異世界召喚に巻き込まれたおばあちゃん

夏本ゆのす(香柚)

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2章 森に引きこもってもいいかしら?

10. お出かけの予定?

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 目が覚めて窓の外をみてみる。青空が広がっている。
今日は珍しくすっきり晴れているのね。二三日前は雪がちらついていて、寒さが辛くなってきていたのに。
 部屋の中から見ていると、今日の空は雲もなく、陽の光が降り注いでいて暖かそうに見えますね。それでも外の空気は冷たいのでしょうね。
 
 冬支度のお買い物は済ませましたし、ギルドに納品も済ませました。今回の町へ来る用事のほとんどは終わったようなものね。あとは解体してもらった獣の肉を引き取りにいく事と注文していた服を引き取りに行って、コンナ村のセウとミショを使った料理をミーナと作ってみて。そうね、温泉と教会にも行かなきゃ。
 今日は教会の礼拝所に行って、神様にお祈りをしてこようと思っているの。
 いろいろ報告をしたいことも有るのよ。あと聞いておきたいこととか。
 こちらのね、生活などはみんなに聞いて、かなり理解したつもりなの。
 でも神様のことは本人に聞いた方がいいと思っているわ。

 朝ご飯を食べたら、教会に行ってみましょうかね。




朝食を食べながらイリスと今日の予定を話しているところにシェヌが通りかかりました。

「シェヌ。あなたも一緒に食べましょう?」

「ん? ああ、ばあさんか。すまん、今日は鍛冶屋の方に顔を出す約束をしてるんだ」
 
 シェヌったら何を勘違いしているのでしょう。私は今の事を言っているのに。考え事でもしていたのかしら。

「あら? でも食べるのは今よ? それとももう朝食は終えたの?」

「あ、いや……まぁいいか……。 あ! こっちにも一つ!」

 シェヌは通りかかった給仕さんに自分の朝食を大きな声で頼んでから、私の前の椅子に座りました。

「シェヌったら、もう。まぁいいわ。シェヌは鍛冶屋なのね。そういえばイリスの包丁もそろそろ出来上がった頃だわ。イリスも一緒に行って引き取ってらっしゃい」

 イリスは食事を中断してキョトンとした顔で私を見ます。いつも一緒に動いているのに何故? という顔をしているの。

「コーユ様はどうなされるのですか?」

 心配そうに声を掛けてくれます。

「私? そうね……そろそろお祈りに行きたいわね。ついでに裏の孤児院も見てくるわ」

 しばらく顔を出していないからちょうどいいと思うのよね。そういうと今度はシェヌが心配そうにいってきます。二人とも心配性ね。

「送って行ってはやれるけど、まだ変なのがうろついているかもしれないぜ? エルムに聞いてからの方がいいんじゃね?」

 ああ、そういう事ね。まだ完全には落ち着いていないのね……。仕方ないわ。聞いてからにしましょう。

「そうね。今日は誰があいているのかしら…… 無理なら明日でもいいのよ。急ぎでは無いのだし」

「あの、私が……」

 イリスが慌てたように言いだそうとしましたが、途中で遮りました。せっかく二人で歩けるのだもの。一緒にいってらっしゃい。どういえば二人で出かけるのかしらね。

「イリスは早めに包丁になれた方がいいのよ。私のでは少し小さいでしょう? 柄をいつも握りにくそうにしているもの。ほら、こんなに手の大きさが違うのですもの」

 そう言いながら、食べている最中のイリスの手を持ち上げて、私の手と合わせて見せる。どう見ても一節近くの差があるのよ。こちらの人はたいてい大柄で、しかも手足が長いような気がするわ。
 イーヴァだって私の掌より大きな手をしているのだもの。
 どうやらそのせいでイリスは何度も指を切ったりしているのではないかしら。とても持ちにくそうなの。前回こちらに来た時に、イリスの包丁も頼んでいたの。私の包丁は家が出来た時にそろえてあって、しかもとても使いやすいの。
 だからイリスの物が必要だと思った時に、シエルさんに教えて貰った鍛冶屋さんにイリスの包丁も頼んでおいたのよ。

「ばあさんもそう言ってるんだから、イリスも一緒に行くか? 食べたらエルムに報告してくるか。誰かつけてくれるだろ」



 食べ終わった後、シェヌは連絡をしてくるというので先に食堂を出て行きました。
 私達は一度部屋に戻って支度をしておくことにしました。
 ポケットを人前で使わないように、先に必要な物を魔道具のマジックバックに入れ替えておきます。これはバックの大きさよりは物が入るのですが、せいぜい元の世界から持って来たトランクの2倍くらいのものしか入らないの。ちょっと小さいと思ったのだけれども……みんながこれでも十分すぎるというのでこれにしたの。最近は物の値段も分かるようになってきたから、すごく高いって思ったのよ。

 孤児院にいくなら、エルブ汁の瓶と(薬草の汁を濃縮させたもの)小麦粉とふくらし粉。それと蜂蜜。そういえば、卵もあったわね。ポケットの中はどうやら時間がたたないみたいなの。畑にたまに来る小鳥たちが卵を産んでくれるので、それをポケットの中に入れておいたのよ。拾った時にはまだ温かかったから、新鮮だと思うの。前にそれを半熟の茹で玉子にしてみたわ。とっても美味しかったの。イリスも一緒に食べたのだけれども……子供のような可愛い笑顔だったわ。いつもそんな笑顔だといいわね。

 あとは寄付の金貨と、布地。クッションは三つ。まだこれだけしか刺繍が出来てないからなの。そのうち皆の分を作るつもり。

 それらを並べてからバックにいれていると。

「コーユ様、魔法は使わないようにしてくださいね。子供たちにねだられても駄目ですよ。火をつけるのも魔道具でお願いしますね…… ……」

 イリスが延々と注意事を言い続けています。

「やはり、鍛冶屋は次にしましょう。今日はこーゆさ……」

 彼女がいろいろい言った上に、最後は今日の鍛冶屋へ行くことをやめて孤児院についてくると言い出しました。
せっかく二人でのお出かけなのに! もう! おせっかいなのは分かっているけど。

「大丈夫よ。シェヌが誰かを連れてくるはずだから。それとも彼の事も信用できないの?」

 イリスは慌てたように、両手を振り言います。

「そ、そんなことはありません。シェヌはいろいろ乱暴な言い方をしますけど、本当は優しいんです。動けなくなった時でも庇って……」

「はいはい。そうでしょ? だから、誰かを連れてもどてっ来るのを待ってましょう?ね?」

「はい…」
 恥ずかしそうに真っ赤になっているわよ、イリス。
 ほんっとにかわいいわ。



 こんこんこん。

 部屋のドアをノックする音の後すぐにドアが開き、シェヌが入ってきました。
 うん。ノックの回数は合っているのに、なぜあなたは答えが無いのに入ってきたのかしら? ねぇ? んん?
シェヌは睨みつけてると、そおっと部屋を出て行きました。



 コンコンコン……

「はい?」

「ば、ばあさんっ。し、したくは出来たでしょかっ」

シェヌ……言葉が……とても残念だわ。

「ぷっ、し、シェヌ? なに、いってるの?」

 ドアがバーンと開かれ……
 バンっって閉まりました。

 ええ、私が睨んだからですね。

 まだ、どうぞとは言っていませんから。ね。

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