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14.はじめてのお泊まり
はじめてのお泊まり②
「いえ。神代さんが迎えに来てくださるので。明日、帰ってきます」
「あら。お泊りなのね。いってらっしゃい」
けろっといってらっしゃいと言われて、香澄は肩透かしな気分を味わった。以前にお泊りだったら言ってねと言われていたくらいだから反対はされないんだろうとは思ったが、母が実際にどんな反応をするかは予想できなかったのだ。
「え? お母さん、全然平気なの?」
「だって、もうお年頃でしょう? 今更反対するような年齢でもないし、きちんと行き先も言っておでかけするんだから、それはいってらっしゃいだし……。それに、ちょっと嬉しいかな。ああ、本当に神代さんと結婚前提に進んでいるんだなって安心したわよ」
そうか……と香澄は思う。お年頃の香澄を親なりに心配していたのだろうと知ったからだ。
「もともと神代さんとはお見合いだったのだし、神代さんからもお見合いを進めますと柚木の家に正式にご回答してくださっているんだから、何も問題はないわよ? 神代さんも大きな会社を経営していらっしゃるのだから十分に判断力のある方でしょう」
母にも神代は絶大な信頼感があるのかと思うと改めて尊敬してしまう。
しばらくすると自宅の呼び鈴がなった。
「はぁい」
母が玄関に出る。神代だろうと思ったので香澄も一緒に玄関へ向かった。
神代はスーツ姿だった。
──自宅に帰ってきて、着替えもしないまま電話をしてくれて、そのまま迎えに来てくれたんだ。
そう思うと胸がきゅんとする。
「神代さん、こんばんは」
母のご機嫌な声が聞こえた。
「遅い時間に申し訳ありません。香澄さんをお迎えに来ました」
「こちらこそ、遅い時間にわざわざありがとうございます。よろしくお願いいたしますね」
以前にも見たことのある光景だ。やはりこんなのは少し照れくさい気持ちになる。
車に案内され、神代の自宅に向かう。それほどの時間がかかるわけではないが、神代は珍しく黙ったままだった。
「あの……怒っていますか?」
そっと聞くと「いえ」と神代からはすぐに返事がある。けれど香澄の方を向いてくれないのが香澄は寂しかった。
「ごめんなさい」
そう言うと神代は驚いたように香澄の方を見る。
「香澄さんが謝るようなことは何もありませんよ」
「けど、私の展覧会での態度はとても悪かったと反省しています。その間、神代さんともう会えないかもとか……いろいろ考えてしまって」
「やはりそんなことを考えていたんですね」
だって香澄は交際をしたことがないのだ。もちろん二人はお見合いという関係性だけれど、現在はまだ交際期間中である。こんな風になったときにどうしたらいいのか香澄は分からない。
ふっと目元の辺りを笑ませて、いつもと変わらない神代に香澄は泣きそうになってしまった。
(いつもの……いつもの神代さんだわ)
「俺もきちんと説明しなかったのは悪かったと反省しました。清柊先生に少しいじわるされたんですよ」
「え? 清柊先生が?」
「あら。お泊りなのね。いってらっしゃい」
けろっといってらっしゃいと言われて、香澄は肩透かしな気分を味わった。以前にお泊りだったら言ってねと言われていたくらいだから反対はされないんだろうとは思ったが、母が実際にどんな反応をするかは予想できなかったのだ。
「え? お母さん、全然平気なの?」
「だって、もうお年頃でしょう? 今更反対するような年齢でもないし、きちんと行き先も言っておでかけするんだから、それはいってらっしゃいだし……。それに、ちょっと嬉しいかな。ああ、本当に神代さんと結婚前提に進んでいるんだなって安心したわよ」
そうか……と香澄は思う。お年頃の香澄を親なりに心配していたのだろうと知ったからだ。
「もともと神代さんとはお見合いだったのだし、神代さんからもお見合いを進めますと柚木の家に正式にご回答してくださっているんだから、何も問題はないわよ? 神代さんも大きな会社を経営していらっしゃるのだから十分に判断力のある方でしょう」
母にも神代は絶大な信頼感があるのかと思うと改めて尊敬してしまう。
しばらくすると自宅の呼び鈴がなった。
「はぁい」
母が玄関に出る。神代だろうと思ったので香澄も一緒に玄関へ向かった。
神代はスーツ姿だった。
──自宅に帰ってきて、着替えもしないまま電話をしてくれて、そのまま迎えに来てくれたんだ。
そう思うと胸がきゅんとする。
「神代さん、こんばんは」
母のご機嫌な声が聞こえた。
「遅い時間に申し訳ありません。香澄さんをお迎えに来ました」
「こちらこそ、遅い時間にわざわざありがとうございます。よろしくお願いいたしますね」
以前にも見たことのある光景だ。やはりこんなのは少し照れくさい気持ちになる。
車に案内され、神代の自宅に向かう。それほどの時間がかかるわけではないが、神代は珍しく黙ったままだった。
「あの……怒っていますか?」
そっと聞くと「いえ」と神代からはすぐに返事がある。けれど香澄の方を向いてくれないのが香澄は寂しかった。
「ごめんなさい」
そう言うと神代は驚いたように香澄の方を見る。
「香澄さんが謝るようなことは何もありませんよ」
「けど、私の展覧会での態度はとても悪かったと反省しています。その間、神代さんともう会えないかもとか……いろいろ考えてしまって」
「やはりそんなことを考えていたんですね」
だって香澄は交際をしたことがないのだ。もちろん二人はお見合いという関係性だけれど、現在はまだ交際期間中である。こんな風になったときにどうしたらいいのか香澄は分からない。
ふっと目元の辺りを笑ませて、いつもと変わらない神代に香澄は泣きそうになってしまった。
(いつもの……いつもの神代さんだわ)
「俺もきちんと説明しなかったのは悪かったと反省しました。清柊先生に少しいじわるされたんですよ」
「え? 清柊先生が?」
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