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第一章 託宣
第一章①
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「きゃあぁっ!」
「媛様! 何してるんです!」
大量の書物を目の前が見えなくなるほどに積み上げて運ぼうとして、転倒した蓮花だ。
「あー、もう痛ったぁ……」
「そんなに前が見えなくなるほど積み上げるからですよっ」
玉鈴が腰に手を当てて、ぷんぷん怒っている。
「だって、お祖母様が戻られる前にお部屋を片付けておかなくては怒られてしまうんだもの」
蓮花の祖母はこの桃園房の主であり、村の重鎮だ。
村には村長などというものはいなくて、誰が治めるということもなく、昔からの秩序で成り立っていた。
全てが昔から引き継がれたしきたりにより成り立っている。
この村は外界とは遮断されているけれど、たった一つ外界と繋がっているのがこの桃園房だ。
外界から訪れるには選ばれたものだけが、正しい手順を行うことで桃園房を訪れることができる。
それは各国の中でも極秘とされていて、いろんな国の宰相がこの桃園房を訪れて、蓮花の祖母の占術を聞いてゆく。
村の人は外に出たら二度と村には入ることが出来ないが、たった一人桃園房の主だけは外界と村とを出入りすることが出来るのだ。
その力をもってして、桃園房の主になれると言われている。
ここは外界とは遮断された特別な村なのだ。
祖母が戻ると鳥の便りがあったので、蓮花は慌てて書物を片付けているところだ。
あの高熱を出した日、蓮花は目が覚めたら村人の力を失ったと沈痛な顔の祖母に告げられた。
それでも祖母は命が助かってよかったと頬を濡らしていたのだ。
『お前さえ、生きていてくれたら、それでいい』と。
蓮花の母は蓮花を産んだ後に、体調を崩してしまって亡くなってしまったと聞いている。
父のことは知らない。祖母に尋ねても教えてくれないから。
それでも村の子は村で育てるしきたりだ。
だから、蓮花はこの村ですくすくと大きくなった。
「蓮花、戻りましたよ」
房の入口で祖母の声がした。
「きゃぁ! お帰りなさい。お祖母様!」
お出迎えをしつつ、片付けきれなかった書物を慌てて懐の中に隠す蓮花だ。
「おや……、少し見ない間にお前は随分豊満になったようだね」
「あら、本当だわ。嬉しいこと」
祖母がすうっと息を吸う音が聞こえた。
──大変っ! 雷が落ちるわ!
「蓮花っ!」
「ご、ごめんなさいぃぃ……」
「書物は読んだらすぐに片付けなさいと言っているだろう!」
「だって~」
「だってではない」
はーっと大きくため息をついた祖母は、ひらひらと蓮花に手を振った。
「もういい。早く片付けなさい。客人が来る予定だから」
「はい」
村人としての力を失った分、蓮花は物心ついた頃から書物を読み漁るようになっていた。
書物はすごい。
そこにいなくても、そこにいるかのように知識を得ることができる。
また、力のない蓮花を不憫に思ったのか、祖母はありとあらゆる書物を蓮花に与えたのだ。
おかげで実は蓮花は大国の博士にもなれるほどの知識を得ているのだが、それは本人は知らない。
祖母は夢の世界の事のように大量の知識を得ていく蓮花をこの村から出すつもりはないのだから。
今回の外訪で国が荒れていることを確かめた。
今、この大陸は大国で皇帝が住んでいる白蓮皇国、その東にある彩鳳国、彩鳳国の南にある赫州国とで成り立っていた。
「媛様! 何してるんです!」
大量の書物を目の前が見えなくなるほどに積み上げて運ぼうとして、転倒した蓮花だ。
「あー、もう痛ったぁ……」
「そんなに前が見えなくなるほど積み上げるからですよっ」
玉鈴が腰に手を当てて、ぷんぷん怒っている。
「だって、お祖母様が戻られる前にお部屋を片付けておかなくては怒られてしまうんだもの」
蓮花の祖母はこの桃園房の主であり、村の重鎮だ。
村には村長などというものはいなくて、誰が治めるということもなく、昔からの秩序で成り立っていた。
全てが昔から引き継がれたしきたりにより成り立っている。
この村は外界とは遮断されているけれど、たった一つ外界と繋がっているのがこの桃園房だ。
外界から訪れるには選ばれたものだけが、正しい手順を行うことで桃園房を訪れることができる。
それは各国の中でも極秘とされていて、いろんな国の宰相がこの桃園房を訪れて、蓮花の祖母の占術を聞いてゆく。
村の人は外に出たら二度と村には入ることが出来ないが、たった一人桃園房の主だけは外界と村とを出入りすることが出来るのだ。
その力をもってして、桃園房の主になれると言われている。
ここは外界とは遮断された特別な村なのだ。
祖母が戻ると鳥の便りがあったので、蓮花は慌てて書物を片付けているところだ。
あの高熱を出した日、蓮花は目が覚めたら村人の力を失ったと沈痛な顔の祖母に告げられた。
それでも祖母は命が助かってよかったと頬を濡らしていたのだ。
『お前さえ、生きていてくれたら、それでいい』と。
蓮花の母は蓮花を産んだ後に、体調を崩してしまって亡くなってしまったと聞いている。
父のことは知らない。祖母に尋ねても教えてくれないから。
それでも村の子は村で育てるしきたりだ。
だから、蓮花はこの村ですくすくと大きくなった。
「蓮花、戻りましたよ」
房の入口で祖母の声がした。
「きゃぁ! お帰りなさい。お祖母様!」
お出迎えをしつつ、片付けきれなかった書物を慌てて懐の中に隠す蓮花だ。
「おや……、少し見ない間にお前は随分豊満になったようだね」
「あら、本当だわ。嬉しいこと」
祖母がすうっと息を吸う音が聞こえた。
──大変っ! 雷が落ちるわ!
「蓮花っ!」
「ご、ごめんなさいぃぃ……」
「書物は読んだらすぐに片付けなさいと言っているだろう!」
「だって~」
「だってではない」
はーっと大きくため息をついた祖母は、ひらひらと蓮花に手を振った。
「もういい。早く片付けなさい。客人が来る予定だから」
「はい」
村人としての力を失った分、蓮花は物心ついた頃から書物を読み漁るようになっていた。
書物はすごい。
そこにいなくても、そこにいるかのように知識を得ることができる。
また、力のない蓮花を不憫に思ったのか、祖母はありとあらゆる書物を蓮花に与えたのだ。
おかげで実は蓮花は大国の博士にもなれるほどの知識を得ているのだが、それは本人は知らない。
祖母は夢の世界の事のように大量の知識を得ていく蓮花をこの村から出すつもりはないのだから。
今回の外訪で国が荒れていることを確かめた。
今、この大陸は大国で皇帝が住んでいる白蓮皇国、その東にある彩鳳国、彩鳳国の南にある赫州国とで成り立っていた。
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