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11.心の中に在って失われないもの
心の中に在って失われないもの④
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王子様のような神代にまるでお姫様のように扱われて、香澄は頬が熱くなるのを感じた。それでも着物の際に履く草履はパンプスより歩きにくいのも確かなので、そっと手を重ねさせてもらって借りることにした。
招待状からすでにカーナビには行き先が登録してあり、神代はスムーズに運転していく。
「今日は友人が出品しているので、招待していただいたんです」
「そうなんですね」
「書の友人で私より少し若い方で、大学の頃から受賞とかされていた方なんですけど、SNSなどでも発信をしっかりしている本当に今時の女性です」
「書をSNSで……確かに今時ですね」
「一緒にパフォーマンスをしたことがあって、その時から仲良しなんです」
「本当に一度パフォーマンスを見てみたいんですよね」
ダダ漏れとも言える神代の本音にくすくすと香澄は笑った。気持ちは分かる。書道パフォーマンスというと大きな紙に人の身長ほどの大きな筆で文字を書く大胆なものが多く、迫力もあるので人気なのだ。
「機会があればお知らせしますね」
実を言えば、香澄が書道を教えている高校でもそろそろ文化祭の準備を始めないといけない時期ではあった。
もともと香澄が卒業した高校ということもあって、校外指導員という立場で教えているのだが、最近の書道部は香澄が担当になってからの書道パフォーマンスが人気となり、人数の少ない弱小部だったのが、人数が増えてきて嬉しいというのが学校からの声でもあった。
香澄にしても書道が広まるのはとても嬉しいことでもある。
「教えている高校の文化祭でパフォーマンスをするかもしれません」
「え? 本当に?」
「文化祭では結構人気のある出しものなんですよ」
「そうでしょうね」
香澄が話すのを神代はとても楽しそうに聞いてくれて、いつもこの時間は香澄にくすぐったいような幸せを与えてくれるのだ。
会場に入ると入り口に記帳台が置いてあり、そこで香澄は記帳を済ませる。
書いた後で、神代に声をかけた。
「他一名という形で記帳しましたが、大丈夫でしたか?」
「構いません」
会場に足を踏み入れると壁にはいろんな書が掲げられている。
巻物のようになっているものもあれば、畳のように大きな紙に書いてあるものも、真四角の色のついた紙に書いてある書もある。
入口近くは入選作品が置いてあることが多いので、香澄はそこで足を止めてしまっていたのだが、やはり神代は大きな書が気になるようだ。ダイナミックなものに興味を引かれているらしい。
「すごく大きな紙があるのかと思ったら、繋いであるんですね」
ものすごい発見のように言うのがなんだか可愛らしい。普段の神代は香澄をリードしてくれることが多いのでこんな姿を見ることはあまりないのだ。
「ええ。あまりにも大きな紙なんてないので繋ぐんです。書道パフォーマンスの時も一緒ですよ。だから紙を敷く時は穴を開けないように本当に慎重に敷くんです」
大きな作品を手掛ける時は紙がないので糊で貼って繋ぐのだが、それも非常に技術のいることだ。
招待状からすでにカーナビには行き先が登録してあり、神代はスムーズに運転していく。
「今日は友人が出品しているので、招待していただいたんです」
「そうなんですね」
「書の友人で私より少し若い方で、大学の頃から受賞とかされていた方なんですけど、SNSなどでも発信をしっかりしている本当に今時の女性です」
「書をSNSで……確かに今時ですね」
「一緒にパフォーマンスをしたことがあって、その時から仲良しなんです」
「本当に一度パフォーマンスを見てみたいんですよね」
ダダ漏れとも言える神代の本音にくすくすと香澄は笑った。気持ちは分かる。書道パフォーマンスというと大きな紙に人の身長ほどの大きな筆で文字を書く大胆なものが多く、迫力もあるので人気なのだ。
「機会があればお知らせしますね」
実を言えば、香澄が書道を教えている高校でもそろそろ文化祭の準備を始めないといけない時期ではあった。
もともと香澄が卒業した高校ということもあって、校外指導員という立場で教えているのだが、最近の書道部は香澄が担当になってからの書道パフォーマンスが人気となり、人数の少ない弱小部だったのが、人数が増えてきて嬉しいというのが学校からの声でもあった。
香澄にしても書道が広まるのはとても嬉しいことでもある。
「教えている高校の文化祭でパフォーマンスをするかもしれません」
「え? 本当に?」
「文化祭では結構人気のある出しものなんですよ」
「そうでしょうね」
香澄が話すのを神代はとても楽しそうに聞いてくれて、いつもこの時間は香澄にくすぐったいような幸せを与えてくれるのだ。
会場に入ると入り口に記帳台が置いてあり、そこで香澄は記帳を済ませる。
書いた後で、神代に声をかけた。
「他一名という形で記帳しましたが、大丈夫でしたか?」
「構いません」
会場に足を踏み入れると壁にはいろんな書が掲げられている。
巻物のようになっているものもあれば、畳のように大きな紙に書いてあるものも、真四角の色のついた紙に書いてある書もある。
入口近くは入選作品が置いてあることが多いので、香澄はそこで足を止めてしまっていたのだが、やはり神代は大きな書が気になるようだ。ダイナミックなものに興味を引かれているらしい。
「すごく大きな紙があるのかと思ったら、繋いであるんですね」
ものすごい発見のように言うのがなんだか可愛らしい。普段の神代は香澄をリードしてくれることが多いのでこんな姿を見ることはあまりないのだ。
「ええ。あまりにも大きな紙なんてないので繋ぐんです。書道パフォーマンスの時も一緒ですよ。だから紙を敷く時は穴を開けないように本当に慎重に敷くんです」
大きな作品を手掛ける時は紙がないので糊で貼って繋ぐのだが、それも非常に技術のいることだ。
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