カースブレイカーズ 〜美夜ちゃんは呪われた幻夢世界をひっくり返す!〜

ユキマサ

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第十夜 魔法を学ぼう

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魔法の覚え方

 魔力、知力、精神力がそれぞれ30 以上ある人物に、覚えたい属性魔法の手ほどきを受ける事で習得します。
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「ハッハッハ、それではまず属性について説明しようか」

 あの後、街の外に出て魔法を教えると言うので、冒険に必要な食料や道具などを買って街のすぐそばの平原にやってきたのだった。

「基本となる属性は火、水、風、地の4つ。その中で火と水、風と地は対極の存在となる」

 大空は高く、日差しも暖かい。ピクニックにはちょうど良い日だ。

「人間族はこの4つに加えて光と闇の属性を持ってはいるが、対極となる属性が互いを抑える結果となり、余程訓練しないと魔法は極められん」

 そよ風も気持ち良く吹いている。

「それ以外の種族は基本となる属性の力が強すぎて、対極となる属性は身に付けられず、それ以外の基本属性も六割極められれば上出来といった所だ」

 周囲からは、動物たちの鳴き声が……

「人間は大器晩成型、それ以外の種族は一極特化型といった所だな」

 鳴き声が……

「さて、嬢ちゃんの基本属性は地だ。まず覚えるのは〈地形操作〉になる……って聞いておるか?」

「あの……大変丁寧な説明の途中すいませんけど」

 私は現実逃避を中断して辺りを指差す。

「すっかり、モンスターの大群に囲まれてるんですけど!どうすんのよこれ?」

 動物型モンスターの集団に、うなり声を上げながら取り囲まれている光景を直視出来ずに、空ばかり見上げていた私を誰が責められようか?

「どうするもなにも、貴重な魔法の生きた教材だぞ。ハッハッハ。最近この辺りのモンスターが増えすぎたので駆除して欲しいと頼まれてたのでちょうど良かったわい」

 坊さんのセリフじゃねえ……

「その教材達に殺意のこもった目で見られてるんですけど」

「拙僧がいるうちは、コイツらは襲いかかってこんよ。これも人徳の為せる業かのう。ハッハッハ」

 いや、本能的にあんたを怖がってるんだと思うよ。

「まあ、もう少し増えたら流石に襲ってくるから、主に嬢ちゃんの方に。ちゃんと説明を聞いとらんと、あっさり食われちまうぞ」 

「先生、続きをお願いします!」

「ハッハッハ、清々しい程の手の平返しだのう。嬢ちゃんが覚える〈地形操作〉は魔力を大地に流しこみ、地形を変える術の事よ。まずは基本となる大地に穴を開ける術……」

 大地に鉄槌を叩き込んで、オショウが言葉を放つ!

「〈奈落落とし〉!」

 オショウの拳から魔力が大地を伝わり、モンスターの群れに向かっていく。

 バコン!

 大地が崩れ、大穴が空きモンスター十数体を呑み込んだ!

「続いて大地を突き上げる術〈噴土の拳〉!」

 再度拳を大地に打ち下ろすと、魔力が大穴の底に流れていく。

 ズゴン!

 大穴のに落ちていったモンスター達がまとめて空高く打ち上げられ、次々と消滅していく。
 そこに大穴は無く、巨大な岩盤がせり出していた。アレが落下中のモンスター達をカウンターで打ち上げたのだ。

「これが〈地形操作〉の基本、〈アースホール〉と〈グランヒット〉だ」

「先生、さっきの掛け声と呪文名が全く違います」

「そんなものは自由よ!自分がイメージしやすい言葉を叫ぶが良い。ハーハッハッハ」

〔条件を満たしました〕
〔〈地形操作〉を獲得しました〕
〔〈アースホール〉を獲得しました〕
〔〈グランヒット〉を獲得しました〕

「あと、魔法やスキルを上手く繋げていくとダメージや効果が上がる事がある。今拙僧がやったのも〈獄落天昇〉という名称を付けておる」

「地獄に叩き落としてから、天国までぶっ飛ばすのね……逃げる事も出来ない恐ろしい技だわ」

〔〈コンボ技〉が使える様になりました。特定の技や術を繋げていくと効果がアップしていきます。コンボ技名を設定すれば、それに使用する技名を省略して発動出来ます〕

 ……フム、名称変更にコンボ技か。
 ステータス画面のスキル欄でスキル名を変更しながら、私は名案を思いついた。

「先生、コンボ技一つ出来ました」

「ハッハッハ、早いな。しかし嬢ちゃんのステータスじゃ拙僧の獄落天昇は真似できんぞ。精々小さな穴や小岩程度の出っ張りを生み出すのが精一杯だろうよ」

「それで十分よ」

 返事しながら、私はモンスターを見回す。お、ちょうど良いのがいた。

「〈グリンウイップ〉!」

 早速名称変更した〈蔓草の鞭〉を一体のホブゴブリンに向け振るう。

「ゴア?」

 たいしたダメージを受けていないが、攻撃されて怒ったホブゴブリンが私に向かって突っ込んでくる。

「〈吸血〉!」

 接触寸前、巻き付けたままの蔓の鞭から吸血。ホブゴブリンのHPとMPが減り、私のステータスが大幅アップ!

「〈足落とし〉!」

 ホブゴブリンの足もとが崩れ穴に右足を踏み込んでしまう。相手にしてみれば、階段を踏み外した感覚だろう。
 バランスを崩したホブゴブリンを一本背負いで投げ飛ばす!筋肉質で大人並みの体格を持つホブゴブリンもこうすれば簡単に投げられる。
 そしてトドメ!

「〈大地の牙〉!」

 〈グランヒット〉を尖った石が地面から突き出す様にイメージする。
 その上に勢い良く落ちるホブゴブリン。

「グアッ!」

 上手く急所に刺さったのか、ホブゴブリンはあっさり消滅した。

〔戦闘に勝利しました〕
〔戦闘経験値を獲得しました〕
〔体術スキル〈一本背負い〉を獲得しました〕
〔〈グリンウイップ〉+〈吸血〉+〈足落とし〉+〈一本背負い〉+〈大地の牙〉のコンボが成立しました〕
〔5コンボ達成によりダメージ2.0 倍になります〕
〔コンボ技名を入力して下さい〕

 やったね!上手くコンボ技完成しちゃったよ。一つ一つのダメージは小さくても、コンボで繋げれば大きなダメージに倍増されるんだ。しかも、この技使っていけば〈植物操作〉〈地形操作〉〈体術〉のレベルがドンドン上がっていくじゃない。
 さて、この必殺技になんて名前を付けようか?蔓の鞭で血を吸って始まり、大地の牙で終わるから……

〔〈双連牙〉(そうれんげ)を登録しました〕

 取りあえずこれでいいか。

「いきなり五つも繋げるとは、やるのう。では拙僧もいいところ見せねばならんわい。ハッハッハ」

 オショウが木の枝を拾い、指をバチンと鳴らすとなんと火がついた。
 嘘ン?

「〈地形操作〉や〈疾風操作〉は地面や大気に魔力を流せば使えるが、〈火炎操作〉や〈水流操作〉は火や水を用意しなければならんのが、ちと面倒だわい。ハッハッハ」

 説明しながら、火に手をかざす。

「〈火操波ァ〉(かそうばぁ)!」

 ちょっ……字が違う……訳でもないか。

 オショウが放った炎の波は、複数のモンスターに襲いかかり、読み通り火葬場の様に燃やし尽くす!

「そして、これが地属性と火属性を合成させた合成魔法……」

 オショウの右手に地の魔力、左手に火の魔力が集まっていく。

「〈龍脈魔法〉よ!〈地獄巡りぃ〉!」

 両の拳を地面に叩き付けると、なんと大地が大爆発!熔岩が噴き出しその場に居たモンスターは当然消滅。その周りに居たモンスター達も降り注ぐ岩盤や熔岩、火山弾によって全滅したのだった!……ってオイオイ。

「宴会芸のノリで災害レベルの攻撃魔法放たないでよ!後始末どうすんのこれ」

「ハッハッハ、ちと張り切り過ぎたわい。あの……ちょっと苦しいんじゃが?」

 〈グリンウイップ〉&〈吸血〉をオショウにかましてパワーアップ。
そのままおっちゃんを引っ張って地獄絵図と化した平原から必死に逃げ出すのだった。
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