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2章 森に引きこもってもいいかしら?
8. 思い出の料理教室
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ミーナの宿に帰り部屋の鍵を貰います。ふふっ。いつもの部屋ね。慣れている部屋を用意してもらえて有難いわ。
「ミーナ、夕食の後で見てもらいたいものが有るの。いいかしら?」
ミーナに声を掛けると頷いて返事をくれます。
「ああん? 新しい料理かい?」
「新しいっていうよりこれから冬にかけての料理なの。見て貰える?」
「食事はそれの方がいいんじゃないか?」
「嫌よ。せっかく人の作った料理を楽しみにしてきたのよ? それにそんなに量が無いの。良かったら明日一緒に作ってみないかなと思って。それとも今は忙しい時期かしら」
「いいや。これから冬になるし。ここは雪が深いから新しいやつらは来ないから宿屋は暇さ。ちょうどいいよ」
「それなら良かったわ。じゃあ、後でね。あ、夕食は作ってよ?」
「冗談だよ。泊まるってあんたんとこの坊やが先に知らせてくれてたから、ちゃあんと用意はしてあるさ」
ああよかった。ほんとにミーナって冗談が好きなんだから。
そういえば、ここに初めて泊まった時の事を思い出すわ。
コンナ村では存在していた醤油と味噌がここには無かったのよね。
味付けも王都のような塩一辺倒で。
初めに食べたときは、ほんとにショックだったのよ。
☆☆☆
「夕食の用意ができました。何時でも食堂にいらしてくださって結構です」
そう声を掛けられた私は、シェヌとイリスを連れて食堂に下りました。
頭の中で『ご飯、ご飯。久しぶりのまともなご飯……』と何やら歌が流れてきています。
コンナ村ではゆっくり食事が出来たのはたったの二度。美味しかったのも……
醤油味、味噌味というだけで、私の心は満たされました。
さて、ここではどんなご飯が食べられるのでしょう。わくわくしています。
「どんなご飯なのかしら? 楽しみよね?」
「あ?」
「シェヌたちはここに来た事があるの?」
「俺は前に来たことが有るな」
「イリスはどう?」
「私は初めてなんです」
「あら、イリスも無いのね。私と一緒ね。温泉が有名って聞いたのよ。それも楽しみだわ」
「ええ、それも楽しみなんです。前は首に痛みが有ったので治るって聞いていましたから」
「私も楽しみだわ。でもとりあえずは今日の夕食ね。お野菜がたくさんだと嬉しいわ」
「野菜かぁ……ばあさん、好きだよなぁ」
「ふふっ。年寄りにお肉はちょっとね。あまりお腹に入らないのよ」
「コーユ様は肉がお嫌いですか?」
「嫌いじゃないわよ? どちらかというと好きかしら。ただお野菜の方が好きなだけよ」
「まあ、嫌いだったらあんなに旨くは料理できないよな」
「あら、それはあまり関係ないかしら」
「なんでだ? 嫌いなものは作りたくないだろう?」
「うーん。夫や息子に好き嫌いなく食べさせたかっただけね。私が好きじゃなくても食べたい人がいるなら作るわよ?」
「そんなもんか?」
「そんなものよ。美味しいって言ってくれたら嬉しいじゃない」
そんな事を話しながら食堂に向かうと、すでに食事の用意がされていた。
「お飲み物はどうされますか?」
席につくと女将さんに聞かれて、ちょっと考えたわ。
「私はお茶をお願いしたいのですが、こちらにはありますか?」
「お茶ですか?有りますが……」
「女将、金ならギルドが保証してくれるぜ」
「シェヌ!なんてことを言うの。ちゃんと私が払います」
「違う違う、ばあさんが金を持っているのはギルドが保証してくれるってことだよ」
「あ、早とちりしてごめんなさい」
「ああ、気にしてない。俺はエールで」
「あ、では私は水で」
「あ、お茶は二人分で。イリス? お茶を飲みましょうね。嫌いじゃないでしょ?」
「あっ。でも……はい」
さあ、夕食です。目の前にあるのは。
黒パンとサラダとお肉のソテーとスープです。
サラダは、レタスとトマトとインゲンの茹でたもの。
お肉は、焼いてあります。味つけは、自分でするようですね。目の前に塩を入れた小さな壺が有ります。
とても、とても残念で仕方ありません。
スープは具沢山ですね。おじゃがと人参、茄子、長葱、南瓜、あとお肉。味は……塩味みたいです。
美味しいのですが、これじゃないって感じがします。
「お味はいかがでしょうか」
「美味しいですよ。お野菜がたっぷりで嬉しいですわ」
「それにしてはお顔が……」
「この辺りでは、肉の味付けは自分でするのですか?」
「少しは味を付けて有るのですが、薄いという方のために塩壺が置いてあるのですよ」
「そうですか。あ、あのっ。私は料理を研究していまして。今度こちらで料理のレシピを登録しますので今度食べてみませんか?」
「料理の研究ですか?」
「ええ。旅先で購入した調味料を使って、料理を作ってみたのです。レシピはどれも銅貨一枚ですので」
「銅貨一枚ですか? レシピが?」
「ええ、美味しいものを皆で食べたいですからね」
「はぁ……」
興味が有るのか無いのか分からないけど。そうよね、今日、初めて会う人間にそんな事を言われてもねぇ。そういう反応になっちゃうわよね。
仕方ないわね。まあ、時間はたっぷりあるのだから、ぼちぼち頑張りましょう。
しばらくして、宿の厨房を借りられないか聞いてみたの。
そうしたら、レシピを買ったのだけれどよくわからないところが有ると言われて。
じゃあ、料理教室をしましょうって……
なっちゃったのよね。
で、ミーナったら友達も連れてくるって……ええ、二三人だとおもっていましたわ。
十人近くの人が来るなんて思ってもみなかったの。
まず、出汁の取り方として、野菜くずを使ったやり方、動物の骨を使ったやり方を教えました。
スープや煮物の基本になるものだもの。
スープには塩を入れただけのもの。
ミショを入れたもの
セウを入れたもの
色々あるのだという事も分かってもらったわ。
皆、セウとミショにビックリしていたわ。
旨味の説明が難しくて、困っちゃったの。
だから基本の動物の骨から取ったスープを皆で作って用意しました。
丁寧に灰汁を取って布で漉したスープは旨味がたくさん出ています。
このスープを三つに分けました。
一つは塩を入れたもの。
一つはミショを入れたもの。
もう一つは、玉葱とトマトを油で炒めて塩やハーブで味付けをしたものを足したもの。
旨味の有るスープは塩だけでも飲めるくらい美味しいと。
ミショを入れたものは、もうそれだけで十分だと旨すぎると。
玉葱とトマトを入れたものは甘くて酸っぱくてとてつもなく美味しいと。
うん、スープってこんなに違うのを知ってもらいたかったの。みんな野菜の味だけでも美味しいっていうのは分かっていたけど。こういう味の付け方、引き出し方が有るって知って欲しかったの。
あと、出汁って大事よねってこと。
あとはサラダにかけるドレッシング。塩だけでもいいけど、こういうのも有るのよって。
ネギや唐辛子、ニンニクを刻んで油でじっくり炒めて匂いを移したものとか。
こちらの香草茶に使う大葉を刻んでサラダに混ぜ込むやり方とか。
それでね、酸っぱい果物と油と塩で作るドレッシングのことを話している時なの。
「それでしたら、酸っぱい果物とかで合わせてみたらどうかしら」
「酸っぱい?」
「ええ、果物でもいいし……こちらには酸っぱい液体のものはないのかしら?」
「酸っぱい? あ、あります。果物で作るお酒が古くなると酸っぱくなります」
「あ、あるのね」
私はとうとう酢を手に入れることが出来たの!
そんな風にこの町に溶け込んでいけたのよ。ミーナが自分だけじゃなく沢山の友人を連れてきてくれたからいろんな人と知り合えて、私の知り合いの輪が広がったの。
本当に良かったわ。
「ミーナ、夕食の後で見てもらいたいものが有るの。いいかしら?」
ミーナに声を掛けると頷いて返事をくれます。
「ああん? 新しい料理かい?」
「新しいっていうよりこれから冬にかけての料理なの。見て貰える?」
「食事はそれの方がいいんじゃないか?」
「嫌よ。せっかく人の作った料理を楽しみにしてきたのよ? それにそんなに量が無いの。良かったら明日一緒に作ってみないかなと思って。それとも今は忙しい時期かしら」
「いいや。これから冬になるし。ここは雪が深いから新しいやつらは来ないから宿屋は暇さ。ちょうどいいよ」
「それなら良かったわ。じゃあ、後でね。あ、夕食は作ってよ?」
「冗談だよ。泊まるってあんたんとこの坊やが先に知らせてくれてたから、ちゃあんと用意はしてあるさ」
ああよかった。ほんとにミーナって冗談が好きなんだから。
そういえば、ここに初めて泊まった時の事を思い出すわ。
コンナ村では存在していた醤油と味噌がここには無かったのよね。
味付けも王都のような塩一辺倒で。
初めに食べたときは、ほんとにショックだったのよ。
☆☆☆
「夕食の用意ができました。何時でも食堂にいらしてくださって結構です」
そう声を掛けられた私は、シェヌとイリスを連れて食堂に下りました。
頭の中で『ご飯、ご飯。久しぶりのまともなご飯……』と何やら歌が流れてきています。
コンナ村ではゆっくり食事が出来たのはたったの二度。美味しかったのも……
醤油味、味噌味というだけで、私の心は満たされました。
さて、ここではどんなご飯が食べられるのでしょう。わくわくしています。
「どんなご飯なのかしら? 楽しみよね?」
「あ?」
「シェヌたちはここに来た事があるの?」
「俺は前に来たことが有るな」
「イリスはどう?」
「私は初めてなんです」
「あら、イリスも無いのね。私と一緒ね。温泉が有名って聞いたのよ。それも楽しみだわ」
「ええ、それも楽しみなんです。前は首に痛みが有ったので治るって聞いていましたから」
「私も楽しみだわ。でもとりあえずは今日の夕食ね。お野菜がたくさんだと嬉しいわ」
「野菜かぁ……ばあさん、好きだよなぁ」
「ふふっ。年寄りにお肉はちょっとね。あまりお腹に入らないのよ」
「コーユ様は肉がお嫌いですか?」
「嫌いじゃないわよ? どちらかというと好きかしら。ただお野菜の方が好きなだけよ」
「まあ、嫌いだったらあんなに旨くは料理できないよな」
「あら、それはあまり関係ないかしら」
「なんでだ? 嫌いなものは作りたくないだろう?」
「うーん。夫や息子に好き嫌いなく食べさせたかっただけね。私が好きじゃなくても食べたい人がいるなら作るわよ?」
「そんなもんか?」
「そんなものよ。美味しいって言ってくれたら嬉しいじゃない」
そんな事を話しながら食堂に向かうと、すでに食事の用意がされていた。
「お飲み物はどうされますか?」
席につくと女将さんに聞かれて、ちょっと考えたわ。
「私はお茶をお願いしたいのですが、こちらにはありますか?」
「お茶ですか?有りますが……」
「女将、金ならギルドが保証してくれるぜ」
「シェヌ!なんてことを言うの。ちゃんと私が払います」
「違う違う、ばあさんが金を持っているのはギルドが保証してくれるってことだよ」
「あ、早とちりしてごめんなさい」
「ああ、気にしてない。俺はエールで」
「あ、では私は水で」
「あ、お茶は二人分で。イリス? お茶を飲みましょうね。嫌いじゃないでしょ?」
「あっ。でも……はい」
さあ、夕食です。目の前にあるのは。
黒パンとサラダとお肉のソテーとスープです。
サラダは、レタスとトマトとインゲンの茹でたもの。
お肉は、焼いてあります。味つけは、自分でするようですね。目の前に塩を入れた小さな壺が有ります。
とても、とても残念で仕方ありません。
スープは具沢山ですね。おじゃがと人参、茄子、長葱、南瓜、あとお肉。味は……塩味みたいです。
美味しいのですが、これじゃないって感じがします。
「お味はいかがでしょうか」
「美味しいですよ。お野菜がたっぷりで嬉しいですわ」
「それにしてはお顔が……」
「この辺りでは、肉の味付けは自分でするのですか?」
「少しは味を付けて有るのですが、薄いという方のために塩壺が置いてあるのですよ」
「そうですか。あ、あのっ。私は料理を研究していまして。今度こちらで料理のレシピを登録しますので今度食べてみませんか?」
「料理の研究ですか?」
「ええ。旅先で購入した調味料を使って、料理を作ってみたのです。レシピはどれも銅貨一枚ですので」
「銅貨一枚ですか? レシピが?」
「ええ、美味しいものを皆で食べたいですからね」
「はぁ……」
興味が有るのか無いのか分からないけど。そうよね、今日、初めて会う人間にそんな事を言われてもねぇ。そういう反応になっちゃうわよね。
仕方ないわね。まあ、時間はたっぷりあるのだから、ぼちぼち頑張りましょう。
しばらくして、宿の厨房を借りられないか聞いてみたの。
そうしたら、レシピを買ったのだけれどよくわからないところが有ると言われて。
じゃあ、料理教室をしましょうって……
なっちゃったのよね。
で、ミーナったら友達も連れてくるって……ええ、二三人だとおもっていましたわ。
十人近くの人が来るなんて思ってもみなかったの。
まず、出汁の取り方として、野菜くずを使ったやり方、動物の骨を使ったやり方を教えました。
スープや煮物の基本になるものだもの。
スープには塩を入れただけのもの。
ミショを入れたもの
セウを入れたもの
色々あるのだという事も分かってもらったわ。
皆、セウとミショにビックリしていたわ。
旨味の説明が難しくて、困っちゃったの。
だから基本の動物の骨から取ったスープを皆で作って用意しました。
丁寧に灰汁を取って布で漉したスープは旨味がたくさん出ています。
このスープを三つに分けました。
一つは塩を入れたもの。
一つはミショを入れたもの。
もう一つは、玉葱とトマトを油で炒めて塩やハーブで味付けをしたものを足したもの。
旨味の有るスープは塩だけでも飲めるくらい美味しいと。
ミショを入れたものは、もうそれだけで十分だと旨すぎると。
玉葱とトマトを入れたものは甘くて酸っぱくてとてつもなく美味しいと。
うん、スープってこんなに違うのを知ってもらいたかったの。みんな野菜の味だけでも美味しいっていうのは分かっていたけど。こういう味の付け方、引き出し方が有るって知って欲しかったの。
あと、出汁って大事よねってこと。
あとはサラダにかけるドレッシング。塩だけでもいいけど、こういうのも有るのよって。
ネギや唐辛子、ニンニクを刻んで油でじっくり炒めて匂いを移したものとか。
こちらの香草茶に使う大葉を刻んでサラダに混ぜ込むやり方とか。
それでね、酸っぱい果物と油と塩で作るドレッシングのことを話している時なの。
「それでしたら、酸っぱい果物とかで合わせてみたらどうかしら」
「酸っぱい?」
「ええ、果物でもいいし……こちらには酸っぱい液体のものはないのかしら?」
「酸っぱい? あ、あります。果物で作るお酒が古くなると酸っぱくなります」
「あ、あるのね」
私はとうとう酢を手に入れることが出来たの!
そんな風にこの町に溶け込んでいけたのよ。ミーナが自分だけじゃなく沢山の友人を連れてきてくれたからいろんな人と知り合えて、私の知り合いの輪が広がったの。
本当に良かったわ。
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