敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない

如月 そら

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5.書道家の仕事

書道家の仕事②

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「展覧会はとても大事なお仕事です。半年ほど前から準備をしますが、今はちょうど半年後に控えた『東部書道展』の準備を開始したところです。といってもまだこれから書くものを決めるところから始まるんですけど」

 食事はデザートまで進んでいて、フルコースなんて食べられるだろうかと心配していた香澄だったが、神代と話しながら食事をしていたら、気づくとデザートまで進んでいた。
 お腹もいっぱいで美味しかったが、神代と話すこの時間もとても充実したものだった。

「そうか、書くものを決めなくてはいけないんですね」
「ええ。たくさん練習します。展覧会までには会の中で錬成会というのがあって、その日は一日中練習するんですよ。会の偉い先生に見て頂きながら練習する、とても貴重な機会です」

 興味があるかは分からないが神代は熱心に話を聞いてくれるのが嬉しい。
「その間に他のお仕事をしてキャリアも重ねていきます」
「学校の指導などですか?」
「それもそうですが……」

 香澄は少し考えるようにして口を開いた。
「例えば、変わったところでは先日はお料理屋さんのお品書きを書きました。お店の看板も書いたりしますね」
「ああ! 確かに日本料理とかならそれも有り得るのか!」
「老舗の女将さんが書を習いにいらっしゃったりします。お品書きやお客様にお手紙を書かなくてはいけないからでしょうね」

 そうしてみると実は街中にはそれと分からないだけで書は身近なところにもたくさんあったりするのだった。
「そうか……すごいな」
 気づかないだけで、書が身近な存在だったと知って神代は感動したようだ。

 香澄も書のことを知ってもらえることはとても嬉しい。
「もしもどこかで香澄さんが書道パフォーマンスをすることがあるなら行ってみたいです。それに展覧会も」
 恥ずかしげに香澄は微笑む。
「あ、では展覧会の時には招待状をお送りしますね。あと、私のパフォーマンスではないのですが、指導している学校では文化祭などでパフォーマンスすることもあります。もし、イベントがあればそれもご案内しますね」

 嬉しそうに神代は頷いた。
「今まで書くことに無頓着でしたが、先日香澄さんにお手紙を頂いてからとても興味が湧いてきました。今日、お話を聞いたらなおさらです」
「来月に展覧会があります。私は作品を見に行くだけなのですが、もしもご都合が合えば一緒に行かれますか?」
「香澄さんが解説してくださるなら。俺はあまり詳しくないので」

 少し強引に誘ってしまったかな? と香澄は思ったのだが神代はイタズラっぽくにっと笑いかけてきた。
「デートですね」

 確かに二人で出かけるならデートとも言えるのかもしれない。そんな風に言われたら意識してしまって途端に顔が熱くなって、香澄の鼓動がどきどきと大きな音を立てる。
「確かにそうですね」
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