187 / 276
本編・第三部
【小噺】Wait for spring with you.
しおりを挟む
「ちょ~っと…遠回りして帰ろ?」
本当に。久しぶりに、俺の休暇とMaisieの休暇が被って。
久しぶりに街に一緒に買い物に出て、久しぶりに一緒に並んで歩く。
そんな帰り道。片手に紙袋を抱えて、遠回りして帰ろう、と。俺はそう言った。
その日はとてもいい天気で。
紙袋を抱えた反対の手に……するりと指を絡めると、Maisieは嬉しそうに笑った。
―――ふたつがひとつになってる
Maisieの嬉しそうな声に視線を落とすと、地面に長く伸びる俺たちの影に、虹の橋が架かって。繋いだ手の影で、ふたりがひとつになったように見えた。
「ホントだ」
Maisieの小さな気付きに。くすり、と。笑みが零れる。
手のひらから伝わる温もりが心地よい。
長く伸びた影。オレンジ色の空。
ふわり、と。風が吹いて。Maisieのブロンドの髪が靡いて、彼女がいつもつけている香水の………桜の香りが、俺たちを包んでいく。
「いつかふたりで、日本に行こう。……綺麗なんだ。夕陽にあたって燃えるように咲いている、桜が」
夕方の街の喧騒に紛れて、小さく。叶えたい願いを口にする。
―――うん。大好きなマサが、子どもの時に見てた景色。私も見たいもの
真っ直ぐに。アイスブルーの瞳で、オレンジの空を見上げながら。はにかんだようにMaisieが笑った。
あぁ。
この空間ごと、ぎゅうっと抱き締めてしまいたい。
愛しくて、仕方ない。
桜を見せたい、という俺の小さな願いだったのに。
俺が子どもの時に見ていた景色を見たい、と。Maisieが大きく願ってくれた。
神様。願わくば。
こんな日が、一日でも……多くありますように。
そんな願いを込めて。
愛おしい人の手を、ぎゅう、と。力強く、握り締めた。
本当に。久しぶりに、俺の休暇とMaisieの休暇が被って。
久しぶりに街に一緒に買い物に出て、久しぶりに一緒に並んで歩く。
そんな帰り道。片手に紙袋を抱えて、遠回りして帰ろう、と。俺はそう言った。
その日はとてもいい天気で。
紙袋を抱えた反対の手に……するりと指を絡めると、Maisieは嬉しそうに笑った。
―――ふたつがひとつになってる
Maisieの嬉しそうな声に視線を落とすと、地面に長く伸びる俺たちの影に、虹の橋が架かって。繋いだ手の影で、ふたりがひとつになったように見えた。
「ホントだ」
Maisieの小さな気付きに。くすり、と。笑みが零れる。
手のひらから伝わる温もりが心地よい。
長く伸びた影。オレンジ色の空。
ふわり、と。風が吹いて。Maisieのブロンドの髪が靡いて、彼女がいつもつけている香水の………桜の香りが、俺たちを包んでいく。
「いつかふたりで、日本に行こう。……綺麗なんだ。夕陽にあたって燃えるように咲いている、桜が」
夕方の街の喧騒に紛れて、小さく。叶えたい願いを口にする。
―――うん。大好きなマサが、子どもの時に見てた景色。私も見たいもの
真っ直ぐに。アイスブルーの瞳で、オレンジの空を見上げながら。はにかんだようにMaisieが笑った。
あぁ。
この空間ごと、ぎゅうっと抱き締めてしまいたい。
愛しくて、仕方ない。
桜を見せたい、という俺の小さな願いだったのに。
俺が子どもの時に見ていた景色を見たい、と。Maisieが大きく願ってくれた。
神様。願わくば。
こんな日が、一日でも……多くありますように。
そんな願いを込めて。
愛おしい人の手を、ぎゅう、と。力強く、握り締めた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
あなたに溺れて
春宮ともみ
恋愛
俺たちの始まりは傷の舐めあいだった。
プロポーズ直前の恋人に別れを告げられた男と、女。
どちらからとなく惹かれあい、傷を舐めあうように時間を共にした。
…………はずだったのに、いつの間にか搦めとられて身動きが出来なくなっていた。
---
「愛と快楽に溺れて」に登場する、水野課長代理と池野課長のお話し。
◎バッドエンド。胸が締め付けられるような切ないシーンが多めになります。
◎タイトル番号の横にサブタイトルがあるものは他キャラ目線のお話しです。
◎作中に出てくる企業、情報、登場人物が持つ知識等は創作上のフィクションです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました!
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている
と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている
と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。