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正しい電話の使い方
正しい電話の使い方①
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結衣の姿を見つけた佐野が、手を挙げ合図する。結衣は、屋上庭園に出た。
「寒くないですか?」
「ま、男は黙って、てこともあるわけだ、な? 幹也?」
「……ですね」
「じゃ、俺は戻るけど、さっきの話、結衣先生にもしてやってな。俺はお前が来るの、楽しみにしてるから」
佐野が笑って、席を立つ。
藤川は自分も席を立って「ありがとうございました」と佐野に向かって頭を下げた。
藤川は結衣を見て少し笑って、またベンチに腰掛ける。
「佐野さん、男の俺から見てもカッコイイですね」
「そっかー。佐野さんは私がこのセンターに入った時の先生でもあるんだ。リーダーシップはあるかなあと思う」
未だに佐野に行くぞ!と言われると、はい!と返事してしまう結衣だ。
指導も的確で、指示も的確。
確かに上司として憧れるところはある。
「してやって欲しい話って、何?」
「あ、それ……」
照れたような表情を浮かべて、少し俯く藤川が、思い出したように顔を上げる。
あ、真っ直ぐ見てくれた。
そう言えば、今まで藤川とあまり目線が合わなかったかもしれない。
藤川は素直で頑張り屋さんだ。
逆に無理し過ぎないように見てあげた方がいいかな、と結衣は思う。
口ごもっているので、ん?と結衣は首を傾げた。
「あ……えと、さっき俺の声、誉めてもらってすごく嬉しかったんで。結衣先生はそういうのちゃんと見てくれてるって言ったんです」
褒めてもらって嬉しい。
藤川はそう言いたかったらしかった。
「え? あはは……良かった。けど、面と向かって誉められると嬉しいけど、照れるね」
「結衣先生」
「ん?」
「俺、頑張りますから」
「うん。一緒に頑張ろう」
その日から藤川は座学にも積極的に取り組むようになったし、分からない事は経験者に聞いたり、それでも不明なことは結衣に聞きに来るようになった。
素直で一生懸命な性格なので、研修生皆に愛されている。
「……て、ことがあって、まるで子供のように可愛いのです!」
夜、寝る前に涼真へ電話でそう報告する結衣だ。
『結衣さん、本当にお仕事好きですね』
「そうですねー。そうかなぁ」
柔かい声で、涼真が褒めてくれるので、えへへーと結衣は返す。
『頑張っていていいと思いますよ。けど……たまには僕のことを思い出してくれると嬉しい』
「え? だって涼真さんは別でしょ。会社の人とは全然違いますよ?」
『可愛いって、思ってくれます?』
うーん、可愛くは、ないかなあ……。
「素敵ですよ? あ、でもたまーにわがまま言う時、ちょっとだけ可愛いかな」
たまーにね、たまにちょっとだけ!
結衣は一生懸命、涼真の可愛いところを思い出しながら答える。
電話を通じて、ふふっという涼真の笑い声が聞こえた。
『結衣さんのそういうところが好きなんですよ』
ふう……と受話器から聞こえるのはため息だ。
『結衣さん、会いたいです。結衣さんがお仕事好きなのは分かっているから、邪魔はしたくないんですけど、あなたを独り占めしたくて、どうしようもなくなるときがあるんですよ』
特にそんな風に他の人ばかりに気持ちをむけられていたら。
少し、寂し気な声は胸を掴まれる。
だから、少しでも優しく聞こえるように、結衣は蓮根に声を掛けた。
「会いたいのは私もですよ。直接お話出来たらいいのにって、思いますけど」
『結衣さんの姿、見たいです……』
ちょい待ち……なんのおねだりかな?
「涼真さん……」
『なんですか?結衣さん』
「ダメです」
『何がです?』
なにかを察してダメだと先に制した結衣だ。
「今、コレクションを増やそうとしたでしょ」
『さすがですね。察しがいい。ダメ? だって、会えていないんですよ?』
甘い声で結衣を落としにかかる涼真だ。
「寒くないですか?」
「ま、男は黙って、てこともあるわけだ、な? 幹也?」
「……ですね」
「じゃ、俺は戻るけど、さっきの話、結衣先生にもしてやってな。俺はお前が来るの、楽しみにしてるから」
佐野が笑って、席を立つ。
藤川は自分も席を立って「ありがとうございました」と佐野に向かって頭を下げた。
藤川は結衣を見て少し笑って、またベンチに腰掛ける。
「佐野さん、男の俺から見てもカッコイイですね」
「そっかー。佐野さんは私がこのセンターに入った時の先生でもあるんだ。リーダーシップはあるかなあと思う」
未だに佐野に行くぞ!と言われると、はい!と返事してしまう結衣だ。
指導も的確で、指示も的確。
確かに上司として憧れるところはある。
「してやって欲しい話って、何?」
「あ、それ……」
照れたような表情を浮かべて、少し俯く藤川が、思い出したように顔を上げる。
あ、真っ直ぐ見てくれた。
そう言えば、今まで藤川とあまり目線が合わなかったかもしれない。
藤川は素直で頑張り屋さんだ。
逆に無理し過ぎないように見てあげた方がいいかな、と結衣は思う。
口ごもっているので、ん?と結衣は首を傾げた。
「あ……えと、さっき俺の声、誉めてもらってすごく嬉しかったんで。結衣先生はそういうのちゃんと見てくれてるって言ったんです」
褒めてもらって嬉しい。
藤川はそう言いたかったらしかった。
「え? あはは……良かった。けど、面と向かって誉められると嬉しいけど、照れるね」
「結衣先生」
「ん?」
「俺、頑張りますから」
「うん。一緒に頑張ろう」
その日から藤川は座学にも積極的に取り組むようになったし、分からない事は経験者に聞いたり、それでも不明なことは結衣に聞きに来るようになった。
素直で一生懸命な性格なので、研修生皆に愛されている。
「……て、ことがあって、まるで子供のように可愛いのです!」
夜、寝る前に涼真へ電話でそう報告する結衣だ。
『結衣さん、本当にお仕事好きですね』
「そうですねー。そうかなぁ」
柔かい声で、涼真が褒めてくれるので、えへへーと結衣は返す。
『頑張っていていいと思いますよ。けど……たまには僕のことを思い出してくれると嬉しい』
「え? だって涼真さんは別でしょ。会社の人とは全然違いますよ?」
『可愛いって、思ってくれます?』
うーん、可愛くは、ないかなあ……。
「素敵ですよ? あ、でもたまーにわがまま言う時、ちょっとだけ可愛いかな」
たまーにね、たまにちょっとだけ!
結衣は一生懸命、涼真の可愛いところを思い出しながら答える。
電話を通じて、ふふっという涼真の笑い声が聞こえた。
『結衣さんのそういうところが好きなんですよ』
ふう……と受話器から聞こえるのはため息だ。
『結衣さん、会いたいです。結衣さんがお仕事好きなのは分かっているから、邪魔はしたくないんですけど、あなたを独り占めしたくて、どうしようもなくなるときがあるんですよ』
特にそんな風に他の人ばかりに気持ちをむけられていたら。
少し、寂し気な声は胸を掴まれる。
だから、少しでも優しく聞こえるように、結衣は蓮根に声を掛けた。
「会いたいのは私もですよ。直接お話出来たらいいのにって、思いますけど」
『結衣さんの姿、見たいです……』
ちょい待ち……なんのおねだりかな?
「涼真さん……」
『なんですか?結衣さん』
「ダメです」
『何がです?』
なにかを察してダメだと先に制した結衣だ。
「今、コレクションを増やそうとしたでしょ」
『さすがですね。察しがいい。ダメ? だって、会えていないんですよ?』
甘い声で結衣を落としにかかる涼真だ。
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