28 / 42
第二十八話:海魔咆哮!月夜の船上決戦と幻の島への上陸
しおりを挟む満月の光が銀色の道筋を海面に描き出す中、桃色助平太一行を乗せた老船頭・浦島太郎の漁船は、幻の島「月見ずの島」へと近づいていた。しかし、その神々しい光景を打ち破るかのように、突如として船の傍らの海面が黒く盛り上がり、巨大な影が姿を現した!
「グルオオオオオオッ!」
それは、家ほどもある巨大な頭部と、そこから突き出た一つ目、そしてヌメヌメとした黒い巨体を持つ、伝説の海の魔物「海坊主」であった!その一つ目は、満月のように赤く輝き、船を丸呑みにせんばかりの巨大な口からは、磯の香りと共に恐ろしい咆哮が放たれる!
「ひゃあああ!出たー!本当に海坊主が出やがった!」辰五郎が腰を抜かしそうになる。
「な、なんという巨大さ!そして、あのヌメヌメとしたお肌の質感!まるで、最高級の黒漆を塗りたくった、巨大なる…むふぅ、男根のよう!この助平太、その『海の漢(おとこ)』の雄大さに、畏敬の念を禁じ得ませぬぞ!」
助平太は、恐怖よりも先に、海坊主の持つ特異な「美」に感動し、早くも筆を取り出そうとしている。
「このド変態!見惚れてる場合かゾ!船が沈められる!」プルルンが助平太の頭の上で絶叫する。
老船頭の浦島太郎は、さすがに長年の経験を持つだけあって冷静だった。
「落ち着けい!海坊主は月の光を嫌うという!そして、奴の弱点は、あの巨大な一つ目じゃ!そこを狙え!」
海坊主が、巨大な腕を振り上げ、漁船めがけて叩きつけてきた!船が大きく傾き、マストが軋む音を立てる!
「きゃあああっ!」カゲリが体勢を崩し、海に投げ出されそうになるのを、辰五郎が間一髪で腕を掴んで引き上げた。その際、カゲリの着物が海水で濡れ、肌に張り付き、その美しい体のラインがあらわになる。
「おお!カゲリ殿!その濡れ姿!なんと!なんと悩ましげな!まるで、海神に捧げられた生贄の乙女のよう!この助平太、その『海の幸』を、じっくりと味わい…いや、拝見したいものでござる!」
「今はそれどころではないだろう、この変態が!」カゲリが怒鳴る。
「総力戦でござるぞ!あの海坊主殿の『悲しき一つ目』に、我らが『愛の一撃』を叩き込むのでござる!」
助平太の号令(?)一下、船上での死闘が始まった!
カゲリは、濡れた着物も気にせず、マストにするすると駆け上がり、海坊主の巨大な一つ目めがけてクナイを投擲する!しかし、海坊主の外皮は硬く、クナイは弾き返されてしまう。
「くっ…硬い!」
辰五郎は、船に備え付けられていた巨大な銛を掴むと、浦島太郎の操る船が海坊主に接近した瞬間を狙い、渾身の力でその一つ目めがけて突き出した!
「江戸っ子火消しの心意気、なめるんじゃねえぞ、このデカブツが!」
銛は、海坊主の目の縁をわずかに掠めたが、決定打には至らない。
プルルンは、海に飛び込むと、巨大な電気クラゲに擬態し、海坊主の足元(があるのかどうかは不明だが)にまとわりつき、微弱な電気ショックでその動きを鈍らせようと試みる!
「このヌルヌル野郎!アタイの電撃で痺れさせてやるんだゾ!」
そして助平太は…
「おお!海坊主殿!その一つ目から流れる涙(ただの海水だが)!なんと美しくも儚い!それは、海の底で孤独に耐える、貴殿の『魂の叫び』なのでござろうか!?この助平太、その悲しみに、深く、深く共感いたしますぞ!」
助平太は、お龍から貰った「七色催涙煙幕」を取り出すと、それを海坊主の一つ目めがけて投げつけた!
「さあ、海坊主殿!もっともっと涙を流し、その悲しみを洗い流すがよい!そして、その涙で濡れたお顔を、拙者が優しく拭ってご覧にいれましょうぞ!」
七色の煙幕は、海坊主の巨大な一つ目を直撃!煙幕に含まれていた南蛮渡来の刺激物が、海坊主の目に強烈な痛みを与えた!
「グオオオオオオオオオオオオオッ!」
海坊主は、これまで以上の苦悶の叫びを上げ、その巨体をのたうち回らせる!その衝撃で、船は木の葉のように揺れ動き、一行は立っているのもやっとの状態だ!
その時、満月が雲間から顔を出し、ひときわ強い光を海坊主に投げかけた。さらに、目指す「月見ずの島」からも、まるで呼応するかのように、淡く優しい光が差し伸べられた。
「…月の光…そして、島の光じゃ…!乙姫様が、我々に味方してくださっておるのかもしれん…!」
浦島太郎が、畏敬の念を込めて呟いた。
月の光と島の光を浴び、さらに目の痛みに苦しむ海坊主は、ついに戦意を喪失したのか、あるいは何かに怯えたように、大きな水しぶきを上げて海の底へと姿を消していった。
「…行ったか…」辰五郎が、荒い息をつきながらへたり込む。
「ふぅ…またもや、拙者の『愛』と『変態的発想』が、強大な敵を退けてしまったようでござるな…。しかし、あの海坊主殿の『苦悶の涙』、実に素晴らしい芸術作品が描けそうでござる…」
助平太は、ずぶ濡れになりながらも、満足げに筆を握りしめていた。
船は多少の損傷を受けたものの、沈没は免れた。浦島太郎は巧みな操船で、ついに一行を「月見ずの島」の白砂の浜辺へと導いた。
島に上陸した一行が見たものは、まさに幻想的な光景であった。透き通るような青い海、きめ細かい白砂の浜、そして奥には、見たこともないような色鮮やかな花々が咲き乱れる、亜熱帯のジャングルのような森が広がっている。しかし、その美しい自然とは対照的に、森の奥には、かつては壮麗であっただろうが、今は蔦に覆われ、半ば廃墟と化した、巨大な建造物のシルエットが見えた。あれが、伝説の「竜宮城」なのだろうか。
「おおおおおっ!この島!この空気!なんと清浄で、そして…エロティックな香りに満ちておることでござろうか!この白砂の浜は、乙姫様が裸足で戯れるためのもの!そして、あの森の奥には、乙姫様の秘密の『閨(ねや)』が…!この助平太、今、猛烈に『探検』したくなってまいりましたぞ!」
助平太は、新たな「美の宝庫」を前に、興奮を抑えきれない様子だ。
「…なんだか、空気が重いんだゾ。美しいけど、どこか悲しい感じがする…」
プルルンは、島の不思議な雰囲気に、何かを感じ取っているようだった。
一行は、廃墟と化した竜宮城を目指し、島の探索を開始した。道中、奇妙な形をした珊瑚の石碑や、真珠で飾られた朽ちた門など、かつての海の民の文明の痕跡が点在している。
やがて、彼らは竜宮城の中枢部と思われる、ひときわ大きな建物の入り口へとたどり着いた。しかし、その入り口は、巨大な真珠貝の扉で固く閉ざされており、その前には、まるで番人のように、巨大な蟹と蛸の妖怪が二体、威嚇するようにハサミと触手を振り上げていた!
「何奴だ!ここは乙姫様の聖なる眠りを妨げる場所ではないぞ!」
蟹の妖怪が、泡を吹きながら警告する。
「おお!なんと!蟹殿のその逞しきハサミ!そして蛸殿のその柔軟なる触手!これはまた、新たな『造形美』との出会い!この助平太、貴殿方のその『海の幸』を、じっくりと味わい…いや、鑑賞させていただきたいものでござる!」
次なる鍵の破片、そして乙姫様の謎を求め、助平太一行の新たな戦いが、今、始まろうとしていた!
(第二十八話 了)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる