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6.ボジティブとネガティブの間に
ボジティブとネガティブの間に①
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どうやって家まで帰りついたか香澄はよく覚えていなかった。
神代が自宅まで車で送ってくれて、帰り際にくすりと笑って唇に軽くキスをしてくれたのはなんとなく覚えている。
「今日はこれくらいにしておきますね。でないと香澄さんのことをもっと欲しくなってしまうから」
そう甘く耳元で囁かれた。顔が熱くなる中、車の助手席を開けてくれて一緒に玄関まで行ってくれて母に挨拶をしてくれたことも「もう神代さん、本当に素敵な方ねぇ! 香澄ちゃん、よかったわね!」と大喜びされてしまったこともまるで夢の中のできごとのようだった。
自分の部屋に帰ってきてベッドに座り、今日のことをゆっくりと思い返して実感してしまった。
──キス、してしまった……!
神代はすごく優しかった。今まで交際相手などいなかったのだから、香澄にしてみたら初めてのキスである。
もちろん口の中をまさぐられるようなキスなど初めてだったけれど、とても優しく抱き締めてくれて香澄が怖がらないよう、けれど強引にされたキスは思い返すと胸がきゅんとする。
香澄はがばっとベッドに顔を伏せる。
(神代さん、すっごくいい匂いだった)
明らかにメンズものと思われる香水の香りがした。力強い腕や自分とは違う身体つきに本当にどきどきしたのだ。
好きと言ってしまった。
(神代さんも……神代さんも? あれ?)
香澄が好きと言った記憶はあるが、好きと言われた記憶はないような気がする。
「あ……あれ?」
確かに少しぼうっとしていたけれど、あまりにもいろんなことが衝撃的すぎたので記憶ははっきりしていた。
間違いない。可愛いと言われた覚えはある。我慢しているので誘惑はしないでほしいとも。
けれど、好きだと言われた記憶がないのだ。
香澄の顔から血の気が引いた。
まさか今さら好きではないということはないと思うが、言葉にしてもらえなかったことに不安が残る。香澄は口にしているのだから。
(好きじゃないってことはないと思うんだけど……)
考え始めると止まらなくなってしまった。
──好き……だよね?
* * *
その頃自宅マンションに戻った神代は駐車場に車を停め、ハンドルに顔をうつぶせていた。
(か……可愛過ぎるだろう! 俺の彼女!)
香澄が好きと言われていないことで不安になっているなんて神代は思いもしていない。
今日あった様々なことを思い返すと香澄が可愛くて愛おしくて、帰り際にキスをしてしまった。
香澄から漏れる甘い声に煽られるようにして深いキスをした。香澄は感じやすいのかこらえきれないような声がたまらなかった。
初めて会った時は写真との印象があまりにも違うことに驚いた。写真と同じように美人であったけれどもっと気が強そうな印象だったから。
神代が自宅まで車で送ってくれて、帰り際にくすりと笑って唇に軽くキスをしてくれたのはなんとなく覚えている。
「今日はこれくらいにしておきますね。でないと香澄さんのことをもっと欲しくなってしまうから」
そう甘く耳元で囁かれた。顔が熱くなる中、車の助手席を開けてくれて一緒に玄関まで行ってくれて母に挨拶をしてくれたことも「もう神代さん、本当に素敵な方ねぇ! 香澄ちゃん、よかったわね!」と大喜びされてしまったこともまるで夢の中のできごとのようだった。
自分の部屋に帰ってきてベッドに座り、今日のことをゆっくりと思い返して実感してしまった。
──キス、してしまった……!
神代はすごく優しかった。今まで交際相手などいなかったのだから、香澄にしてみたら初めてのキスである。
もちろん口の中をまさぐられるようなキスなど初めてだったけれど、とても優しく抱き締めてくれて香澄が怖がらないよう、けれど強引にされたキスは思い返すと胸がきゅんとする。
香澄はがばっとベッドに顔を伏せる。
(神代さん、すっごくいい匂いだった)
明らかにメンズものと思われる香水の香りがした。力強い腕や自分とは違う身体つきに本当にどきどきしたのだ。
好きと言ってしまった。
(神代さんも……神代さんも? あれ?)
香澄が好きと言った記憶はあるが、好きと言われた記憶はないような気がする。
「あ……あれ?」
確かに少しぼうっとしていたけれど、あまりにもいろんなことが衝撃的すぎたので記憶ははっきりしていた。
間違いない。可愛いと言われた覚えはある。我慢しているので誘惑はしないでほしいとも。
けれど、好きだと言われた記憶がないのだ。
香澄の顔から血の気が引いた。
まさか今さら好きではないということはないと思うが、言葉にしてもらえなかったことに不安が残る。香澄は口にしているのだから。
(好きじゃないってことはないと思うんだけど……)
考え始めると止まらなくなってしまった。
──好き……だよね?
* * *
その頃自宅マンションに戻った神代は駐車場に車を停め、ハンドルに顔をうつぶせていた。
(か……可愛過ぎるだろう! 俺の彼女!)
香澄が好きと言われていないことで不安になっているなんて神代は思いもしていない。
今日あった様々なことを思い返すと香澄が可愛くて愛おしくて、帰り際にキスをしてしまった。
香澄から漏れる甘い声に煽られるようにして深いキスをした。香澄は感じやすいのかこらえきれないような声がたまらなかった。
初めて会った時は写真との印象があまりにも違うことに驚いた。写真と同じように美人であったけれどもっと気が強そうな印象だったから。
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