7 / 27
相槌を打たなかったキミへ【3‐2】
しおりを挟む
***
躊躇していたのが嘘のように、境内に入ってからの苗加はキョロキョロと辺りを忙しなく見渡していた。
人の目を気にしているのかと思ったが、表情を見る限りそうではないらしい。
特に行事があるわけでもない何の変哲もない神社の何がそんなにも気になるのか。
「……なんかおもしろいもんでもあった?」
「え? あー……こういうとこ本当に久しぶりで……なんか新鮮に感じて」
「へーそっか」
苗加の感情を否定も肯定も出来ない俺は適当に返事をして濁した。
「そう言えば、神社のどこで撮るの?」
「あーそうそう、それ言ってなかったわ」
俺は境内の石畳の道を外れると苗加を手招きした。苗加の動揺を表すように砂利を踏む音が鈍く近づいてくる。
苗加が付いて来ていることを確認しながら、更に神社の奥へと進む。俺は丁度本殿の真裏で足を止めた。
「え……」
再度苗加の戸惑う声が聞こえた。俺は思わず噴き出す。
「本当にここで撮るのかって顔してる」
「だって……」
苗加の言いたいことは分かる。
俺は辺りの木を見渡し苦笑した。記憶ではもう少し整備されていたような気がしたが、実際は雑木林のようになっていて、そこらじゅうに葉が生い茂っている。どうりで許可を貰いに行ったとき、神主さんが気まずそうな顔をしていたわけだ、と納得する。確かにこの有様は少し管理不足で恥ずかしい。
「神社で撮影っていうか、本当はこっちでどうかなって思って」
言いながら足を進める。
状況を理解できていない顔の苗加は、とりあえず俺の後を付いてくる。
「ここ、一応神社が管理している土地なんだけど、結構季節の花が綺麗でさ。多分、今の時期だと──」
神社にお参りをしに来た人たちの声が遠く聞こえなくなる。それだけ奥まった場所に目的のものを見つける。
「あった、あった」
「これって」
「金木犀。見たことない? この時期になるとよく街中でも匂いが──」
ヒヤ、と嫌な汗が背筋を伝うような感覚を覚えた。やってしまった、と後悔してももう遅い。
「ごめん! 花の匂い苦手なんだっけ!?」
吐きそうだった、と、そう苗加が言っていたのはほんの数時間前の話だ。
客の飾ってくれた薔薇が嫌だったと。
事前にそんな話を聞いていたのにも関わらず、あろうことか、案内したのが金木犀がたくさん生えている雑木林。吐きそうだった、と零した苗加にショックを受けて肝心の内容が頭から飛んでいた。
「すぐ、他の場所考えるからちょっと待ってて! 確か境内の端の方にも写真撮れそうな場所が──」
苗加が不満を漏らす前に畳みかける。が、苗加は構わず金木犀に近付いて行った。
「心広くんは、なんでここ選んでくれたの?」
「え……? なんとなく……?」
なんとなく、苗加に似合うのは薔薇より金木犀だと思った。
「そっか」
それだけ呟くと、苗加はオレンジ色の花の房に顔を近づけた。
「おれ、金木犀の匂いは好きだよ」
戸惑っている俺の顔を見て、にっと笑う。
瞬間、懸念が杞憂だったことを理解して脱力する。内心盛大に息を吐いたが、なんとなくそれが苗加に伝わるのが癪で平静を装う。
「じゃあ、その辺に立って」
気を取り直して指示を出す。色々あって忘れていたが、時間が押しているのだ。
「この辺?」
言われたとおりに、苗加は金木犀の木の前に立つ。比較的背の低い金木犀の木は、丁度花が咲いている位置が苗加の顔のあたりに来る。
思った通り、似合っていると思った。
派手で激しい赤い薔薇より、細やかで儚い金木犀。
「そう、そこ。で、俺の左手辺りに視線寄こして」
そう言って、俺は自身の左手を肩より少しだけ高い位置に掲げた。それを追うように苗加の視線が動く。
流石だな、と思った。俺の撮りたい構図を理解して、それでいて自分の一番いい角度でレンズの前に立つ。
視線を外した苗加の顔を見るたびに、こっちを向いて欲しいような欲求が生まれる。
これが正解なんだと、強烈に瞳に焼きつく。
「……」
俺は持ってきた機材を一つも使わずに夢中でシャッターを切った。
”綺麗な”写真を撮ろうと思ったら、今の俺の行動はセオリーに反している。しかし、それを無視していても良いものが撮れている自信があった。
俺が指示を出さなくても苗加はポーズを変えた。まるで、俺の欲求に応えてくれているようでワクワクした。
「っと、夢中になりすぎた……」
本音を隠すことも忘れてそう漏らすと、さっきまでの澄んだ表情を一変させて苗加は笑った。
「夢中だったんだ?」
拾って欲しくない部分をきっちり拾われ、俺はバツが悪くなって顔を僅かに背けた。
「……確認して欲しいんだけど」
肩に回していたネックストラップを外すと、一眼レフの画面を苗加に向けて見せた。
「画面が小さいから分かりづらいかもしれないけど、なんとなくこんな雰囲気って感じで……」
普段、お客に対してこんなことはしなかったが、なんとなく苗加の反応が気になった。
「……」
「…………ヒロム?」
「あ、ごめん」
何も言わない苗加に段々と心配になってきた。
”カメラマン”の俺的には最高の写真が撮れたと思ったが、落ち着いて見ると”ホスト”の写真としては異質かもしれない。
しかも、すっかり忘れていたが、これは誕生日会用の写真だ。苗加の顔がはっきりと写っていることが最優先事項で、金木犀の花に溶けてしまいそうな俺の写真は相応しくない。
またやってしまったと頭を抱えたくなった。いつもならこんな心配を繰り返さない。客の要望を忘れるなんてカメラマン失格だ。
「あの……」
また、撮り直しを提案しようかと口を開くと同時に苗加の声が重なった。
「想像以上に綺麗に撮って貰えてて言葉が出なかった」
「え……?」
「すっごい気にいった! ありがとう!」
心の底から喜んでいるのが伝わるから、釣られて口元が緩んでしまう。
でも、と一瞬緩んだ気を瞬時に引き締める。
「誕生日会用の写真なら、もっと明るくて派手な方が良かったよな……」
「全然? むしろこっちの方がおれらしくて気にいったよ?」
本人がいいと言うならそれ以上言及することは無い。
もし仮に女の子の不評でも、俺は責任取らないからな、と苗加を見ると、また無邪気な顔で笑われた。
躊躇していたのが嘘のように、境内に入ってからの苗加はキョロキョロと辺りを忙しなく見渡していた。
人の目を気にしているのかと思ったが、表情を見る限りそうではないらしい。
特に行事があるわけでもない何の変哲もない神社の何がそんなにも気になるのか。
「……なんかおもしろいもんでもあった?」
「え? あー……こういうとこ本当に久しぶりで……なんか新鮮に感じて」
「へーそっか」
苗加の感情を否定も肯定も出来ない俺は適当に返事をして濁した。
「そう言えば、神社のどこで撮るの?」
「あーそうそう、それ言ってなかったわ」
俺は境内の石畳の道を外れると苗加を手招きした。苗加の動揺を表すように砂利を踏む音が鈍く近づいてくる。
苗加が付いて来ていることを確認しながら、更に神社の奥へと進む。俺は丁度本殿の真裏で足を止めた。
「え……」
再度苗加の戸惑う声が聞こえた。俺は思わず噴き出す。
「本当にここで撮るのかって顔してる」
「だって……」
苗加の言いたいことは分かる。
俺は辺りの木を見渡し苦笑した。記憶ではもう少し整備されていたような気がしたが、実際は雑木林のようになっていて、そこらじゅうに葉が生い茂っている。どうりで許可を貰いに行ったとき、神主さんが気まずそうな顔をしていたわけだ、と納得する。確かにこの有様は少し管理不足で恥ずかしい。
「神社で撮影っていうか、本当はこっちでどうかなって思って」
言いながら足を進める。
状況を理解できていない顔の苗加は、とりあえず俺の後を付いてくる。
「ここ、一応神社が管理している土地なんだけど、結構季節の花が綺麗でさ。多分、今の時期だと──」
神社にお参りをしに来た人たちの声が遠く聞こえなくなる。それだけ奥まった場所に目的のものを見つける。
「あった、あった」
「これって」
「金木犀。見たことない? この時期になるとよく街中でも匂いが──」
ヒヤ、と嫌な汗が背筋を伝うような感覚を覚えた。やってしまった、と後悔してももう遅い。
「ごめん! 花の匂い苦手なんだっけ!?」
吐きそうだった、と、そう苗加が言っていたのはほんの数時間前の話だ。
客の飾ってくれた薔薇が嫌だったと。
事前にそんな話を聞いていたのにも関わらず、あろうことか、案内したのが金木犀がたくさん生えている雑木林。吐きそうだった、と零した苗加にショックを受けて肝心の内容が頭から飛んでいた。
「すぐ、他の場所考えるからちょっと待ってて! 確か境内の端の方にも写真撮れそうな場所が──」
苗加が不満を漏らす前に畳みかける。が、苗加は構わず金木犀に近付いて行った。
「心広くんは、なんでここ選んでくれたの?」
「え……? なんとなく……?」
なんとなく、苗加に似合うのは薔薇より金木犀だと思った。
「そっか」
それだけ呟くと、苗加はオレンジ色の花の房に顔を近づけた。
「おれ、金木犀の匂いは好きだよ」
戸惑っている俺の顔を見て、にっと笑う。
瞬間、懸念が杞憂だったことを理解して脱力する。内心盛大に息を吐いたが、なんとなくそれが苗加に伝わるのが癪で平静を装う。
「じゃあ、その辺に立って」
気を取り直して指示を出す。色々あって忘れていたが、時間が押しているのだ。
「この辺?」
言われたとおりに、苗加は金木犀の木の前に立つ。比較的背の低い金木犀の木は、丁度花が咲いている位置が苗加の顔のあたりに来る。
思った通り、似合っていると思った。
派手で激しい赤い薔薇より、細やかで儚い金木犀。
「そう、そこ。で、俺の左手辺りに視線寄こして」
そう言って、俺は自身の左手を肩より少しだけ高い位置に掲げた。それを追うように苗加の視線が動く。
流石だな、と思った。俺の撮りたい構図を理解して、それでいて自分の一番いい角度でレンズの前に立つ。
視線を外した苗加の顔を見るたびに、こっちを向いて欲しいような欲求が生まれる。
これが正解なんだと、強烈に瞳に焼きつく。
「……」
俺は持ってきた機材を一つも使わずに夢中でシャッターを切った。
”綺麗な”写真を撮ろうと思ったら、今の俺の行動はセオリーに反している。しかし、それを無視していても良いものが撮れている自信があった。
俺が指示を出さなくても苗加はポーズを変えた。まるで、俺の欲求に応えてくれているようでワクワクした。
「っと、夢中になりすぎた……」
本音を隠すことも忘れてそう漏らすと、さっきまでの澄んだ表情を一変させて苗加は笑った。
「夢中だったんだ?」
拾って欲しくない部分をきっちり拾われ、俺はバツが悪くなって顔を僅かに背けた。
「……確認して欲しいんだけど」
肩に回していたネックストラップを外すと、一眼レフの画面を苗加に向けて見せた。
「画面が小さいから分かりづらいかもしれないけど、なんとなくこんな雰囲気って感じで……」
普段、お客に対してこんなことはしなかったが、なんとなく苗加の反応が気になった。
「……」
「…………ヒロム?」
「あ、ごめん」
何も言わない苗加に段々と心配になってきた。
”カメラマン”の俺的には最高の写真が撮れたと思ったが、落ち着いて見ると”ホスト”の写真としては異質かもしれない。
しかも、すっかり忘れていたが、これは誕生日会用の写真だ。苗加の顔がはっきりと写っていることが最優先事項で、金木犀の花に溶けてしまいそうな俺の写真は相応しくない。
またやってしまったと頭を抱えたくなった。いつもならこんな心配を繰り返さない。客の要望を忘れるなんてカメラマン失格だ。
「あの……」
また、撮り直しを提案しようかと口を開くと同時に苗加の声が重なった。
「想像以上に綺麗に撮って貰えてて言葉が出なかった」
「え……?」
「すっごい気にいった! ありがとう!」
心の底から喜んでいるのが伝わるから、釣られて口元が緩んでしまう。
でも、と一瞬緩んだ気を瞬時に引き締める。
「誕生日会用の写真なら、もっと明るくて派手な方が良かったよな……」
「全然? むしろこっちの方がおれらしくて気にいったよ?」
本人がいいと言うならそれ以上言及することは無い。
もし仮に女の子の不評でも、俺は責任取らないからな、と苗加を見ると、また無邪気な顔で笑われた。
11
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
婚約破棄された令息の華麗なる逆転劇 ~偽りの番に捨てられたΩは、氷血公爵に愛される~
なの
BL
希少な治癒能力と、大地に生命を呼び戻す「恵みの魔法」を持つ公爵家のΩ令息、エリアス・フォン・ラティス。
傾きかけた家を救うため、彼は大国アルビオンの第二王子、ジークフリート殿下(α)との「政略的な番契約」を受け入れた。
家のため、領民のため、そして――
少しでも自分を必要としてくれる人がいるのなら、それでいいと信じて。
だが、運命の番だと信じていた相手は、彼の想いを最初から踏みにじっていた。
「Ωの魔力さえ手に入れば、あんな奴はもう要らない」
その冷たい声が、彼の世界を壊した。
すべてを失い、偽りの罪を着せられ追放されたエリアスがたどり着いたのは、隣国ルミナスの地。
そこで出会ったのは、「氷血公爵」と呼ばれる孤高のα、アレクシス・ヴァン・レイヴンだった。
人を寄せつけないほど冷ややかな瞳の奥に、誰よりも深い孤独を抱えた男。
アレクシスは、心に傷を抱えながらも懸命に生きようとするエリアスに惹かれ、次第にその凍てついた心を溶かしていく。
失われた誇りを取り戻すため、そして真実の愛を掴むため。
今、令息の華麗なる逆転劇が始まる。
ラピスラズリの福音
東雲
BL
*異世界ファンタジーBL*
特別な世界観も特殊な設定もありません。壮大な何かもありません。
幼馴染みの二人が遠回りをしながら、相思相愛の果てに結ばれるお話です。
金髪碧眼美形攻め×純朴一途筋肉受け
息をするように体の大きい子受けです。
珍しく年齢制限のないお話ですが、いつもの如く己の『好き』と性癖をたんと詰め込みました!
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる