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9.お願いとおしおき
お願いとおしおき ①
その後は四人で吉野が作ってくれた食事を楽しく食べた。
神代は吉野の料理が気に入ってしまったようで、また来ますと店のカードをもらっている。
帰り際、香澄は菜々美に声をかけられた。
「香澄ちゃん、いろいろ迷惑かけてごめんね。でも、香澄ちゃんが神代さんに大事にされていてすごくよかった。私の夢はね、いつか大ちゃんのお店が軌道に乗った時に香澄ちゃんにお店の屋号を書いてもらうこと」
「今だって書くのに……」
「いいえ。いただくものじゃなくてちゃんと香澄ちゃんに正当なお金を払えるようになりたいねって、さっき大ちゃんと言っていたのよ。さっきのを見て大ちゃんもファンになってしまったみたい」
吉野と菜々美が外でお知らせを貼り付けていた時にそんな話をしているとは思わなかった。
香澄の書をぜひと言ってもらえることは本当に嬉しい。
「じゃあ、いつかご依頼を頂くのを待っているね」
「うん!」
そんな香澄と菜々美を吉野と神代は微笑まし気に見ていた。
お見送りしてもらって香澄は神代の車に乗る。もう、助手席に戸惑うこともない。
車に乗ってしばらくすると神代が運転しながら口を開く。
「先ほどこちらに向かう時に柚木の家には連絡して、香澄さんの姿がないと思ったのは俺の勘違いで、香澄さんとは無事お会いできたので、一緒に出かけると伝えてあります」
「ありがとうございます」
香澄が行方不明だ! と家の方で心配をしないように神代が手配をしてくれていたらしい。
「俺の家を見に来ていただくということになっていますので、このまま寄ります」
(ん……? 神代さんの家?)
顔に疑問符が浮かんでいそうな香澄に神代はくすりと笑う。
「今住んでいるマンションは二人なら十分住める広さだと思うので、結婚したら香澄さんに来ていただこうと思っていました。まあ、結婚する前に同棲してもいいかな? と思ってもいましたが、いずれ近いうちに下見には来ていただくつもりにしていましたから」
「同棲ですか?」
突然生々しい言葉が飛び出して香澄はびっくりする。
「検討していただけると嬉しいですが?」
「か、考えます」
香澄がイメージしていた漠然とした結婚としたものに、色がついてリアルさを感じた瞬間だったかもしれなかった。
神代のマンションはいわゆる高層マンションで部屋はその上層階にあたる。
高層階用の専用エレベーターで部屋に向かった神代はエレベーターを降りる時にきゅっと香澄の手を握った。手を握ったまま奥の部屋に向かう。指を絡めて繋がれた手に香澄はどきどきしてしまった。
「散らかっていますが、どうぞ」
そう言われて招き入れられた部屋は廊下の一番奥がリビングになっていて、大きくとられた窓からは部屋の外に夜景が広がっているのが見えた。高層階なだけあって、遠くに向かってキラキラと光が広がっている。
香澄が住んでいるのは戸建てなのでこのような景色にはなかなか馴染みがなかった。
「すごい……とても、綺麗……」
神代は吉野の料理が気に入ってしまったようで、また来ますと店のカードをもらっている。
帰り際、香澄は菜々美に声をかけられた。
「香澄ちゃん、いろいろ迷惑かけてごめんね。でも、香澄ちゃんが神代さんに大事にされていてすごくよかった。私の夢はね、いつか大ちゃんのお店が軌道に乗った時に香澄ちゃんにお店の屋号を書いてもらうこと」
「今だって書くのに……」
「いいえ。いただくものじゃなくてちゃんと香澄ちゃんに正当なお金を払えるようになりたいねって、さっき大ちゃんと言っていたのよ。さっきのを見て大ちゃんもファンになってしまったみたい」
吉野と菜々美が外でお知らせを貼り付けていた時にそんな話をしているとは思わなかった。
香澄の書をぜひと言ってもらえることは本当に嬉しい。
「じゃあ、いつかご依頼を頂くのを待っているね」
「うん!」
そんな香澄と菜々美を吉野と神代は微笑まし気に見ていた。
お見送りしてもらって香澄は神代の車に乗る。もう、助手席に戸惑うこともない。
車に乗ってしばらくすると神代が運転しながら口を開く。
「先ほどこちらに向かう時に柚木の家には連絡して、香澄さんの姿がないと思ったのは俺の勘違いで、香澄さんとは無事お会いできたので、一緒に出かけると伝えてあります」
「ありがとうございます」
香澄が行方不明だ! と家の方で心配をしないように神代が手配をしてくれていたらしい。
「俺の家を見に来ていただくということになっていますので、このまま寄ります」
(ん……? 神代さんの家?)
顔に疑問符が浮かんでいそうな香澄に神代はくすりと笑う。
「今住んでいるマンションは二人なら十分住める広さだと思うので、結婚したら香澄さんに来ていただこうと思っていました。まあ、結婚する前に同棲してもいいかな? と思ってもいましたが、いずれ近いうちに下見には来ていただくつもりにしていましたから」
「同棲ですか?」
突然生々しい言葉が飛び出して香澄はびっくりする。
「検討していただけると嬉しいですが?」
「か、考えます」
香澄がイメージしていた漠然とした結婚としたものに、色がついてリアルさを感じた瞬間だったかもしれなかった。
神代のマンションはいわゆる高層マンションで部屋はその上層階にあたる。
高層階用の専用エレベーターで部屋に向かった神代はエレベーターを降りる時にきゅっと香澄の手を握った。手を握ったまま奥の部屋に向かう。指を絡めて繋がれた手に香澄はどきどきしてしまった。
「散らかっていますが、どうぞ」
そう言われて招き入れられた部屋は廊下の一番奥がリビングになっていて、大きくとられた窓からは部屋の外に夜景が広がっているのが見えた。高層階なだけあって、遠くに向かってキラキラと光が広がっている。
香澄が住んでいるのは戸建てなのでこのような景色にはなかなか馴染みがなかった。
「すごい……とても、綺麗……」
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