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10.幸せなすれ違い
幸せなすれ違い①
「ここも?」
不意に首元にされたキスはくすぐったかったけれど、その中に見逃すことのできない感覚が含まれていた。
「ふっ……あ、んっ……」
甘えたような嬌声が漏れてしまって、慌てて香澄は口を手で抑える。
神代は抑えたその手を掴んで口元からゆっくりと離した。柔らかく微笑んでいる。
──天使みたい。
ヘーゼルアイなのだと言っていたその瞳に香澄はいつもぼうっと釘付けになってしまうのだ。
その綺麗な瞳と顔が近くで香澄を覗き込んでいる。
「声を聞かせて、と言ったら怒りますか?」
きっと真っ赤になっている顔を神代の方も近くで見ているのだろう。ふるふるっと香澄は首を横に振る。
「よかった。香澄さんの声、好きなんです。澄んでいて高くもなく低くもなくて。しかもあんな我慢できない声は刺さります」
香澄の両手を持って、神代は香澄をそっとベッドに押し倒した。
とさっとベッドに寝転ぶと寝具から神代の香りがするような気がして、香澄はどきんとする。
「あ……」
「ん? どうかした?」
「いえ。佳祐さんの香りが」
そう言うと神代はぴくっとした。
「え? ホントですか? 匂いには結構気をつけてるつもりなんですけど」
どう勘違いしたものか、神代は早口で慌てているのだ。そんな神代を見ることは少ない。思わず香澄は笑ってしまった。
「違いますよ? いつもの佳祐さんのフレグランスがきっと寝具にも移ってしまってるんです」
それがとてもよい香りで、香澄にとって安心するものになっていると神代は知らないかもしれない。
「私にはとってもいい香りです」
「全く……」
するっと指の背が香澄の頬を撫でていった。優しく柔らかい触れ方にもっとたくさん触れてほしくなってしまう。
つい、その指にすり……と頬を擦り付けてしまうと、きゅっと神代の口元が上がった。
「そんな可愛い仕草をして、知りませんよ?」
シャツワンピースを着ていた香澄の前ボタンを神代がひとつずつ外していく。
その手がボタンを外す度に香澄の鼓動は大きくなってゆく気がした。
ウエストを結んでいるリボンが解かれ、ボタンもどんどん外されて肌が空気に晒されると、香澄は心もとない気持ちにもなる。
いやではない。覚悟もしている。けどこの鼓動を抑えることはできなかった。
ボタンを外し終わると、神代は立ち上がって部屋の電気を暗くしてくれる。
そしてベッドのサイドテーブルの上にあった電気スタンドに手で触れた。
ベッドの周りがふわりと明るくなる。
(きっと……私が気にしないように)
優しい人だ。ベッドに戻ってきた神代はジャケットを脱ぎベストも脱いで、ネクタイを外しシャツのボタンまで外して香澄が驚くくらいに潔く脱いでゆく。
不意に首元にされたキスはくすぐったかったけれど、その中に見逃すことのできない感覚が含まれていた。
「ふっ……あ、んっ……」
甘えたような嬌声が漏れてしまって、慌てて香澄は口を手で抑える。
神代は抑えたその手を掴んで口元からゆっくりと離した。柔らかく微笑んでいる。
──天使みたい。
ヘーゼルアイなのだと言っていたその瞳に香澄はいつもぼうっと釘付けになってしまうのだ。
その綺麗な瞳と顔が近くで香澄を覗き込んでいる。
「声を聞かせて、と言ったら怒りますか?」
きっと真っ赤になっている顔を神代の方も近くで見ているのだろう。ふるふるっと香澄は首を横に振る。
「よかった。香澄さんの声、好きなんです。澄んでいて高くもなく低くもなくて。しかもあんな我慢できない声は刺さります」
香澄の両手を持って、神代は香澄をそっとベッドに押し倒した。
とさっとベッドに寝転ぶと寝具から神代の香りがするような気がして、香澄はどきんとする。
「あ……」
「ん? どうかした?」
「いえ。佳祐さんの香りが」
そう言うと神代はぴくっとした。
「え? ホントですか? 匂いには結構気をつけてるつもりなんですけど」
どう勘違いしたものか、神代は早口で慌てているのだ。そんな神代を見ることは少ない。思わず香澄は笑ってしまった。
「違いますよ? いつもの佳祐さんのフレグランスがきっと寝具にも移ってしまってるんです」
それがとてもよい香りで、香澄にとって安心するものになっていると神代は知らないかもしれない。
「私にはとってもいい香りです」
「全く……」
するっと指の背が香澄の頬を撫でていった。優しく柔らかい触れ方にもっとたくさん触れてほしくなってしまう。
つい、その指にすり……と頬を擦り付けてしまうと、きゅっと神代の口元が上がった。
「そんな可愛い仕草をして、知りませんよ?」
シャツワンピースを着ていた香澄の前ボタンを神代がひとつずつ外していく。
その手がボタンを外す度に香澄の鼓動は大きくなってゆく気がした。
ウエストを結んでいるリボンが解かれ、ボタンもどんどん外されて肌が空気に晒されると、香澄は心もとない気持ちにもなる。
いやではない。覚悟もしている。けどこの鼓動を抑えることはできなかった。
ボタンを外し終わると、神代は立ち上がって部屋の電気を暗くしてくれる。
そしてベッドのサイドテーブルの上にあった電気スタンドに手で触れた。
ベッドの周りがふわりと明るくなる。
(きっと……私が気にしないように)
優しい人だ。ベッドに戻ってきた神代はジャケットを脱ぎベストも脱いで、ネクタイを外しシャツのボタンまで外して香澄が驚くくらいに潔く脱いでゆく。
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