敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない

如月 そら

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5.書道家の仕事

書道家の仕事①

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「展覧会?」
「はい。神代さんは書道家としてのお仕事ってどんなものをご想像されていますか?」
 神代は少し考える様子を見せた。正直書道家の仕事内容などあまりピンと来ないのではないかと香澄は推測する。

「うーん、書道家、と聞くと大きな畳のような紙に箒のような筆でがっと字を書いていたりすることでしょうか? あとはやはり書道教室など? 発想が貧困ですね。すみません」
 一般的な知識はそんなものだろうと思っているので香澄は驚いたりはしない。こくこくと頷いた。

「ええ。一般的にはそのようなものだと思います。それも間違ってはいないです。実際に書道を広めるために書道パフォーマンスなども行いますよ」
 にこりと笑って香澄はそう返す。

「え? 本当なのですか? 袴で?」
「ああ、パフォーマンスの時は袴でもしますね」
「見たいです」

 あまりのレスポンスの早さに香澄は驚く。
(そ、即答?)
 と言うよりもなぜ神代はこんなに前のめりなのだろう。しかし残念ながら今のところ書道パフォーマンスの予定は入っていない。あくまでも仕事の一例であるだけだ。

「すみません。今のところ書道パフォーマンスの予定は入っていないのです」
「そうなんですか」
 神代がとてもがっくりした様子なのがかわいそうなくらいだ。

「あとは書道家のお仕事として大きなものが展覧会なんです」
「展覧会? そういえば最初にお会いした時も展覧会に出展するとおっしゃっていましたね」
「そういうときはお着物で行ったりもしますね」

「着物もいいな……」 
 ものすごく小さな声が聞こえたかもしれない。いや、もしかしたら香澄の気のせいだろうか?

 神代が真っすぐに香澄を見た。
「言われてみれば大きな展覧会でも書道の部があったような気がします」
「そうです! そういう展覧会に出して入賞することも大事なんです。展覧会に出さないとなかなか他のお仕事をいただくことも難しいです」

「他のお仕事ですか?」
 他の仕事と聞いて、さらに仕事があるのということが意外なのか神代は驚いた様子を見せた。香澄は頷く。
「ええ。以前に少しお聞きいただいた学校への派遣などは個人的なご依頼というよりも会派への依頼だったりします。展覧会に定期的に出すような先生でないとお教えすることも難しいですね」

「会派……ですか」
「展覧会によっては会派で分けられていることもありますから」
 そこまで聞いて神代は大きくため息をついた。
「思っていたよりもいろいろとある世界なんですね。そういうしきたりの中でお仕事をしている香澄さんを尊敬します」
「慣れてしまえば……なんですけどね」

 確かに書道も茶道や華道のように流派や会派、伝統やしきたりがあり見方によっては厳しい世界でもあるが、香澄は書くことが好きなのだ。
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