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おかえりなさい
第80話 持ちつ持たれつですわ
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「おい、起きろ」
「う……うん」
ネーヴェは寝返りをうち、妙に土臭い寝台だと思った。
そして、妖精の森の地面に寝ていたことを思い出した。
目を開けると、夜明けの空を背に、シエロがこちらをのぞきこんでいる。
「お前の荷物から、芽が出ている」
「なんですって?」
どういうことだろうと、脇に投げ捨てていた鞄を拾おうとした。
予備の下着や金銭や食料を入れた小さな鞄がふくらみ、皮を突き破って緑の芽が出ている。
その枝葉の形状に見覚えがあった。
「あれはグリンカムビ様に頂いた、魔法の弓……」
「ミストルティンか。世界樹の枝が何故、発芽したんだ?」
シエロの言葉に、弓の形になる前は、植物の枝だったことを思い出す。
戸惑うネーヴェの前で、荷物を吸収するように、苗木はどんどん大きくなる。
無数に枝分かれして、地面から根元が盛り上がる。
危険を感じたのか、シエロがネーヴェを抱えて、後退りした。
「これは……!」
もはや、弓の姿も苗木の姿も、跡形もない。
みるみるうちに巨大に成長し、こんもり繁ったドーム状になる。朝の光に照らされ、枝葉の一つ一つの露が光った。
涼やかな風を受け、ざぁぁぁっと潮騒のように枝葉が揺れる。
葉っぱから飛び散った露が七色に輝き、ハープをかき鳴らしたようなメロディーを奏でた。
『わたしはここにいる』
大樹に神意が宿る。
「豊穣神リベル・パテル……!」
まるで巨人に踏みつぶされそうな圧迫感が、大樹から漂ってきている。
予想外の出来事に、シエロは唖然とした顔をしている。無理もない。豊穣神の復活は、諦めかけていたのだ。
寝ぼけた頭で事態を把握したネーヴェは、夢の出来事を思い出して、自分が何かやらかしてしまったようだと気付いた。
「ま、まあ! てっきり失敗したかと思ったら大成功でしたのね! ほほほほほ!」
空笑いをあげると、ようやく我に返ったシエロが、呆れたようにこちらを見る。
「いや。お前の荷物から出てきたから、どう考えてもお前が何かしたように思うが」
「心当たりがございませんわ」
「まあいい」
夢の中で母に秘密だと言われたので、ネーヴェは何をしたか明言するのを避ける。
そんな事情を察したか、シエロは深く突っ込まず苦笑した。
「ネーヴェ、ありがとう」
「!」
「お前は、いつも想定外だ。俺の願いを叶えてくれる」
広い胸板に抱きかかえられながら、ネーヴェはじわじわと喜びを嚙み締めた。
こういう時、なんと返せばいいだろう。
「―――夫婦になるのでしたら、持ちつ持たれつですわ」
胸を張って言うネーヴェに、喉でくっくっと笑い「そうだな」とシエロは同意した。
「う……うん」
ネーヴェは寝返りをうち、妙に土臭い寝台だと思った。
そして、妖精の森の地面に寝ていたことを思い出した。
目を開けると、夜明けの空を背に、シエロがこちらをのぞきこんでいる。
「お前の荷物から、芽が出ている」
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どういうことだろうと、脇に投げ捨てていた鞄を拾おうとした。
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シエロの言葉に、弓の形になる前は、植物の枝だったことを思い出す。
戸惑うネーヴェの前で、荷物を吸収するように、苗木はどんどん大きくなる。
無数に枝分かれして、地面から根元が盛り上がる。
危険を感じたのか、シエロがネーヴェを抱えて、後退りした。
「これは……!」
もはや、弓の姿も苗木の姿も、跡形もない。
みるみるうちに巨大に成長し、こんもり繁ったドーム状になる。朝の光に照らされ、枝葉の一つ一つの露が光った。
涼やかな風を受け、ざぁぁぁっと潮騒のように枝葉が揺れる。
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『わたしはここにいる』
大樹に神意が宿る。
「豊穣神リベル・パテル……!」
まるで巨人に踏みつぶされそうな圧迫感が、大樹から漂ってきている。
予想外の出来事に、シエロは唖然とした顔をしている。無理もない。豊穣神の復活は、諦めかけていたのだ。
寝ぼけた頭で事態を把握したネーヴェは、夢の出来事を思い出して、自分が何かやらかしてしまったようだと気付いた。
「ま、まあ! てっきり失敗したかと思ったら大成功でしたのね! ほほほほほ!」
空笑いをあげると、ようやく我に返ったシエロが、呆れたようにこちらを見る。
「いや。お前の荷物から出てきたから、どう考えてもお前が何かしたように思うが」
「心当たりがございませんわ」
「まあいい」
夢の中で母に秘密だと言われたので、ネーヴェは何をしたか明言するのを避ける。
そんな事情を察したか、シエロは深く突っ込まず苦笑した。
「ネーヴェ、ありがとう」
「!」
「お前は、いつも想定外だ。俺の願いを叶えてくれる」
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こういう時、なんと返せばいいだろう。
「―――夫婦になるのでしたら、持ちつ持たれつですわ」
胸を張って言うネーヴェに、喉でくっくっと笑い「そうだな」とシエロは同意した。
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