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やると言ったらやる
やると言ったらやる②
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打ち上げも終え、みんなすっかり仕上がった状態で外に出る。もちろん結衣もだ。
「結衣先生、そこ段差あります。気をつけ……」
「はぅわっ!」
気をつけてと言われた矢先に、結衣は段差につまづく。
「高槻! 大丈夫か?」
ちょうど後ろにいた佐野が支えてくれた。
「び、びっくりした……」
「段差あるって言われたろ。」
「佐野さん、すみません」
佐野が後ろから抱き抱えてくれている。
「気をつけろよ」
「はい」
「……結衣さん?」
目の前に、蓮根がいた。
「え、涼真さん?」
「大丈夫ですか?」
蓮根が、やんわり佐野から結衣を受け取る。
後ろから来た女子達から、きゃーと黄色い声が聞こえるが、結衣はすでに頭が真っ白だ。
ち……ちょっと、その登場はどうなの⁉︎
「高槻の彼氏? 超絶いい男だな。どうも、高槻の上司の佐野といいます」
突然現れた蓮根にも動揺することなく、冷静に返すところ佐野はさすがだ。
蓮根も柔らかい笑顔を向ける。
「初めまして。蓮根と申します」
り、涼真さん……女子がザワついています。
余所行きの笑顔、破壊力抜群ですから……。
相変わらずのオーダーの身体にピッタリとしたスーツ。そのスリーピースのスーツはいかにもエリートな雰囲気が溢れ出ているし、整いすぎなくらいに整った顔が目立って仕方ない。
「こんばんは」
と蓮根は女子にも笑顔を向け、結衣に向き直る。
心配気な表情だ。
「車から降りたところで転びそうになっているのが見えたので慌てました。大丈夫ですか? 結衣さん」
「だ、大丈夫……です」
距離も近いし、みんなの目が気になるし。
「え? 車ってあれ?」
少し先にマセラティを見つけて佐野は、はしゃいだ声を出して車に向かう。
「足を捻ったりしていませんか?」
涼真が片膝をついて、そっと結衣の足に触れる。
ひざまづくとかやめて!甘やかしすぎっ!大丈夫、大丈夫だから!
みんながザワついているし、佐野は車を見に行ってしまっているし、藤川くんは呆然としているし。
「大丈夫?」
涼真は甘い雰囲気を隠すことなく、結衣に微笑んで首を傾げた。
大丈夫……だけど大丈夫でない、というか……。
てか、もうすでに頭の中が大渋滞なんだけど‼︎
「結衣さん? やっぱり、痛いんですか?」
「え……」
その瞬間、ふわっとお姫様抱っこされ女子勢から、きゃぁぁーという黄色い悲鳴が聞こえた。
悲鳴を上げたいのはこっち~~‼︎
「涼真さんっ、あの、大丈夫だから……」
結衣が慌てて言うと、涼真はみんなには聞こえないよう、結衣の耳元に低く囁いた。
「降りたら、その場で舌も入れたキスをします」
うっ……。なんなの、その脅し!
結衣は抵抗をやめる。
だってこの人、絶対やるって言ったらやるもん。
「そうそう、大人しくして下さい」
にこっと笑った顔がなんか怖い。
涼真はみんなの方を振り返った。
「ではみなさん、すみませんが、結衣さんが心配なのでこのまま失礼します」
「はーい、失礼しまーす」
「結衣先生、お大事にー」
車の横に立っていた佐野が「どうぞ、お姫様」と助手席のドアを開けてくれる。
マジ、顔から火が出そう……。よりによって、上司に車のドアを開けられるとは!しかも自分は彼にお姫様抱っこされた状態で!
「す、すみません……」
「ありがとうございます」
そっと助手席に降ろされた結衣は、涼真にふわりと頬を撫でられる。
涼真は、ふっと笑って
「本当にあなたは……」
「え……」
顎に行き着いた指が、結衣の顔を掬いあげる。
「手のかかる人だ」
ちゅと落とされたのは額へのキスで。
抵抗なんて、する間もなくて。
ひええっ……結衣は一瞬で血の気が引く。
再度、黄色い悲鳴が聞こえた。
悲鳴どころか泣きたい……。
結衣は思わず、両手で顔をおおってしまった。
ちら……と指の隙間から窓の外を見ると、佐野が苦笑するような微妙な表情をして、ひらひらっと手を振っていた。
す、すみませんっ!
ほんともう、みんな忘れて!!
「じゃあ、行きましょうか結衣さん」
運転席に乗ってきた涼真が、ご機嫌なのにちょっと腹が立つのはなぜだろうか⁉︎
「結衣先生、そこ段差あります。気をつけ……」
「はぅわっ!」
気をつけてと言われた矢先に、結衣は段差につまづく。
「高槻! 大丈夫か?」
ちょうど後ろにいた佐野が支えてくれた。
「び、びっくりした……」
「段差あるって言われたろ。」
「佐野さん、すみません」
佐野が後ろから抱き抱えてくれている。
「気をつけろよ」
「はい」
「……結衣さん?」
目の前に、蓮根がいた。
「え、涼真さん?」
「大丈夫ですか?」
蓮根が、やんわり佐野から結衣を受け取る。
後ろから来た女子達から、きゃーと黄色い声が聞こえるが、結衣はすでに頭が真っ白だ。
ち……ちょっと、その登場はどうなの⁉︎
「高槻の彼氏? 超絶いい男だな。どうも、高槻の上司の佐野といいます」
突然現れた蓮根にも動揺することなく、冷静に返すところ佐野はさすがだ。
蓮根も柔らかい笑顔を向ける。
「初めまして。蓮根と申します」
り、涼真さん……女子がザワついています。
余所行きの笑顔、破壊力抜群ですから……。
相変わらずのオーダーの身体にピッタリとしたスーツ。そのスリーピースのスーツはいかにもエリートな雰囲気が溢れ出ているし、整いすぎなくらいに整った顔が目立って仕方ない。
「こんばんは」
と蓮根は女子にも笑顔を向け、結衣に向き直る。
心配気な表情だ。
「車から降りたところで転びそうになっているのが見えたので慌てました。大丈夫ですか? 結衣さん」
「だ、大丈夫……です」
距離も近いし、みんなの目が気になるし。
「え? 車ってあれ?」
少し先にマセラティを見つけて佐野は、はしゃいだ声を出して車に向かう。
「足を捻ったりしていませんか?」
涼真が片膝をついて、そっと結衣の足に触れる。
ひざまづくとかやめて!甘やかしすぎっ!大丈夫、大丈夫だから!
みんながザワついているし、佐野は車を見に行ってしまっているし、藤川くんは呆然としているし。
「大丈夫?」
涼真は甘い雰囲気を隠すことなく、結衣に微笑んで首を傾げた。
大丈夫……だけど大丈夫でない、というか……。
てか、もうすでに頭の中が大渋滞なんだけど‼︎
「結衣さん? やっぱり、痛いんですか?」
「え……」
その瞬間、ふわっとお姫様抱っこされ女子勢から、きゃぁぁーという黄色い悲鳴が聞こえた。
悲鳴を上げたいのはこっち~~‼︎
「涼真さんっ、あの、大丈夫だから……」
結衣が慌てて言うと、涼真はみんなには聞こえないよう、結衣の耳元に低く囁いた。
「降りたら、その場で舌も入れたキスをします」
うっ……。なんなの、その脅し!
結衣は抵抗をやめる。
だってこの人、絶対やるって言ったらやるもん。
「そうそう、大人しくして下さい」
にこっと笑った顔がなんか怖い。
涼真はみんなの方を振り返った。
「ではみなさん、すみませんが、結衣さんが心配なのでこのまま失礼します」
「はーい、失礼しまーす」
「結衣先生、お大事にー」
車の横に立っていた佐野が「どうぞ、お姫様」と助手席のドアを開けてくれる。
マジ、顔から火が出そう……。よりによって、上司に車のドアを開けられるとは!しかも自分は彼にお姫様抱っこされた状態で!
「す、すみません……」
「ありがとうございます」
そっと助手席に降ろされた結衣は、涼真にふわりと頬を撫でられる。
涼真は、ふっと笑って
「本当にあなたは……」
「え……」
顎に行き着いた指が、結衣の顔を掬いあげる。
「手のかかる人だ」
ちゅと落とされたのは額へのキスで。
抵抗なんて、する間もなくて。
ひええっ……結衣は一瞬で血の気が引く。
再度、黄色い悲鳴が聞こえた。
悲鳴どころか泣きたい……。
結衣は思わず、両手で顔をおおってしまった。
ちら……と指の隙間から窓の外を見ると、佐野が苦笑するような微妙な表情をして、ひらひらっと手を振っていた。
す、すみませんっ!
ほんともう、みんな忘れて!!
「じゃあ、行きましょうか結衣さん」
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