッポが近づきながら剣を抜く。
「おいおい、つれないな~大人しく付き合えよ。そんな棒切れで抵抗するんじゃブフェ!?」
「それじゃ、少し突き合ってあげるわ」
突いて、突いて、払って、払って、押して、押して、最後にアゴをかち上げ、そのまま後ろに回り込み思いきり打ち払う。
「あ、兄貴~?!」
散々ど突き回され、吹っ飛んで行った髭ノッポに、小太りが驚きの声を上げて駆け寄っていく。
あれ?仕留めきれてない。黒狼も一撃で倒した私の連続攻撃に耐えた?あの髭ノッポ結構強い?
違う、そうじゃない!空が明るくなってきてる。吸血鬼のパワーが無くなってきてるんだ。
「な、舐めたまねしてくれたじゃねえか」
ふらふらしながら、髭ノッポが起き上がる。まずい、完全に太陽が昇ればステータスが一気に下がって勝ち目は無くなる。速攻で倒すしかない。先ずはダメージの残っている髭ノッポから先に倒す為に走り出す。
「何だこいつ?妙な技を使う」
「二人がかりで攻撃が当たらないでヤンス」
まだステータスで勝っているから、攻撃をさばけるが、こちらの攻撃も段々効かなくなっている。しかも何だかやりにくい。まるで本物の人間を相手にしているように動きに緩急やムラがあるのだ。
なかなか倒せないまま、時間が過ぎていき、とうとう朝日が昇ってしまった。
途端に身体が重くなり、ステータスが低下したことを実感してしまう。
「もらったぁ!」
攻撃をさばききれず、地面に押し倒されてしまう。ここまでか……ゲームオーバーだ。
「クッ、殺せ……」
思わず、どこぞの某女騎士のようなセリフが出てしまった。後から思えばこれがいけなかった。本当にいけなかった。
「へっ、すぐに殺すわけ無いだろ」
ビリビリビリ…………(服が破れる音)
「?!?!、キャアアーーーァ?!あ、あんた何してんの?!」
「アアッ?そんなのお楽しみに決まってんじゃねえか」
「何処の世界に戦闘に負けたらレイプされるゲームがあるのよ!これ18禁じゃないでしょ!」
「ゲーム?18?何言ってんだ?負けたら全部奪われるのが世の常ってもんだろうが」
何でNPCに犯されなければいけないのか?しかも顔中ボコボコに腫れ上がった(私がやった)盗賊共に。ってこんなの異常でしょ。コイツらのAIどうなってるの?このゲームの運営は何を考えているの?!
ともあれ、殺すつもりが無く押さえつけてるだけなら、チャンスはある。剣を持っている右腕の手首と肘を素早く押さえ、ひねり上げると同時に身体を入れ替える。
「ギャアアア?!腕が?!腕が?!」
そのまま剣を奪い取りとどめを……ボカッ!
「可愛い顔して、とんでもないじゃじゃ馬でヤンス」
小太りが持っていたズタ袋で私の後頭部をぶっ叩いた。その中何が入ってるのよ?硬い物が色々有るみたいですっごく痛いんだけど。
その拍子に袋が破けて、中身がばらまかれる。宝石や金貨、銀貨。拳大の水晶玉。こんなもので殴られたのか……リアルだったら死んでるぞ。
クッ、体が動かない、ダメージ判定が強すぎる。こんな奴らに負けるのか……悔しい。嫌だ。冗談じゃない。動け、動け!コイツらを倒す、絶対ぶちのめしてやる!
〔……汝、力を欲するか〕
あれ?こぼれ落ちた水晶玉が何だか震えてる。
〔我が力を与えてやろう。その代償に〕
水晶玉にひびが入る。
〔我が苗床となれ〕
水晶玉が割れ、中から飛び出した一粒の種が、私の胸を抉ったのだった。
「危険な盗賊に襲われても知りませんぜ~」
人気の無い夜の森の中で、いかにも盗賊と言わんばかりの怪しげな二人連れが近づいて来たので、私は反射的に戦闘態勢を取る。いや、そりゃ問答無用で攻撃しても良いとは思うけど、やっぱり先に手を出すのは人として駄目だろう。もしかしたら普通の冒険者かもしれないし、先に攻撃を仕掛けた方にペナルティが発生するので、うかつな攻撃はしたくない。
しかし、男達の頭の上に浮いている黒いハートマークは何なんだろう?嫌な予感しかしないんだけど。
「ようし、どんな風に危険かおじさんが教えちゃおうかな」
「大人しくしてればケガしないで済むでヤンスよ~」
ハイ、完全に敵だと証明されました!しかし、どうも様子がおかしい。言動もバカ丸出しで異様に興奮して……ハッ!コイツらもしかして私の「魔性の魅力」にかかってる?
ええ~?「魔性の魅力」って人間にもかかるの?
私の魅了にかかるのはティム出来るモンスターだけのはず。この二人はモンスターと同じ扱いってこと?
こいつらを倒して、血を吸えば晴れて念願の使い魔を二人もゲット……いやいや、ナイナイ。この二人の血を吸う?軽くキスするか、甘噛みで血を吸ったと判定されるらしいが、無理だから。よくCGでここまで不潔感を表現出来るな、と感心させられる。
それに百歩譲って仲間にしたとして、女ボスに髭ノッポ、小太りって某時間爆発シリーズの悪役三人組じゃないの。毎回爆発魔法でやられて、そのたびサービスシーンで服が破けるんじゃないだろうか。
まあ、そんな冗談はさておき、私が欲しいのは可愛くて強い動物系モフモフモンスターであってこんなの要らない。
以上の理由により、速攻でぶち倒す。
完全に戦闘態勢に入った私を見下して笑いながら、髭ノッポが近づきながら剣を抜く。
「おいおい、つれないな~大人しく付き合えよ。そんな棒切れで抵抗するんじゃブフェ!?」
「それじゃ、少し突き合ってあげるわ」
突いて、突いて、払って、払って、押して、押して、最後にアゴをかち上げ、そのまま後ろに回り込み思いきり打ち払う。
「あ、兄貴~?!」
散々ど突き回され、吹っ飛んで行った髭ノッポに、小太りが驚きの声を上げて駆け寄っていく。
あれ?仕留めきれてない。黒狼も一撃で倒した私の連続攻撃に耐えた?あの髭ノッポ結構強い?
違う、そうじゃない!空が明るくなってきてる。吸血鬼のパワーが無くなってきてるんだ。
「な、舐めたまねしてくれたじゃねえか」
ふらふらしながら、髭ノッポが起き上がる。まずい、完全に太陽が昇ればステータスが一気に下がって勝ち目は無くなる。速攻で倒すしかない。先ずはダメージの残っている髭ノッポから先に倒す為に走り出す。
「何だこいつ?妙な技を使う」
「二人がかりで攻撃が当たらないでヤンス」
まだステータスで勝っているから、攻撃をさばけるが、こちらの攻撃も段々効かなくなっている。しかも何だかやりにくい。まるで本物の人間を相手にしているように動きに緩急やムラがあるのだ。
なかなか倒せないまま、時間が過ぎていき、とうとう朝日が昇ってしまった。
途端に身体が重くなり、ステータスが低下したことを実感してしまう。
「もらったぁ!」
攻撃をさばききれず、地面に押し倒されてしまう。ここまでか……ゲームオーバーだ。
「クッ、殺せ……」
思わず、どこぞの某女騎士のようなセリフが出てしまった。後から思えばこれがいけなかった。本当にいけなかった。
「へっ、すぐに殺すわけ無いだろ」
ビリビリビリ…………(服が破れる音)
「?!?!、キャアアーーーァ?!あ、あんた何してんの?!」
「アアッ?そんなのお楽しみに決まってんじゃねえか」
「何処の世界に戦闘に負けたらレイプされるゲームがあるのよ!これ18禁じゃないでしょ!」
「ゲーム?18?何言ってんだ?負けたら全部奪われるのが世の常ってもんだろうが」
何でNPCに犯されなければいけないのか?しかも顔中ボコボコに腫れ上がった(私がやった)盗賊共に。ってこんなの異常でしょ。コイツらのAIどうなってるの?このゲームの運営は何を考えているの?!
ともあれ、殺すつもりが無く押さえつけてるだけなら、チャンスはある。剣を持っている右腕の手首と肘を素早く押さえ、ひねり上げると同時に身体を入れ替える。
「ギャアアア?!腕が?!腕が?!」
そのまま剣を奪い取りとどめを……ボカッ!
「可愛い顔して、とんでもないじゃじゃ馬でヤンス」
小太りが持っていたズタ袋で私の後頭部をぶっ叩いた。その中何が入ってるのよ?硬い物が色々有るみたいですっごく痛いんだけど。
その拍子に袋が破けて、中身がばらまかれる。宝石や金貨、銀貨。拳大の水晶玉。こんなもので殴られたのか……リアルだったら死んでるぞ。
クッ、体が動かない、ダメージ判定が強すぎる。こんな奴らに負けるのか……悔しい。嫌だ。冗談じゃない。動け、動け!コイツらを倒す、絶対ぶちのめしてやる!
〔……汝、力を欲するか〕
あれ?こぼれ落ちた水晶玉が何だか震えてる。
〔我が力を与えてやろう。その代償に〕
水晶玉にひびが入る。
〔我が苗床となれ〕
水晶玉が割れ、中から飛び出した一粒の種が、私の胸を抉ったのだった。
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