【R18】窓辺に揺れる

春宮ともみ

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窓辺に揺れる

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「雨、止まないねぇ……」

 リビングのテーブルに頬杖をつき、カーテンで閉ざされた窓を見つめながら亜未あみがぽつりと零す。外では叩きつけるような雨が降り注ぎ、時折風がガタガタと窓を揺らしている。亜未の呟きに宏人ひろとは手元の本から視線をあげることなく、至極当然だといわんばかりの声色で口を開いた。

「まぁ、梅雨だしな」
「……買いだめしててよかったぁ」

 長いため息を吐きだした亜未は、ゆっくりとテーブルの上に上半身を寝そべらせた。

 古宮こみや家のささやかな休日ももう終わる。リビングの壁掛け時計は19時前を指していた。今日は梅雨の雨で一日巣ごもり状態。怠惰な生活と言われればそれまでだ。だが普段から休日は食い道楽なふたりが自宅でのんびりと過ごすよい機会になったことは否めない。どこかに出掛けて休日を満喫するということはできなかったものの、朝から降り続く雨のおかげか、ひどく穏やかな一日をふたりは過ごしている。

「明日、ちゃんと会社行けるかなぁ」

 電車通勤である亜未には気がかりなことがあるらしい。テーブルに上半身を預けたままの彼女が抑揚のない声で胸の内に渦巻く不安を小さく落としていく。

 時計の針がてっぺんに到達すれば月曜日が訪れる。亜未が勤めるのは商業施設の中のスポーツ用品店。来月中旬から始まる学生たちの夏休みに向けてセール企画を立ち上げており、今のところ明日も通常通り営業予定。最近は線状降水帯の影響で公共交通機関に乱れが発生することが多いのだ。

「明日の朝は大丈夫だろ。まぁ、安全確認~とか言って電車が始発からきちんと動くかはわからねぇけど」
「だよねぇ。遅延証明、貰うの大変なんだよね……」

 手元の本のページを捲りながら淡々と返答をする宏人に、亜未は大きく肩を落とす。たたでさえ憂鬱な月曜日の朝に、会社へ提出する遅延証明書を求めた長蛇の列に自分も並ぶ。顔をしかめた亜未はその光景を想像し嫌気がさしているようだ。

 明らかに亜未のテンションがだだ下がりした様子を認識した宏人が、すっと目を細めたのしげな笑みを浮かべた。

「車通勤の俺、大勝利だな」

 宏人の意地の悪いにやりとした笑みに亜未は不満げに小鼻を膨らませ、本を持ったままの宏人の腕を手のひらでぱちんと軽くはたく。が、叩かれた宏人は事もなさげにくくくっと喉を鳴らしていた。

「う~、ずるい! ねぇ、明日くらい送っていってよぉ」
「ずるいもなにもねぇよ。反対方向だからヤダっつってんだろ」
「それくらいいいじゃん。ヒロくんのケチ」

 共通の友人の紹介で知り合った宏人と亜未は3年の交際期間を経て数か月前に結婚し、同居を始めるためにそれぞれが勤める職場の中間地点に新居を借りた。亜未の勤務先はマイカー通勤が不可のため電車で通勤しているが、宏人の勤務先はマイカー通勤可。必然的に、この自宅を起点に反対方向。


 身体も心もほぐれるような、ゆったりとした夫婦の時間がリビングに流れている。


 しばらくすると、外の雨が次第に和らいでいく。外では雨雲の切れ目がこの地域の空を彩っていた。パタリと本を閉じた宏人が腰かけていたソファから身体を起こす。

「そろそろ風呂入るか……」
「ん。入れてくるね」

 手持ち無沙汰にスマートフォンをぼんやりと眺めていた亜未は、宏人の声かけでそれを手放した。リビングを出て電灯を点けた亜未が左手の階段を登る。低層マンションのペントハウスであるこの家はメゾネットタイプとなっており、3階は玄関から直結するリビングダイニング、4階は居室と水回りが揃っている。

 慣れた手つきで浴室を軽く掃除した亜未は湯船にお湯を張っていく。そのうちにはたと手を止め、洗面台の下から詰替えのパウチを手に取った彼女は浴室へ引き返した。そうこうしているとお湯がちょうどいい塩梅まで貯まる。トントンと階段を下りた亜未は、ひょいっとリビングに顔だけを出す。

「お風呂たまったよ~」
「ん、今行く」

 ソファに寝転びスマートフォンを頭上にかざした宏人は天気予報を眺めていた。朝から降り続いている雨は、今宵、そして明日の昼まで、弱まることはあってもどうに止みそうにはないと把握した宏人は小さく吐息を落とす。亜未に対して『反対方向だから』と宏人は言ったが、日頃から妻である亜未を揶揄からかうのが癖づいているだけにすぎず、彼としては全くもって本気ではない。寝そべらせていた身体を腹筋を使って起こした宏人はガシガシと頭を掻く。

 先に階段を登った亜未の後ろを宏人が続く。風呂は亜未に月の障りが来ていない限りは一緒に入ることがふたりの間での暗黙の了解だった。

 浴室にはむわむわと熱気が立ち込めていた。うっすらとグレイッシュなペンキが残りシャビーな木目柄の浴室パネル。湯船から立ち上る靄がその柄をより揺らめかせている。部屋着を脱ぎ捨てた亜未はゆっくりとつま先を湯船のお湯につけた。波紋が広がっていくのを楽しみつつ、彼女はざばりと音を立ててお湯に全身を浸す。遅れて入ってきた宏人が椅子に腰かけ、身体を洗っていく。

「明日、ちょっと早起きするからな」
「……? お仕事で何かあるの?」

 短髪をガリガリと粗っぽく洗っていく宏人に、湯船の中で肩までお湯に浸かった亜未は疑問符を浮かべながら聞き返した。半導体製造企業の総務部で働く宏人は9時から18時の定時勤務制。頭を捻る亜未の脳内には平日のスケジュールが浮かんでいた。宏人が早起きをするのならば朝食とお弁当作りのために自らも起床時間を早めるべきだろうかと思案の表情を浮かべている。

 湯船の中で百面相を繰り広げる亜未の姿に、宏人がぱちりと目を瞬かせる。交際している頃から宏人は彼女のことを『鈍感』だと認識していたものの、先ほど自分で『送れ』と口にしていたにもかかわらずこれほどまでに読みが浅いとは思ってもみなかったからだ。そういった部分もひっくるめて宏人は亜未を好いているのだが、今ここで言葉で伝えるほどのことでもないと結論付けた宏人は呆れ半分でため息をついた。

「おめーを送ってくからに決まってんだろ」
「……」

 ぶっきらぼうに投げつけられた言葉に、亜未は驚いて濡れたまつ毛を震わせる。途端、先ほどリビングで繰り広げた冗談のようなやり取りが彼女の脳裏に蘇った。宏人の思惑を噛み砕いた亜未がゆっくりと相好そうごうを崩す。

「ヒロくんってさ。私のことホントに好きだよねぇ~」

 含んだような笑みを浮かべた亜未は浴槽のふちに組んだ腕を置き、そこにおとがいをちょこんと乗せる。亜未のその仕草に宏人はうんざりとした顔を見せた。

「好きじゃなきゃ普通結婚しねぇだろ。今さら何言ってんだ」
「も~、相変わらず素直じゃないなぁ~」

 宏人は日常のどこかしらで亜未を揶揄って遊んでいる。それが不器用な彼の愛情表現であると亜未は深層心理で認識している。宏人が普段から『好き』だとか『愛している』だとかを口にすることは滅多にない。だが、こうした日常のひとつひとつの出来事で亜未は宏人に『深く愛されている』こと実感している。何より、こういう素直ではない宏人の姿も亜未はと思っているのだ。込み上げてきた面映ゆさを隠さんとばかりに亜未は湯船に浮かぶカエルの形をした湯温計を手に取った。

「ね。ケロたんもそう思うでしょ?」

 結婚した直後。亜未がお湯を張る温度を失敗し、水風呂にしてしまったことがあった。春先だったゆえ、湯船の水をある程度落としお湯を張りなおすことに。水を使いすぎたと亜未が落ち込んだ翌日に、宏人が買って来たのがこの湯温計。こうしてさりげなく宏人が日々フォローを入れているのも亜未を大切に思っている証拠。そんな思い出のある湯温計に、亜未はつい今しがた『ケロたん』と名付けたらしい。見た目通りの安直な名付けに身体を洗い終えた宏人は呆れ、顔を顰める。

「バカなこと言ってねぇでさっさと湯船から上がれっつの」
「はいはい。照れなくていいってば」

 宏人の言葉を軽く流し、亜未は目を細めて笑った。湯船から上がり、交代と言わんばかりに亜未が宏人の腕を軽く叩く。すると、椅子から立ち上がった宏人が不意に亜未の肩を掴んだ。

「? ……っ、んッ」

 予想だにしていなかった宏人の行動に、亜未の身体が一瞬固まったのを宏人が見過ごすわけもなかった。唇に熱が触れ、亜未の咥内にぬるりと舌が侵入する。彼女の身体の動きを封じるかのようにするりと宏人の手が亜未の手首をとらえた。

「んっ、っ……」

 何度も角度を変えて亜未に繰り返される口付け。くぐもった彼女の吐息が次第に甘く深いものになっていく。愛しい妻のやわらかな唇を堪能しながらもふっと愉しげに息を吐きだした宏人は、亜未を煽るがごとく勃ち上がり始めた灼熱を亜未のへそ上に押し付ける。

「あ、ふ……ん、ぅ」

 硬く熱い刺激に亜未はふるりと身体を震わせる。宏人の手によって散々乱されてきた彼女の身体は、その先の快楽を求めて淫らに反応をする。見なくてもわかるそれを押し付けるという宏人の行動だけで、完全に亜未のが入ったようだ。この場の主導権を握る宏人が唇を離し、恍惚とした表情を浮かべた亜未の身体をくるりと半転させ、壁に取り付けられた鏡に彼女の全身を映し出す。

「ひゃぁっ!」

 無防備な脇の下から手を差し入れた宏人が亜未の膨らみへと指先を滑らせる。鏡面に映る亜未に見せつけるようにそのいただきを転がしていく。

「あんま声出すと外に聞こえちまうかもしれねぇよ? 風呂場の音って換気扇から意外と響くしな」
「っ、んんッ……!」

 揶揄うように亜未の耳元で宏人が低く囁いた。彼の脳内には先ほどリビングで確認した天気予報の情報が浮かんでいる。

 亜未を抱く時の宏人はいつにも増して意地が悪い。セックスとなるといつも以上に亜未の羞恥心を煽りたてるようなセリフをさらりと吐いていく。そもそも宏人は昔から根っからの加虐嗜好者サディストである。しかし、彼本人はその性質が本格的に目覚めたことを亜未のせいだと考えていた。胸の奥に潜む嗜虐しぎゃく心をことごとく刺激し増幅させたのは亜未自身の言動が要因なのだ――と。

 そんなことはつゆ知らず、かっと頬を染めた鏡の中の亜未はぐっと唇を噛み、零れ落ちていく嬌声を必死に抑えつけていた。宏人が彼女の首筋やうなじに熱い唇を押しつけ、ざらりとした舌でゆっくりと舐め上げる。

「……ふ、ぅっ」

 硬くなった頂を絶妙な力加減で擦り立てられ、時折耳たぶをまれ。亜未の身体の奥は痺れるように熱くなっていく。浴室の壁に反響する自分の吐息と、鏡面に映り込む自らの痴態。それらすべてが、じりじりと燻っていた亜未の情欲に完全なるほのおを灯した。やわらかな膨らみを掬い上げてその感覚を愉しむ宏人が、指と指の隙間で頂の尖った側面を撫でるように転がしていく。容赦なく続けられる愛撫に溢れる声を抑え込めないと判断した亜未は両手で口元を覆った。

「……っ、……んっ」

 下腹の最奥に生まれ大きく広がっていく強い疼きに耐えかねた亜未がもどかしげに膝を擦り合わせると、足の間の裂け目からぬちっと小さく粘着質な音が鳴った。聴覚と肌感覚にもたらされたそれは、彼女の思考を一気に沸騰させるには十分すぎるほどの刺激。ついに亜未は悩まし気なため息を手のひらの隙間から大きく吐きだし、色白の喉を晒して天を仰いだ。刹那、かくんと彼女の細い身体が床へと落ちる。

「っと、あぶね」

 力を失った亜未の身体を宏人が自らの腕に抱きとめた。宏人の導きによって亜未は膝立ちの状態になる。それでも身体を支えようと必死の亜未は腕を伸ばし、カウンターに手をついた。

「ヒ、ロ……く、ん……」

 肩を大きく上下させながら囁いた亜未の声が宏人の鼓膜を震わせた。彼女の吐息は宏人にとって極上の美酒。宏人の舌に落とされたのはその一雫ひとしずくのみ。それでもその一滴だけで全身が熱を孕み、獣欲の焔がゆらゆらと燃えている。雄茎を中心として全身を這いずり回る甘い痺れに、宏人はひどく酔っていた。

 彼女が自らの腕と膝で身体を支えられていることを確認した宏人は亜未の腕から手を離し床に胡坐をかいた。そのまま指の腹を使い、指先を亜未のくびれへと滑らせる。熱を帯びたその指先が到達する先を知っている亜未は、びく、と身体を震わせた。宏人が指を動かし亜未の身体が揺れるたび、鏡面の中の亜未が眉を顰める。ふるりと揺れる乳房。いざなうように甘く香る蜜孔。どの光景も宏人の下半身をダイレクトに刺激する。完全に勃ち上がった宏人の欲望が、勢いよく流入する血液を伴ってピクピクと跳ねる。生物学的に構造が違うふたり。亜未の身体に生まれ、波紋のように広がる悦楽を宏人は想像するしかできない。

「ひ、ぅっ」

 茂みを抜けた宏人の指先が割れ目に潜る。普段包皮に隠されている肉蕾はすでに硬く、滲んで落ちていく蜜液は蠢く隘路あいろへと誘導するかのよう。ぬちりとしたそれを指先に絡め、宏人は硬い核へ決して到達させないように、軽くそこを撫でる。

「んくっ、……ッ、ぅんっ……」

 カウンターについた肘で身体を支え、亜未はふたたび口元を押える。無意識にゆらゆらと動く亜未の腰が、早く、と。宏人に言外に、明確にせがみ立てている。が、宏人はそれに気が付かぬフリをしてじりじりと焦らすように指先を前後させた。核心に指先をつまづかせ、秘された泉のふちに触れ。宏人はただただ絶妙な刺激だけを亜未へ与え続ける。

「……ヌルヌルしてっから、滑るなぁ」

 とぼけたように指を動かしながら、宏人は愉悦交じりにわらった。いつまでも終わらない、いや、始まらない刺激に、鏡に映り込む亜未の瞳が涙を伴いながら不満を訴えている。

「亜未。どうして欲しい?」

 口元を押えて必死の訴えをする彼女の表情に、宏人は意地悪く微笑んだ。

「っ、さ、わって、よぅ……」
「んん? さっきから触ってんじゃん。ほら」

 拗ねたように懇願する声をおどけながら跳ね除けた宏人は、爪の先で真っ赤に熟れた花びらを愛でた。浴室の壁に反響するくぐもった嬌声が亜未の身体に生まれた快楽を宏人へと伝えている。

「い、じわるッ……!」

 鏡に映り込む宏人を亜未は恨めしげにめつける。その瞬間、嗤うように細まっていた宏人の瞳に剣呑な光が宿った。休日も欠かさず毎朝綺麗に整えている宏人の眉が不愉快そうに跳ね上がる。それを察知した亜未はひゅっと呼吸を止めた。

「亜未がちゃんと言わねぇからだろ? 俺のせいにすんなって」
「やっ、ぁぅ、……っ!!」

 雫がテラテラと溢れ出る雌孔周辺を宏人の指先がつついた。爪の先を僅かに泉へと埋めた宏人は、仕置きと言わんばかりにくちくちという一際いやらしい粘着音をさせながら刺激に飢えた蜜口のふちを引っ掻いては引き抜いていく。繰り返される絶対的な快感ではない、微妙すぎる刺激が亜未の欲望を大きく膨らませた。恥裂の奥に溜まっていく疼きを放出せんとばかりに亜未の理性を黒く塗りつぶす。

「あッ……! ん、ん゛ッ……」

 くぱくぱと物欲しげに淫穴が収縮を繰り返し、先ほどから散々高められた亜未の身体が絶頂を求めて戦慄わなないた。湯船から立ち上がる熱気と愛撫によって上昇した体温、ゆっくりと混濁していく意識。中途半端に与えられた快楽の破片が亜未の思考をぐずぐずに溶かしていった。

「ッ、……も、」
「ん?」

 鏡の中の亜未は涙ながらに唇を震わせる。必死にしがみついていた理性を手放し、主導権を握る宏人へ心で縋りつく。

「イ、かせてぇっ……」

 亜未の唇が掠れた言葉を紡いだ瞬間、宏人の身体の奥は戦慄が走るほどの欣悦きんえつに満たされた。ふっと口の端を歪ませ、真っ直ぐに彼女の望むところへと指を動かす。

「ぁ、あッ!!」
「だ~から。あんま声出すなって」

 張り裂けそうなほど膨れた肉蕾に宏人の指先が触れた瞬間、亜未の背が反り返った。一際高い快感を訴えた亜未が身体を大きくよじらせる。その姿に、宏人は自分の欲望の先端がトンと己の下腹についた感覚を拾った。そこから滲み出る粘液が、ピクピクと動く楔の動きに合わせて糸を引く。そのまま亜未の身体へ埋めてしまいたい衝動を、宏人は腰をあげて彼女の背中に刻印を残すことで強引に抑え込んだ。

「っ、ん、んんんん、……っ!!」

 冷やかしが交じった諫言かんげんに亜未は自らの腕に噛みつき、必死に声を抑えた。亜未に覆いかぶさるような体勢の宏人は、亜未の欲望を凝縮した肉蕾に集中的に愛撫をくわえる。硬い弾力で宏人の指先を弾ませ楽しませるその感覚を、宏人はただひたすらに愛で続けた。

 ふと、宏人の空いた腕が浴室の壁に伸びた。その指先が窓のストッパーを外し、すりガラスの窓を僅かに開く。6月の夜風がひゅっと浴室に滑り込んだ。

「ッ!?」

 宏人の腕が取った行動を、亜未はぼやけた脳内の片隅で認識していた。声を出すなと口にしていた宏人の言葉とは正反対の行動に混乱し、鏡の中の宏人に涙とともに表情のみで抗議する。しかし、宏人は歪んだ笑みを浮かべたままだ。

 窓の外から侵入するのは叩きつけるような大きな雨音。朝から続いた緩やかな雨は、今は世界から音を消すような勢いで降り注いでいた。それらの全てが宏人には届いている。が、目の前の快楽を必死に追いかける亜未には届いていない。理性を手放した亜未にそれらの情報が届くはずもなかった。大きな嬌声が亜未から響いたところで、台風のような激しい雨音に紛れ周辺には一切聞こえないだろうが、亜未はそれに気づいていないことを宏人は知っていた。愛おしい妻のそのような声を自分以外に聞かせてやるつもりなど、宏人は一欠片も持ち合わせていないのだ。明日の朝に睡眠時間を削り遠回りしてまで亜未を甘やかそうとする宏人の行動で亜未もそれくらい気づいてもよさそうだが、セックス時の宏人の底意地の悪さが彼女の意識をそこから遠く引き剥がしている。

 いびつに膨らむ心の奥底で宏人はほくそ笑む。次の瞬間、絶妙の力加減で亜未の肉蕾をきゅっと摘んだ。

「――――ッ!!!!」

 焦らされ続け寸前まで高められていた亜未の身体は簡単に高みへと到達した。大きな痙攣が亜未の身体を襲う。同時にひくひくと蠢く亜未の蜜壺から、どぷりと熱い雫が溢れ出た。滴り落ちたそれは亜未の白い肌に浮かんだ汗と交わって痕跡を残す。

「ぅ、はぁっ……」

 絶頂を迎え大きく呼吸を繰り返す鏡面の亜未は、焦点の合わない瞳のまま今にも泣き出しそうな表情を浮かべている。宏人は込み上げてくる喩えようもない悦楽にゴクリと喉を鳴らした。

「い~い顔してんなぁ……」

 激しい獣欲を湛えた宏人が嬉しそうにそっと目を細めた。羞恥のあまりまなじりから幾重も涙を零す亜未が息も絶え絶えに懇願する。

「お、ねが……閉め、てッ……」
「ん? ヤダ」

 にこりと微笑んだ宏人は亜未が掠れた声で絞りだした要望を無慈悲に却下する。『羞恥に悶える亜未を貫きたい』という歪んだ劣情を抱えた宏人は、亜未の耳元で悪魔のように甘く囁いた。

「俺にどーして欲しいのか……ちゃんとオネダリ出来たら閉めてやってもいいよ?」
「っ、……」

 絶望した表情を浮かべて息を詰めた亜未に、宏人はうっとりと酔いしれた。彼女の一挙手一投足が宏人の心を亜未に嵌まらせていく。のめり込めばのめり込むほど、底が見えない沼に宏人は突き落とされていた。欲情した宏人が貪欲に求めるのは、亜未が宏人だけに見せる淫靡な姿のみ。心の葛藤を表すように瞳を揺らしていた亜未は観念したように目を瞑った。何かを言いたげに唇を震わせ、それでも最後の抵抗から口を強く結ぶ。亜未のその姿を宏人は愉しみつつ、彼女の腕や二の腕に指を這わせた。

「亜未」

 透明な液が滴る屹立した肉杭を宏人は亜未の臀部に促すように押し付けた。何度も覚えたその先の激しい悦楽を求め、亜未の身体が渇きを訴える。堪えることの出来ない掻痒そうよう感に、亜未の心が、魂が、悲鳴を上げた。

「お、ねがっ……挿、れてぇっ」

 既に力の入らない腹を振り絞り、亜未は涙とともに必死に懇望する。

「了解」

 歪んだ笑みを湛えたままの宏人は不自然なほどにあっさりと亜未の願いを了承した。亜未の腕をなぞっていた宏人の指先が、蜜を滴らせてひくつくすぼまりにゆっくりと押し入った。期待に打ち震えていた媚肉が宏人の指にうねりを伴って食らいつく。

「ち、がぁ、あぁあっ! んっ、ゆ、び、じゃっ……なく、てぇッ」

 幼子おさなごのようにいやいやと亜未が首を振る。切羽詰った表情で途切れ途切れの抗議をする亜未に、宏人はおどけたように投げかけた。

「ん? 挿れたじゃん」

 差し入れた指で宏人は亜未の蜜窟を容赦なく掻き回す。やっとの思いで手に入れた刺激を離すまいと、亜未の内壁が宏人の指ごときつく狭窄きょうさくする。

「すっげー締め付け。なに、誰かに聞かれるかもって興奮してんだ?」
「ちがっ……!」

 愉しげに目を細めた宏人は亜未の耳元で甘く揶揄する。違う、としきりにかぶりを振る亜未の姿を思う存分堪能したいという下卑た欲望が――宏人の身体の奥に潜む嗜虐心を大きく刺激し、まるで蛇の頭のように鎌首をもたげはじめる。

のはどっちだか」

 くつくつと喉の奥を鳴らした宏人は愉しげに笑みを浮かべた。が、その笑顔の裏では『強情な亜未を壊してみたい』という強い激情に駆り立てられていた。ぐじゅぐじゅと淫猥な音を立て、亜未が一番敏感な臍側の浅瀬の一点をうねうねとなぞり――ぐっと押し込んだ。

「ひうっ!!」

 視界が白み大きく仰け反った亜未は言葉を忘れてしまう。宏人の指だけでふたたび達してしまった亜未ははくはくと酸素を求めた。宏人への返答すらままならず、大きく目を見開く。

「窓いてんだっつの」

 膝で自分の身体を支える宏人が仄暗い笑みを浮かべ、空いた手のひらで亜未の口を塞いだ。今しがた亜未にそう言ったものの、激しく降り続く雨音で亜未の艶めかしい声が自分以外の誰かの耳に届くなど有り得るはずがない、と……宏人は理解している。

「っ、んんんん~~ッ!」

 宏人の手によって口を塞がれた亜未はくぐもった吐息を浴室に響かせ、臀部に押し付けられた楔で自分を穿って欲しいと訴える。が、これ以上ないくらいに羞恥に染まる亜未を犯したい、という欲望で思考が埋めつくされている宏人は、彼女から曖昧な言葉ではなく決定打を引き出そうと更にしらを切った。

「ん、もしかして本数が足りねぇって?」

 本当は亜未の要望を宏人は知っている。それでも宏人は亜未に言わせたいのだ。理性をかなぐり捨て、卑猥な言葉を紡ぎながら己へ縋ってくれる亜未の姿を見てみたい。その一心で宏人は中指を隘路に沈め、急き立てるように亜未の胎内をなぞった。収斂しゅうれんし火照った蜜襞が2本の指で押し開かれていく感覚に、亜未の顔がさらに歪む。ゆっくりと亜未の口元から手のひらを外した宏人は、指先を亜未の頤に滑らせた。くい、と亜未の顔を鏡へと向ける。

「なぁ、亜未。お前は何が欲しい?」

 壮絶な色気を伴って問いかける鏡面の宏人の表情に、亜未の肌が粟立った。耐え難い羞恥が亜未を襲う。甘い言葉では許してもらえない、と、亜未は本能的に理解していた。亜未の最後の砦を崩そうと宏人は攻めを続ける。亜未の胎内に埋め込んでいた人差し指と中指の関節を曲げ、淫靡な動きで肉筒から引き出していく。行かないでと蠕動する淫窟を歯牙にもかけず、最後に浅瀬をゆっくりと掻き回して無慈悲に蜜孔から指先を離した。皮肉なことに、亜未本人よりも宏人の方が亜未の快感を拾う場所を覚えている。

「は、……ぁ、……」

 指が抜け出ていく感覚すら今の亜未にとっては強烈すぎる感覚だった。何かを口にして宏人の要望に応えねばと亜未は狼狽える。視界いっぱいに涙を滲ませた亜未が言葉を探し、絞り出そうと試みた。が、いまだ羞恥が欲望を上回っている亜未は、はくはくと口を動かすだけで声にならない。

「ほら」

 亜未の耳元で促すように囁いた宏人は、今度は自らの雄槍を亜未の秘裂に擦りつけ前後に動かした。しとどに溢れる蜜が宏人の欲望に絡みつく。混ぜ合わされた透明な液体同士がぬちゃぬちゃと湿った粘着音を響かせた。

「ぅ、あ、はぁっ……!」

 兇悪なまでに大きく反り返って深いくびれを宿した宏人の雁首が、その胴に蒼く這った血管が。亜未の張りつめた肉芽を、ひくつく蜜口を刺激する。その先端が深い場所に埋め込まれるだけで、亜未の望みが叶えられる。あと少し、あと少しなのだ、という渇望に、だらしなく開いた亜未の口元から溢れた唾液が滴っていく。

「亜未」

 掠れる声のままに宏人は愛おしいひとの名前を呼んだ。その声に含まれるのは亜未の脳をとろとろに溶かす熱のみ。これまで必死に繰り返した葛藤で積み上げられた壁が、亜未の内部で無残にも崩れ落ちていく。

「ひろ、く……のを、……挿、れて……」

 肉欲が亜未を大きく支配した。追い込まれた亜未は声帯を震わせ舌に言葉を乗せる。焦点の合わない彼女の瞳は宏人に操られたかのようだった。もちろん、そんなことはなく、亜未が自ら強請ねだって口にしたのだが。

「挿れて……それから?」

 痛みさえ感じるほどに膨れた自らの楔を亜未の秘裂で前後させ、宏人はさらにその先までを要求する。ぬちぬちと音を鳴らしながら亜未の太ももで疑似的に自らを慰め続ける宏人の脳内も、最早限界に達していた。

「っ、おねがっ…………おっきいの、ちょぉだいっ……!!」

 中途半端に苛まれ続ける亜未が小刻みに身体を震わせ、涙を零し悲痛な声色で鏡の中の宏人に訴えた。呂律の怪しさが彼女の余裕のなさを露呈させている。宏人に出会う前は無垢で、宏人が生涯でただひとりの『雄』である亜未にこれ以上は言葉が見つからないのだろう。

「……さすがに可哀そうだったな、すまん」

 眉を下げ苦笑した宏人が亜未の頤から指先を離した。曖昧な言葉ではなく直接的で卑猥な言葉が亜未の唇から紡がれることを宏人は求めていたが、最後の最後で手心を加えてしまうのも宏人が亜未を愛している所以ゆえん。亜未が本気で拒絶する位置と初めての経験や感覚に戸惑っている位置。そうした彼女の中の境界線を、宏人は寸分の狂い無く把握している。その事実を亜未は心のどこかで理解しているからこそ、こうして心も身体も、魂すらも宏人に委ねられている。

 腕を伸ばした宏人がすりガラスの窓を閉じ、パチンとストッパーを上げる。その仕草に亜未は安堵した。彼女の心情を表すかのように強張っていた亜未の身体から力が抜けていく。羞恥にのたうつ亜未を欲していた宏人は憮然として安堵を深める亜未の背中を眺めていた。逡巡は一瞬、さらに弛緩していく亜未の身体を宏人が難なく抱え上げる。

「ひゃっ!」

 予告されてもいなかった宏人の動きに、カウンターに身体を投げ出し脱力していた亜未は慌てて宏人の首筋に縋りついた。自らの胸に亜未を抱えた宏人はバチャンと音を立てて浴槽に足を踏み入れ、そこにしゃがむ。側面に背中を預け、少しばかり寝そべるような体勢を取った。宏人の手によって彼の身体を跨ぐような恰好をさせられた亜未は宏人の意図を察して身体を固くする。

「亜未。自分で強請ってくるほど欲しかったんだろ?」
「んぅっ」

 僅かに腰を揺らした宏人は、腹に当たるまで反り返った肉槌をお湯の中で揺蕩たゆたう亜未の和毛にこげに擦りつける。自分で腰を落とせ、と凶悪に微笑む宏人に射すくめられた亜未は強烈な飢餓感に襲われていた。ほんの数分前、あと少しだと自ら脳に擦り込んだからだ。囁くように口を動かした宏人の指先は亜未の腰のくびれを緩やかなスピードで撫であげた。びくびくと悶える亜未の姿に宏人の心がふたたび歪んだ感情で満たされていく。

 仕事で何かあれば落ち込み涙するくらい脆いくせに、宏人の前では気丈に振舞おうとする。強さと弱さを共存させた亜未に宏人は惚れた。凛とした雰囲気を身に纏う亜未は彼の前でだけは隙だらけで従順。そんな女に溺れない男がこの世にいるだろうか、と宏人は常々考えている。

 宏人は長らく渇望していた。自身の前で理性を失くし、それでも羞恥に塗れながら、貪婪どんらんに快楽を貪って――宏人に耽溺たんできする亜未の姿を。

「亜未。出来るだろ」

 優しく、やわらかく問うのは声だけ。棘のついた蔓となって、亜未を搦め取っていく。亜未を慈しむようにたおやかな微笑みを湛えた宏人。だが、そこには獰猛な狂気をひそめていた。

 宏人の瞳に宿る獣欲に亜未の渇いた感覚が共鳴した。自ら咥え込むなんてはしたないという亜未の想いは、快楽が欲しいとのたうち回る飢えを前にあっさりと陥落する。ゆっくりと膝に力をいれた亜未が腰を浮かす。亜未の挙動を見つめながら宏人は優婉ゆうえんに吐息を零した。彼女の手助けをする素振りを宏人は見せない。あくまでも欲に炙られちる亜未の姿を見たいからだ。

 白魚のような指先が熱い肉棒の根元に触れる。太く硬いそれが脈打つ感覚に、亜未はうっとりと目を細めた。すべりを帯びた亜未の蜜孔はすでに綻び、弾けそうなほどの肉欲で最奥まで穿たれることを待ち詫びているようだった。淫口に接触した先走りが更なるぬめりを生み出し、亜未の下腹に強い疼きを与える。

「ふ、っ、あぅっ……」

 腰を落としていく亜未が、蕩けた蜜道を余すことなく擦り上げていく太い楔の感覚に恍惚とした表情を浮かべた。いつもよりも質量を増している宏人の肉槌だが、先ほど執拗なまでに長引かされた愛撫の影響か、亜未の隘路は灼熱をたやすく受け入れた。避妊具を纏わない宏人の肉茎を包む亜未の蜜壷は歓喜に打ち震え、窄まりを性急に狭める。搾り取るかのように蠢く感覚を確かに拾った宏人は迫りくる吐精感に自身が長く持ちそうにない事を悟った。当然だろう。亜未が焦らされお預けを喰らっていたということは、宏人自身も同等の時間、お預けを喰らっていたということと同意義なのだ。亜未を滅茶苦茶に突き上げたい衝動を宥めるように宏人は小さな吐息をひとつだけ零した。

「……えっろ」
「っ、ぅ……」

 悦びを滲ませた亜未の表情から、結合部まで。全てを舐めるような視線で辿った宏人は、むくむくと湧き上がる加虐心から消えかかっていた亜未の羞恥心に火を灯す。宏人の欲望に呼応するかのように、亜未の胎内で宏人の猛茎がゆっくりと質量を増していく。

「亜未のここ。涎垂らして悦んでんな? 自分でもわかるか?」
「そっ、なことっ……い、わない、でっ……」

 いきり立った宏人の剛直の先端は亜未の最奥まで届いていない。浮力によって彼女の身体が浮き、結果的に浅い結合となっていたからだ。これまで散々亜未の身体を犯してきた宏人がそれを感じ取れないわけもないし、情けをかけるつもりもない。おもむろに彼女の腰を掴んだ宏人は淫靡な笑みを浮かべた。

「俺のをここまで咥え込んで……」
「ひうっ、やぁあっ!」

 増えた質量を馴染ませようと痙攣を繰り返す亜未の身体を宏人は自らへと引き寄せ、亜未を言葉で嬲り立てていく。大きくくびれた宏人の先端が亜未の最奥をコツンと揺らした瞬間、宏人は僅かに腰をあげて亜未を深く貫いた。亜未の最奥に届けられたのは先ほどから焦らされ待ち望んでいたもの。最奥のその先ところまで穿たれた強い衝撃に亜未はふたたび最果てへといざなわれていった。高い場所で白く弾けた感覚は亜未の足のつま先や手の指先まで広がり、彼女の全身を震わせる。

「は、ぁぁああっ……!」
「俺の形を覚えたお前は、悦んで自分から腰を振ってる。……な? 亜未」

 根元までずっぽりと咥え込んだ亜未が頭を仰け反らせ絶頂する姿に宏人が満足そうに嗤う。自分の上に乗った小ぶりな臀部に手を回し、宏人はきめ細やかな亜未の肌を我が物顔で堪能した。囁くような宏人の声が亜未の耳朶に侵入し、脳を犯していく。眉を顰め悩まし気な吐息を吐きだす亜未の表情に、宏人はさらに追い込みをかけた。鋭い鬼歯おにばを湛えたあぎとの中に、亜未が自ら飛び込んでくるように。

「挿れただけでイくような淫乱な亜未が俺は好きだ」
「っ、あふっ、ぁ、あ……」

 宏人が小さく腰を突き上げれば湯船にちゃぷんと音を立てみるみる波紋が生まれた。浮力が宏人の動きを助けている。これ幸いと陸上よりも動きやすくなった腰を思う存分に使う宏人は、亜未を緩やかに揺らし貫き続けた。宏人の腰の動きと水面の揺らぎがこの場の淫猥さを加速させていく。ちゃぷちゃぷと水が揺れる音、浴室の壁に反響する熱を帯びたふたり分の吐息、そして宏人の囁きに、亜未の表層意識が乱されていった。宏人以外のすべてが追い出された亜未の視界は、もうフォーカスが意味をなしていない。

「中に出されるのが好きなえっろい亜未も、全部全部俺は愛してる」
「ん、ぅ……っ」

 亜未の肌の上でたわむれる宏人の指先が、ゆっくりとそこから離れた。息を吐いて大きな余韻の波をやり過ごす亜未の耳元で、宏人は亜未の深層意識に言葉を刻ませにかかる。これまでとは違う凄みを孕ませた声色で、それでも宏人は蠱惑的に、悠然と言葉を放った。

「動け」

 瞳に仄暗い光を宿した宏人から強い言葉で縛られれば、どんな淫らな命令にも亜未は夢中で応えるしかない。年数をかけて宏人に調教さしつけられた亜未の肉体は快楽に対して従順すぎるほどに従順だった。とろりとした砂糖蜜のようなそれは宇宙よりも果てのない甘美さで亜未の魂を支配し、抗う術を彼女の手から奪い去る。まるで、亜未を絡め取り深い沼へと引きずり込む催淫薬のような一言だった。

 宏人の一言に篭絡した亜未はとろんとした目をしていた。堕ちた――そう確信した宏人は陶然とうぜんと口の端を歪める。身体を支えるためか、亜未は浴槽のふちへと手をかけていた。

「あンっ、あ、はぁっ」

 怒張した宏人の全てを深く咥え込んだ亜未はぐいぐいと宏人の腰に自らの恥部を擦り付ける。剥き出しの雁首が最奥を小突き、大きく張り出した肉傘が潤んだ蜜襞を擦り立てることで亜未の胎内に焦げつくような激しい快感が生み出されていく。

「あ、あぁぁっ、ん、んぅっ」

 待ち望んだ快楽を逃がすまいと浴槽のふちを掴む亜未の指先は真っ白に染まっていた。彼女の身体の動きに合わせて踊る水面。ちゃぷちゃぷという可愛らしい音楽が、次第にじゃぶじゃぶという激しい音楽へと転調していく。

「んッ、んんぅ、は、あ、あ、っ、ヒ、ロくっ……!」

 小刻みに震える亜未の腕には力が籠り、彼女の甘い嬌声とともに宏人へむけて快楽を伝えている。腰だけでなく両膝をも大胆に使い、眉を顰め、ただただ絶頂を追い求める亜未の表情を飽きることなく宏人は眺め続けた。

「あ、あぁ、もぅっ、もぉっ、イ、くっ、イっちゃ、うっ……」

 亜未のやわらかな媚肉がびくびくと痙攣を繰り返し、宏人の肉棒を食い締めようと蠢き始めた。宏人の身体の上で今まさに大きな波に飲み込まれようとしている彼女は無我夢中で腰を振りたくっている。酸欠を起こした金魚のようにはくはくと口を開き、これから迎える絶頂の余韻をやり過ごすためぎゅうと目を瞑った亜未の姿に、宏人は小さなを抱いた。目の前の快楽を貪るために動きを速め続けている亜未の姿は、確かに宏人が先ほど望んだもの――だったはず、なのだが。

「亜未」
「ふっ、ぇ……?」

 これまで全く亜未の動きを介助してこなかった宏人はここで唐突に彼女の揺れ動く腰と膝に手を当て一切の動きを封じる。半開きの口から涎が零れ落ちていく亜未の虚ろな瞳が宏人の歪んだ笑みを映し出す。彷徨う亜未の瞳が、宏人へ向かってあと少しだったのにと訴えかけている。直前で快楽を取り上げられた亜未の隘路はじくじくと疼き、彼女のやわらかな下唇も連動するかのようにピクピクと動いていた。荒く短い呼吸を繰り返す亜未に、口の端をつりあげた宏人は一言一言を強調するように言葉を放つ。

「誰がひとりでイけと言った?」

 身体の芯まで轟いた宏人の言葉に、亜未は呼吸を止めた。確かに宏人は亜未に『動け』と刻み込んだ。ただそれは亜未だけが快楽を享受するためでなく、宏人の情欲を満たす命令でもあった。宏人を高めることもせず、ただただ自分だけが高みを目指していた亜未は後ろ暗さからはらりと雫を落とした。

「ぁ……ご、め……な、さ…」
「そんなにひとりでイきたいなら自分の指で弄れ」

 亜未の涙に加虐心を刺激された宏人は淫靡な笑みを浮かべたまま冷酷に宣告を下す。無慈悲な言葉に目を見開いた亜未は、おねがい、ゆるして、と言わんばかりに必死に唇を震わせている。

「ほら。亜未」

 亜未の膝を押さえていた宏人の手が浴槽のふちにかけられた亜未の手首を掴んだ。その手を宏人は結合部に導き、先ほど亜未が彼の恥骨でぐりぐりと押し潰していた肉蕾へと触れさせる。

「やっ、ぁぁ、はずか、しっ……!」
「恥ずかしいもなにもねぇだろ? さっきまでひとりでやれてたんだから」

 蜜孔がきつく絞られる感覚をポーカーフェイスで堪えた宏人は呆れたように顔を顰めた。ふるふると頭を振る亜未は力の入らない腕で必死に宏人の手から逃れようと身体を捩らせる。すると、肉襞の中の雄槍の頂点の位置が予期せぬ位置へと滑っていった。繋がったまま内部に生まれた思いがけない動きに息を飲んだ亜未は、遠ざかった快感が手繰り寄せられる感覚を掴まされた。

「ひとりでイこうとした罰だ。いい子ならわかるだろう?」

 ぎゅうと目を瞑り静まった快楽の気配を手放すまいとする亜未に、宏人は今度はひどく優し気に囁いた。

 亜未の心身を、それこそ彼女の髪の一房まで掌握している宏人は理解していた。亜未は『羞恥に激しい快感を覚える』性質たちなのだ、と。それ故に先ほど窓を開けわざと亜未の羞恥心を強く煽った。

 宏人に身体の動きを遮られている亜未は不埒な感情の間で揺れ動いていた。迷っている間にも、亜未の中で高まった感覚が、いや、自ら高めた快感がどんどん遠ざかっていく。快楽が欲しいと限界まで飢えた本能が亜未のヒトとしてのたがをパチンと外した。苦しげな呼吸を繰り返した亜未は唇を強く噛んで宏人に導かれた手を動かし始める。秘芯の上に人差し指の腹を当て、そこをゆっくりと潰した。

「は、あぁっ……!」

 思わず手を引っ込めたくなるほどの疼きが亜未の下腹を震わせた。しかし宏人の手のひらが亜未の手首と腰をしっかり捕らえており、亜未の手がそこから逃れることを許さない。太く熱い楔でみっちりと満たされた蜜壺は遠ざかった快感を探すようにひくひくと戦慄いている。

「早くイきてぇんだろ? じゃぁ、頑張らないとな?」
「あっ、……っ、う、あぁっ」

 涙を零しながら喘ぐ亜未は、和毛の奥に主張する秘芽を自らの指でね始めた。羞恥に悶えながらも快楽を求める亜未の姿は、宏人がまさに求めていた光景。腹の底から込み上げてくる喩えようもない逸楽を認識した宏人は薄く笑った。目の前がチカチカと明滅し、遠ざかった快楽の糸の端を掴んだ亜未は必死でぎこちない動きを反芻させていく。

「い~ね……やっぱ恥ずかしいとよく締まるんだな」

 歪んだ感情で満たされた宏人が嗤いながら落とした言葉は、快感を貪るのに必死な亜未には遠く届かない。自分がどういった状況で感じるのか、どういう風に快感を覚えるのか、亜未本人は全く把握していないのだ。

「亜未。早くイきたいって顔に書いてあんぞ? そんなゆっくりでイけんの?」

 揶揄うように名前を呼ばれ、彼女の意識がようやく宏人へと向けられる。投げ放たれた愉悦の言葉でさえ亜未には絶頂へ駆け上がるための呼び水でしかない。

「俺に見られたくて堪んねぇって顔してんなぁ……えっろ」
「んっ、んんっ、ぁっ、ふぅっ……」

 悦楽に歪んだ宏人に淫態をくまなく見られているとわかっていても、亜未は先ほど手にしかかった絶頂を追い求め、指先を動かし続けるのを止められなかった。

「はっ、あぁ、あ、っ、ああっ」

 それでも亜未の身体は高みへとは登れない。こうして自らで慰めるなど彼女にとっては生まれて初めての行為で、どうしても最後の一歩が踏み出せないのだ。

「や、だぁっ……な、んでぇっ……」

 辿り着けない絶頂にもどかしさを覚えた身体ははしたなくもゆるゆると揺れ始める。突き刺さったまま刺激を止めた宏人の剛直を貪るように、亜未は腰を前後に動かした。じわりじわりと戻ってくる快感に脳が焦がされていく。その動きに合わせてつんと尖った頂がぷるぷると揺れ、宏人の視覚情報を刺激する。この光景を求めていたと一人悦に入った宏人は、亜未の惨状を躊躇ためらうこともせず言葉にして彼女を崩しにかかる。

「思いっきりここがびくびくしてんぞ。やば、すっげぇえっろいわ」
「やぁぁッ! あ、ぁあっ、んくっ、ぅんっ」
「い~い声。我慢しねぇでもっと啼け」
「ぁっ、ぁああっ、も、イくっ、やだぁっ……!」

 放たれた愉悦交じりの言葉に亜未の全身に強烈な感覚が走る。心を許したひとに自分のあられもない自慰行為を見られている状況に、亜未の身体は、心は、吐きだした言葉とは裏腹に歓喜していた。

「あっ、あぅっ、も、わた、しっ、もぅっ………」

 ひたひたと戻ってきた絶頂の予感に亜未の嬌声が切なく震えた。逸る鼓動に合わせて押し寄せてくる強烈な快感が、亜未の胸の奥に高台から落ちる恐怖感にも似た焦燥を生む。自らの指で捏ねる粒がじくじくと淫熱を持ち、蜜窟の奥へと刺激を求めて自ら肉杭を当てる。誰の目から見ても浅ましく淫欲を貪る亜未の姿は、この上なく卑猥だった。

「あっ、あぁぁぁっ!!」

 ずっしりと重く、逃げられない悦楽の波。大きく目を見開いて仰け反り白い喉を晒す亜未は、ようやっと手にしたその波に溺れ切っていた。付け根まで埋没した雄茎を食いちぎらんばかりに締め付ける亜未の蜜窟に、今度は宏人の箍が大きく弾け飛んだ。

「はふっ、あぁっ! ん、ぁっ!」

 絶頂のうねりに飲み込まれたままの亜未の腰を鷲掴みし、宏人は湯船の側面に預けていた身体を起こして恥肉を大きく穿った。

「まっ、て、まだっ、イって、るっ、からぁああっ」
「もっとイけんだろ? じゃあイけよ。ほら」
「それだめっ、あ、あっ、あああぁっ!」

 汗と浴室の熱気で湿った髪を振り乱し亜未が大きく首を振る。腰を跳ね上げさせ、ガツガツと最奥を貫く宏人に亜未がイヤイヤと縋った。

「あ、あぁっ、そ、そこぉっ、それっ、それだめ、だめなのぉッ」
「ダメじゃねぇだろ? ほら、また俺に絡み付いてきてんぞ」

 飢えを満たすように激しく腰を打ちつける宏人の首筋に亜未は腕を回して必死にしがみついた。宏人の手のひらに綺麗に収まる亜未の膨らみが彼の胸筋によって形を変えていく。純白のハナミズキのほうが春を待ち侘びて綻ぶように、亜未の奥深くに滞留した甘美な果実が大きく捩れて弾けた。

「あっ、はぁぁッ!」
「あーあ、またイッたな? 今日感度ヤバすぎだろ、どうした?」

 理由などもわかっているはずの宏人に無遠慮に揺さぶられ続ける亜未の泥濘が激しく戦慄き、宏人の牡槍をぎゅうぎゅうと責め立てる。膨張していく肉胴の感覚を拾い上げた亜未の腰が宏人の突き上げに合わせてリズムを刻む。

「あ~……その腰つき…たま、ん、ねぇ、なッ……」
「んんっ、あっ、ふっ、うっ……こ、ぉ……?」

 自らに縋りつく亜未の身体を力の限り抱き締めながら亜未の身体を貪る宏人は、彼女の耳元で小さく囁く。宏人を悦ばせるための淫らな腰の動きを止められない亜未から返される快感に、宏人の息もどんどん上がっていく。宏人が投げかけた言葉に反応した亜未が腰の動きを大きくし、更に甘い啼き声をあげた。

 与えた分以上のものを必死に返してこようとする亜未に宏人はひどく満たされていた。目の前にある亜未の小さな耳朶をぴちゃぴちゃと舐め回しそっと歯を立てると、呼応した亜未の隘路が吐きだされるはずの白濁を惜しみなく搾り取ろうと狭窄する。

「っ……イき狂ってる亜未も、くっ、可愛いな……ごめんなぁ、
「ふ、ぅんっ、ヒろ、く、あぁぁっ」

 譫言うわごとのように宏人の名を繰り返す亜未に、宏人は余裕を失っていく。額に汗を浮かべながら、宏人はただただ直線的な突き上げを繰り返した。

「くっ、……亜、未…っ!」

 宏人の切羽詰った声色が亜未の感情を掻き立てる。浴室の壁に反響し、ひっきりなしに響く水音がふたりの鼓膜をも犯していく。

 水の中で揺蕩いながら繋がっているふたりは元々一つだったのではないかと錯覚するほどに、彼らの身体は互いに馴染んでいた。亜未を抱く度にその感覚に襲われる宏人はこの瞬間、確信した。きっと、亜未と出会うことは宏人にとって必然だったのだ、と。

 浴室にギリッと音が響くほどに強く奥歯を噛み締めた宏人は、更なる蜜情を注いで腰を叩きつけた。

「あぅ、っ、――――ッ!!」
「くぅっ……!!」

 亜未の最深部に放たれた宏人の欲が鮮やかに踊りながら弧を描き、霧となって搔き消えていった。



 *****



「雨、降ってたの……」

 結合を解いたふたりは寄せ返しのような淫欲の気配が収まるまで、しばらく互いの弾んだ心臓の音を聞いていた。浴室に篭る熱気を逃がそうと宏人が窓をふたたび開けると、ざぁざぁと大きな雨音が浴室に飛び込んで踊っている。外の音をようやく認識した亜未は、自分が必死になって堪えていたあの労力は意味がなかったのだと理解し、呆然とすりガラスを見つめていた。

「朝からずっと降ってたろう?」
「……ヒロくんのいじわる……」

 内心でひっそりと笑う宏人は演技がかった仕草で呆れたように肩を落とす。雨が和らいだタイミングで風呂に入ろうと宏人が亜未に声をかけたのだから、亜未の認識は間違っているわけではない。天気予報を隅から隅まで把握していた宏人の方が一枚上手だったということに過ぎないのだ。

「そもそも、亜未のそういう姿を俺が誰かに見せると思うか?」
「……だって」

 ぷくりと頬を膨らませた亜未が不満げに眉を顰める。普段のセックス時から宏人は意地が悪い。ともすれば、或いは、と、あの瞬間の亜未が受け取っても無理はない――の、だが。


「それがすぐにわからねぇくらいなら」


 この時の亜未は、繋がっていた時の宏人が放った言葉を綺麗に忘れ去っていた。


「すぐにわかるようになるまで」


 ぱちゃりと湯面を叩いた宏人の手が亜未の頤に触れる。真っ直ぐに彼女を見つめた彼は、ふたたび勃ち上がり始めた己の灼熱とともに――――亜未に牙を剥く。





「もっともっと……刻んでやらねぇと、な?」
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