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第十二夜 初めてのダンジョン
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〔御注意下さい〕
宿屋などの安全な場所以外でログアウトすると、攻撃される場合があります。緊急時のログアウトに備えて〈結界石〉購入をお勧めします。
────────────────
ピチョン。
天井から落ちてきた水滴が顔に当たり、私は目を覚ました。
はて、ここは何処だろう?私は森の中にいた筈だが。
確か、技の特訓をしているうちに〈疲れ〉て倒れてしまい、そのまま強制ログアウトしてしまったんだっけ。
ちなみに、ログアウトするとそのまま深い眠りに入り、朝までグッスリ快眠である。いやー久々に良く眠れた。
そうして一日の仕事を終えて、特訓の続きをするつもりでログインしたのだが、どうみてもここは森の中ではなく、真っ暗な洞窟の中である。普通なら何も見えないが吸血鬼のスキル〈夜目〉のおかげで辺りの様子がハッキリと見えている。
洞窟は縦横三メートル程の大きさで、私のいるのは行き止まりの部分。前に進むしか道はない。洞窟の中に入った覚えなんかないし、何でこんな所に……
「ハッ、まさかよくありがちな、ゴブリンに倒されて巣穴にお持ち帰りされたパターンでは?」
不意討ちを喰らって気絶させられ、巣穴に連れ込まれてゴブリン達の慰みものになる。ダークファンタジーにありがちな凌辱シーンが今まさに現実(夢の中だけど)になろうとしている?冗談じゃない。そんな危険な趣味はないわよ!
「やっと起きたか……」
そんなことを考えてる所に突然の声。驚いて反射的に声のする方向に思いっきり腕を振るが手応え無し。
「……そこはビックリして跳び退くのが普通の反応じゃぞ。ハッハッハ危ない、危ない」
「オショウ!」
地面から頭だけ出して、オショウが苦笑いしている。……いや、変なこと想像してたからつい、ね。
「ごめんなさい。チカンだと思って。それで、ここは何処なの?モンスターの巣穴?私達連れ去られたの?」
「チカンに振り向きざま攻撃するのか、お嬢ちゃんは怖いのう……其処は呪われし迷宮、カースドダンジョンだ。拙僧達はそこに落とされんだんだよ。いやーこれは参った。ハッハッハ」
私の質問に、ちっとも困った様子もなくオショウは答えたのだった。
カースドダンジョン。
それについて説明するには、この世界の歴史について語らなければならない。
遥か昔、九つの都市の間で戦争があった。
長い間戦争は続き、追い詰められた一つの都市が暗黒神を召喚してしまった。
暗黒神はなんやかや壮大な冒険啖の末に各都市の英雄が協力して打ち倒したが、暗黒神は最期に世界に呪いをかけていったのだった。
呪いによりモンスターや亜人族が生まれ、世界は荒廃、混乱し強大な魔法文明を持っていた都市も全て消滅した。
当時使われたの伝説級の武具や秘宝も使い手がいなくなり、歴史から消えていつしか呪われてしまった。
そうした呪われた道具を核として、周囲の空間を歪めダンジョンが生成され、自分達を扱うにふさわしい者達を待っているのだった。
「……というのがカースドダンジョンの成り立ちだな。拙僧らはダンジョンの主が求める条件を満たしたので招き寄せられたといったところか」
「何だか一番重要で面白そうな場面をあっさり省略されたけど、状況は良く分かったわ。要はダンジョンを攻略してお宝を手に入れれば良いのね」
言いながら私はステータスを確認する。
洞窟の中なので光は届かず〈植物操作〉系のスキルは軒並みパワーダウンしている。MPの回復も無くなった。
しかし、半吸血鬼の能力により、HPや力、体力といった物理系のステータスが三倍になっているし、HPも自動回復する。これなら攻略出来るだろうか?
アイテムボックスから樫の樹の杖を取り出し、軽く振り回して準備完了。
────────────────
〈双龍打ち〉
1打目を打った反動で棒の反対側を強烈に叩き込む技。相手の攻撃を打ち落としてカウンターを叩き込むのにも使える。
────────────────
────────────────
〈回し〉
体の正面で棒を回転させて攻撃を弾く基本の防御技。
────────────────
私が今使える棒術の技はこの二つ。現実世界で昔教わった杖術の技が反映されたのか、直ぐに技を覚えた。物理的な武器技はMPを消費しないので、これを中心に戦って行こう。
「あー、嬢ちゃん。ちょっと言っとかなければならん事があるんじゃが」
珍しく、歯切れが悪い感じでオショウが切り出す。
「拙僧、この前平原で魔法のお手本見せただろう」
火砕流から必死に逃げた体験など、忘れたくても忘れられない。
「アレで弱いモンスターを大量に仕留め過ぎてのう、タップリ呪われてしまって、とても戦いの役に立てん。スマンな。ハッハッハ」
「ハッハッハじゃ無いわよ。このバカオショウ!」
オショウのステータスはなんと全て一桁台、しかもこの呪いは祝福ポイントでは解呪出来ないらしい。もし出来たとしても、この破戒僧がそんな大量の祝福ポイント貯めてるわけありませんでした。私よりポイント少ないんですけど、このオッサン。
それから暫くの間、私とオショウのモグラ叩きゲームは続いたのだった。
[ゴブリンゾンビが現れた]
「イヤーッ!腐ってる!ドロドロしてるし、なんか酸っぱい!攻撃効いてない!」
さっきから叫びながら夢中で攻撃を打ち込んでいるが、ゾンビだから痛みを感じないのか、単にレベルが高くて攻撃が効いてないのか、全くかまわずにゴブリンゾンビはどんどん近づいて来る。ホントにホラーだわ。
「こりゃ不味いのう。しょうがないアレを使え」
安全な場所から、オショウが指示を出してくる。
「アレはマズくない?〈疲れ〉ちゃうわよ」
「一瞬だけ使って技と連携させるしか方法が無いぞ」
「ええいっ、もう知らない!〈闘気法〉〈双龍打ち〉〈双龍打ち〉〈双龍打ち〉ぃ!」
私の体が透明なオーラに包まれる!
それは私の持つ樫の樹の杖にも伝わり、オーラが双頭の龍みたいな形をとる。その龍の牙を思いっきり叩き込む!
コンボ完成!〈双頭龍の六連牙〉!
あれだけ攻撃が通らなかったゴブリンゾンビがあっさり消滅。
やだ、これすっごくカッコイイ。
[シャドウバットの群れが現れた]
「キャーッ!コウモリがいっぱい来たーっ!」
大量に襲いかかってくるコウモリの群れを、杖を回転させて必死に打ち払っていく。一匹一匹はたいした強さではないが、とにかく数が多すぎる。
……こうなったら、またやってみるしかないか。
〈闘気法〉〈回し〉〈回し〉〈回し〉
コンボ完成!〈双頭龍の旋風爪〉!
なんと、杖が風を巻き起こしながら扇風機の様に高速回転!風の刃がコウモリの群れを切り裂き、更に竜巻まで生み出して全部吹き飛ばしたのだった。
……私も反動で吹っ飛んだけどね。
[甲冑キョンシーが現れた]
「ワァーッ!なんかすっごい懐かしいこの動き。でも顔が怖い、牙が凄い、髭面オッサン顔が濃い」
昔映画やTVで視たあの独特の動きでアクロバティックに跳び跳ねながら襲って来る。昔の武将が鎧を着たままキョンシーになったようで、かなり手強い。
カン、カカン、カカカンと杖が甲冑に阻まれてダメージが与えられない。打撃技はこいつには効かないようだ。斬撃技といえば〈草薙ブレード〉や〈木の刃スラッシュ〉だが、あれは切れ味のよい草の刃で柔らかな肉体を斬る技にすぎない。硬い甲冑を着けた相手には文字通り刃が立たないのだ。それならばっ!
〈双頭龍の旋風爪〉!
ズバッ、ズババッ、ズバババン!良しっ効果有りっ!風の刃が甲冑キョンシーにダメージを与えた。だが、コウモリとは違いまだ倒れない。
なら、このままっ、竜巻が発生する前に技をキャンセルして〈双頭龍の六連牙〉に繋げてやる!
コンボ完成!〈双頭龍の旋風連牙爪〉!
〈双頭龍の旋風爪〉の後に〈双頭龍の六連牙〉を繋げるとまた新たなコンボ技が完成した。キャンセルした竜巻のエネルギーが杖に蓄えられて強烈な風属性が付与。それを叩き込むと風の力で甲冑キョンシーを切り刻んだ。この連撃には硬い甲冑も耐えきれず、細切れになってキョンシーは消滅したのだった。
〔戦闘経験値を獲得しました〕
〔力、素早さ、体力が上がりました〕
〔レベルが1上がりました〕
〔アビリティポイントを1獲得した〕
いやー、なんかこのメッセージ久しぶりに聞いたなー。
〔技の使用回数が規定値を超えました〕
〔ステータスの現在値が下がります〕
「上がったと喜んだら、直ぐ下げられて、ホント鬼畜仕様ね」
「まあ、それ程影響無くて良かったと思う事だな。あんなに〈闘気法〉を使っとったら今頃〈疲れ〉て前みたいにぶっ倒れておったぞ」
その言葉に私は特訓のことを思い出すのだった。
…………
……
…
あれは、オショウに私のステータスを調べて貰った後のこと。
「今のままでは嬢ちゃんがモンスターを仲間にするのは難しい。その貧相なステータスでレベル5以上高いモンスターをひとりで倒すなんて、自殺するのと同じじゃぞ。ハッハッハ。あ、これ埋葬と供養の案内書ね、格安にしといたぞ」
「いらんわっ!」
ビリビリと案内書を破り捨て、私は頭を抱えた。
状況を整理してみよう。
謎の種子に戦闘経験値を吸い取られ、ステータスが上がらない。
私の昼間のステータスは基本値の2/3 である。
ステータスが弱ければ、レベルの高いモンスターを一人でなんて倒せない。
夜になればステータスは上がるが、モンスターもまた凶暴化して強くなっている上に、今私の主力になっている〈植物操作〉のスキルがパワーダウンしてしまう。
加えて、夜は只でさえエンカウント率や不意打ちの確率が上がるのに、〈魔性の魅了〉の効果で戦闘中もモンスターが集まってくるというのだから危険極まりない。
そんな命がいくつ有っても足りない真夜中のレベルアップに付き合うような冒険者なぞいない、拙僧も酒飲んで寝るとはオショウの当然の言葉。
「一か八か、最初の森で夜中に一人でレベル上げする?……あれ?でも私がレベルを上げると、仲間にするモンスターのレベルも上がっちゃうから意味が無い?」
うおおお?どうすれば良いのかさっぱり分かんない!
「仕方ないのう。要は強力な必殺技があれば良いんじゃろう」
僧侶が必殺技とはこれ如何に。とツッコミたいが溺れる者は藁をも掴む。
「そんな便利なモノがあるの?」
「………………」
すると、オショウは何も答えず黙って目を閉じ、仏像の様なポーズを取ったまま動かない。
……両手の親指と人差し指で輪を作った印を見せながら。
例えその藁が有料でも。
「……こちらお供え物でございます。どうぞお納め下さい」
「おおっ、何も催促しとらんのに有り難や有り難や」
まあ嬉しそうに金貨の詰まった袋を懐に入れること。
「そんな敬虔なる者には必ず困難な道も開けましょうぞ。あー拙僧、日課の〈闘気法〉の修行をせねば為らん。これは初心者には教えてはならん高度な技でのう。でも技を見て盗まれるのは仕方ないのう」
「一流の料理人は自分が苦労して身に付けた技術を普通教えてはくれません。慣れてますからお気遣い無く」
オショウのわざとらしい説明に私は笑って三文芝居に付き合ったのだった。
それから暫くして……
「ふぅ、鍛練終了。いやーこの技はすぐ〈疲れ〉るから困るわい」
オショウの丁寧な解説付きの練習を盗み見て、私も〈闘気法〉が使えるようになった。
────────────────
〈闘気法〉
体内の闘気を一時的に増幅して、攻撃力、防御力、素早さを大幅に上げる技。
使用後は力、素早さ、体力のステータスが下がり、眠らないと回復しない〈疲れ〉状態になる。
────────────────
トランザ〇かっ!
「技も使用し過ぎると体力が減って最大HPも減ってしまうが、この〈闘気法〉は力や素早さまで下がってしまうからなあ。使いどころに気を遣うわい。ハッハッハ」
そうして、試しに〈闘気法〉を使ったら、あっという間に〈疲れ〉てステータスが激減。昼間の貧弱なステータスでは使えないことが身に染みて分かって、仕方なく眠ってログアウトしたのだった。
…………
……
…
回想終了
吸血鬼パワーで三倍になったステータスが一割程減っている。
基礎ステータスが上がったのでこの程度で済んだと安心するべきだろうか?
正直、敵モンスターがかなり手強い。通常攻撃では対処出来ないモンスターが多いのだ。
「そういえば、もしダンジョンの中でやられちゃったらどうなるの?二十四 時間ログイン不可になった後、またダンジョンに再挑戦出来るの?」
このゲームでプレイヤーが倒れてゲームオーバーになった場合、ペナルティとして現実時間で二十四 時間はログイン出来ないことになっている。
まあ、廃ゲーマーなどは課金アイテムを使ってすぐに復活してるらしい。私は買う気は無いけど。
他にもモンスターに倒された場合は経験値を一部奪われてしまう。プレイヤーを倒したモンスターは経験値によって強くなり、進化してレアなモンスターに生長してしまうそうだ。
また、他のプレイヤーや人型のNPC 又はモンスターに倒されてしまうと、一部の経験値だけでなくお金やアイテムも奪われ、さらに特殊な相手からはアビリティやスキルまで奪われてしまうことがあるらしい。
極一部のプレイヤーが、倒した相手からアビリティを奪う能力を手に入れ、プレイヤーキラーギルドを作ったなんて噂もある。
「ダンジョン内でやられてしまったら夢から覚めて終わりだよ。再び夢の中に入っても何処か別の場所にいるらしいぞ。経験値を吸収されてダンジョンはより複雑に強力になるし、持っている金やアイテムも奪われて呪いによりモンスター化してしまうらしいから、死なんように頑張れ。ワッハッハ」
ああ、それでダンジョンのモンスターを倒す度に大量の経験値やアイテムにお金まで手に入るのか。手強いぶん実入りが大きいけど一人で攻略するの大変だよ!早くモンスターを仲間にしなきゃ。多分ここのモンスターの強さならレベル高くて仲間に出来るんじゃないかな。可愛いのいないけどそんなこと言ってられないし……
「ちなみに、ダンジョン内のモンスターは呪いにより産み出されたものなので、ダンジョンを攻略すると呪いが解けて消滅するから、仲間には出来んぞ。ハッハッハ」
「……ゾンビやコウモリやキョンシーになったオッサンを仲間にするわけないでしょ。オッホッホ」
内心を見透かしたようなオショウの台詞にドキッとしながら、私は何とか笑って誤魔化す。
……今オショウの笑い方移ってなかった?
こうなったら意地でも攻略してやる、と私は無理ゲー攻略を心に誓うのだった。
「ハーッハッハッハ、この通路を通り抜ければ、最後の部屋だぞ。よく辿り着けたな、ワッハッハッまだ腹が痛いぞ」
台詞だけ聞けばまるで勇者を待ち構える魔王の様だが、今の私にツッコミを入れる気力は残ってなかった。
あれからなるべくモンスターと戦わないように進んできたのだ。オショウが龍脈魔法でサポートしてくれて道にも迷わず、モンスターが近付いたら警告してくれるので最低限の戦闘で済んだのだが、最後に前と後ろを甲冑キョンシーに挟まれてしまったのだ。
戦えば間違いなく殺られる状況で、一か八か私が取った行動は、「息を止めて壁に引っ付いて動かない」ことだった。
この方法はキョンシー映画でお馴染みの「キョンシーは人間の吐く息で居場所を感知する」習性を利用した隠れ方なのだが、本当に効果が有りキョンシー達は私を見失った。オショウは地面に潜って何処かに逃げた。
だが、それからが大変だった。突然見失った私を探して二体の甲冑キョンシーは息を止めてる私の周りをピョンピョン跳び跳ねまくったのだ。強面で髭面のオッサン達がコミカルに跳ねまくったり、不思議そうな顔して私のすぐ近くまで顔を近付けた時は腹筋崩壊して吹き出しそうになるのを堪えるのに必死だった。
そういえばこの方法で最後まで隠れられた人っていたかな?と映画の内容を思い出しているうちに、とうとう息を止める限界を迎えてしまう。だがキョンシー達はまだ目の前にいる。もう無理だ、こうなったら破れかぶれで特攻するしかないか、と覚悟を決めると、
「ブワッハッハッハ、嬢ちゃんかなり面白い状況になっとるな」
と笑い声が、私が来た道の曲がり角の方から響いてきた。ナイスフォローオショウ!
途端に反応して、キョンシー達は声の響く方へ跳び跳ねていった。
「ワッハッハ、まだ息を吐くなよ。もう少しの辛抱だ。そんな陸に打ち上げられた魚のように痙攣するな。戻って来てしまうぞ」
と励ましの声が通路の向こう側から響いてくる。
早く、早くしてぇぇぇ!私の呼吸は限界なのよぉぉぉ!
「そんな涙目になって、フグのようにほっぺた膨らませても拙僧にはどうしようもないわい。ハッハッハ。ムッ、もういいぞキョンシーどもは充分離れたぞ」
ぷはぁぁぁぁー!思いっきり息を吐き出して新鮮な空気を吸いながら、もしかして現実世界の私も息を止めていたのかなと疑問に思ってしまう。
バーチャルゲームやってて自ら息を止めて死亡、なんてことになったら恥ずかしすぎて死んでも死にきれんぞと考えながら、私は何とか立ち上がって最後のエリアに向かって歩き出すのだった。
そうして、無事に戻ってきたオショウが地面から顔を出し、先程のセリフをほざいたのだ。
「オショウ、どうもありがとう。お礼に2、3発殴ってあげるわ♪」
乙女の悶え苦しむ姿を面白可笑しく見物してたんだから当然よね。
「正に抱腹絶倒とはこの事か。スマンな、ハッハッハ」
言葉通りオショウが腹を抱えて笑いながら、タンコブ作って倒れるのだった。
〔御注意下さい〕
宿屋などの安全な場所以外でログアウトすると、攻撃される場合があります。緊急時のログアウトに備えて〈結界石〉購入をお勧めします。
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ピチョン。
天井から落ちてきた水滴が顔に当たり、私は目を覚ました。
はて、ここは何処だろう?私は森の中にいた筈だが。
確か、技の特訓をしているうちに〈疲れ〉て倒れてしまい、そのまま強制ログアウトしてしまったんだっけ。
ちなみに、ログアウトするとそのまま深い眠りに入り、朝までグッスリ快眠である。いやー久々に良く眠れた。
そうして一日の仕事を終えて、特訓の続きをするつもりでログインしたのだが、どうみてもここは森の中ではなく、真っ暗な洞窟の中である。普通なら何も見えないが吸血鬼のスキル〈夜目〉のおかげで辺りの様子がハッキリと見えている。
洞窟は縦横三メートル程の大きさで、私のいるのは行き止まりの部分。前に進むしか道はない。洞窟の中に入った覚えなんかないし、何でこんな所に……
「ハッ、まさかよくありがちな、ゴブリンに倒されて巣穴にお持ち帰りされたパターンでは?」
不意討ちを喰らって気絶させられ、巣穴に連れ込まれてゴブリン達の慰みものになる。ダークファンタジーにありがちな凌辱シーンが今まさに現実(夢の中だけど)になろうとしている?冗談じゃない。そんな危険な趣味はないわよ!
「やっと起きたか……」
そんなことを考えてる所に突然の声。驚いて反射的に声のする方向に思いっきり腕を振るが手応え無し。
「……そこはビックリして跳び退くのが普通の反応じゃぞ。ハッハッハ危ない、危ない」
「オショウ!」
地面から頭だけ出して、オショウが苦笑いしている。……いや、変なこと想像してたからつい、ね。
「ごめんなさい。チカンだと思って。それで、ここは何処なの?モンスターの巣穴?私達連れ去られたの?」
「チカンに振り向きざま攻撃するのか、お嬢ちゃんは怖いのう……其処は呪われし迷宮、カースドダンジョンだ。拙僧達はそこに落とされんだんだよ。いやーこれは参った。ハッハッハ」
私の質問に、ちっとも困った様子もなくオショウは答えたのだった。
カースドダンジョン。
それについて説明するには、この世界の歴史について語らなければならない。
遥か昔、九つの都市の間で戦争があった。
長い間戦争は続き、追い詰められた一つの都市が暗黒神を召喚してしまった。
暗黒神はなんやかや壮大な冒険啖の末に各都市の英雄が協力して打ち倒したが、暗黒神は最期に世界に呪いをかけていったのだった。
呪いによりモンスターや亜人族が生まれ、世界は荒廃、混乱し強大な魔法文明を持っていた都市も全て消滅した。
当時使われたの伝説級の武具や秘宝も使い手がいなくなり、歴史から消えていつしか呪われてしまった。
そうした呪われた道具を核として、周囲の空間を歪めダンジョンが生成され、自分達を扱うにふさわしい者達を待っているのだった。
「……というのがカースドダンジョンの成り立ちだな。拙僧らはダンジョンの主が求める条件を満たしたので招き寄せられたといったところか」
「何だか一番重要で面白そうな場面をあっさり省略されたけど、状況は良く分かったわ。要はダンジョンを攻略してお宝を手に入れれば良いのね」
言いながら私はステータスを確認する。
洞窟の中なので光は届かず〈植物操作〉系のスキルは軒並みパワーダウンしている。MPの回復も無くなった。
しかし、半吸血鬼の能力により、HPや力、体力といった物理系のステータスが三倍になっているし、HPも自動回復する。これなら攻略出来るだろうか?
アイテムボックスから樫の樹の杖を取り出し、軽く振り回して準備完了。
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〈双龍打ち〉
1打目を打った反動で棒の反対側を強烈に叩き込む技。相手の攻撃を打ち落としてカウンターを叩き込むのにも使える。
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〈回し〉
体の正面で棒を回転させて攻撃を弾く基本の防御技。
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私が今使える棒術の技はこの二つ。現実世界で昔教わった杖術の技が反映されたのか、直ぐに技を覚えた。物理的な武器技はMPを消費しないので、これを中心に戦って行こう。
「あー、嬢ちゃん。ちょっと言っとかなければならん事があるんじゃが」
珍しく、歯切れが悪い感じでオショウが切り出す。
「拙僧、この前平原で魔法のお手本見せただろう」
火砕流から必死に逃げた体験など、忘れたくても忘れられない。
「アレで弱いモンスターを大量に仕留め過ぎてのう、タップリ呪われてしまって、とても戦いの役に立てん。スマンな。ハッハッハ」
「ハッハッハじゃ無いわよ。このバカオショウ!」
オショウのステータスはなんと全て一桁台、しかもこの呪いは祝福ポイントでは解呪出来ないらしい。もし出来たとしても、この破戒僧がそんな大量の祝福ポイント貯めてるわけありませんでした。私よりポイント少ないんですけど、このオッサン。
それから暫くの間、私とオショウのモグラ叩きゲームは続いたのだった。
[ゴブリンゾンビが現れた]
「イヤーッ!腐ってる!ドロドロしてるし、なんか酸っぱい!攻撃効いてない!」
さっきから叫びながら夢中で攻撃を打ち込んでいるが、ゾンビだから痛みを感じないのか、単にレベルが高くて攻撃が効いてないのか、全くかまわずにゴブリンゾンビはどんどん近づいて来る。ホントにホラーだわ。
「こりゃ不味いのう。しょうがないアレを使え」
安全な場所から、オショウが指示を出してくる。
「アレはマズくない?〈疲れ〉ちゃうわよ」
「一瞬だけ使って技と連携させるしか方法が無いぞ」
「ええいっ、もう知らない!〈闘気法〉〈双龍打ち〉〈双龍打ち〉〈双龍打ち〉ぃ!」
私の体が透明なオーラに包まれる!
それは私の持つ樫の樹の杖にも伝わり、オーラが双頭の龍みたいな形をとる。その龍の牙を思いっきり叩き込む!
コンボ完成!〈双頭龍の六連牙〉!
あれだけ攻撃が通らなかったゴブリンゾンビがあっさり消滅。
やだ、これすっごくカッコイイ。
[シャドウバットの群れが現れた]
「キャーッ!コウモリがいっぱい来たーっ!」
大量に襲いかかってくるコウモリの群れを、杖を回転させて必死に打ち払っていく。一匹一匹はたいした強さではないが、とにかく数が多すぎる。
……こうなったら、またやってみるしかないか。
〈闘気法〉〈回し〉〈回し〉〈回し〉
コンボ完成!〈双頭龍の旋風爪〉!
なんと、杖が風を巻き起こしながら扇風機の様に高速回転!風の刃がコウモリの群れを切り裂き、更に竜巻まで生み出して全部吹き飛ばしたのだった。
……私も反動で吹っ飛んだけどね。
[甲冑キョンシーが現れた]
「ワァーッ!なんかすっごい懐かしいこの動き。でも顔が怖い、牙が凄い、髭面オッサン顔が濃い」
昔映画やTVで視たあの独特の動きでアクロバティックに跳び跳ねながら襲って来る。昔の武将が鎧を着たままキョンシーになったようで、かなり手強い。
カン、カカン、カカカンと杖が甲冑に阻まれてダメージが与えられない。打撃技はこいつには効かないようだ。斬撃技といえば〈草薙ブレード〉や〈木の刃スラッシュ〉だが、あれは切れ味のよい草の刃で柔らかな肉体を斬る技にすぎない。硬い甲冑を着けた相手には文字通り刃が立たないのだ。それならばっ!
〈双頭龍の旋風爪〉!
ズバッ、ズババッ、ズバババン!良しっ効果有りっ!風の刃が甲冑キョンシーにダメージを与えた。だが、コウモリとは違いまだ倒れない。
なら、このままっ、竜巻が発生する前に技をキャンセルして〈双頭龍の六連牙〉に繋げてやる!
コンボ完成!〈双頭龍の旋風連牙爪〉!
〈双頭龍の旋風爪〉の後に〈双頭龍の六連牙〉を繋げるとまた新たなコンボ技が完成した。キャンセルした竜巻のエネルギーが杖に蓄えられて強烈な風属性が付与。それを叩き込むと風の力で甲冑キョンシーを切り刻んだ。この連撃には硬い甲冑も耐えきれず、細切れになってキョンシーは消滅したのだった。
〔戦闘経験値を獲得しました〕
〔力、素早さ、体力が上がりました〕
〔レベルが1上がりました〕
〔アビリティポイントを1獲得した〕
いやー、なんかこのメッセージ久しぶりに聞いたなー。
〔技の使用回数が規定値を超えました〕
〔ステータスの現在値が下がります〕
「上がったと喜んだら、直ぐ下げられて、ホント鬼畜仕様ね」
「まあ、それ程影響無くて良かったと思う事だな。あんなに〈闘気法〉を使っとったら今頃〈疲れ〉て前みたいにぶっ倒れておったぞ」
その言葉に私は特訓のことを思い出すのだった。
…………
……
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あれは、オショウに私のステータスを調べて貰った後のこと。
「今のままでは嬢ちゃんがモンスターを仲間にするのは難しい。その貧相なステータスでレベル5以上高いモンスターをひとりで倒すなんて、自殺するのと同じじゃぞ。ハッハッハ。あ、これ埋葬と供養の案内書ね、格安にしといたぞ」
「いらんわっ!」
ビリビリと案内書を破り捨て、私は頭を抱えた。
状況を整理してみよう。
謎の種子に戦闘経験値を吸い取られ、ステータスが上がらない。
私の昼間のステータスは基本値の2/3 である。
ステータスが弱ければ、レベルの高いモンスターを一人でなんて倒せない。
夜になればステータスは上がるが、モンスターもまた凶暴化して強くなっている上に、今私の主力になっている〈植物操作〉のスキルがパワーダウンしてしまう。
加えて、夜は只でさえエンカウント率や不意打ちの確率が上がるのに、〈魔性の魅了〉の効果で戦闘中もモンスターが集まってくるというのだから危険極まりない。
そんな命がいくつ有っても足りない真夜中のレベルアップに付き合うような冒険者なぞいない、拙僧も酒飲んで寝るとはオショウの当然の言葉。
「一か八か、最初の森で夜中に一人でレベル上げする?……あれ?でも私がレベルを上げると、仲間にするモンスターのレベルも上がっちゃうから意味が無い?」
うおおお?どうすれば良いのかさっぱり分かんない!
「仕方ないのう。要は強力な必殺技があれば良いんじゃろう」
僧侶が必殺技とはこれ如何に。とツッコミたいが溺れる者は藁をも掴む。
「そんな便利なモノがあるの?」
「………………」
すると、オショウは何も答えず黙って目を閉じ、仏像の様なポーズを取ったまま動かない。
……両手の親指と人差し指で輪を作った印を見せながら。
例えその藁が有料でも。
「……こちらお供え物でございます。どうぞお納め下さい」
「おおっ、何も催促しとらんのに有り難や有り難や」
まあ嬉しそうに金貨の詰まった袋を懐に入れること。
「そんな敬虔なる者には必ず困難な道も開けましょうぞ。あー拙僧、日課の〈闘気法〉の修行をせねば為らん。これは初心者には教えてはならん高度な技でのう。でも技を見て盗まれるのは仕方ないのう」
「一流の料理人は自分が苦労して身に付けた技術を普通教えてはくれません。慣れてますからお気遣い無く」
オショウのわざとらしい説明に私は笑って三文芝居に付き合ったのだった。
それから暫くして……
「ふぅ、鍛練終了。いやーこの技はすぐ〈疲れ〉るから困るわい」
オショウの丁寧な解説付きの練習を盗み見て、私も〈闘気法〉が使えるようになった。
────────────────
〈闘気法〉
体内の闘気を一時的に増幅して、攻撃力、防御力、素早さを大幅に上げる技。
使用後は力、素早さ、体力のステータスが下がり、眠らないと回復しない〈疲れ〉状態になる。
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トランザ〇かっ!
「技も使用し過ぎると体力が減って最大HPも減ってしまうが、この〈闘気法〉は力や素早さまで下がってしまうからなあ。使いどころに気を遣うわい。ハッハッハ」
そうして、試しに〈闘気法〉を使ったら、あっという間に〈疲れ〉てステータスが激減。昼間の貧弱なステータスでは使えないことが身に染みて分かって、仕方なく眠ってログアウトしたのだった。
…………
……
…
回想終了
吸血鬼パワーで三倍になったステータスが一割程減っている。
基礎ステータスが上がったのでこの程度で済んだと安心するべきだろうか?
正直、敵モンスターがかなり手強い。通常攻撃では対処出来ないモンスターが多いのだ。
「そういえば、もしダンジョンの中でやられちゃったらどうなるの?二十四 時間ログイン不可になった後、またダンジョンに再挑戦出来るの?」
このゲームでプレイヤーが倒れてゲームオーバーになった場合、ペナルティとして現実時間で二十四 時間はログイン出来ないことになっている。
まあ、廃ゲーマーなどは課金アイテムを使ってすぐに復活してるらしい。私は買う気は無いけど。
他にもモンスターに倒された場合は経験値を一部奪われてしまう。プレイヤーを倒したモンスターは経験値によって強くなり、進化してレアなモンスターに生長してしまうそうだ。
また、他のプレイヤーや人型のNPC 又はモンスターに倒されてしまうと、一部の経験値だけでなくお金やアイテムも奪われ、さらに特殊な相手からはアビリティやスキルまで奪われてしまうことがあるらしい。
極一部のプレイヤーが、倒した相手からアビリティを奪う能力を手に入れ、プレイヤーキラーギルドを作ったなんて噂もある。
「ダンジョン内でやられてしまったら夢から覚めて終わりだよ。再び夢の中に入っても何処か別の場所にいるらしいぞ。経験値を吸収されてダンジョンはより複雑に強力になるし、持っている金やアイテムも奪われて呪いによりモンスター化してしまうらしいから、死なんように頑張れ。ワッハッハ」
ああ、それでダンジョンのモンスターを倒す度に大量の経験値やアイテムにお金まで手に入るのか。手強いぶん実入りが大きいけど一人で攻略するの大変だよ!早くモンスターを仲間にしなきゃ。多分ここのモンスターの強さならレベル高くて仲間に出来るんじゃないかな。可愛いのいないけどそんなこと言ってられないし……
「ちなみに、ダンジョン内のモンスターは呪いにより産み出されたものなので、ダンジョンを攻略すると呪いが解けて消滅するから、仲間には出来んぞ。ハッハッハ」
「……ゾンビやコウモリやキョンシーになったオッサンを仲間にするわけないでしょ。オッホッホ」
内心を見透かしたようなオショウの台詞にドキッとしながら、私は何とか笑って誤魔化す。
……今オショウの笑い方移ってなかった?
こうなったら意地でも攻略してやる、と私は無理ゲー攻略を心に誓うのだった。
「ハーッハッハッハ、この通路を通り抜ければ、最後の部屋だぞ。よく辿り着けたな、ワッハッハッまだ腹が痛いぞ」
台詞だけ聞けばまるで勇者を待ち構える魔王の様だが、今の私にツッコミを入れる気力は残ってなかった。
あれからなるべくモンスターと戦わないように進んできたのだ。オショウが龍脈魔法でサポートしてくれて道にも迷わず、モンスターが近付いたら警告してくれるので最低限の戦闘で済んだのだが、最後に前と後ろを甲冑キョンシーに挟まれてしまったのだ。
戦えば間違いなく殺られる状況で、一か八か私が取った行動は、「息を止めて壁に引っ付いて動かない」ことだった。
この方法はキョンシー映画でお馴染みの「キョンシーは人間の吐く息で居場所を感知する」習性を利用した隠れ方なのだが、本当に効果が有りキョンシー達は私を見失った。オショウは地面に潜って何処かに逃げた。
だが、それからが大変だった。突然見失った私を探して二体の甲冑キョンシーは息を止めてる私の周りをピョンピョン跳び跳ねまくったのだ。強面で髭面のオッサン達がコミカルに跳ねまくったり、不思議そうな顔して私のすぐ近くまで顔を近付けた時は腹筋崩壊して吹き出しそうになるのを堪えるのに必死だった。
そういえばこの方法で最後まで隠れられた人っていたかな?と映画の内容を思い出しているうちに、とうとう息を止める限界を迎えてしまう。だがキョンシー達はまだ目の前にいる。もう無理だ、こうなったら破れかぶれで特攻するしかないか、と覚悟を決めると、
「ブワッハッハッハ、嬢ちゃんかなり面白い状況になっとるな」
と笑い声が、私が来た道の曲がり角の方から響いてきた。ナイスフォローオショウ!
途端に反応して、キョンシー達は声の響く方へ跳び跳ねていった。
「ワッハッハ、まだ息を吐くなよ。もう少しの辛抱だ。そんな陸に打ち上げられた魚のように痙攣するな。戻って来てしまうぞ」
と励ましの声が通路の向こう側から響いてくる。
早く、早くしてぇぇぇ!私の呼吸は限界なのよぉぉぉ!
「そんな涙目になって、フグのようにほっぺた膨らませても拙僧にはどうしようもないわい。ハッハッハ。ムッ、もういいぞキョンシーどもは充分離れたぞ」
ぷはぁぁぁぁー!思いっきり息を吐き出して新鮮な空気を吸いながら、もしかして現実世界の私も息を止めていたのかなと疑問に思ってしまう。
バーチャルゲームやってて自ら息を止めて死亡、なんてことになったら恥ずかしすぎて死んでも死にきれんぞと考えながら、私は何とか立ち上がって最後のエリアに向かって歩き出すのだった。
そうして、無事に戻ってきたオショウが地面から顔を出し、先程のセリフをほざいたのだ。
「オショウ、どうもありがとう。お礼に2、3発殴ってあげるわ♪」
乙女の悶え苦しむ姿を面白可笑しく見物してたんだから当然よね。
「正に抱腹絶倒とはこの事か。スマンな、ハッハッハ」
言葉通りオショウが腹を抱えて笑いながら、タンコブ作って倒れるのだった。
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